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藻類

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用語解説

紅藻紅色植物、紅藻植物とも呼ばれる。光合成色素として葉緑素のほかにフィコビリンタンパク質をもつため、藻体の色が赤みを帯びたものが多い。全世界でおよそ600属5500種が知られており、海産種が多い。 配偶体無性生殖と有性生殖の世代交代を示す藻類の、配偶子を生ずる単相世代の植物体。 胞子体無性生殖と有性生殖の世代交代を示す藻類の、胞子を形成する複相世代の植物体。 コンコセリス期アサクサノリなど、肉眼的な大きさの配偶体と微細な胞子体を繰り返すアマノリ型生活環を示す藻類の胞子体。貝殻などに穿孔して生活する。 タイプ産地新種を記載する際にその種と学名を参照するための基準とするために指定されたタイプ標本・標本群が採集された場所。 皮層藻体の表皮を覆う細胞の層。オオイシソウ類では皮層細胞の構造が、シャジクモ類では茎部の皮層細胞の有無とその構造が分類の鍵として非常に重要となる。皮層細胞には1次列と2次列があり、1次列は節細胞と節間細胞からなり、節細胞から棘細胞が生じる種もある。 付着器藻類が基質となる物質に固着するために発達させた器官。分類群により様々な形態・構造となる。褐藻のホンダワラ類では種によって形状が異なるため、分類のうえで重要な形質となる。 直立糸状体淡水産紅藻のオキチモズクやチスジノリなどの配偶体の初期生長段階で見られる。 果胞子体紅藻類の生活環の中の世代のひとつ。紅藻類では受精に伴い複相の果胞子が形成される。雌性配偶体は単相だが果胞子は複相で配偶体世代と明らかに異なるため、果胞子体という独立した世代とされる。 シャントランシア世代淡水産紅藻のカワモズク類の生活環に特徴的に見られる世代で、肉眼的な配偶体、配偶体内に形成される果胞子体の後に生じる、果胞子から発芽した微視的な単列糸状の胞子体。このグループの藻類は、微細なシャントランシアで夏季を過ごし、冬季の水温低下とともに減数分裂をして配偶体が形成される。 低潮線干潮時の海面と陸地が接する汀線。低潮汀線、干潮線ともいう。低潮線より上部の潮間帯は干潮時に干出するため、乾燥への耐性による垂直分布が観察される。 漸深帯低潮線より下の、干潮時にも干出しない領域。常に海面下にあるため、藻類の生育環境としては安定しているが、常に波浪の物理的影響を受けている。 褐藻不等毛植物の中で最も複雑な体制と生活環を持つ藻類のグループで、光合成色素であるクロロフィルaとcのほかに、多量のフコキサンチンや多くのカロテノイド類を持つため、藻体は黄褐色を呈する。ほとんどが海産で、淡水産種はごくわずか。不等毛植物門の藻類は、真核光合成生物の中で緑色植物に匹敵する大きな系統かつ多様に分化した分類群であり、生態的にも重要と考えられている。 毛巣ホンダワラ類の葉や気胞などの表面に散在する器官。海水中の栄養を吸収するのに役立っているとされる。種によって毛巣の有無と観察される部位、大きさなどが異なるため、分類の際に非常に重要な形質。 気胞藻類の中でも体制が複雑に進化した褐藻のホンダワラ類に特徴的な器官。藻体の葉状部が変化したもので、藻体の枝に多数がつく。海中で藻体を直立させるための器官。種類によって形状や付属物、葉や生殖器官との関係性が異なるため、分類の際に非常に重要な形質。 冠葉ホンダワラ類の気胞の頂端につく付属物。種類によって冠葉の有無や形状が異なるため、分類の際に非常に重要な形質。 生殖器床ホンダワラ類の枝先や葉腋に形成される生殖のための器官。種類によって葉および気胞との関係性や形状が異なる。葉のように環境の影響を受けて変異に富む部位と比べて形質が安定しているため、分類の際に非常に重要な形質となる。 黄緑藻不等毛植物に含まれる分類群。藻体はわずかに黄色みがかった緑色で、かつては緑藻の仲間と考えられていた。ほとんどの種は淡水産で一部に汽水産や海産種、土壌藻類がある。藻体は遊泳性の単細胞、遊泳性の単細胞、アメーバ状、単列糸状、嚢状多核など多様な体制のものが含まれる。 緑藻広義には緑色植物に含まれる藻類の総称で、クロロフィルaおよびbを含み2重の膜につつまれた葉緑体をもつ生物のうち陸上に進出しなかった生物群を指し、シャジクモなど大型で複雑な体制を持つ分類群からプラシノ藻など単細胞性の微細なものも含む。狭義にはクンショウモやオオヒゲマワリ(ボルボックス)、ツルギミドロなど様々な体制の藻類を含む多様な分類群を指す。このRDBでは緑藻という概念の浸透性から広義の意味で用いた。 仮根細胞植物体が支持基盤に固定するのを助ける根状の構造体(仮根)を形成する細胞。 胞子嚢無性胞子が形成される嚢状器官。 輪生小枝シャジクモ科藻類の主軸の各節から放射状に生じる(輪生する)枝で分類の際に非常に重要な形質。シャジクモ亜科では小枝は分枝しないが、フラスコモ亜科では1~数回分枝し、分類の鍵となる。また普通の小枝と異なり、輪生するが小さく分枝回数も少ない小枝を付属小枝と呼ぶ。 托葉冠シャジクモ科藻類のうちシャジクモ属、シラタマモ属、リクノタムヌス属に特有の形質で、各輪生枝の基部に1層または上下2層に輪生する棘状の組織。シャジクモ亜科藻類の分類の鍵として重要。 シャジクモ科藻類のうちシャジクモ亜科に特有の形質で、小枝の節部2~数個生じる棘状の細胞。シャジクモ亜科藻類の分類の鍵として重要。 雄器(造精器)シャジクモ科藻類の全ての種に見られる器官で、三角形の楯板4~8枚からなりほぼ球形。 雌器とともに、これらの生殖器官が、どの枝に(結実枝の区別)、どのように(頂生と側生、単生と双生)つくかにより種が分類される。観察のうえで非常に重要な形質。 雌器(造卵器)シャジクモ科藻類の全ての種に見られる器官で、楕円体の卵細胞をらせん細胞が取り巻いている。頂端近くの小冠細胞の形態でシャジクモ亜科とフラスコモ亜科が分類されるほか、雌雄の異同、雌器の生じる部位などで種が分類される。観察のうえで非常に重要な形質。 卵胞子異形配偶子の受精により生じ、胞子体発生が進行する元となる。シャジクモ科藻類では、受精した卵胞子は黄褐色から黒色に変色する。また、受精した卵胞子膜の表面の模様は分類の鍵として重要。 複列性シャジクモ亜科の茎部の皮層細胞の構造を観察するうえで重要な特徴。皮層細胞の1次列と2次列が交互にある場合に複列性と呼び、1次列の間に2本の2次列がある場合は三列性と呼ぶ。2次列が見られない場合は単列性と呼ぶ。分類の上で重要な形質。 車軸藻類緑色植物に含まれる藻類のなかの分類群のひとつ。体は大型でシダ植物のスギナに似る。体の構造が節と節間部の反復からなり生長点が分化していること、生殖器官を保護する仕組みが発達していることなどから、藻類の中で最も進化が進んだグループとされ、陸上植物に最も近いと考えられている。

藻類分科会

氏 名所 属
加藤  将神戸大学大学院理学研究科 学振特別研究員
河中 辰仁※愛媛県立八幡浜高等学校 教諭
川又 明徳愛媛県総合科学博物館 専門学芸員
小林 真吾愛媛県総合科学博物館 専門学芸員
坂山 英俊神戸大学大学院理学研究科 准教授
福岡  豪※愛媛植物研究会 会員
藤原陽一郎特定非営利活動法人愛媛生態系保全管理 副理事長
  ※:協力員 (名簿は平成25年3月現在です)