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地衣類

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概 要

 丘陵帯(暖温帯)に属する県内の低地には、ウメノキゴケなどを始めとする特有の地衣類相が存在するはずであるが、これまで詳細な調査はされていない。しかし、開発が進んでいるので、保護を要する種の存在が想定される。山地帯(ブナ林やミズナラ林が卓越する冷温帯)から亜高山帯(主として針葉樹林)にかけては、古くからの研究者・採集家が訪れているため、比較的調査が進んでいる。山地帯では、カブトゴケ属やヨロイゴケ属などの大形の葉状地衣が樹幹や枝に着生し、ヨコワサルオガセがブナの幹や太い枝から垂れ下がる景観がかつては広く見られたようであるが、近年ではごく限られるようである。
 県内では石鎚山および東赤石山周辺にのみ、いわゆる高山帯の片鱗がうかがえるが、ウスイロミヤマハナゴケやエイランタイなどの高山性の地上生地衣類が分布し、岩上にはイワタケ科とキゴケ属の高山性の岩上生地衣類が分布する。面河渓からは、全国的にもきわめて貴重なイトゲジゲジゴケモドキやツブミゴケが確認されている。四国カルストの石灰岩地では、特殊な地衣類相が発達することが知られており、キビノサラゴケ、ヤブレガサゴケ等が生育している。しかし、県内の海岸部では地衣類相が全く調査されていないため、実体は不明である。
 愛媛県産地衣類の種数に関しては、文献調査により318種の記録が確認され、その後、現地調査により13種が追加され、計331種が記録されている。しかし、これまでに調査された地域は限られる上に、既に調査された地域についてもその精度は十分とはいえない。恐らく、県内には500種を超える地衣類が分布するものと思われる。

執筆者:川又明徳