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昆虫類

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用語解説

脚(肢)(あし)昆虫の3対の脚は頭に近い方から前脚(まえあし、ぜんきゃく)、中脚(なかあし、ちゅうきゃく)、後脚(うしろあし、こうきゃく)と呼び、それぞれの脚は体に近い方から基節(きせつ)、転節(てんせつ)、腿節(たいせつ)、脛節(けいせつ)、跗節(ふせつ)の5節からなる。昆虫の場合「足」とは書かない。 亜種(あしゅ)地理的な隔離によって派生した個体群で、基亜種とは形態的な遠いが認められるが、まだ生殖的隔離機構ができ上がっていないものを言う。 羽化(うか) 幼虫またはサナギから成虫になるために脱皮することをいう。 越冬態(えっとうたい) 昆虫が卵、幼虫、蛹、成虫のどの段階で越冬するかは、種によって異なる。卵の状態で越冬する場合は卵越冬、幼虫のときは幼虫越冬、蛹のときは蛹越冬、成虫のときは成虫越冬という。 縁紋(えんもん) トンボの翅(はね)の先端近くに四角形の色の濃い部分がある。これを縁紋といい、高速で飛ぶ時に翅に生じる不規則な振動を調整する役目を持っている。 環境指標種(かんきょうしひょうしゅ) 動物や植物には、特定の環境条件でしか生息できない種類があり、これらは環境を表わす物差しのかわりにすることが出来る。このことから、そこに生息する昆虫などの種類を調べることによって、環境の状態を知ることができる。 眼後紋(がんこうもん) イトトンボ類の頭部背面後方にある斑紋で、形や大きさが種の特徴を表すことがある。 基準産地(きじゅんさんち) 「模式産地」を参照。 胸部(きょうぶ) 昆虫の運動をつかさどる部分で、前胸、中胸、後胸に分かれ、それぞれに 1対の脚(肢)を具える。また、中胸には前翅(ぜんし、まえばね)、後胸には後翅(こうし、うしろばね)がある。 結節(けっせつ) トンボの翅の前縁中央付近にある翅脈が肥厚した部分。 原記載(げんきさい) 最初の新種記載文のこと。新種の学名が提唱され、体の特徴や近似種との比較、タイプ標本の指定とそのデータ、保管場所などが書かれている。 肩縫線(けんぽうせん) トンボ成虫の胸部側面にある縫合線のうち、一番前の縫合線で、中胸の前側板と後側板を分けている。 後胸腹板(こうきょうふくばん) 後胸の腹面中央を覆っている部分でコウチュウなど後翅を使って飛翔する昆虫では大きく発達している。 翅脈(しみゃく) 昆虫の翅にあるすじのようなもので、カブトムシなどでは単純だが、トンボなどでは複雑でたくさんある。昆虫の翅の起源は水生であった時の気管鰓(きかんえら、きかんさい)だと言われており、翅脈はその気管のなごりと考えられる。 種(しゅ) 他の種から分離して進化してきた一つの系統で、他の種とは生殖的に隔離され、互いに交配しうる自然集団である。 上翅(じょうし) コウチュウ類の前翅は硬化し、腹部を覆って保護しているが、これを上翅と呼ぶ。またカメムシの仲間は前翅の基半部だけが硬化することが多く、これを半上翅と呼ぶことがある。 小楯板(しょうじゅんばん) コウチュウやカメムシの仲間では中胸背板の大部分が前翅(上翅)に覆われて見えないが、その一部が、前胸背板後方正中部に楯形や三角形状に露出している。これを小楯板とよぶ。 触角(しょっかく) 普通複眼の内側から 1対生じる。たくさんの節から出来ていて、物を触って確かめたり、音を聞いたり、においを感じたりする役目を持っている。糸状の単純なものから分枝を持つもの、複雑な付属突起を備えるものなど形状は多様である。 前胸背板(ぜんきょうはいばん) 胸部や腹部の基本構造は背板と腹板と側板からなる。前胸の背板のことを前胸背板といい、コウチュウ類やカメムシ類などでは大きくよく目立つので、いろいろな識別点が現れることがある。逆にハチ目やハエ目では非常に小さい。前胸背と省略してよぶことも多い。 襲速紀要素(そはやきようそ) 植物地理学でいう「襲速紀」を特徴付ける生物。襲速紀は森林植生区分の一つで「熊襲 (くまそ・九州のこと)の襲、速水瀬戸(はやすいのせと・九州と四国の間の水道)の速、紀伊半島の紀」 の頭文字をつなげた造語で、中央構造線の南側(外帯)に大体一致する。この地域に固有の生物は昆虫でも多く知られている。 第一側縫線(だいいちそくほうせん) トンボ成虫の胸部側面にある縫合線のうち、前から2番目の縫合線のこと。肩縫線が一番前にある。 単眼(たんがん) 昆虫のグループによってあるものとないものがある。頭のてっぺんにあり、 1〜3個が普通。光を感じる。 短翅型(たんしけい) 長翅型の項参照。 地下浅層(ちかせんそう) 土壌層より下で母岩までの間の層。比較的大きな岩石の堆積があり間隙が多い。 長翅型(ちょうしけい) カメムシ目の多くは、種内で長翅、短翅、無翅と翅に多型を生じるが、飛翔可能な長い翅を持つものを長翅型、飛翔不可能な短い翅を持つものを短翅型という。生息環境が悪化すると長翅型の出現頻度が増し、他所に移動する。逆に生息環境が良好であれば、産卵数の多い短翅型が多く出現し効果的に増殖する。コウチュウ目やハチ目の一部にも見られる。 頭蓋(とうがい) 触角や口器を除いた頭部の本体部分。 頭部(とうぶ) 昆虫の司令塔の役割を果たす頭の部分。複眼、単眼、触角、口器などがある。 縄張り飛翔(なわばりひしょう) トンボなどでは、産卵に適した場所を雄が占有してパトロールを行い、雌が近づけば誇示行動を行い、他の雄が近づくとこれを追い払う。 ニッチ(にっち) ある種が生態系の中で固有の役割を演じるために必要とする、あらゆる環境要因のこと。生態的地位と訳される。 翅(はね) 昆虫の場合「羽」という漢字は使わない。説明は「胸部」の項参照。 富栄養化(ふえいようか) 水域に、家庭の雑排水などが流入することによって窒素やリンなどの濃度が高くなって水質が悪化すること。 複眼(ふくがん) 小さなレンズがたくさん集まってできた眼で、これで物の形や色を識別する。 腹部(ふくぶ) 消化器官や生殖器官が収められており、数節からなる。先端部の節は体の内部で交尾器などに変化している。 普通種(ふつうしゅ) 個体数が多く、良く目にすることができる種類。 縫合線(ほうごうせん) 昆虫の体は多くの節からなっているが、節と節のつなぎ目の線のこと。 ホスト(ほすと) 寄生虫学用語では寄生者の「やどぬし」すなわち宿主あるいは寄主のことであるが、一般的な餌、食べ物を含む広い意味でも用いられる。植物を餌とする場合は食草、食樹と表現するが、それらをホスト植物と呼ぶことがある。 ホロタイプ(ほろたいぷ) 完模式標本ともいう。新種記載を行った時に、その著者が指定したその種を代表する1個体の標本。 水辺昆虫(みずべこんちゅう) 水生昆虫は「生活史の中の少なくとも一時期を水中または水面で過ごす昆虫」と定義される既存の熟語であるが、水際や水草に依存して生活する、すなわち水辺に特異的に出現する昆虫を表す言葉はないが、ここではそのような意味で使用した。ミズギワカメムシ、ミズギワゴミムシ、マルクビゴミムシなどの仲間のほか、抽水植物、浮遊植物、沈水植物に依存して生活する昆虫などを含む。 模式産地(もしきさんち) 基準産地、基産地、タイプローカリティーともいう。新種記載時のホロタイプが採集された場所のこと。 有翅虫(ゆうしちゅう) 翅を持った成虫のことで、無翅虫に対応する言葉。特に社会生活をするアリやシロアリの仲間の翅をもった生殖階級の成虫のことをいうが、無翅成虫が多いアブラムシなどでも翅を持った個体をこう呼ぶ。 領家変成岩帯(りょうけへんせいがんたい) 中央構造線の北側に沿って分布する、中生代白亜紀に変成を受けた地帯。片麻岩と花崗岩類からなる。