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梅毒とは梅毒トレポネーマという病原体に感染することでおこる感染症で、主に性行為(膣性交、肛門性交、オーラルセックス)により感染します。
感染早期に感染部位のしこりやリンパ節の腫れなどの症状がみられることがありますが、その後一時的に軽快するため発見が遅れる場合があり、治療が遅れると脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります。
梅毒は早期に適切な治療を行うことで完治が可能です。早期発見のため、症状の有無にかかわらず不安のある方は検査を受けましょう。
図1は、愛媛県における梅毒の届出数の年推移です。
県内の梅毒の届出数は1999年の調査開始から2015年まで年間0~8人とごく少数で推移していましたが、2016年以降は急増しています。2020年に一旦減少したものの2021年からは再び増加し、2023年には142例と1999年の届出開始以降最多となりました。
2024年は9月25日までに103例の届出がありました。
図2に、2024年及び過去5年における保健所別届出数を示しました。
2023年の届出数は、松山市保健所が69例と最も多く、次いで西条保健所が24例、今治保健所が16例、中予保健所が13例、四国中央保健所、八幡浜保健所が各7例、宇和島保健所が6例でした。
2024年の届出数は、松山市保健所が55例、西条保健所が20例、今治保健所が9例、四国中央保健所、八幡浜保健所、宇和島保健所が各5例、中予保健所が4例となっています。
例年、松山市保健所の届出数が約半数を占めていますが、それ以外の保健所でも届出数が増加しており今後の動向に注意が必要です。
*医療機関からの届出を保健所別に集計したもので、患者の住所を示すものではありません。
図3に2024年及び過去5年における男女別累積届出数の週推移を示しました。
県内の届出数は年々増加傾向にあり、2023年には男性100例、女性42例と男女ともに1999年の届出開始以降最多となりました。
2024年第38週現在の届出数は、男性70例、女性33例で、男性は過去5年同時期に比べ多く、女性は過去5年の同時期では最多となっています(過去5年同時期平均:男性46.8例、女性22.4例)。
図4に2024年及び過去5年における男女年齢別届出数を示しました。
男性では20~50歳代の届出数が多い傾向にありましたが、2022年以降、特に30~60歳代の届出数が増加しています。女性では20歳代で届出数が多い傾向がありましたが、2023年は30歳代、50歳代の届出が例年に比べやや多くみられました。
2023年は、男性では40歳代が37例(37.0%)と最も多く、次いで30歳代が25例(25.0%)、50歳代が16例(16.0%)の順で、30歳代~50歳代が全体の78.0%を占めました。女性では20歳代が14例(33.3%)と最も多く、次いで30歳代が8例(19.0%)、40歳代、50歳代が各7例(16.7%)の順で、20歳代~40歳代が全体の69.0%を占めました。
2024年は第38週現在、男性の届出数は40歳代23例(32.9%)、20歳代17例(24.3%)、50歳代13例(18.6%)の順で、20歳代、40歳代が例年(20歳代:18.3%、40歳代:29.2%)に比べ多くを占めています。
女性は20歳代16例(48.5%)、30歳代9例(27.3%)、50歳代3例(9.1%)の順で、20~30歳代が75.8%と例年(57.6%)に比べ多くを占めています。
図5に男女別の感染経路内訳(重複を含む)を示しました。
県内の梅毒の感染経路は、いずれの年も男性女性共に異性間の性的接触が大部分を占めていますが、男性ではわずかに同性間の性的接触による感染もみられます。
梅毒は、膣性交、肛門性交のほか、オーラルセックスによっても感染します。2019年以降、経口による感染(性交による感染の重複を含む)が58例(5~16例/年)ありました。
2019年から、梅毒の発生届出票の記載事項に、性風俗産業の従事歴および利用歴が追加されました。図6に性的接触により感染した事例における直近6か月以内の性風俗産業の従事歴および利用歴を男女別に示しました。
男性では、直近6か月以内に性風俗産業の従事歴がある事例は2020年1例、2023年2例、2024年1例とごく少数ですが、利用歴がある事例はいずれの年も半数以上を占めています。女性では性風俗産業の利用歴がある事例は2023年の1例のみとごく少数ですが、従事歴がある事例はいずれの年も20%前後を占めています。
2023年は、男性では利用歴がある事例が67.1%(57例)と例年(過去4年平均:56.8%)に比べ高く、女性では従事歴がある事例が30.6%(11例)と例年(過去4年平均:24.5%)に比べ高い割合でした。
2024年は第38週現在、男性では利用歴がある事例が60.3%(41例)、女性では従事歴がある事例が10.0%(3例)となっています。
図7に診断時の病型を男女別に示しました。病型については「梅毒の症状」をご参照ください。
診断時の病型は、男性では早期顕性梅毒(1期)が、女性では早期顕性梅毒(2期)が高い割合を占める傾向があります。
梅毒の感染早期は治療をしなくても症状が軽快するため感染したことに気づきにくく、知らない間に感染を拡大させるおそれがあります。
早期発見のため、症状の有無にかかわらず不安のある方は検査を受けましょう。検査については「相談・検査」をご覧ください。
梅毒トレポネーマという病原体に感染することでおこる感染症で、粘膜や皮膚が、梅毒の病変部位と直接接触することで感染します。
主に性行為によって感染し、膣性交、肛門性交(アナルセックス)のほか、口腔性交(オーラルセックス)によっても感染します。
早期顕症梅毒 第 I 期:[感染後約3週間]感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこり、ただれができることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。痛みがないことも多く、数週間で症状が軽快します。
早期顕症梅毒 第 II 期:[感染後数か月]第 I 期梅毒の症状が一旦消失したのち4〜10週間経ってから、全身の皮膚や粘膜に発疹ができます。発熱、倦怠感等の全身症状のほか、神経症状や眼症状といた症状があらわれることもあります。第 I 期梅毒と同様、治療しなくても数週間〜数ヶ月で症状が軽快します。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあります。
晩期顕症梅毒:[感染後数年]無治療の場合、数年〜数十年後に皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。また、心臓、血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。
また、妊娠している人が梅毒にかかると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡が起こったり、先天梅毒となることがあります。
梅毒は早期に適切な治療を行うことで完治しますが、一度完治しても再び感染する可能性があります。性行為におけるコンドームの正しい使用は、梅毒だけでなく後天性免疫不全症候群(AIDS)や性器クラミジア感染症といった他の性感染症予防にも有効な手段です。ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、コンドームを使用しても、100%予防できるとは言えません。症状が無くとも感染していることがあるので、不安のある方は検査を受けましょう。
梅毒に感染しているかどうかは医師による診察と、血液検査(抗体検査)で判断します。早期発見のため、症状の有無にかかわらず不安のある方は検査を受けましょう。県内各保健所でも電話相談や無料匿名検査を実施していますので、お気軽にご利用ください。梅毒に感染したと分かった場合は、周囲で感染の可能性のある方(パートナー等)にも検査を勧め、必要に応じて一緒に治療を行うことも重要です。
保健所 | 所在地 | 電話番号 | 検査日 |
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四国中央保健所 | 四国中央市三島宮川4-6-55 |
(0896)23-3360 (内線)114・116 |
毎週水曜日 10時半から11時半(予約制) |
西条保健所 | 西条市喜多川796-1 |
(0897)56-1300 (内線)318 |
毎週月曜日 10時から11時 |
今治保健所 | 今治市旭町1-4-9 |
(0898)23-2500 (内線)228 |
毎週火曜日 10時から11時(予約制) |
中予保健所 | 松山市北持田町132 |
(089)909-8757 (内線)261 |
毎週水曜日 13時から14時(予約制) |
八幡浜保健所 | 八幡浜市北浜1-3-37 |
(0894)22-4111 (内線)313 |
毎週月曜日 10時から11時(予約制) |
宇和島保健所 | 宇和島市天神町7-1 |
(0895)22-5211 (内線)267 |
毎週火曜日 10時から11時 |