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私学助成の拡充強化に関する意見書
第393回(令和7年9月)定例会
提出議案【議員提出の部】
私学助成の拡充強化に関する意見書
私立学校は、各々の建学の精神に基づき、時代や社会の要請に応じた特色ある質の高い教育を積極的に展開し、我が国の公教育の発展に大きく寄与している。
その一方で、厚生労働省の人口動態統計によると、令和6年の出生数は68万6,061人で、統計開始以降初めて70万人を割り込むとともに、合計特殊出生率は1.15で、過去最低を更新するなど、急速に少子化が進行しており、我が国が今後も発展していくためには、将来を担う子どもたちの資質・能力の育成において、学校教育が果たすべき役割はこれまで以上に大きくなっているものの、私立学校を取り巻く状況には様々な課題が山積している。
私立高等学校等経常費助成費補助金の一般補助では、教員の維持・確保に必要な人件費の増加や物価、光熱費の高騰をはじめとする経営環境の変化に対応した支援を拡充するとともに、特別補助についても、ICT支援員やスクールカウンセラー、障がいのある生徒への介助者など様々な支援員補助の拡充強化が望まれるほか、ICT環境の整備や学校施設の耐震化・高機能化、学校への要望の多様化、保護者対応など、学校運営に係る問題解決への支援も必要である。
また、経済財政運営と改革の基本方針2025、いわゆる骨太の方針2025に明記された「高校無償化」が実現されれば、子どもたちが自由に学校を選択できる機会が保障されるものの、私立学校が多様で質の高い教育を実践していくためには、合理的根拠に基づく授業料の引き上げは必要であり、幼稚園、高等学校、大学等では授業料の無償化が進められる中にあって、私立中学生への就学支援制度の創設も求められる。
さらに、私立高等学校等の生徒が海外への留学、研修・修学旅行等を経験し、将来にわたってグローバル人材として活躍するための支援拡充も不可欠である。
こうした課題は、本県の私立中学高等学校も同様に抱えているものであり、課題を解消するためには、国による全面的な財政支援及び制度の整備が求められる。
よって、国においては、骨太の方針2025に「公教育の内容や質を充実させる」や「物価上昇等も踏まえつつ私学助成等の基盤的経費を確保する」と明記されていること、また、私立学校振興助成法第1条に規定する「私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、私立学校の経営の健全性を高める」との趣旨を踏まえ、私学助成に係る国庫補助制度をはじめとする支援全般について、より一層の拡充強化を図るよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
愛媛県議会議長 福羅 浩一
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
内閣官房長官
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