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地方税財源の確保に関する意見書
第393回(令和7年9月)定例会
提出議案【議員提出の部】
地方税財源の確保に関する意見書
本年7月20日の第27回参議院議員通常選挙では、物価高による家計負担の軽減を求める国民の声などを背景に、消費税の減税やガソリンの暫定税率廃止が大きな争点となり、同月30日には、選挙結果を受けてガソリンの暫定税率廃止に関する与野党合意がなされるなど、減税の議論が加速している。
一方、現在、地方においては、「地方創生2.0基本構想」に基づく人口減少対策やDXの推進、防災・減災対策等の重要課題に積極果敢に取り組んでいくことが求められている。また、社会保障関係経費をはじめ、金利の上昇や公共施設等の老朽化対策等に係る財政需要の増加に加え、物価高騰や最低賃金の引き上げが進む中で、労務費の適正化に向けた官公需価格の引き上げ等にも適切に対応していかなければならない。
地方における各種施策の推進には、裏付けとなる財源が不可欠である。減税が行われた場合に十分な補填措置がなされなければ、地方の行財政運営に深刻な影響を及ぼすこととなる。地方に負担を転嫁することのないよう、国が責任を持って恒久的な地方財源を確保する必要がある。
物価高騰に対応する生活者支援を行うことは極めて重要であるものの、結果として将来世代に負担を残すこととなれば、将来の行政サービスの提供が滞ることにもなり、回りまわって国民生活に悪影響を及ぼすこととなる。そのような事態を生じさせることがないよう、地方の行財政運営の全体を俯瞰した上で、冷静な議論をすべきである。
よって、国においては、安定的な地方財源確保の観点から、以下の事項について特段の措置を講ずるよう強く要望する。
記
1 地方揮発油税は、地方の道路整備や社会インフラの老朽化対策にも充てられる貴重な財源となっていることから、暫定税率の廃止に伴う地方の減収分については、今後の財政需要の増加にも対応できるよう、十分な補填措置を講じること。
2 軽油引取税は、揮発油税と共に暫定税率が適用されており、仮に暫定税率を廃止する場合、地方財政に深刻な影響を及ぼすことから、将来世代の負担にも十分配慮した上で、恒久的な代替財源を確保すること。
3 消費税は、地方交付税の原資分も含めて約4割が地方財源であり、医療・介護・年金・子育て支援等の社会保障施策を支える極めて重要な役割を担っていることから、地方に負担を転嫁するような制度改正を行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月6日
愛媛県議会議長 福羅 浩一
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
内閣官房長官
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