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地方消費者行政に対する財政支援の継続・拡充を求める意見書
第392回(令和7年6月)定例会
提出議案【議員提出の部】
地方消費者行政に対する財政支援の継続・拡充を求める意見書
令和5年の全国の消費生活相談件数は90.9万件と高止まりし、その中でも高齢者の相談が大きな割合を占め、相談内容も多様化・高度化が進んでいる。本県においても、同年度には8,590件の消費生活相談が寄せられており、このような消費者相談に対応するためには、地方公共団体の相談窓口の充実が必要不可欠である。
都道府県及び全国の市町村に設置されている消費生活センター等の消費生活相談窓口は、消費者被害に遭った消費者がまず相談する専門の窓口として機能しており、それらの業務を最前線で担う消費生活相談員は、地方における消費者被害の回復や予防の要であり、欠かすことのできない重要な役割を果たしている。
本県では全20市町に消費生活相談窓口が設置されているが、財政基盤がぜい弱な市町においては人員体制が十分ではなく、9市町では、決められた曜日にのみ消費生活相談員を配置している状況であり、十分な相談体制とは言えないもので、相談体制の維持・充実は、依然重要な課題となっている。
これまで、地方消費者行政の強化策として国による交付金等が措置され、定額補助で消費生活相談員の人件費にも充てることのできる地方消費者行政強化交付金(旧地方消費者行政推進交付金)が、長年地方における相談体制を下支えしてきたが、遅くとも令和9年度には、全ての地方公共団体で終了することが定められており、全国で消費生活相談員による相談体制を維持していくことができるかが大きな課題となっている。
このような中、交付金の活用期限の終期到来により、特に小規模な地方公共団体において、消費生活センターの維持や消費生活相談員の担い手の確保が難しく、交付金で実施してきた事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政が後退・縮小し、ひいては消費者被害の増加に繋がりかねない事態を招くことが懸念される。
また、消費者庁は、現行の全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)を刷新し、消費生活相談のDX化など新システムへの移行を計画しているが、その財政的負担が地方消費者行政の安定的実施を妨げるおそれもある。
消費者庁には地方支分部局がないことも相まって、地方公共団体は国の消費者行政の一端を担っており、本来、その費用は国が負担すべきものである。
よって、国においては、地方消費者行政を安定的に推進させるため、次の事項について取り組むよう強く要望する。
記
1 地方消費者行政事業に対する地方消費者行政強化交付金の交付期限を相当期間延長すること。もしくは、同交付金と同様に、消費生活相談員の人件費にも充てることができる交付金等の創設を早急に行うこと。
2 PIO-NETの刷新及び消費生活相談のDX化により地方公共団体に生じる費用を国において措置すること。
3 消費生活相談情報のPIO-NET登録事務など、国の事務の性質を有する消費者行政に係る費用について、国の恒常的な財政措置を行うよう、地方財政法第10条の改正を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年7月2日
愛媛県議会議長 福羅 浩一
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
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