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生活保護基準引下げの再考等を求める意見書

ページID:0013186 更新日:2023年11月14日 印刷ページ表示

第331回(平成25年2月)定例会

提出議案【議員提出の部】

生活保護基準引下げの再考等を求める意見書

国は、生活保護費のうち日常生活に係る「生活扶助」の基準額を、本年から3年間かけ約670億円減額することを決めた。さらに、年末に支給する「期末一時扶助」についても見直しがなされ、約70億円の減額と合わせ国費ベースで約740億円に上り、生活保護受給世帯の96%で現在より受給額が減少し、引き下げ幅は世帯平均6.5%、最大10%の減少が見込まれている。

今回の生活扶助基準額の見直し方法には大きな問題がある。一部で見られる低所得者世帯と生活保護世帯との逆転現象の解消はもちろんであるが、原因の分析、最低賃金の引上げや低所得者支援の強化がより一層求められていることから、生活保護基準の引下げは慎重に検討すべき事項で、真に援助が必要な受給者への給付が削減されるおそれがあるだけでなく、低所得者全体への影響が大変大きい。

すなわち、生活保護以外の低所得者の住民税、保育料、保険料等の自己負担も連動して上がったり、就学援助が打ち切られ、生活保護世帯以上の切り下げを低所得勤労者世帯が被り、再逆転する可能性がある。また、最低賃金の決定にあたり生活保護基準は大きな要素であり、生活保護基準の引下げは最賃引上げのブレーキにもなりかねない。つまり、生活保護世帯のみならず、勤労者世帯をも苦しめ、国民生活の最低レベルの引下げにつながるおそれがある。

特に影響を被るのは子育て世帯である。その多くが母子世帯であるが、そもそも日本のひとり親世帯の相対的貧困率は、OECD加盟30ヵ国中最低となっている。生活保護基準の引下げによって、教育にかけられる費用が減り、進学の断念、部活や修学旅行の断念、ひいては高校中退の増加につながりかねない。

さらに、生活保護家庭には、外出が困難な高齢者や、疾病や障がいを抱えている方も多いことから、基準が下がれば、食費や光熱水費等を更に節約することとなり、生命の危機に直結する事態も懸念される。

よって、国においては、生活保護受給世帯の影響や実態把握を行ったうえで、生活保護基準引下げの適否を再考するとともに、不正受給の防止、医療扶助の適正化、就労支援の大幅強化、ケースワーカーの増員など、生活保護を巡る諸課題に速やかに取り組むとともに、高齢者世帯における基礎年金との逆転現象については、最低保障年金の創設など、生活保護を巡る諸課題に速やかに取り組むことを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成25年3月19日
愛媛県議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
総務大臣
厚生労働大臣

 

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