えひめのお魚事典

マハタ

Epinephelus septemfasciatus

マハタ

マハタ(真羽太)はスズキ目ハタ科マハタ属に分類され、学名はEpinephelus septemfasciatus です。英名は、sevenband grouper, covict grouper などがあり、前者は7本の帯があるハタの意味になり、後者は covict が「受刑者」の意味であることから“囚人服の縞模様”のイメージで名づけられているようです。日本近海では馴染みのある大型の温帯性ハタ類の一種で、北海道以南の日本の沿岸・黄海・東シナ海に分布します。名前の由来は、背鰭(ひれ)や尻鰭の前部の棘状が太くて目立つことから、「羽根(ひれ)」と呼び、「羽太」の字を充てたと言われています。また、ハタは斑(はだら)の「ら」が脱落したもので、「斑紋のある魚」の意味からきたとも言われています。「マ」はマダイなどの「マ」と同じく、ハタ類の代表であることを示します。

漁法として釣りなどで漁獲されますが、漁獲量は多くなく、非常に美味であることから市場で高級魚として扱われています。近年では長年の研究成果として愛媛県をはじめ、いくつかの県で養殖が行われるようになり、味を楽しむ機会が増えてきたと思われます。旬は夏ですが、周年味は落ちず、刺身・煮付け・鍋物・揚げ物などの各種料理に合います。

体表

体形は長楕円形でやや側扁し、同属のクエに比べるとややズングリしています。幼若魚の体色は紫がかった淡褐色で、体側に7本の黒褐色の横帯※があります。この横帯は成長とともに不明瞭になり、大型の成魚では一様に黒褐色になります。

写真1:マハタの若魚

写真提供:愛南町・中田親氏

鰭(ひれ)

背鰭には11棘、尻鰭には3棘あり、その棘状は太く鋭くなっています。尾鰭は扇のように丸くなっており、その後縁は白く縁取られています。近縁種であるマハタモドキは、マハタとよく似ていますがこの白い縁取りがないことから区別できます。

写真2:尾鰭とその白い縁取り

頭部

頭と口は大きく、両顎に小さな鋭い歯があります。前鼻孔に対して後鼻孔が大きいことと前鰓蓋骨の下縁に鋸歯があることが、クエと見分ける特徴になります。

写真3:前鼻孔と後鼻孔

愛媛県におけるハタ三種の種苗生産

ハタの仲間には高級魚として水産上重要な種が多く、愛媛県水産研究センターにおいては、マハタ・クエ・キジハタ(愛媛県での地方名:アコウ)の三種のハタ類の種苗生産を行っています。マハタとクエは宇和海での養殖用種苗として、キジハタは主に瀬戸内海での放流用種苗として生産されています。

平成28年9月現在、宇和海において、マハタは19経営体で約20万尾を、クエは20経営体で約21万尾を養殖しています。

宇和海と瀬戸内海の位置

愛媛県水産研究センターにおける種苗生産状況

魚種名 種苗のサイズ 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
マハタ 100mm 75 61 62 46
クエ 100mm 27 6 34 28
キジハタ 80mm 138 111 97 124

資料提供:愛媛県農林水産部水産局水産課/単位:千尾

マハタの生態

幼魚・若魚は水深30mまでの浅海にいますが、成長につれて深場へ移動し、全長1mを超える老成魚は水深100~300mに多くいます。岩礁などに棲むクエなどの他のハタ類と異なり、海底から離れ泳ぐ習性があります。食性は肉食で、魚・甲殻類・イカやタコなどを呑み込むように食べます。

天然での産卵は知られてなく、飼育下では5~6月に性成熟し、ホルモン剤を用いて搾出する人工採卵では4~10kgの雌から数十~百数十万の卵が得られます。卵は球形で直径0.8~0.9mmの比較的小さな分離浮性卵です。水温22℃では受精後35時間程度でふ化します。ふ化直後の仔魚は全長約1.8mmです。仔魚は特異な鰭の発生を行い、一時期背鰭と腹鰭の一部が大きく伸長します。ふ化後60日程度で全長30mmに成長し、養殖例では1才で200g、3才半で2.5kgになります。雌性先熟型の性転換を行い、飼育下では6才以上の全長60cm、体重4kg前後で雌として成熟します。さらに大きくなると雄に性転換し始めるようです。最大は全長1m、体重50kgを超えますが、寿命は不明です。

写真4:発生中の卵

写真5:ふ化仔魚

写真提供:愛媛県水産研究センター