本文
愛媛県離島振興計画(案)の概要
1 離島振興の基本的考え方
(1)離島振興計画策定の趣旨
本県には、離島振興法に基づいて指定を受けた離島振興対策実施地域が、魚島群島をはじめとして9地域(31有人島・48無人島)ある。
これらの地域については、昭和28年に離島振興法が制定されて以来、10年毎に離島振興計画を策定し、道路、水道、港湾などの生活・産業基盤の整備を積極的に推進してきた。
しかしながら、離島をめぐる状況は、人口減少・高齢化の著しい進行、基幹産業である農水産業の不振などにより、離島を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあるとともに、島民の足である航路の維持や防災対策等、重要な課題を抱えている。
こうした状況を改善するとともに、本県離島地域の自立的発展を促進するため、今後10年間の離島振興の基本方向となる本計画を策定する。
(2)離島振興計画策定の経緯
本計画は、10年間の時限立法である離島振興法が延長されるたびに策定してきたが、平成25年度に策定した現行計画(第7次計画)が今年度末(令和5年3月)で終了するため、令和4年11月の法改正を受け、新しい離島振興計画(第8次計画)を策定する。
(3)離島振興計画の期間
計画期間は、令和5年度から令和14年度までの10箇年
(4)離島振興の基本方針
本計画の最終目的である「島内外の多様な主体との交流で、それぞれの島の特徴を生かし、安心して住み続けられる愛顔(えがお)あふれる島づくり」の実現を目指すため、離島振興の基本方向として、次の3つを掲げる。
- 安心して住み続けられる島づくり
- 地域資源を活かした島づくり
- 多様な主体による島づくり
(5)離島振興の基本方向の概要
【安心して住み続けられる島づくり】
- 交通体系の維持・確保
島内道路の整備、離島航路及び島内バスの維持やサービスの向上、港湾・漁港施設・橋梁等の整備、航路運賃の低廉化、物資の流通効率化等 - 通信施設の整備等
高度情報通信基盤の持続的な整備促進、地域での先端的な技術の活用支援を行う人材育成、市町との協働及び官民共創による先端技術導入推進等 - 生活環境の整備
水道事業の効率化、耐震施設への更新、安全な飲料水の安定確保、し尿・生活排水の適正処理、廃棄物の資源化・減量化、空き家を活用した移住者の住宅確保の支援等 - 医療の確保等
医師・歯科医師・看護師等の確保、医療施設・設備の充実、質の高い医療提供体制の充実、新たな情報通信技術導入等支援による離島における医療の確保、ドクターヘリ等による救急搬送体制の構築等 - 介護サービス等の確保等・福祉の増進
介護サービス基盤の整備、介護人材の確保、障害福祉サービス及び障害児通所支援等の確保、サービス内容の充実、在宅制の充実、地域包括ケアシステムの構築支援、児童福祉施設の整備、保育時間延長等の特別保育の推進等 - 自然環境の保全等
海岸漂着物の円滑な処理や効果的な発生抑制策の推進、行政・地域住民・事業所等の連携による地域の特性に応じた自然環境の保全 - 国土の保全・防災対策
河川改修、土石流等防止対策、海岸保全対策及び津波災害対策の推進、森林整備の推進、SNS等を活用した防災情報の伝達手段の多様化の推進、生活必需品等の備蓄、防災に関する知識の普及・啓発活動推進等【地域資源を生かした島づくり】 - 産業の振興
柑橘・花き栽培の振興、樹園地の再編、水産基盤整備、栽培漁業・養殖業の推進、6次産業化等の農山漁村発イノベーションの推進、人材の育成確保や起業化支援、サテライトオフィスの誘致、テレワークによる都市部からの人材確保の推進等 - 雇用機会の拡充等
働きたい人の状況に応じた就職支援や離職者への再就職支援 等 - 教育環境の整備
教育施設・設備の充実、ICT等を活用した教育環境の維持向上、離島留学制度等による交流活動推進、通学費等の支援、多様な学習環境の整備等 - 伝統文化の継承・振興
特色ある地域文化の保存・活用と次世代への伝承等 - 観光資源の開発
滞在型交流施設等の整備、参加型・体験型ツーリズムの推進、地域の特性を生かした新たな滞在型観光地域づくり、食や特産品を活用した経済波及効果の高い観光事業の開発等 - 再生可能エネルギーの利用等
再生可能エネルギー導入促進、再生可能エネルギー利用に対する意識啓発
【多様な主体による島づくり】 - 人材の確保・育成
移住者の受け入れから定住に至るまで切れ目のない重層的な支援、島民主体での地域づくりをリードする地域人材の育成 - 交流・関係人口の拡大
多様な地域資源を活かした滞在交流型の事業の推進、積極的な情報発信、愛媛流の「企業合宿型人材育成ワーケーション」推進等 - その他離島振興
人口増加に繋がる施策の総合的・複合的実施、小規模離島への配慮、離島と離島及び離島と本土との連携強化、市町相互間の広域的な連携の確保・支援、感染症等が発生した際の離島の島民生活の安定・福祉の向上等
2 離島振興対策実施地域別計画
(1)魚島群島(2.71平方キロメートル、149人):上島町(高井神島、魚島)
計画の主な概要
- 離島留学生の全国募集に伴う住環境等の整備
- 航路の維持及び新たな船の建造の推進
- 高齢者によるIT技術活用の推進
(2)上島諸島(26.10平方キロメートル、6,360人):上島町(弓削島、佐島、生名島、岩城島、赤穂根島)
計画の主な概要
- 県立弓削高等学校の学生寮等の整備
- 「空き家バンク」・「空き地バンク」の推進
- 弓削島荘遺跡に係る史料館の整備
(3)越智諸島(2.25平方キロメートル、26人):今治市:(鵜島、津島)
計画の主な概要
- 空き家を活用した移住者の住宅確保支援
- 住民へのオンライン診療等の推進
- 防災・減災対策としてソフト面の対策の実施
(4)関前諸島(2.65平方キロメートル、72人):今治市(大下島、小大下島)
計画の主な概要
- 多種品目の「せきぜんブランド」の開発
- 生涯学習の振興を図るための各種講座開催
- 地域に適した再生エネルギーの研究
(5)来島群島(1.34平方キロメートル、32人):今治市(小島、来島、馬島、比岐島)
計画の主な概要
- 超高速ブロードバンドエリアの拡充
- 観光事業者と連携した観光利用者の回復
- 村上海賊の情報発信等による文化財の継承
(6)新居大島(2.14平方キロメートル、131人):新居浜市(新居大島)
計画の主な概要
- スマート農業による「七福芋」の生産拡大
- 空き屋バンクへの登録物件の拡充
- ICT環境を利用した遠隔教育の実施
(7)忽那諸島(44.75平方キロメートル、4,169人):松山市(安居島、野忽那島、睦月島、中島、怒和島、津和地島、二神島、釣島、興居島)
計画の主な概要
- 離島ならではのツーリズムの推進
- 全国に認知される「里島ブランド」の確立
- 滞在型交流施設を活用した定住の促進
(8)青島(0.49平方キロメートル、5人):大洲市(青島)
計画の主な概要
- 青島コミュニティセンターの設備充実
- 漁港施設・海岸保全施設の修繕整備
- 島民の通院に係る費用の助成
(9)宇和海諸島(8.05平方キロメートル、727人):八幡浜市(大島)、宇和島市(嘉島、戸島、日振島、竹ヶ島)
計画の主な概要
- 「大島テラス」を活用した雇用創出
- 「海の葉っぱ」などの採藻類の付加価値向上
- 行政手続のオンライン化の推進
合計9地域(90.39平方キロメートル、11,671人)7市町(31島)
お問い合わせ
愛媛県 企画振興部 政策企画局 地域政策課 活力創出グループ
Tel:089-912-2217 Fax:089-912-2249