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研究報告No.28

ページID:0004428 更新日:2013年1月15日 印刷ページ表示

オーストリッチの人工孵化技術

真鍋フミカ 高橋敏方

現愛媛県畜産試験場

オーストリッチの普及を図る上で、人工孵化技術の確立が最も重要である。今回は孵化率の向上を図るため、孵化試験を実施した。

2年間の孵化成績は受精率53.0%、孵化率59.1%、中止率34.1%であり、諸外国の平均孵化率50.0%は上回った。さらに成績向上のため、卵殻異常が孵化成績に影響する事から卵重の減少率を調査した。1日当たりの卵重減少率は孵化卵が0.3~0.5%の範囲内で、中止卵は0.5%以上と0.4%以下であることから、減少率0.5%以上の種卵に減少防止のため孵卵7日目に卵殻表面約1/3のノリ付けを試みた。結果、83.3%と高い孵化率が得られた。

また、減少率が0.4%以下で孵化卵と中止卵の混在する種卵は、卵質向上を目的に成鳥にサプリメントの給与を実施した。結果、受精率75.0%、孵化率88.9%まで向上した。以上のように、ノリ付けとサプリメント給与を実施すると受精率・孵化率とも80%以上と飛躍的に改善された。

オーストリッチの初期育成技術の改善

真鍋フミカ 高橋敏方

現愛媛県畜産試験場

オーストリッチは第四の家畜として注目を集めているが、初期育成が難しいため普及には至っていない。今回は生後2ヶ月までの育成方法として環境条件が異なる3区(改良型電気ブルーダーとヒーターマット・改良型電気ブルーダー・ヒーターマット)を設け試験を実施した。また、餌付け時の給与飼料の種類とグリット給与試験を実施して育成率の改善を試みた。

育成初期の環境は、改良型電気ブルーダーとヒーターマットによる保温と除湿が有効であり、その後の発育についても6ヶ月齢で平均体重70.1kg、飼料要求率2.5と好成績を得た。また、鶏用配合飼料を給与してもオーストリッチ専用飼料と同等に発育することが解った。グリット給与試験では、2ヶ月齢までの体重が給与区11.4kg、無給与区9.1kgであり、グリットを給与すると飼料摂取量、特に粗飼料摂取量が増し、体重の増加および育成率の改善が認められた。野菜給与試験では、2ヶ月齢までの体重が緑餌給与区13.1kg、対照区13.6kgと1ヶ月齢以降緑餌(野菜)を給与しなくても事故の発生もなく正常に発育することがわかった。

オーストリッチの食肉処理方法及び肉の特性

真鍋フミカ 高橋敏方

現愛媛県畜産試験場

オーストリッチの飼養技術が確立され、その普及を図るため食肉処理方法の検討と肉の特性を調査し、適した調理と商品化の開発に取り組んだ。

オーストリッチの肥育成績は、12ヶ月齢で平均体重100kg、飼料要求率3.9であった。食肉処理では、モモに付着する肉7部位49.4%、脚に付着する肉3部位29.3%およびその他の肉21.3%に区分でき、正肉歩留まりは30.4%であった。主要3部位(ドラムステーキ・ランプステーキ・ファンフィレ)の肉質を調査したところ、加圧保水力74.3%、伸展率25.5c平方メートル/gとも豚肉に類似していた。硬さは、部位により差があり、ファンフィレ1.22kg/c平方メートルが最も柔らかかった。肉色は、明度(L*値30.6)が低い、赤色(a*値11.7)であった。栄養成分では高たんぱく質(20.5g/100g)、低脂肪(3.1g/100g)で鉄分(3.2mg/100g)、ビタミンB2(0.7mg/100g)が豊富であった。商品化では、肉の特性にあったタレつき焼肉とタタキを贈答用に、またクズ肉をメンチカツに調理し、産直市場で販売し好評を得た。

オーストリッチ繁殖技術の改善

真鍋フミカ 難波江祐介 高橋敏方

現宇和島家畜保健衛生所 現愛媛県畜産試験場

オーストリッチの種卵を確保するためには、繁殖が重要である。今回は、繁殖における飼養管理及び天候との観点から知見を得た。

雌の産卵開始時期は2.2歳からで、繁殖期間は気温が上昇を始める頃から始まり、ピークをすぎて平均気温になる頃に終了した。産卵時刻は夕方3~5時頃に行われる傾向にあった。産卵間隔は、2日間隔が圧倒的に多く、1週間隔の場合もある。1ヶ月程度の間隔で14週間以上休産することもある。1日に1~2℃づつ3~5日間連続して合計5℃くらい温度が下がった直後、あるいはその2~3日後に休産期間に入る傾向にあった。温度の下がり方が急なほど休産期間も長くなる傾向にあった。産卵がピークを迎えたのち、気温が最高に達する時期に採取した卵がよく孵化する傾向にあった。種卵を採取する時期にサプリメントを給与すると、受精率、孵化率とも改善された。繁殖期に5,000kcalを目安として給餌すると、体重が目標である130kgに早く到達した。オーストリッチのペアリングは、受精率、孵化羽数ともに、雌雄1対1の方が良好な成績であった。これは、雄の気性が荒く、雌への乗駕意欲が強かったためではないかと考えられた。未受精卵を除く非孵化卵のうち、孵卵中に発生が中止した卵の33%、腐敗した卵の94%、死ごもりの50%が雨天時に採取したものであった。

生菌剤の給与が無薬飼育のブロイラーに及ぼす影響

若田雄吾 斉藤恵子 大森真美 渡辺 裕 丸山 晶 藪内寛次 坂本恭一

コーキン化学 株式会社 株式会社 黒研究所 明治製菓 株式会社 日和産業 株式会社・現愛媛県畜産試験場

消費者の安全安心志向の高まりに伴い、ブロイラーにおいても、抗菌性物質等の残留の心配がない飼料(抗菌性物質等を含まない飼料(いわゆる無薬飼料))での飼育が増加傾向にある。

そこで、ブロイラーの飼育飼料(全期間無薬飼料)に枯草菌2種(A、B)乳酸菌、酪酸菌を添加給与し、排泄ふん便及び腸内細菌叢について検討した。排泄ふんでは、各添加区は対照区に対して、クロストリジウム菌数が1~3週齢まで低く推移した。盲腸内容物では、枯草菌A、B区のクロストリジウム菌数が7週齢で検出されなかったことから、抑制効果があるものと考えられた。また、盲腸便中のビフィズス菌数は枯草菌B区と乳酸菌区が3週齢及び7週齢において有意に多い結果となった。乳酸球菌数は、枯草菌A区で3週齢に有意に少ない結果となったが、7週齢では有意に多くなった。排泄ふん便及び盲腸内容物の検査の結果から、生菌剤の添加により、腸内細菌叢の改善が認められた。

きじに対する醤油粕給与試験

寺井智子 坂本恭一 現愛媛県畜産試験場

産業廃棄物として処理されている醤油粕をきじ肥育用飼料に添加することで、きじ育成費の低減が可能かどうか検討した。また、併せてきじ肉の付加価値効果についても検討した。

65日齢以降のきじに、乾燥醤油粕を5、または10%添加給与したところ、飼料摂取量は、醤油粕添加区がやや多かったものの、増体重に大きな差はみられなかった。醤油粕給与区では、加圧保水力がむね肉でやや低く、加圧進展率はむね肉、もも肉ともにやや高い傾向を示したことから、ジューシーで軟らかい肉となることが示唆された。醤油粕給与区では、血清中の総コレステロール値及びトリグリセライド値がやや高くなる傾向を示した。また、もも肉中の遊離アミノ酸組成には大きな差がみられなかった。

以上のことから、脱塩処理を行わない醤油粕を10%添加給与しても飼料摂取量、増体重及び生体に悪影響を及ぼさないことが判明した。地域未利用資源を利用した生産コストの低減は可能と思われるが、生産されるきじ肉の高付加価値化は望めない。

モウソウ竹ペレットの飼料適性

續宗 周 坂本 恭一

愛媛県立農業大学校(現 株式会社 森孵卵場)、現愛媛県畜産試験場

愛媛県では、管理が行き届かない竹の放棄林が年々増大しており、林業地や山林、農地へ侵入するなど景観及び生態環境の悪化が社会問題になっている。そこで、竹材の採卵鶏用飼料としての可能性を探るため、飼料に竹ペレットを3または5%混合し、鶏の採食性や産卵性及び鶏の生理反応について調査した。

竹ペレットの大きさは、φ4mmが適当であった。竹ペレットを3または5%添加給与しても、体重、産卵率、卵重および飼料摂取量に差がみられなかった。また、血中トリグリセライド値および総コレステロール値が低いことから、低コレステロール卵生産の可能性が示唆された。さらに排泄鶏糞の水分が低いことから、鶏糞処理の軽減が示唆された。

以上のことから、モウソウ竹は採卵鶏用飼料として十分利用可能であり、5%まで添加可能と思われる。

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