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伊方原発に関する知事メッセージ(平成25年)
日付 | 内容 |
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平成25年10月25日 | 訪問対話活動の結果報告について |
平成25年7月17日 | 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の試験結果報告について |
平成25年7月11日 | 全国知事会における「原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言」について |
平成25年7月9日 | 原子力規制委員会への新規制基準に基づく伊方3号機の原子炉設置変更許可申請書の提出及び安全協定に基づく事前協議書の提出について |
平成25年6月28日 | 伊方3号機燃料への異物付着及びその通報遅れに対する再発防止策の報告について |
平成25年6月6日 | 伊方3号機燃料への異物付着及びその通報遅れについて |
平成25年5月27日 | 原子力情報アプリの公開について |
平成25年3月14日 | 伊方3号機の追加安全対策及び原子炉からの燃料取り出しについて |
平成25年10月25日 訪問対話活動の結果報告について
10月25日、四国電力から、今年8月から9月にかけて実施した訪問対話活動の結果報告がありましたので、お知らせします。
私の要請により20km圏内に拡大した訪問対話活動は、これまでも3回実施し、そのたびに活動の結果報告を受けておりますが、今回の結果では、前回(平成24年)とほぼ同数の約28,000戸を訪問(在宅率52%)し、本年7月8日に施行された新規制基準に基づく安全対策の内容等を説明したところ、63%の方が一定の理解を示された一方で、5%の方は厳しい意見を示されたとのことでした。
県からは、四国電力に対し、今後とも、訪問対話活動を継続的に実施し、安全対策の取り組みなどについて丁寧な説明を積み重ね、県民の安心醸成に努めるよう要請いたしましたので、ご報告申し上げます。
平成25年10月25日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年7月17日 伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の試験結果報告について
平成23年8月12日に四国電力に対し要請していた伊方1号機の原子炉容器の監視試験片の試験結果について、昨日、四国電力から報告がありましたので、お知らせします。
この試験は、原子炉容器が運転に伴って中性子を浴びることによりもろくなっていき、脆性遷移温度(もろくなる温度)が上昇していくという現象が見られていることから、原子炉容器よりも中性子量の多い原子炉容器の内側に監視試験片を入れておき、将来の原子炉容器の状態を、試験片に先行して出現させる試験を行い、脆化の進行状況を確認するものです。
本件は、伊方原発1号機と同型の加圧水型で、運転開始が2年ほど早い九州電力玄海原発1号機において、平成21年4月に取り出した4回目の監視試験片の試験の結果、脆性遷移温度が急上昇していることが確認されたことから、伊方1号機ではこれまで3回の試験結果で異常な値は確認されておらず、専門家からも伊方1号機は玄海1号機と比べて、原子炉容器の材料中不純物が少ないため問題ないとの意見があったものの、県民の皆さんの不安を払拭するために、平成28年頃の取り出し予定を、前倒しし試験を実施するよう要請していたものです。
四国電力によると、今回の伊方1号機の試験結果は45℃であり予測値52℃の範囲内であったこと、また、玄海1号機の98℃と比較して低く、急上昇も認められず、その他の評価結果についても特に異常がないため、脆化度合いに問題ないことが確認されたとしております。
なお、玄海1号機についても国による特別審査の結果、安全性には問題がないことが確認されています。
県としましては、今回の試験結果を、伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、詳細を確認するとともに、今後も安全安心の観点から気付いた点があれば、四国電力に要請してまいります。
また今回、上記の報告と併せて、伊方原発から半径20キロメートル圏内の全戸に対する直接訪問活動を8月27日から実施し、国の新しい規制基準に基づく安全審査の申請内容等について説明したいとの報告がありました。この活動は福島第一原発事故後4回目を迎えるとのことであり、住民との直接対話は、伊方原発の安全確保に向けた取り組みを丁寧に伝えることができるとともに、地域の皆さんのさまざまな意見を吸い上げる良い機会でもありますので、先般のような異常通報遅れを二度と起こさないとの覚悟を社員全員で共有し、その再発防止対策についても住民の皆さんにお伝えするよう要請したところです。
平成25年7月17日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年7月11日 全国知事会における「原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言」について
7月8日、9日に本県で開催された全国知事会議において、「原子力発電所の安全対策及び防災対策に対する提言」に関し活発な議論がなされました。
私からは、原子力発電所の再起動の判断について、国としてエネルギー政策をどうするのか、その中で、原子力政策をどうするのか、これらをつかさどる国が責任を持って方針を決定したうえで、地元へ同意を求めるべきであり、そうでなければ、最終責任の所在が不明確となってしまう旨を申し上げました。
この発言については、各都道府県知事の賛同も得られ、全国知事会の総意として、次のとおり「国の責任のもとに判断し」という文言が挿入され、
『原子力発電所の再稼働の判断にあたっては、安全性やエネルギー政策上の必要性等について、丁寧に国民に説明するとともに、個別の発電所の取扱いについて、議論を尽くした上で、国の責任のもとに判断し、前面に立って公開の場で十分な説明を行い、地域住民及び関係地方公共団体の理解を得ること。』
との提言が取りまとめられたところです。
このような文言が明記され、全国知事会として、再起動について国が責任を持って判断することを明確に求める内容となったことは、大変意義深いことであったと思っており、今後とも、全国知事会と一体となって、国に対し責任ある対応を求めてまいりたいと考えております。
折しも、7月8日には、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原子力発電所の新規制基準が施行され、四国電力(株)の伊方3号機をはじめ、全国4電力10基の原発について、原子力規制委員会へ新基準に基づく原子炉設置変更許可申請がなされ、安全性に関する審査が開始されました。
伊方3号機の再起動については、かねてから申し上げているとおり、安全性はもちろんエネルギー政策上の必要性も含めた国の考え方、四国電力の取り組み姿勢、地元の理解の3条件により総合的に判断することとしており、国の明確な方針が示されていない現段階では、白紙であることに変わりはありません。
平成25年7月11日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年7月9日 原子力規制委員会への新規制基準に基づく伊方3号機の原子炉設置変更許可申請書の提出及び安全協定に基づく事前協議書の提出について
昨日、四国電力から、原子力規制委員会への新規制基準に基づく伊方3号機の原子炉設置変更許可申請の提出と同時に、本県に対し、今回の申請に係る施設や機能の変更について、安全協定に基づく事前協議書の提出がありましたので、ご報告させていただきます。
今回の申請につきましては、福島第一原発事故の教訓を踏まえて改正された関係法令に基づき、新規制基準に適合しているかどうかの審査を原子力規制委員会に求め、安全性を確認していくものであることから、必要な手続きであると考えております。
今後、同委員会には、透明性や公正さを十分確保したうえで、新規制基準に基づき厳格かつ的確に、一つ一つしっかりと審査を実施していただくとともに、専門的な部分も多いことから、国民への丁寧な説明という点にも配慮をいただきたいと思っております。
また、本年3月14日に四国電力から新規制基準を先取りして実施するとの報告を受けた、伊方3号機に係る非常用直流電源の増強、原子炉等の冷却水源多様化及び安全上重要なポンプの信頼性向上など6項目の追加安全対策について、完了したとの報告が併せてありました。これらの対策につきましても、今回の申請に盛り込まれており、国において審査されていくものと考えております。
県としましては、今後の国の審査状況をしっかり見極めながら、国の審査と並行して、伊方原発環境安全管理委員会において、四国電力に今回の申請内容を説明させるとともに、国に対しても規制基準の内容や審査方針について説明を求めるなど、事前協議の内容を詳しく確認してまいります。
平成25年7月9日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年6月28日 伊方3号機燃料への異物付着及びその通報遅れに対する再発防止策の報告について
昨日、伊方3号機燃料への異物付着及びその通報遅れに対する再発防止策について、四国電力から報告がありましたので、ご報告させていただきます。
伊方原発での正常状態以外の全ての事態を四国電力が県及び伊方町に速やかに通報連絡し、県がランク分けして公表するという「愛媛方式」は、県民と四国電力との信頼関係の根幹をなすものであり、東日本大震災以降、その徹底を再三要請してきたにもかかわらず、今回こうした事態が起こったことは、今まで築き上げてきた信頼関係を根底から崩壊させかねないもので、誠に遺憾であり、私自身どうしてこのようなことが起きたのかという思いが強くありました。
このため、直ちに厳重注意するとともに、今回の事態の原因を詳細に調査解明し、徹底した再発防止策を講じるよう、四国電力に強く要請していたところですが、昨日、千葉社長から、県民の皆様へのお詫び、そして原因と対策について報告を受けました。
四国電力では、通報遅れの原因として、燃料に損傷はないという技術的な側面のみで判断し、異物付着が正常状態以外の事態との認識がなされなかったこと、また、異物付着の事象について、現場から管理職に報告されていたにもかかわらず、正常状態以外の事態との認識に至らなかったことから、「異常通報連絡制度に対する認識不足」、「管理職等によるチェック機能の不全」であるとしています。
これに対する今後の対策は、
- 伊方原発現地に新たに通報連絡統括監として専任の所長代理を増員のうえ配置し、通報に関する体制の強化及び責任の所在の明確化を図る
- 発電所と原子力本部、本店が参加するテレビ会議「通報連絡情報共有会議」を新設し、事象の有無にかかわらず毎日開催して、発電所でのさまざまな事象に対するチェック機能を強化する
としており、週明けの7月1日からこの新体制をスタートさせるとするものです。
また、これに加えて、
- 通報連絡に携わる技術系課長以上の所員への教育・訓練
- 担当課長から通報連絡責任者への連絡経路を異常時措置連絡要領に明確化
- 研修やセミナー等により、異常通報制度による情報公開意識の更なる向上
を行うことにより、社を挙げて徹底した意識改革に取り組むとしています。
これらの対策は、四国電力が今回の事態の深い反省と詳細な分析のうえで、高いレベルでの責任体制を明確にするとともに、複数の機関によるチェック体制を強化するなど、再発防止に向けた実効性のある一定の体制が整えられたものと評価しております。
しかし、信頼回復を確実なものとするためには、本対策が、協力会社も含め発電所で働く全ての関係者に徹底され、継続して意識向上が図られることが極めて重要であり、「愛媛方式」が信頼関係をつくり上げていくための基礎であるという認識のもと、引き続き、不断の取り組みを行うよう強く要請いたしました。
また、原子炉内への異物の混入についても、あってはならないことであり、通常は考えられないことから、徹底した原因究明と再発防止を求めていたところです。
四国電力では、異物混入の原因として、一次冷却水系統の弁点検等の際に、最終確認用点検工具の保護等のために使用したポリエチレンテープが剥落し、系統内に残留したためとしています。原子炉内など一次冷却水が流れる系統は、通常、運転時には、閉鎖系なので、異物混入の恐れはありませんが、点検時には、配管や弁等が開放されるため、その時に異物が混入した場合には、運転に伴って、他の箇所に流される可能性があり、今回、系統内に残留したテープが、水流により移動して燃料に付着したと推定しています。
この対策として、
- 点検工具等へのテープの原則使用禁止
- やむを得ずテープを使用する場合の点検前後の確認
- 異物混入防止の重要性に関する教育の徹底
などを実施し、一次冷却水系統への異物混入の再発を防止するとしています。
また、今回異物が付着した燃料は、異物を取り除き、安全性が確認されるまで使用しないとの報告を受けましたので、了解しましたが、こちらについても対策の徹底を求めました。
なお、今回の事態について四国電力では、上記のような対策に先立ち、発覚後直ちに、千葉社長が伊方発電所において直接発電所所員に訓示するとともに、関係者を処分するなど、重大な問題として強く認識され、調査等に当たってきたものと受け止めていますが、四国電力には、今回の報告で終わりではなく、これをスタートとして、二度と通報遅れや異物混入という事態を引き起こすことのないよう、徹底した取り組みを求めました。今後の同社の対応をしっかり確認してまいります。
平成25年6月28日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年6月6日 伊方3号機燃料への異物付着及びその通報遅れについて
伊方3号機の異常通報連絡の遅れについて、ご報告させていただきます。
昨日、四国電力から報告のあった伊方3号機の燃料集合体にテープの付着が発見されたことについては、一次冷却水循環系統への異物混入という安全管理上異常な事態であり、付着物の性状や設備への影響の有無等にかかわらず、直ちに安全協定に基づく異常通報連絡があるべきところ、4月12日の検査での発見から50日余り遅れての報告であり、原子力安全対策推進監から、厳重注意させるとともに、直ちに公表するよう指示いたしました。
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故を踏まえ、正常状態以外の全ての事態を事業者から県及び伊方町に速やかに報告し、県が判断し公表するという、愛媛方式の報告体制の更なる徹底を求めるとともに、報告の遅れは信頼に亀裂を生じさせ、隠ぺいは信頼を粉々にするという認識を現場に徹底するよう再三要請していたところであり、このような中で、今回の事案の発生は残念極まりないことと考えております。
今回の報告遅れに至った詳細な経緯と原因に加え、今後二度とこうした事態が生じないよう、伊方発電所、原子力本部、本社の緊密な連携のもと、全社を挙げた実効ある対策を速やかに報告し、愛媛方式の原点を再徹底すること、また、今回の異物混入に至った原因とその再発防止対策についても速やかに報告することを強く要請いたしましたので、ご報告申し上げます。
平成25年6月6日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年5月27日 原子力情報アプリの公開について
県では、これまで愛媛県原子力情報ホームページやiモードで、伊方原発周辺及び県内広域の環境放射線の測定データ、伊方原発の異常通報連絡等について、情報提供してきたところですが、今回、より手軽にどこでも情報を入手できるようにするため、全国の自治体で初めての試みとして、スマートフォン用アプリを製作し、5月24日から公開を始めましたので、お知らせします。
このアプリの主な機能としては、
(1)県内46基のモニタリングポストの環境放射線データの表示(一部モニタリングポストでは風向・風速データも表示)
(2)スマートフォン内蔵のGPS機能を活用し、伊方発電所からの距離・方位の表示と利用者の最寄りのモニタリングポストの表示
(3)原子力関係の県からの報道発表や異常通報連絡等の表示
となっており、今までの公開内容に、GPS機能を活用した伊方発電所からの距離・方位の取得機能や、最寄りのモニタリングポストの検索機能などを付加しています。
当アプリは、スマートフォン用アプリ配信サイト(AppStore及びGoogle Play)を通じて、無料で取得することができ、iPhone(iOS4.1以上)及びAndroid(Android2.2以上)に対応していますので、ぜひ、ご利用ください。
配信サイトにおいて「愛媛県 原子力」で検索
今後とも、県内の環境放射線の測定データや伊方発電所に関わる情報について、より手軽に情報を確認できる環境を整え、県民の皆様の安全・安心の向上に努めてまいります。
平成25年5月27日
愛媛県知事 中村 時広
平成25年3月14日 伊方3号機の追加安全対策及び原子炉からの燃料取り出しについて
3月14日、四国電力から、伊方3号機の追加安全対策とその工事に伴う原子炉からの燃料取り出しについて報告がありましたので、ご報告します。
原子力規制委員会では、今年7月までに原発の新安全基準を策定するため、基準骨子案を取りまとめ、パブリックコメントを行ったところですが、四国電力では骨子案を先取りし、伊方3号機に係る
(1)原子炉自動停止時に制御棒が挿入できなかった場合でも、原子炉を除熱し、その影響を緩和するため、補助給水ポンプを自動起動させる装置などを設置
(2)原子炉へ注水する充てんポンプや格納容器に注水する格納容器スプレイポンプについて、事故時にポンプを冷却する水が喪失した場合でも、ポンプ出口から冷却水を確保する配管を設置
(3)原子炉及び格納容器を冷却する水に、補助給水タンクも使用できるように配管を設置
(4)格納容器を冷却する空調用熱交換機の冷却水に海水が使用できるように配管を設置
(5)仮に格納容器が破損した場合に、破損部からの放射性物質の放出を抑制するため、破損部へ海水を放水できる設備及びそれに給水できるポンプ車を配備
(6)非常時に供給する直流電源を増強
の6つの安全対策を平成25年6月末までに実施するとしています。
このほか、事故によって発生した水素を低減させる水素再結合装置の設置については、平成26年度末の完了予定を前倒しして平成25年度中に実施するとしています。
国の新安全基準は、まだ具体的な内容が示されていませんが、四国電力に対しては、引き続き、追加的な安全対策を求めてまいります。
平成25年3月14日
愛媛県知事 中村 時広