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令和8年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ
日時:令和8年4月1日(水曜日)11時10分
場所:県庁新第二別館11階大会議室
ご紹介いただきました愛媛県知事の中村と申します。今年も大勢の皆さんが愛媛県庁の扉をたたいてくれました。大変競争も激しかったと思いますけれども、それぞれがポテンシャルを持って合格をし、一緒に仲間として、愛媛県のために、県民のために仕事ができますことを心から歓迎させていただきたいと思います。
通常は、入庁式は、正庁の方で行いますけれども、この場所、実はまだオープン前であります。ただ、大きな転換期を迎えようとしている昨今の情勢を鑑みて、事前にここを何とか皆さんを迎える場所に使えないかということで、あえてこの場所を選定させていただきました。この建物は、建て替えられて、5月からスタートいたしますけれども、本当に新しい愛媛県庁を象徴するような建物となります。1階、2階は完全フリースペースの官民共創拠点「E:N BASE(エン ベース)」と名付けましたけれども、ここで何が起こるか、これから模索をしながら進めていくことになります。かつては、政策立案というものについては、東京の各省庁が行い、愛媛県庁も含めて地方自治体というのは、メニューを選択するというのが実態でありました。
しかしながら、国の財政事情、そして個性的なまちづくりの推進、国の立場・地方の立場は違えども、目指すべきは、地方分権、地方が自立する、すなわち、自らが政策立案を行っていく行政体へ成長しなければならないということで、十数年歩みを続けてまいりました。第一段階では、県庁の中の部局の中で立案をする。第二段階は、部局を横断して、複眼的な視点で政策を立案する。そして、これから始まる第三段階は、企画段階から民間の知恵を借りながら、あらゆる分野の政策立案を行っていく。そのベースメントになるのが、この場所でございます。そして働き方も大きく変わってまいります。フリースペース、あるいは働きやすい環境の整備も愛媛県の大きな課題でありますから、それを象徴するような場所として、あえて入庁式をこの場所にさせていただきました。
皆さんもご案内のとおり、今、すさまじい変化というのが、内外で起こっています。特に国際情勢は混沌としており、先行きの見通しは全く立っていません。私は1982年に、ちょうど社会に出たんですが、皆さんと違って、民間会社に勤めておりました。直前にエジプトのサダト大統領が暗殺をされ、その直後にイスラエルがレバノンに侵攻し、第5次中東戦争が始まったときに、社会に一歩踏み出しました。考えてみますと同じようなことが起こっています。その後、本当に、経済情勢が目まぐるしく変化をいたしました。原油価格が1バレル34ドルから一気に100ドルまで行く、そしてそのあと急落をして、10ドル台まで下落した、そんなすさまじい変化の中に身をおきながら、仕事に向き合ったことを思い出します。これからどうなっていくかは、本当に予想がつきません。いわば、地方にいても、こうした国際情勢の変化というものも、あらゆる仕事に影響を与えてくるでしょう。
県庁の仕事は多岐にわたっています。県民の命を守る防災減災対策、高齢化社会へ対応した福祉の政策、次代を担う人材を育成する教育分野、地域が元気になるような活性化を担う経済政策、さらには観光振興策、そして環境問題への対応。こうしたあらゆる仕事を行っているのが県庁になります。しかしながら我々は公人として、県民の皆さんからお預かりしている税金を使って、どう未来を切り開いていくかを担っていくメンバーであります。この公人という意識をしっかり持って、そしてまた、不安も期待もあるでしょうが、今日のフレッシュな初心を忘れることなく、ぜひ大いに県民の皆さんに役に立つような人材へと成長をしていただきたいと思います。
これから研修も始まっていくと思いますけれども、こうした変化に向き合うときに大事なことは基本であります。スポーツでも何でも基本をおろそかにした人は成長が見込めません。当初の地道な基礎トレーニング、これをしっかりこなした人間が、さらにその先で能力を開花していきます。仕事も同じであります。どんな仕事であれ、3年から5年の、この基礎トレーニング期間に、いろいろな仕事があると思いますけれども、その仕事をどう消化するか、どう見つめるかによって仕事というのは面白くもなり、やらされているような義務感的な気持ちにもなってしまいます。しかし、物の見方というのは、右から見るのと左から見るのとでは、姿が全く変わってきます。昨日までやらされているなと思っていた仕事も全く真逆から見てみると、これをこういうふうにしたら改善できるな、これをこういうふうに変えてみたら面白い結果がもたらされるのではないか、そんな視点を持つだけで、昨日まで義務感を感じていた仕事が、やってみたい仕事にどんどん変わってきます。その工夫を常に忘れることなく、皆さん自身が仕事というものに前向きな姿勢が持てるような視点を常に持ってください。
どこに行っても、基本的な心構えというのが掲示されていると思います。かつてのメニュー選択型行政ではありえませんでした。でも、政策立案型の行政体に脱皮するには、基本的な意識が大事であります。なぜできないかではなく、どうすればできるかという視点を常に持つこと、自治体に倒産は有り得ない、そうではありません。財政運営を怠れば、自治体の倒産がありえる時代になりました。自治体に倒産はないからあるという時代。役所と言えば、お上意識、こんなものはもう過去のものであります。やってあげるという姿勢は全て取り払って、県民の皆さんと一緒にやっていくという姿勢が必要であります。
また、失敗はだれしもあることだと思います。その失敗は恥じることではありません。失敗は成長するチャンスであります。むしろ深刻なのは失敗を隠すこと。隠したら、今日1の力で片付けられていたものが、明日に延ばせば2の力が必要になります。一週間たてば10の力を注ぎ込まなければ、その失敗を取り戻すことができなくなります。早期に対応すること。そして、対応して、反省をし、改善をすれば、成長に結びつくもの、失敗を隠すのではなく、失敗を積極的に公開すること。これも大事な視点であります。
さらには、情報化の進展はとどまることを知りません。5Gの登場によって、AIというものがフィールドに到来・誕生しました。今は生成AIの活用は当たり前のようになってきて、すでに生成AIですら、次のステップから見れば過去の技術、すでに次のステップである「フィジカルAI」の時代に入ってまいりました。この進化するAIを振り回されることなく、どれだけ県民のために活用できるかのスキルも我々に必要になってきています。情報技術に振り回されるのではなく、情報技術を活用するスキルを身につける、これも大事な視点でございます。
こうしたさまざまな、問題に対峙(たいじ)するためには、今申し上げたような基本的なスタンスというのがすごく重要になってきますので、ぜひ、心構えとして受け止めていただきたいと思います。
そして最後に、私もちょうど40年前に社会に出たときに言われたことがありました。社会人の基本は何か、それはあいさつができるかどうかに尽きる。そのあいさつの拡大によって、職場環境もがらりと変わる、自分の気持ちも前向きになれる。一見すると当たり前のことで、そんなこと分かっていると思うかもしれない。でも意外とできないんです。しっかりとしたあいさつというのを、ぜひ心がけていただきたいと思います。
いずれにしましても、我々の目標は、県民のため、愛媛県のために、結果を出すこと、皆さんとチームを組んでやる、そして、あらゆる課題にチャレンジをしていく、そして生きがいのある、やりがいのある、県庁生活を送っていただきたいと思いますので、仲間として一緒に頑張っていきましょう。皆さんの1日も早い活躍を心から期待をさせていただきまして、入庁に当たってのごあいさつとさせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
