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愛媛甘とろ豚生産農家「志波養豚」の紹介
自然への感謝を心に刻んだ飼育
生産者としての誇りと責任
志波養豚で愛媛甘とろ豚を育てているのは志波豊さんと冨美子さん夫妻。結婚30年を越える、「夫唱婦随」という言葉がぴったりの夫妻です。
「家族経営だからずっと二人でやってきました。生き物の世話をしているわけですから、今日はちょっと休むというわけにはいきません。長年やっていると、しんどいなと思うことはありましたよ。今は、美味しいと言って豚を買ってくれる人がいるというのと、息子がこの仕事を継いでくれるというのが支えになっています」
冨美子さんは穏やかな声で養豚業に携わる心情を話してくれました。
西宮市のデパートで開催された販促イベントに冨美子さんが参加した時のこと。愛媛甘とろ豚を試食したお客さんが「美味しい!このお肉」と目を丸くして声を上げたそうです。
その日、何度も何度も「美味しい!」の声を聞き、買って帰るお客さんの姿を目にしたと言います。
「美味しいと言ってもらってうれしかったですよ」
冨美子さんは“生産者冥利”を味わったのです。
志波養豚が愛媛甘とろ豚の生産を始めたのは平成23年11月。それまでは他の銘柄豚を育てていました。
「この先も養豚業を続けていくことを考え、ぜひ生産をさせてほしい、とお願いしました」と豊さん。
経営的なメリットに加え、愛媛甘とろ豚の美味しさが豊さんの背中を押したのです。
「忘年会で、愛媛甘とろ豚を含む3銘柄の豚をしゃぶしゃぶで食べ比べしたことがあったのですが、愛媛甘とろ豚の美味しさは他の2銘柄とは明らかに違っていました。脂の口どけと甘みは最高ですよ」
手間もコストも惜しまない農場管理
志波さんをはじめ愛媛甘とろ豚を生産する農家は、「飼養衛生管理基準」等を順守することはもちろん、協議会が定めた「愛媛甘とろ豚飼養管理マニュアル」に基づいて生産・出荷に取り組んでいます。
さらに各農家それぞれが環境や設備、これまでに培った技術・ノウハウを活かし、安心して食べてもらえる健康で美味しい豚を育てるための工夫や方法を取り入れています。
「養豚業を営む上で最も心掛けているのは環境対策です」
そう話す豊さんは汚水処理の浄化槽を環境対策の一つとして導入しています。また堆肥処理は堆肥センターを利用し、1週間以上経過した堆肥が農場内に残らないようにしています。
手間とコストはかかりますが、豚にとっていい農場環境を守り、自然環境に負荷をかけない対策として取り入れているそうです。
豚舎の清掃から糞尿や汚水処理まで日常的な衛生管理のひとつひとつを徹底して行い、豚の病気を予防し、健康で品質のいい豚を育てています。
また、近くにある古刹・竜沢寺がある山の上から引いてきた水を飲ませているそうです。
「きれいな水を飲ませているというのも健康な豚を育てる工夫の一つといえるでしょうかね」
36年前、豊さんは24歳の時に母豚生産を行う養豚場を始めました。養豚農家の減少を背景に、平成15年に繁殖から肥育、出荷までを行う一貫経営に切り替えました。
愛媛甘とろ豚の生産を始めて4年、長男の亨一さんが「後継者修業」として仕事を手伝うようになりました。
豊さん・冨美子さん夫妻が大事にしてきた養豚業への思いと培ってきた養豚技術は、亨一さんへと受け継がれていきます。