ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織でさがす > 農林水産部 地方機関 > 林業研究センター > 令和2年度試験研究成果一覧(林業研究センター)

本文

令和2年度試験研究成果一覧(林業研究センター)

ページID:0008527 更新日:2021年10月29日 印刷ページ表示

【令和2年度成果】

研究分野 A:森林管理・経営、B:木質資源加工利用

令和2年度試験研究成果一覧
予算事項名/試験研究課題名 実施年度 研究分野 目的・概要 主な成果 資料
林業試験研究費 種子の検定と発芽試験 S35~ A  優良な種苗の供給を確保するため、スギ、ヒノキ、アカマツの発芽試験等を行う。 発芽率はそれぞれ次のとおりであった。
〇エリートツリーミニチュア採種園
 川内 スギジベレリン処理区 8%
 ヒノキジベレリン処理区 3%
 重信 スギ無処理区 14%
 
園外花粉率低減試験 H29~R3 A  人工林皆伐後の再造林を担う、初期生長に優れたスギやヒノキの苗木“エリートツリー”の普及を進めるため、生産された種子の園外花粉の混入率を調査し、簡易ビニールハウスや簡易防風垣等の低コストな資材や方法で園外花粉率の低減を図る方法を検討する。  川内ミニチュア採種園の平成27年度造成箇所において、令和元年度の夏にジベレリン処理を、冬~春に簡易ビニールハウス及び防風垣設置を行い、交配・結実した球果から種子を採取した。平成25年度造成箇所については、令和2年2月に断幹し、7月にジベレリン処理を行い、12月~1月にかけて簡易ビニールハウスを設置した。
 令和元年度に採種した川内採種園の種子の親子鑑定を行った結果、園外花粉率は施設なし66.3%、簡易ビニールハウス68.8%、簡易防風垣63.3%であった。
 
県産構造材乾燥技術研究 H30~R2 B  柱や梁など構造用製材の人工乾燥において、乾燥日数短縮のため通常よりも高温で乾燥させ、強度低下につながるような内部割れが発生するケースがしばしば生じている。本研究では内部割れの程度と接合部強度の関係を明らかにし、適切な乾燥スケジュールを提示、県産材の信頼性向上を図る。  昨年度採用した推奨スケジュールについて、時間短縮となるようなスケジュールに改良し乾燥処理を実施した。また、材端部にカバーを装着することによる材端部の内部割れ抑制効果を評価した。材端割れ抑制については、明確な効果は見られなかったため、推奨スケジュールによって少しでも内部割れを抑制することが重要である。また、改良した推奨スケジュールによって、乾燥時間を約17日間から約10日間まで短縮することができた。  
林業普及指導事業費(林業躍進プロジェクト推進事業費) 広葉樹林化技術の適地評価基準開発 H28〜R2 A  更新未了地増加の懸念に対応して、皆伐跡地での天然更新の可否要件等を実証し、人工林皆伐前に広葉樹天然更新を予測することを目標とするほか、林床有機物層の搔き起こしによる更新木増加を検証する。  針葉樹人工林を皆伐した後に天然更新している森林内に2m×2mの調査地を複数箇所設置し、広葉樹の発生消長や成長量を調査して、天然更新による広葉樹林化に影響している要因を選定した。また、林床有機物層を取り除く搔き起し作業を行って無処理区と比較したところ、処理後数年間は先駆種を中心に広葉樹の本数が増加するものの、有機物の堆積や広葉樹以外の植物の侵入によって効果は短期間に消滅することを確認した。  
森林計画樹立費 森林資源モニタリング調査 R2~R5 A  スギ・ヒノキ現実林分収穫表の調整、天然更新完了基準の見直しのためスギ・ヒノキ人工林及び皆伐地において現地調査を実施する。  スギ・ヒノキ林分収穫表の修正調査については、今治市、砥部町、宇和島市の10林分において成長量調査を実施した。また、現在使用中の現実林分収穫表データに、平成22~令和元年度分の調査結果(スギ42林分、ヒノキ71林分)を追加し、全体でスギ190林分、ヒノキ235林分のデータからスギ・ヒノキ現実林分収穫表の再調整ための係数、数式を導き出した。
 天然更新完了基準の現地適合性調査については、四国中央市、久万高原町、宇和島市、鬼北町、松野町の15箇所に調査地を設けて調査した。
 
新たな森林管理システム推進事業費 携帯型森林GISの構築及び活用に関する調査 R2~R6 A  近年、航空レーザ計測データの解析により、精密な森林情報の整備が進められている。これらの情報を携帯機器と組み合わせて携帯型森林GISを構築し、森林・林業関係者による活用を図ることにより、新たな森林管理システムの推進に資する。  携帯型森林GISの仕様を策定するため、機器、アプリケーション、データの選定等を行った。また、行政機関が発注した携帯型森林GISの開発を支援するため、試作機のテスト及び助言を行った。システムの完成後、森林・林業関係者の感想を把握するため、説明会においてアンケート調査を実施した。その他、航空レーザ計測で作成された点群データの利用を促進するため、オープンソースソフトウェアの使用マニュアルを作成した。  
未来型農林水産研究プロジェクト推進事業費 花粉を出さないスギ新品種高速開発研究 R2~R4 A  スギ花粉症対策のため、無花粉遺伝子を持つ県産精英樹「上浮穴16号」を育種素材として使用し、さらにDNA分析による無花粉個体識別を取り入れ、従来の半分以下の期間で可能な高速育種を実現し、優良無花粉スギ品種を開発する。  無花粉遺伝子をヘテロで持つ愛媛県精英樹30年生母樹に対し、7月初旬に雄花の開花促進としてジベレリン処理を行い、2月に花粉を採取した。種子親である無花粉スギに対し、7月下旬に雌花の開花促進としてジベレリン処理を行い、2~3月に閉鎖ガラス温室において、二重交配袋を用いて人工交配を行った。  
CLT建築物建設促進事業費 CLT普及促進情報整備事業(CLT建築物環境評価検証事業) H30~R2 B  県産CLTを戦略的に売り込んでいくためには、他産地に先駆けCLTをアピールできる情報が必要である。CLT建築物の室内環境について、温室度変化、カビの生長、空気質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、VOCなど)を測定し、CLTの優位性を実証する情報を収集、販売促進活動に活用する。  CLT、RC及びRCを木質化した空間を用意し、それぞれの測定結果を比較したところ、最も温湿度変化が小さいのは、CLT造の空間であった。次いで、RC造を木質化した空間で小さかった。また、カビ菌糸の生長も同様の傾向が確認された。これらは、木材の吸放湿作用等による効果であることを示しており、CLTをはじめとした木質空間においては、快適な湿度環境が保たれることを示すデータを収集することができた。  
造林費 スギエリートツリーによる低コスト造林モデル林実証試験 H26~R5 A  県有林において、エリートツリー大苗を用いて実用林分を造成し、初期成長を調査、下刈省力化に対する効果を検証する。  県下4箇所の試験地のうち、2箇所がエリートツリーの植栽地である。植栽後4~6成長期を経過しているが、各試験地とも第1成長期の樹高および樹高成長量については、エリートツリーと愛媛育種混合苗の間に差は出なかった。第1成長期以降の樹高はエリートツリーが有意に高くなり、初期成長おける有利性が確認できた。  
鳥獣害防止対策事業費 ヒノキ人工林のニホンジカ被害の防除に関する調査研究 H30~R2 A  主にヒノキ人工林を対象に、苗木や成木のシカ食害防除資材による食害防除効果、苗木の主軸湾曲など資材による苗木成長における影響について調査する。  ニホンジカによる食害の防除資材の効果や、資材による変形を生じた苗木の修正等について調査を実施した。
 食害防除資材による防除効果は、苗木、成木ともに認められた。苗木の主軸の変形(湾曲、資材外への突出)については、調査地によりばらつきはあるものの、約30%程度の苗木に湾曲が見られたが、樹高成長においては、資材による差は確認されなかった。ただ、尾根付近に設けた調査地において、筒状防護資材内の苗木の約20%が枯死する事例が確認された。
 
広域連携型農林水産研究開発事業費 気候変動に適応した花粉発生源対策スギの作出技術開発 H28~R2 A  地球温暖化に対応して、高温や乾燥条件に耐性があり、成長に優れた花粉発生源対策スギ品種を開発するため、国研を中核に大学、県の共同研究として実施する。当県は現地実証を分担する。  平成30年2月、松山市食場町の試験地に花粉症対策品種の精英樹等で構成されたスギ(85系統、861本)を植栽し、そのうち周辺部を除く706本を調査対象木とした。3成長期を経過した令和2年12月の調査では、平均樹高は182cm(年間成長量49.1cm)、平均根元径は29mm(年間成長量9.5mm)であった。また、1年間の枯死率は0.4%、累計の枯死率は4.4%であった。その他、試験地内の下刈り、植栽列標示杭の設置、試験地案内看板の設置を行った。  
スギ雄花着花特性検査技術高度化試験 H29~R6 A  幼木へのジベレリン処理による雄花着花量から、成木の自然状態での雄花着花量を推定できる手法を確立し、これにより現在20年以上を要している少花粉スギの育種期間を大幅に短縮する技術を開発する。
 また、既存のヒノキミニチュア採種園の環境と種子生産量の関係を調査し、管理マニュアルを作成する。
 16年生のスギ県精英樹6系統に対してジベレリン処理を3段階の濃度で行った。30ppmで100ppmと同じ着花指数を示した。4、5年生と30年生のスギさし木7系統に対してジベレリン処理を行ったところ、4年生よりも5年生でより成木と近い着花指数を示した。  
人工乾燥条件及び強度性能の関係に係る実態調査 R2 B  スギ及びヒノキ、カラマツ製材について、過度な人工乾燥により強度性能の低下が懸念されていることから、異なる乾燥スケジュールで乾燥した製材の曲げ及びせん断試験を実施し、強度低下と乾燥条件の関係を明らかにする。  スギ正角材について、推奨スケジュールまたは短期スケジュールで乾燥し、県内製材所において乾燥させた材と併せて、それぞれのヤング係数、曲げ強度、せん断強度、内部割れについて評価を行った。推奨スケジュール以外で処理した材は曲げ強度やせん断強度が低下するものが見られ、曲げ試験においては、内部割れを起因としたせん断破壊が生じる確率が高くなった。内部割れについては、割れ総長さが一定以上になると、その増加に従ってせん断強度が低下するものが多く見られた。  
科研費
基盤C
人工知能を用いた樹木内部欠陥の非破壊診断装置の製作 R2~R4 B  緑化樹や木製構造物の腐朽等による内部欠陥の状態を、共振周波数のバラつきから判定する装置が開発されているが、簡易な3段階の判定(健全、要経過観察、要精密検査)しかできない。そこで、AIを用いた振動特性(スペクトログラム)の画像解析により、腐朽の程度、空洞の有無、大きさ、位置までも判定できるよう改良する。  スギのφ100mmの丸棒に内部欠損として4種類の貫通空洞を加工した試験体を各20体作成し、振動特性を解析した。その結果、空洞の大きさに対応した振動特性の特徴があることがわり、大きな空洞では70%以上の確率で検知できた。今後はさらに学習データを増やし、AIによる正答率の向上をはかるとともに、より明確な空洞状況を解析方法を検討する必要がある。  

AIが質問にお答えします<外部リンク>