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令和元年度試験研究成果一覧(林業研究センター)
予算事項名 |
試験研究課題名 |
実施年度 |
研究 分野 |
目的・概要 |
主な成果 |
資料 |
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林業試験研究費 |
種子の検定と発芽試験 |
S35~ |
A |
優良な種苗の供給を確保するため、スギ、ヒノキ、アカマツの発芽試験等を行う。 |
発芽率はそれぞれ次のとおりであった。 〇エリートツリーミニチュア採種園 川内
内子
〇普通採種園 新居浜
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林業試験研究費 |
園外花粉率低減試験 |
H29~R3 |
A |
人工林皆伐後の再造林を担う、初期生長に優れたスギやヒノキの苗木“エリートツリー”の普及を進めるため、生産された種子の園外花粉の混入率を調査し、簡易ビニールハウスや簡易防風垣等の低コストな資材や方法で園外花粉率の低減を図る方法を検討する。 |
川内ミニチュア採種園の平成26年度造成箇所において、平成30年度の夏にジベレリン処理を、冬~春に簡易ビニールハウス及び防風垣設置を行い、交配・結実した球果から種子を採取した。平成27年度造成箇所については、平成31年2月に断幹し、7月にジベレリン処理を行い、12~1月にかけて簡易ビニールハウス及び防風垣を設置した。また、平成25年度及び平成28年度造成の内子ミニチュア採種園について、令和2年2月に断幹と剪定を行った。 平成30年度に採種した川内採種園の種子の親子鑑定を行った結果、園外花粉率は施設なし43%、簡易ビニールハウス34%、簡易防風垣36%であった。 |
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林業試験研究費 |
県産構造材乾燥技術研究 |
H30~R2 |
B |
柱や梁など構造用製材の人工乾燥において、乾燥日数短縮のため通常よりも高温で乾燥させ、強度低下につながるような内部割れが発生するケースがしばしば生じている。本研究では内部割れの程度と接合部強度の関係を明らかにし、適切な乾燥スケジュールを提示、県産材の信頼性向上を図る。 |
高温かつ短期の乾燥スケジュールで乾燥した材は、推奨スケジュールで乾燥した材に比べて、材端部に内部割れが多く発生した。さらに、平角の短辺にスリットを施すことによって、推奨スケジュールで発生する表面割れの抑制を確認した。 内部割れがある木材を接合部に使用した場合の、接合部強度への影響を検証するため、せん断試験を実施したところ、顕著な傾向は見られなかったが、一部に内部割れが影響したと思われる破壊が見られた。 |
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林業普及指導事業費(林業躍進プロジェクト推進事業費) |
広葉樹林化技術の適地評価基準開発 |
H28~R2 |
A |
更新未了地増加の懸念に対応して、皆伐跡地での天然更新の可否要件等を実証し、人工林皆伐前に広葉樹天然更新を予測することを目標とするほか、林床有機物層の搔き起こしによる更新木増加を検証する。 |
喜多郡内子町の周囲に広葉樹種子源がないスギ人工林(標高160m)を皆伐後に放置した林分で、出現する個体(樹高0.3m以上)を4年間調査した。皆伐前の林内に前生樹はほぼなく、皆伐後に出現した主な高木性樹種は、エゴノキ、ヒサカキ、サカキ等の二次林構成種が4,250~8,250本/ha、クサギ、アカメガシワ等の先駆性樹種が3,750~5,500本/haであった。 4年間で増加した樹種は、エゴノキ、ヒサカキやアカメガシワと限定的であり、全体的にはやや増加傾向であった。周囲に広葉樹種子源のないスギ人工林皆伐後の主な天然更新樹種は、二次林構成種や先駆性樹種のうち限定的な樹種であることが確認された。 土壌表層の有機物層をはぎ取り、広葉樹稚樹の発生を促すかき起こし効果については、皆伐林分と間伐林分に調査地を設置、検証中である。 |
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森林計画樹立費 |
森林資源モニタリング調査 |
H27~R元 |
A |
スギ・ヒノキ現実林分収穫表の調整、天然更新完了基準の見直しのためスギ・ヒノキ人工林及び皆伐地において現地調査を実施する。 |
スギ・ヒノキ林分収穫表の修正調査については、四国中央市、砥部町、内子町、西予市の10林分において成長量調査を実施した。天然更新完了基準の現地適合性調査については、四国中央市、久万高原町、宇和島市、松野町、愛南町の15箇所に調査地を設けて調査した。 |
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CLT建築物建設促進事業費 |
CLT普及促進情報整備事業(原材料安定供給促進事業) |
H30~R元 |
B |
CLTや梁桁製材品を生産するうえで、強度不足の製品の発生が生産コスト削減の課題となっている。このため、原木段階で強度選別することにより、強度性能に適した製品に加工する生産システムを検証し、効率的な生産システムの構築を目指す。 |
簡易型の非破壊原木強度検査器((株)ATA製、HG-2020)を使用して末口直径18~22cmのはい積みされたスギ原木30本について強度を測定し、その後120×150×2000mmに加工した乾燥平角材をFFTを用いて強度測定した。結果、スギ平角においても比較的高い割合(90%以上)で、求める等級以上の製品を手に入れられる可能性が示唆された。 |
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CLT建築物建設促進事業費 |
CLT普及促進情報整備事業(CLT建築物環境評価検証事業) |
H30~R2 |
B |
県産CLTを戦略的に売り込んでいくためには、他産地に先駆けCLTをアピールできる情報が必要である。CLT建築物の室内環境について、温室度変化、カビの生長、空気質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、VOCなど)を測定し、CLTの優位性を実証する情報を収集、販売促進活動に活用する。 |
県内高校の協力を得て、CLTパネル工法の部室、鉄筋コンクリート(RC)造の部室及びRC造の部室を木質化した部室において、各空間の温湿度、空気質、カビ生長量を比較した。その結果、温湿度変化はRC造の部室>木質化した部室>CLT造の部室の順で変化が小さかった。また、カビの生長は、木質化した部室及びCLT造の部室においてのみ生長が認められなかった。RC造の部室では絶対湿度が他と比較して大きく、カビが生長する湿度環境下に置かれる時間が発生したものと考えられる。以上のことから、木質化することで、温湿度環境が改善されること、さらにCLT造空間においては快適な温湿度環境が保たれていることが確認された。 |
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造林費 |
スギエリートツリーによる低コスト造林モデル林実証試験 |
H26~R5 |
A |
県有林において、エリートツリー大苗を用いて実用林分を造成し、初期成長を調査、下刈省力化に対する効果を検証する。 |
県下4箇所の試験地のうち、2箇所がエリートツリーの植栽地である。植栽後3~5成長期を経過しているが、各試験地とも第1成長期の樹高及び樹高成長量については、エリートツリーと愛媛育種混合苗の間に差は出なかった。第2成長期以降の樹高はエリートツリーが有意に高くなり、初期成長おける有利性が確認できた。 |
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優良種苗確保事業費 |
育苗効率化実証事業 |
H29~R元 |
A |
再造林低コスト化の切り札として期待されるコンテナ苗の育苗効率化、高品質化を図るため、セルトレイに播種したプラグ幼苗をコンテナに移植する方法を検討する。 |
移植の容易化を検討するため、成形セルトレイの根鉢強度を調べた。スギエリートツリーの種子を31年3月上旬に288セルの成形トレイに1粒ずつ播種し、6月末に幼苗をランダムに抜き取り、所定の高さ(50cm、100cm、150cm)からコンクリートの床に落下させ、破損による重量減少を調べた。根鉢の破損は認められず、わずかな土粒と水分が失われたのみであり、移植作業に支障のない機械的強度を有していることがわかった。また、成形セルトレイには元肥が含まれていないので、液肥を与え、苗長を比較したところ、無施肥は施肥区の約65%(中央値)に止まり、苗の色も黄緑色で薄かった。 |
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鳥獣害防止対策事業費 |
ヒノキ人工林のニホンジカ被害の防除に関する調査研究 |
H30~R2 |
A |
主にヒノキ人工林を対象に、苗木や成木のシカ食害防除資材による食害防除効果、苗木の主軸湾曲など資材による苗木成長における影響について調査する。 |
ニホンジカによる食害の防除資材の効果や、資材による変形を生じた苗木の修正等について調査を実施した。食害防除資材の効果については、今までのところ苗木、成木共にシカによる食害防除効果が認められた。苗木の主軸の変形(湾曲、資材外への突出)については、調査地によりばらつきはあるものの、約30%程度の苗木に湾曲が見られたが、樹高成長においては、資材による差は確認されなかった。 |
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広域連携型農林水産研究開発事業費 |
気候変動に適応した花粉発生源対策スギの作出技術開発 |
H28~R2 |
A |
地球温暖化に対応して、高温や乾燥条件に耐性があり、成長に優れた花粉発生源対策スギ品種を開発するため、国研を中核に大学、県の共同研究として実施する。当県は現地実証を分担する。 |
松山市食場町の試験地に、平成30年2月末に花粉症対策品種等のスギ苗(計861本)を植栽し、平成30年11月には120本の補植を行った。令和元年12月の調査では、平均樹高は135cm、1年間の平均樹高伸長量は50cmであった。また、1年間の枯死率は0.3%、累計での枯死率は3.8%であった。その他、試験地内の下刈りを行ったほか、各植栽木に植栽位置、系統番号、系統名を記載したラベルを設置した。 |
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広域連携型農林水産研究開発事業費 |
スギ雄花着花特性検査技術高度化試験 |
H29~R3 |
A |
幼木へのジベレリン処理による雄花着花量から、成木の自然状態での雄花着花量を推定できる手法を確立し、これにより現在20年以上を要している少花粉スギの育種期間を大幅に短縮する技術を開発する。国研を中核に、都県の共同研究として実施する。 |
14年生のスギ県精英樹6系統に対してジベレリン処理を4段階の濃度で行った。10ppmでは100ppmと同じ着花指数にはならなかった。3、4年生と29年生のスギさし木7系統に対してジベレリン処理を行ったところ、4年生で成木と同等の着花指数を示した。三坂試験地では最高気温が28℃と低く、雄花の着生がほとんど見られなかったため、複数年の調査が必要だと思われた。 |
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広域連携型農林水産研究開発事業費 |
ヒノキ・スギCLTパネルを用いたCLTパネル工法用金物の合理化 |
R元 |
B |
高強度ヒノキ・スギCLTパネルを用いたパネル工法建築物の普及促進を図るため、CLTパネル工法用クロスマーク表示金物について、高強度等級のラミナを用いたCLTパネルの接合部耐力を把握し、最少ビス構成を検討することにより、工法の合理化を図る。 |
高強度ヒノキラミナ及びスギラミナを用いたCLTパネルによるビスの1面せん断強度では、Pmaxに至る前にビスの頭部の破断が生じる試験体が多くみられ、明確な耐力が把握できなかった。そのため、安全側になるようビスの仕様を決めてクロス金物の強度試験を実施した結果、クロス金物の耐力には余裕があることが確認できたことから、現行の規定で示されているビス本数をさらに低減し、施工性やコストダウンを図ることができることが判明した。 |
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(公財)自然保護助成基金 |
四国固有種“イシヅチザクラ”の保全に向けた分布と遺伝的多様性についての調査研究 |
H30~R元 |
A |
イシヅチザクラは亜高山域に生育する四国固有の低木で、愛媛県及び高知県で絶滅危惧種に指定されており、地球温暖化による生育域の縮小や遺伝的多様性の低下が懸念されている。本研究は、地理的遺伝構造と遺伝的多様性、分布域、生育地の環境を明らかにして保全のための基礎情報を収集するものである。 |
イシヅチザクラの水平分布は、二の森からエビラ山までであった。垂直分布は、赤石山付近の蛇紋岩地では1,400~1,700m、そのほかでは1,700m~1,980mであった。遺伝構造解析を行い、近縁種のタカネザクラとの比較を行ったところ、遺伝的多様性はタカネザクラ南限集団と同等か少し高かった。また、集団ごとに遺伝的に分化していた。 |
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注:研究分野A:森林管理・経営、研究分野B:木質資源加工利用