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平成30年度試験研究成果一覧(林業研究センター)

ページID:0008477 更新日:2021年10月28日 印刷ページ表示

【平成30年度成果】

分野:A:森林管理・経営研究、B:木質資源加工利用研究

平成30年度試験研究成果一覧

予算事項名/試験研究課題名

実施年度

研究

分野

目的・概要

主な成果

資料

林業試験研究費 種子の検定と発芽試験

S35~

A

優良な種苗の供給を確保するため、スギ、ヒノキ、アカマツの発芽試験等を行う。

発芽率は以下のとおりであった。

  • エリートツリーミニチュア採種園
    川内採種園スギ:ジベレリン処理区52%スギ:無処理区39%
    内子採種園スギ:無処理区32%
  • 普通採種園
    内子・新居浜採種園混合スギ:20%、ヒノキ:9%
 
園外花粉率低減試験

H29~R3

A

人工林皆伐後の再造林を担う、初期生長に優れたスギやヒノキの苗木“エリートツリー”の普及を進めるため、生産された種子の園外花粉の混入率を調査し、簡易ビニールハウスや簡易防風垣等の低コストな資材や方法で園外花粉率の低減を図る方法を検討する。

川内試験地に造成されたスギエリートツリーミニチュア採種園の一部を試験に供した。25年度造成分については、29年夏にジベレリン処理し、同年12月末~翌年4月初めまで簡易ビニールハウスおよび防風垣を設置し、交配・結実した球果から種子を採取した。26年度造成分については、30年2月に断幹し、7月にジベレリン処理を行い、12月~1月にかけて簡易ビニールハウスおよび防風垣を設置した。27年度造成分については、31年2月に断幹・剪定を行った。
なお、参考として、何ら処理を行っていない箇所から28年度及び29年度に得た種子の親子鑑定を行ったところ、園外花粉率は、それぞれ90.3%、80.6%であった。

 
県産構造材乾燥技術研究

H30~R2

B

柱や梁など構造用製材の人工乾燥において、乾燥日数短縮のため通常よりも高温で乾燥させ、強度低下につながるような内部割れが発生するケースがしばしば生じている。本研究では内部割れの程度と接合部強度の関係を明らかにし、適切な乾燥スケジュールを提示、県産材の信頼性向上を図る。

高温かつ短期の乾燥スケジュールで乾燥した材は、推奨スケジュールで乾燥した材に比べて、材端部に内部割れが多く発生した。
内部割れがある木材を接合部に使用した場合の、接合部強度への影響について検証するため、実物大のせん断試験を実施中である。

 
林業躍進プロジェクト推進事業費 広葉樹林化技術の適地評価基準開発

H28〜R2

A

更新未了地増加の懸念に対応して、皆伐跡地での天然更新の可否要件等を実証し、人工林皆伐前に広葉樹天然更新を予測することを目標とするほか、林床有機物層の搔き起こしによる更新木増加を検証する。

常緑広葉樹林に隣接するヒノキ人工林の皆伐後2成長期経過林分に調査区を設け、更新木の樹種、サイズ、本数を調査した。アラカシ、スダジイ、ネズミモチ等の常緑広葉樹が皆伐前より林内に前生稚樹として存在しており、皆伐後、萌芽更新していることが観察された。加えて、特に斜面下部において先駆性樹種であるクサギやアカメガシワが天然下種更新していた。常緑広葉樹林に隣接する尾根部では、前生稚樹による萌芽更新が期待できるが、隣接していない斜面や谷部では、伐採後の先駆樹種による天然下種更新を期待するのみで更新は不確実と推測された。
土壌表層の有機物層をはぎ取り、広葉樹稚樹の発生を促すかき起こし効果については、皆伐林分と間伐林分に調査地を設置し、検証中である。

愛媛県におけるスギ・ヒノキ人工林皆伐跡地の天然更新状況[PDFファイル/702KB]
森林計画樹立費 森林資源モニタリング調査

H27~R元

A

スギ・ヒノキ現実林分収穫表の調整、天然更新完了基準の見直しのためスギ・ヒノキ人工林及び皆伐地において現地調査を実施する。

スギ・ヒノキ林分収穫表の修正調査については、四国中央市、松山市、久万高原町、大洲市、西予市、鬼北町、宇和島市の10林分において成長量調査を実施した。天然更新完了基準の現地適合性調査については、四国中央市、久万高原町、宇和島市、愛南町の15箇所に調査地を設けて調査した。
更新完了基準見直しのための調査では、平成29年度に更新樹種に先駆性樹種を加える見直しをしたことで、アカメガシワ、カラスザンショウ、ヌルデ、クサギなどによる更新完了事例があることが確認された。
また、大面積皆伐地、ススキ繁茂、ニホンジカ生息地等の様々な更新阻害要因が重なると、更新未了と判定された数年後の再調査においても更新未了であることが確認された。

 
CLT建築物建設促進事業費 CLT普及促進情報整備事業(原材料安定供給促進事業)

H30~R元

B

CLTや梁桁製材品を生産するうえで、強度不足の製品の発生が生産コスト削減の課題となっている。このため、原木段階で強度選別することにより、強度性能に適した製品に加工する生産システムを検証し、効率的な生産システムの構築を目指す。

簡易型の非破壊原木強度検査器(株式会社ATA製HG-2020)を使用して末口直径16cm及び18~22cmのはい積みされたヒノキ原木約200本について強度を測定し、その後県内の製材業者において通常使用しているグレーディングマシンを用いて乾燥処理した製材品の強度を測定した。その結果、含水率をなるべく揃える(伐採後できるだけ早く測定する)、適寸で製材することによって比較的高い割合(末口直径16cmで90%以上)で、求める等級以上の製品を手に入れられる可能性が示唆された。

 
CLT普及促進情報整備事業(CLT建築物環境評価検証事業)

H30~R2

B

県産CLTを戦略的に売り込んでいくためには、他産地に先駆けCLTをアピールできる情報が必要である。CLT建築物の室内環境について、温室度変化、カビの生長、空気質(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、VOCなど)を測定し、CLTの優位性を実証する情報を収集、販売促進活動に活用する。

県内高校の協力を得て、CLTパネル工法の部室と鉄筋コンクリート造の部室において、各空間の温湿度、空気質、カビ生長量を比較した。その結果、CLT造の部室では、RC造の部室に比べ温湿度変化が小さく、人体にとって快適な環境が保たれていることが確認された。カビの生長は、双方とも条件に関わらず確認されなかった。また、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドは、夏季においても、双方ともに基準値以下であった。

 
造林費 スギエリートツリーによる低コスト造林モデル林実証試験

H26~R5

A

県有林において、エリートツリー大苗を用いて実用林分を造成し、初期成長を調査、下刈省力化に対する効果を検証する。

県下にスギ大苗を用いた試験地を5箇所設定して植栽した苗木の成長量を継続調査しており、植栽後2~4成長期を経過したところである。そのうち3箇所はエリートツリーを植栽している。各試験地とも第1成長期の樹高と樹高成長量については、エリートツリーと愛媛育種混合苗の間に差はなかった。第2成長期以降の樹高は、エリートツリーが有意に高く、良好な初期成長による下刈り省力化に対する有利性が確認された。

 
優良種苗確保事業費 育苗効率化実証事業

H29~R元

A

再造林低コスト化の切り札として期待されるコンテナ苗の育苗効率化、高品質化を図るため、セルトレイに播種したプラグ幼苗をコンテナに移植する方法を検討する。

プラグ幼苗移植の簡易化を図るため、成形セルトレイを検討することとした。31年3月にスギエリートツリーの種子を288セルの成形セルトレイに、各セル1粒ずつ播種し、無加温のガラス室に設けたビニールトンネル内で育成中である。

 
鳥獣害防止対策事業費 ヒノキ人工林のニホンジカ被害の防除に関する調査研究

H30~R2

A

主にヒノキ人工林を対象に、苗木や成木のシカ食害防除資材による食害防除効果、苗木の主軸湾曲など資材による影響、下刈りの有無の影響、資材の再利用について調査する。

苗木用資材、成木用資材共に食害防除効果が認められた。苗木では、主軸の湾曲、資材外へ突出した苗の修正が可能かを調査したが、湾曲については固化したものをまっすぐに伸ばすことは不可能だった。ハマー、サプリガード、ハイトシェルターは修正時に資材や付属品の切断等が必要となる場合があるが、幼齢木ネットは上から手を入れて修正できるため、他に比べ修正が容易であった。網目40mmのサプリガードは、照度を確保できるだけでなく、網目部分から苗木の修正が可能であるが、成木用のため直立性が劣るために、支柱に多めに結束することが重要であった。

 
広域連携型農林水産研究開発事業費 気候変動に適応した花粉発生源対策スギの作出技術開発

H28~R2

A

地球温暖化に対応して、高温や乾燥条件に耐性があり、成長に優れた花粉発生源対策スギ品種を開発するため、国研を中核に大学、県の共同研究として実施する。当県は現地実証を分担する。

松山市食場町の試験地に平成30年2月末に花粉症対策品種等のスギ苗(計861本)を植栽し、苗高、生存率等を調査した。苗高は4月から11月の間で68.7cmら92.8cmになった(伸長量24.1cm)。生存率は、7月豪雨で試験地の一部が斜面崩壊して17%が流亡したため、98.1%から79.6%に低下した。試験地の環境と生長との関係をみると、土壌水分の説明変数であるTopographicWetnessIndex(TWI)が高い場所で生長が良好であった。
その他、試験地の維持管理として、苗木が流亡した箇所に補植を行うと共に、一部損壊したシカ防護ネットを補修した。

 
スギ雄花着花特性検査技術高度化試験

H29~R3

A

幼木へのジベレリン処理による雄花着花量から、成木の自然状態での雄花着花量を推定できる手法を確立し、これにより現在20年以上を要している少花粉スギの育種期間を大幅に短縮する技術を開発する。国研を中核に、都県の共同研究として実施する。

自然状態に近い着花を得られる最適なジベレリン濃度を調べるため、13年生の県産スギ精英樹6系統に5段階の濃度で散布した。濃度が上がるにつれ着花指数は増加し、30ppmで100ppmとほぼ同じ指数となった。
樹齢による着花特性を調べるため、3年生と28年生のスギさし木3系統に100ppmのジベレリンを散布したところ、両者とも雄花を着けたが、着花指数は3年生の方が低かった。
着花指数と実際の着花数の関係については、場所ごとの変動が多く、複数年の調査が必要だと思われた。

 
(公財)
自然保護助成基金
四国固有種“イシヅチザクラ”の保全に向けた分布と遺伝的多様性についての調査研究

H30~R元

A

イシヅチザクラは亜高山域に生育する四国固有の低木で、愛媛県及び高知県で絶滅危惧種に指定されており、地球温暖化による生育域の縮小や遺伝的多様性の低下が懸念されている。本研究は、地理的遺伝構造と遺伝的多様性、分布域、生育地の環境を明らかにして保全のための基礎情報を収集するものである。

遺伝構造解析のため、近縁種のSSR分析を行った。また、既採取済みのイシヅチザクラの葉サンプルからDNAを抽出した。

 
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