本文
石油ガス国家備蓄・波方基地の操業に係る災害防止及び環境保全に関する協定書
愛媛県及び波方町(以下「甲」と総称する。)と日本液化石油ガス備蓄株式会社(以下「乙」という。)は、甲乙間で平成13年3月30日に締結した「石油ガス国家備蓄・波方基地の建設に関する基本協定書」第5条及び第6条の規定に基づき、乙が波方町に設置する石油ガス国家備蓄・波方基地(以下「備蓄基地」という。)の操業に当たり、次のとおり協定を締結する。
(協定の目的)
第1条 この協定は、備蓄基地の操業に伴う災害防止及び環境保全に関して基本的事項を定めることにより、周辺地域住民の生命、身体及び財産を守るとともに、生活環境、自然環境等の環境を保全することを目的とする。
(基本的事項)
第2条 乙は、備蓄基地の操業に当たり、災害の防止及び環境の保全に関する法令を遵守し、備蓄基地及びその周辺地域の災害の防止及び環境の保全について最善の措置を講ずるとともに、甲が実施する災害の防止及び環境の保全に関する諸施策に積極的に協力するものとする。
(災害防止対策)
第3条 乙は、備蓄基地の操業に当たり、火災、爆発、石油ガス等の漏洩若しくはその他の事故により生ずる災害の防止又は地震、津波その他異常な自然現象によって引き起こされる被害の防止について万全の措置を講ずるものとする。
(環境保全対策)
第4条 乙は、備蓄基地の操業に伴い発生する水質汚濁、大気汚染、騒音、振動等の防止対策について、周辺地域の環境を保全するために、必要な措置を講ずるとともに、環境保全計画書を作成し、甲に提出するものとする。
2 乙は、前項の環境保全計画書を作成するときは、事前に甲と協議するものとする。また、その内容を変更しようとするときも同様とする。
3 乙は、第1項の環境保全措置を円滑かつ効果的に実施するために、別紙に定める「備蓄基地の操業に係る測定項目、排出基準値等」に定める基準値を遵守するものとする。
(苦情の処理)
第5条 乙は、備蓄基地の操業に関し、周辺地域住民から苦情があったときは、誠意をもってその解決に努めるとともに、その内容を甲に報告するものとする。
2 前項の場合において、乙が当事者間での処理が困難であると認めたときは、甲に仲介を依頼することができるものとし、甲はこれに協力するものとする。
(教育訓練等)
第6条 乙は、乙の従業員に対する災害防止並びに環境保全に関する教育訓練(現地での定期的な防災訓練を含む。)を行い、その趣旨が徹底するように努めるものとする。
2 乙は、甲又は関連行政機関が行う防災訓練であって、備蓄基地の操業に関連あるものについては積極的に参加するものとする。
3 乙は、備蓄基地の操業に関連する企業等の従業員に対しても、災害防止並びに環境保全に関する教育訓練を行い又は行わせ、その趣旨が徹底するように努めるものとする。
(防災設備等の整備、点検)
第7条 乙は、備蓄基地の操業に当たり、関係法令に基づき災害の防止に必要な施設及び設備を設け、防災資機材を備え付けるものとする。
2 乙は、前項の施設及び設備並びに防災資機材の点検を定期的に実施し、その整備に努めるとともに点検記録を保存するものとする。この場合、甲は、必要な事項の報告を求めることができるものとする。
3 甲は、前項の規定による報告を受けた場合、必要があると認めるときは、第1項の施設及び設備並びに防災資機材の改善を指示できるものとする。
(施設の新増設等)
第8条 乙は、備蓄基地内の操業に関する主な施設及び設備の新設、増設又は変更(以下、「新設等」という。)を行おうとするときは、事前に甲に計画書を提出し、協議するものとする。
2 乙は、前項に定める施設及び設備の新設等の工事を行うときは、災害の発生及び拡大の防止等のため必要な措置を講ずるものとする。
(事故・災害発生時の措置)
第9条 乙は、備蓄基地の操業に伴い、周辺地域住民の安全若しくは環境を害するような事故又は災害が発生したとき、若しくは発生するおそれが生じたときは、直ちに甲に報告するとともに、施設の一部又は全部の使用を停止する等、事故・災害の拡大防止のために有効かつ適切な措置を講ずるものとする。
2 乙は、前項にいう事故又は災害が発生し、若しくは発生するおそれが生じたときは、直ちに周辺地域住民及び付近の船舶にも通報するものとする。
(損害の補償)
第10条 乙は、備蓄基地の操業に起因して事故・災害が発生し、周辺地域住民に損害を与えたときは、その原因を公表するとともに、その損害について誠意をもって補償するものとする。
(違反時の措置)
第11条 甲は、乙がこの協定書に違反したと認めたときは、乙に対して期限を定めて施設の改善、保安体制の改善その他適切な措置を講ずるよう指示することができるものとする。
2 甲は、前項の規定による指示が期限までに履行されないときは、乙に対してこの協定に違反している施設又は設備の一時使用停止をさせることができるものとする。
(立入調査等)
第12条 甲は、この協定書に定める事項を適正に実施するため必要な限度において、乙に対し災害の防止及び環境の保全に関する事項について報告を求めることができるものとする。
2 甲は、この協定の実施に必要な限度において、その職員を備蓄基地内に立入らせ、必要な調査をすることができるものとする。
3 甲は、前項の規定により調査等を実施した結果、災害の防止及び環境の保全上、必要と認めるときは、乙に適切な措置を講ずるよう指示することができるものとする。
4 立入調査を行う職員は、甲が発行する身分証明書を携帯し、乙に提示しなければならない。
(公開)
第13条 甲は、この協定書に基づき、乙から報告された事項又は甲が行う立入調査の結果については、原則として公開するものとする。
(協議事項)
第14条 この協定に定めのない事項について定める必要が生じたとき又はこの協定に定める事項について疑義が生じたときは、その都度、甲乙が協議して解決するものとする。
附則
- 本協定締結後、設備着工までに災害防止及び環境保全に係る法規等の変更により、この協定の見直しが必要と認められる場合、内容変更や新規条項の追加等について、甲及び乙は、協議のうえ定めるものとする。
- この協定の締結を証するため、本書3通を作成し、甲及び乙は記名押印の上、各1通を保有する。
平成15年10月27日
甲 愛媛県松山市一番町四丁目4番地2 愛媛県知事 加戸 守行
愛媛県越智郡波方町樋口甲250 波方町長 片上 修二郎
乙 東京都文京区小石川一丁目4番1号 日本液化石油ガス備蓄株式会社 代表取締役社長 澤田 仁
別紙 「備蓄基地の操業に係る測定項目、排出基準値等」
1 水質汚濁防止について
- 備蓄基地の操業に伴って生ずる排水は、処理設備において処理し、排水する。
- 前項の排水は、次表に定める排水基準値を満たすものとする。
項目 |
基準値 |
測定場所 |
測定方法 |
---|---|---|---|
水素イオン濃度(pH) |
5.8~8.3 |
チェックベースン |
排水基準を定める省令の規定に基づく環境大臣が定める排水基準に係る検定方法(昭和49年9月30日環境庁告示第64号)に規定している測定方法。 |
浮遊物質量(SS) |
20mg/リットル以下 |
||
化学的酸素要求量(COD) |
10mg/リットル以下 |
||
油分等(n-ヘキサン抽出物質) |
1mg/リットル以下 |
- 排水の測定頻度については、環境保全計画書に定めるものとする。
2 大気汚染防止対策等について
- 地球温暖化の原因となる二酸化炭素等の排出削減に努めるため、再生ガスヒーターに使用する燃料は、LPガスとする。
- 非常用発電機等のディーゼルエンジンに使用する燃料は、硫黄含有率1%以下の燃料とする。
- 各排出口からのガス排出時には、次表に定める基準値を満たすものとする。
項目 |
基準値 |
測定場所 |
測定方法 |
---|---|---|---|
ばいじん |
0.1g/N立方メートル以下 |
各排出口 |
大気汚染防止法に定める測定方法により測定する。 |
窒素酸化物 |
150ppm以下 |
||
硫黄酸化物 |
K値17.5 |
- 排出ガスの測定頻度については、環境保全計画書に定めるものとする。
- 備蓄基地内では着臭剤を使用しないことから悪臭発生源はないが、LPガス設備においては、漏洩が発生しないよう十分注意するものとする。
3 騒音及び振動防止対策等について
- 送風機及び空気圧縮機については、可能な限り低騒音型のものを使用するものとし、騒音については、敷地境界において次表に定める基準値を満たすものとする。
昼間 |
夜間 |
---|---|
午前7時~午後8時 |
午後8時~翌日の午前7時 |
60dB以下 |
55dB以下 |
- 振動については、敷地境界において、終日60dB以下を維持するものとする。
- 騒音及び振動の測定頻度、測定場所、測定方法については、環境保全計画書に定めるものとする。
- 低周波音の発生が予想される場合は、周辺地域住民及び環境に影響を及ぼさないよう、適切な配慮を行うものとする。
- 夜間照明については、必要最小限とし、周辺地域住民及び環境に影響を及ぼさないよう、適切な配慮を行うものとする。
4 地下水位対策について
- 備蓄基地の操業に起因して基地周辺の地下水及び湧水の利用に支障が生じないよう努めるものとし、地下水位が低下した場合、適切に対応するものとする。
- 備蓄基地周辺の地下水位の測定は、次表に定めるところにより常時監視し、影響把握に努める。また、地下水位の測定地点については、環境保全計画書において定めるものとする。
項目 |
測定場所 |
測定方法 |
備考 |
---|---|---|---|
地下水位 |
地下水位観測孔 |
水圧式水位計 |
高圧ガス保安法コンヒ゛ナート等保安規則(平成14年12月13日改正)に基づく地下水位観測孔において監視する。 |
5 産業廃棄物対策について
備蓄基地の操業に伴って生ずる産業廃棄物については、環境汚染を防止するため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき適正に処理するものとし、その処理を処理業者に行わせるときは、当該処理業者に対して適切な指導を行うものとする。
6 自然環境保全対策について
備蓄基地周辺の自然環境との調和を図るため、備蓄基地内の植栽植樹等緑地の維持管理に努めるものとする。
7 測定及び報告
第1項から第4項に定める排水、排出ガス、騒音、振動及び地下水位の測定結果について、乙は甲に対して環境保全計画書に定めるところにより文書で報告するとともに、これを3年間保存するものとする。
協定書に基づく報告等
協定書第13条の規定により、(独)エネルギー・金属鉱物資源機構波方国家石油ガス備蓄基地事務所から報告された環境監視調査報告書を公開しています。
- 石油ガス国家備蓄波方基地 環境監視調査報告書(令和5年度上半期分)[PDFファイル/2.88MB]
- 石油ガス国家備蓄波方基地 環境監視調査報告書(令和5年度下半期分) [PDFファイル/2.58MB]