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R3ムギ類の赤かび子のう胞子飛散量調査
赤かび病の発生は、気象条件と密接な関係があり、出穂期以降の気温が高めで経過し、湿度も80%以上が3日以上続く場合、あるいは降雨又は濃霧頻度が高い場合多発するとされています。
ムギ類赤かび病の第一次伝染源は、稲ワラやイネ刈株などの枯死したイネ科植物上に、春先に形成される子のう殻から飛散する子のう胞子です。
飛散した子のう胞子が麦穂に付着し、感染、発病します。
開花期からその後10日の間は、最も感染しやすいとされています。
赤かび病の発生予察の参考資料とするため、胞子採集器を圃場に設置し、3月後半~4月末の間、子のう胞子飛散量を調査しています。気象の状況とともに防除の参考として下さい。(防除及び被害については下記を参照)
- (令和3年)子のう胞子飛散量調査データ[PDFファイル/218KB]←クリックしてください。
ムギ類赤かび病の発病穂
ムギ類赤かび病の発病穂
(発病粒は桃色のカビ)
ムギ類赤かび病の子のう胞子
ムギ類の赤かび病の被害と防除
防除
- 本病は、「開花からほぼ10日の間」が最も感染しやすいとされ、また、病原菌が侵入、蔓延した後の防除は効果が劣るので、防除適期は開花期です。
- 開花期後半以降、気温が高めに経過(平均気温15℃以上)し、降雨や曇雨天日が続く場合は、多発が予想されるので、第1回防除(開花期防除)の7~10日後に追加防除を行います。
- 一旦発病粒が現れると、そこに分生胞子が形成され、これが第二次伝染源となり小穂全体、隣接小穂へ病斑が進展し、被害が大きくなります。手遅れにならないように防除を行い、未然に防ぐことが大切です。
- 麦穂の感染発病は成熟期まで続きますが、開花期~乳熟前期に感染した早期罹病穂で被害が多く、成熟後期に罹病したものでは被害は非常に少ないとされており、第2回防除以降も乳熟前期までは十分注意し、必要に応じてさらに追加防除を検討する必要がある。
- 薬剤防除あたっては、使用回数、使用時期等に十分注意して下さい。
- 圃場内の過湿は発病を助長するため、排水路の整備(雑草を繁茂させないこと)も大切です。
被害
- 赤かび病は収穫物である粒が発病するため、激発すると収量、品質に大きな影響を与えますが、このような減収被害だけでなく、赤かび病菌が産出するカビ毒による食品汚染をいう問題も発生させます。
- このため、農産物検査規格では、赤かび病被害粒の混入が0.0%(0.049%)を上回ると規定外とされており、発生を極めて低いレベルに抑えることが求められています。
- 麦栽培においては極めて重要な病害であり、十分な注意が必要です。