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企画戦略部・農業研究部試験研究成果一覧

ページID:0005571 更新日:2025年11月14日 印刷ページ表示

企画戦略部・農業研究部

令和6年度農林水産研究所企画戦略部・農業研究部試験研究課題一覧表
事業名 細事項名 研究期間 実施部署 目的 主な成果 パネル等

農業試験研究費
新農薬等試験事業費 S48~ 病理昆虫室
作物育種栽培室
花き研究指導室
本県の栽培環境条件や作物等で、新しい農薬や生産資材等の適応性や効果を明らかにする(委託元からの要望により、農薬や資材に関する試験内容や結果は、非公開としているものが多い)。

〇サトイモ疫病・乾腐病、カンショつる割病、ブロッコリー軟腐病、イチゴ炭疽病を対象に14剤の防除効果および薬害の有無を検討した結果、10剤には実用性が認められたが4剤には実用性が認められなかった。

〇水稲では、ウンカ類、ツマグロヨコバイ、イネクロカメムシ、コブノメイガを対象に11剤について防除効果と薬害の有無を検討した結果、7剤には実用性が認められたが1剤には実用性が認められず、3剤は個体数が少なく未了となった。
野菜類では、ヤマノイモのコガネムシ類、サヤインゲンのアブラムシ類、未成熟トウモロコシのアブラムシ類、ナスのハダニ類、キュウリのウリノメイガ、ハダニ類、スイカのハダニ類、カボチャのコナジラミ類、ダイコンのアオムシ、イチゴのハダニ類、レタスのオオタバコガを対象に15剤の防除効果と薬害の有無を検討した結果、すべての剤について実用性が認められた。

〇水稲除草剤では、一発処理剤1剤、体系処理(中後期剤)1剤について除草効果と水稲への薬害の点から検討した結果、すべての剤で実用性が認められた。また、近年問題になっている水田雑草ヒレタゴボウに対する効果のある一発処理剤1剤について試験を実施し、除草効果を確認した。さらに、麦除草剤については耕起前処理の1剤について試験を実施し、スズメノテッポウに対する除草効果を確認した。今後、小麦についての耕起前処理1剤について試験を実施中である。

〇成長促進剤1剤について、シクラメン鉢物への効果を検討した。液肥で栽培管理する場合、液剤の葉面散布及びかん注処理は、樹高及び草丈が数cm高くなる程度で、生育、品質に及ぼす効果はみられなかった。

イチゴ炭疽病の雑草からの伝搬リスク [PDFファイル/101KB]

 

水稲イネカメムシによる登熟・品質への影響 [PDFファイル/117KB]

 

イチゴ育苗期のハダニ対策 土着天敵の検討 [PDFファイル/86KB]


農業試験研究費
水稲野菜花き類優良品種・種苗育成試験費 S52~ 作物育種栽培室
野菜育種栽培室
花き研究指導室

水稲、野菜、花きについて、愛媛オリジナル品種を作出する。

○‘ひめの凜’ 及び‘媛育85号’‘媛育86号’‘媛育87号’を奨励品種決定調査に供試した。令和6年度、県内において、'媛育71号'は118ヘクタール'、ひめの凜'は1,006ヘクタール栽培された。

○育成したイチゴ26系統を栽培、特性を調査し、有望な9系統を選抜した。

○イチゴのF1組合せ4系統を栽培し、特性調査した。

○「愛媛農試V2号」へ、アルゴンイオンビームを照射(アルゴン処理)および炭素イオンビーム(炭素処理)を照射して育成した各112系統、計224系統を圃場に定植し、生育調査を行った。その結果、アルゴン処理で11系統、炭素処理で4系統一次選抜した。γ線を25Gy照射したサトイモ親芋10株から230個の副芽を採取・定植し112系統の予備選抜用種芋より優良16系統を得た。

○1次選抜に供試したサトイモ23系統のうち7系統(早生系統4系統、多収系統4系統うち1系統重なり)を優良系統として評価した。

○昨年度にデルフィニウムのシネンシス系品種について、花型や花色、栽培特性等の優れた新品種の育成に取り組んでおり、昨年度に引き続き、花色が白色の4つのF1系統について特性調査を実施した。

コマーシャルでもおなじみ!愛媛のブランド米極良食味品種’ひめの凜 [PDFファイル/229KB]’ 

 

愛媛県オリジナル品種‘ひめの凜’ついに1,000ha達成! [PDFファイル/432KB]

 

愛媛県水稲育種の歩み(PDF:280KB)[PDFファイル/280KB]

 

サトイモ愛媛農試V2号(伊予美人)を凌駕する品種の開発について [PDFファイル/211KB]


農業試験研究費
合理的土地利用技術確立試験費 S58~ 作物育種栽培室
野菜育種栽培室
研究企画室

農地の健全性や連作障害の発生防止等を考慮した科学的な作付体系に対応するため、効率的な輪作方法を組み合わせた合理的な農地利用技術を確立する。
また、これに必要な農業気象データベースを構築する。

○露地野菜では、マルチ・畝連続利用栽培により、冬春期にタマネギの栽培展示を実施した他、夏秋期に結球レタス、キャベツの栽培展示を行った。

〇新規導入小麦の施肥体系を確立した。

○本県育成品種‘ひめの凜’とはだか麦新奨励品種‘ハルヒメボシ’の高品質安定生産を目指した体系化実証試験を実施した。‘ひめの凜’については、田植えを5月下旬から6月末まで拡大し、安定的に高収量、高品質、良食味生産が可能な移植時期を検討した。

〇あきたこまちに代わる品種の候補として‘にじのきらめき’を選定し、その栽培特性を把握した。

○気象観測データを集積・データベース化し、研究活動に利用している。

新規小麦品種‘シロガネコムギ’の施肥体系 [PDFファイル/424KB]

 

多収で良食味の水稲極早生品種 ‘にじのきらめき’ [PDFファイル/410KB]


農業試験研究費
水稲品種育成加速化技術開発試験費 R5~R8 作物育種栽培室 近年、あきたこまちの一等比率が低く、極早生~早生熟期の品種育成が急務となっている。そこで、高温耐性を持つ品種の育成を加速化させるために、DNAマーカー選抜法の確立と、圃場調査の効率・高精度化のためのデジタル野帳プログラムの開発を行う。

〇高温耐性遺伝子保有系統を選抜するためのF1作出とDNAマーカーの探索を行い、高温耐性遺伝子qWB6、qWK1-2およびApq1、また穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1をDNAマーカーにより選抜できるようになった。

〇水稲成熟期用の生育調査プログラムを作成し、デジタルメジャーやバーコードリーダーで読み取った稈長、穂長のデータを手持ちのタブレットに自動入力できるようになった。

 


農業試験研究費
優良枝物安定生産技術確立試験 R2~R6 花き研究指導室

県では、遊休農地や耕作放棄地の活用を図るため、省力的で高齢者や女性でも取り組みやすい優良枝物(ユーカリ、ピットスポラム、ビブルナム・ティナス等)の導入を支援しており、現在、松山市、今治市、四国中央市等でこれらの産地化が進み、品質の良さから市場の評価も高くなっている。
しかし、これらの枝物は、苗の安定供給が難しいなど、新たな課題も顕在化している。
また、枝物市場で生産規模の大きいシキミは、形質がばらつき生産性が不安定であることが問題となっている。
そこで、増殖技術の改善、優良個体の収集・選抜を行い、品質の良い枝物の安定供給を図る。また、更なる新規品目の選定を行うとともに、現地実証を行い、県内枝物産地の発展、農業者の所得向上等を目指す。

○ユーカリ、シキミの優良個体の収集
ユーカリ(グニー)は、実生から選抜した5系統の挿し木繁殖をし形質を検討した。5系統のうち2系統は発根し個体を得られたが、3系統は発根しなかった。2系統の内1系統は増殖率低く十分な個体が得られなかった。挿し木で得た個体は、母樹と葉色、茎色、葉形は同じであり、市場の品質評価は高かった。
シキミは、県内の生産園地から収集した優良個体を9系統化し形質を検討した。従来系統と比較して、生育が良く、葉が短く、葉色の濃い有望な系統が1系統あった。次いで、生育が良好で樹形が安定している有望な系統が4系統あった。
ユーカリ1系統、シキミ4系統は、特性調査を継続中。

○ビブルナム・ティナスの実生集団の特性調査
優良個体選抜のために、約600個体の実生集団を作出し、特性調査を実施した。まだ幼苗のため、予備調査の段階であるが、樹姿については、開帳性、直立性のものが見られた。その他の特性については、あまり差が見られなかった。

 

米麦スマート農業技術開発・普及促進事業費
R4~R6 次世代農業戦略室 農業者の減少・高齢化が進み、労働力不足等の構造的な問題を抱える本県農業においては、従来以上に労働生産性を向上させ、省力化・効率化を図ることが不可欠であり、そのためにはスマート農業をいち早く現場に定着させることが急務である。
このため、本県の生産者が体感することの少ないスマート農機を整備することで、実際の機械に「みて、ふれて、かんじて」もらい、スマート農業へのハードルを大きく下げるとともに、農林水産研究所及び現地ほ場で研究及び実証することによって現場実装を加速化させる。

○水稲・麦輪作体系におけるスマート農機の利用効果の検討
スマート農機を用いて、より多収で高品質な水稲・麦の輪作体系を構築するため、収量コンバインから獲得したデータを基にした次期作の施肥を検討した。結果、直前の麦作の収量データに基づいて水稲の施肥を可変施肥させたものは、慣行区と比較してほ場内での収量のバラツキが減少し、ほ場全体での収量は増加した。

○AIを用いた病害虫判定システムの開発
ドローンで撮影した動画から、ほ場で発生した病害虫を判定させるモデルを作成している。現在、稲ばか苗病発病株を検出するAIモデルを開発中であり、テストデータにおける稲ばか苗病発病株検出の正答率は66から72%となった。今後、撮影方法やデータの前処理方法等を検討することによって、検出精度の上がった判定モデルを開発していく。

○自動給水機による水管理作業の省力化等実証(県内6カ所)
現地への早期普及が期待される水稲自動給水機を県下6カ所に設置し実証試験を行い、現場での普及性を検討するとともに研修会 等を通じて現地への普及促進を図った。

○収量コンバインを用いた収量向上への取組み実証
収量コンバインから得たデータから、施肥設計を変えることによりほ場一枚あたりの収量を増加させる実証試験を行った。施肥量を変えることにより、生育や品質に影響することなく、収量を24%増加(慣行区では3%)させることができた。

自動給水機を利用した水稲の省力水管理試験[PDFファイル/214KB]

 

データを利用した収量向上への取組み [PDFファイル/252KB]

 

愛媛県スマート農業推進方針

 


新活力創出試験研究プロジェクト推進事業

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレイクスルーでつかみ取る‼サトイモ・スーパー品種の開発 R4~R6 野菜育種栽培室

「愛媛農試V2号」は他品種に比べて、反収が多く生産が安定していることに加え、「美味しい」との市場評価もあり、サトイモ生産拡大の原動力である。しかしながら、令和15年には育成者権が消滅し、他県が本品種の栽培に着手すると見込まれるため、品種の囲い込みによる優位性が低下する恐れがあることから、同品種を超える新たなスーパー品種を開発する。
このため愛媛大学や理化学研究所と共同で、新たな形質導入を図るための技術開発、サトイモの遺伝子マーカー開発、形質導入(DNA損傷)処理後に生まれるキメラ植物体からの変異体育成、および世代短縮技術を開発する。

○交雑育種が困難なサトイモにおいて、有用な突然変異体を獲得するために、重イオンビーム照射により再生した予備選抜224個体から、1個あたりの孫芋の重量が大きく総収量の高い系統15系統を新たに予備選抜した。

〇サトイモ疫病抵抗性品種育成のため必要な遺伝資源としていくつかの品種・系統で‘愛媛農試V2号’以上の抵抗性があることを確認しているが、いずれの品種、系統も3倍体であることから、遺伝資源として利用するため、後代育成が可能となる倍化処理方を検討したところ、副芽のコルヒチン直接処理による倍化手法が適していると考えられた。

サトイモ新品種育成にブレークスルーを起こす新技術について1、2 [PDFファイル/272KB]

 


新活力創出試験研究プロジェクト推進事業費
「質の米どころ愛媛」を盤石にする「ひめの凜シリーズ」の開発

R6~R8

作物育種栽培室 「あきたこまち」は消費者には人気のある米の一つで、生産者にとっても主要な品種だが、近年「あきたこまち」の品質が低迷しており、生産者やJAからは、高品質で極良食味な早生の品種を早く開発して欲しい、という切実な要望が高まっている。県オリジナル品種「ひめの凜」は夏の暑さに強いが、田植を早めても、収穫期はそれほど早まらないことから、「ひめの凜」の特徴はそのままで玄米の品質や食味も全く同じで、収穫時期だけが早く、同じ銘柄で流通できる早生の「ひめの凜」を育成することを目的とする。

○「ひめの凜シリーズ」の作出では、高温耐性遺伝子保有系統との交配をおこない、B2F1種子(ひめの凜×(ひめの凜×(ひめの凜×ハナエチゼン))、ひめの凜×(ひめの凜×(ひめの凜×越路早生)))、F1種子(ひめの凜×コシヒカリ富山APQ-1号)を獲得し、いもち病耐性遺伝子保有系統との交配では、F1種子(ひめの凜×にじのきらめき)の獲得をした。

○‘ひめの凜’の食味特性の解明については、施肥条件が生育・収量・玄米タンパク質含有率等に及ぼす影響について明らかにした。

 

新活力創出試験研究プロジェクト推進事業
全国初!AIナビで「できるサトイモ栽培」支援システム開発 R5~R7 次世代農業戦略室 サトイモは水田農業の高収益品目として県下各地で栽培されるようになったが、大規模生産者の作業遅延と不十分な栽培管理による収量低下の問題、全国ライバル県の水田栽培着手による面積拡大などから、さらなる収量向上・面積拡大が望まれる。このため、環境や生育等の計測情報を収集・分析し、スマホ等へ作業のタイミングを通知するシステムを構築する。 〇サトイモ‘愛媛農試V2号’の更なる収量向上・面積拡大のため、AIを活用した栽培支援システムを開発する。灌水作業通知のタイミングを決定するため、コンテナ栽培下で水ストレスを与え、反応について調査した。6月下旬から7月上旬に水ストレスを与えた区において、収穫量及び子芋由来の茎葉の発生数が減少した。pF値を1.5程度に維持し続けても葉が黄変する株もあった。7月26日における蒸散量を測定したところ、対照区で1,754kg/10aとなり、6月断水区では、1,175kgとなった。測定機器の数値が上昇した時には、既に葉の黄変や萎れ等の症状が現れていたことから、令和6年度については、システム搭載を見据えたAIの開発に取り組み、土壌の画像やpFメータから、土壌表面の水分状態を推定する手法を開発した。 サトイモが水ストレスを受ける時期の違いがその後の生育に及ぼす影響 [PDFファイル/98KB]
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戦略的試験研究プロジェクト
かんきつせん定技術習得システム開発費 R4~R6 次世代農業戦略室 かんきつ栽培は一年単位の作業であるので、新規就農者が一人前のせん定技術を習得するためには、相当程度の時間を必要とする。
また、生産者が減少していく中、地域の中で懇切丁寧に技術の指導をしてくれる指導者も先細りが見込まれる。
一方で、産業におけるデジタル化は飛躍的に進歩しており、農業分野においてもデジタル技術の活用が必要不可欠となっている。
このための取り組みの第一歩として、「樹体情報の可視化とせん定シミュレータの開発」に取り組む。

〇ドローン等を使用して撮影するときにかんきつ樹の骨格画像枚数を多くすることで、より精密なモデルを作成することができた。この3Dモデルを共同研究機関の愛媛大学に提供し、温州みかんのせん定シミュレーターを作成した。作成済みの樹の保存と並べて表示する機能を持たせることができた。

 
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若手研究員研究力向上対策事業
イチゴ炭疽病の多発要因を分離株の病原性の違いから探る R6 病理昆虫室 若手研究員研究力向上対策事業費では、今後の研究の中心となる若手研究員の研究力とイノベーション創造力の向上を図るため、若手研究員育成チャレンジプログラム、国研究機関への長期派遣、学位取得支援及び分野横断型WG活動の4点に取り組んでいる。チャレンジプログラムでは、若手研究員が自ら企画・提案した研究テーマに対して、試験設計や成果発表までの実践的な活動を支援することで、スキルアップ意欲の醸成を目的に実施。

〇イチゴ炭疽病においては、発生の少ない圃場がある一方で、毎年のように多発する圃場がある。一般的にこのような圃場間差は、感染株の除去や農薬散布などの防除対策に起因するとされる。しかし、本菌には病原性が異なる系統が存在することが知られており、強病原性系統が多発要因である場合には、イチゴ苗の全株廃棄等のより重点的な対策の必要性が想定される。そこで、圃場間の発生程度の違いを菌株の病原性の違いから明らかにする。
(ア) イチゴ炭疽病菌の分離
多発した3圃場から9菌株、少発した5圃場から9菌株、合計18菌株のイチゴ炭疽病菌を分離し、以降の検討に供試した。
(イ) 分離菌の病原性の確認および圃場間での比較
PCRによる菌種判別試験の結果、18菌株中11菌株がC. fructicola、7菌株がC. siamenseであり、多~甚発生圃場由来菌株においてC. siamense が多かった。また、葉柄を用いた接種試験で18菌株の病原性を確認した所、圃場の発生程度と菌株の病原性の間に関連性は認められず、多発は防除対策に起因すると考えられた。なお、圃場の発生程度と菌種(C. fructicola及びC. siamense)の関連性については今後の課題とした。併せて、リアルタイムPCRによる本菌の病原性遺伝子の発現量解析に成功したことから、今後は、本法も病原菌の解析手段の一つとして活用していく。

イチゴ炭疽病の雑草からの伝搬リスク [PDFファイル/101KB]

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施設栽培改善試験研究費
柑橘新系統「愛媛48号」栽培特性調査研究 R3~R7 次世代農業戦略室 柑橘新系統「愛媛48号」の栽培特性等を踏まえて、スマート農業による一貫作業体系を現場実装するため、気象ロボットやAI選果機等を活用した多岐にわたる情報を効率的に収集し、マルチ+ドリップ潅水栽培下における栽培管理の最適化と園地管理へフィードバックすることにより、収量や品質の向上を目指している。

〇生産者を対象に、夏季以降の肥料吸収パターンと、過去3か年のデータをもとに解析したかん水制御技術について説明した。

〇AI選果機の判別精度向上に向けて温州みかんのハナアザミウマ被害は被害部の色が異なる場合があり困難であった。「愛媛48号」は黒点病、外観、ス上りについて検量線の精度向上を図った。

選果労力を軽減するAI選果機! [PDFファイル/84KB]
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広域連携型農林水産研究開発事業費
農地土壌炭素貯留等基礎調査事業(農地管理実態調査) H20~ 次世代農業戦略室 国連気候変動枠組条約に基づく温室効果ガスインベントリ報告のために、土壌の炭素蓄積量の精密測定を行う。

〇県内の土壌炭素量調査(定点調査)
農地が地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の吸収源となることを明らかにするため、県内32地点の代表的農地(水田16、樹園地16)を対象に、土壌の全炭素、全窒素等を分析し、農地土壌深度30cmまでの炭素貯留量を算出する。
今年度は水田8地点(久万高原町1、八幡浜市1、大洲市2、西予市2、松野町1、愛南町1)について調査を実施した。深度30cm当り炭素量(t/ha)は、分布幅が32.7~136.8(平均値58.8)となり、久万高原町の腐植質厚層多湿黒ボク土水田で最も高くなった。
○有機物連用圃場を利用した土壌炭素量調査(基準点調査)
愛媛県の代表的な水田土壌である灰色低地土での水稲栽培では、牛糞堆肥の経年連用により土壌中の炭素、窒素の貯留量は高く維持され、特に4t/10a施用することでその貯留効果は高かった。

土壌炭素事業[PDFファイル/779KB]
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広域連携型農林水産研究開発事業費
薬用植物の産地拡大に向けた生産技術の開発研究 R5~R9 野菜育種栽培室 薬用植物の国産化推進と収量増加品質向上のため、ミシマサイコの2年生栽培における栽培時期と抽苔、根部品質の関係を解析し、ミシマサイコの栽培体系化を行う。
また、生薬「陳皮」原料に適した温州ミカンの栽培管理方法を明らかにするため、温州みかん等のサンプルを収集し、陳皮原料に適した栽培管理方法を比較検討する。

〇ミシマサイコの2年生栽培における播種時期と、収穫時の根部品質を左右する1年目の抽苔の関係を解析し、2年生栽培で問題になっている収量向上と抽苔を2回繰り返すことによる品質低下等の課題の解決を図り、新しい作型によるミシマサイコの栽培体系化を行う。

〇播種時期を検討するため毎週9月1日~10月27日まで播種(低温湿式処理済み種子)したところ2~4週間で発芽し抽苔しなかったが生育が緩慢で株は小さく生育は劣った。

〇陳皮においては、県内ミカン産地より収集した温州みかんサンプル30点のうち9点の有効成分の分析を行い、うち2点が含有量が高く生薬陳皮原料として有望と見込まれた。

 

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広域連携型農林水産研究開発事業費
急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発 R4~R6 次世代農業戦略室 愛媛大を中心とし急傾斜地での過酷な労働環境の改善に向けて、急傾斜地が主要な産地として栽培されているカンキツ(愛媛県で実施)、シキミ(宮崎県で実施)産地における栽培の超省力化・高品質生産に向けた小型農業ロボットシステムの確立を目指すこととしており、特に労働負担の大きい防除と運搬作業の省力化に向けてドローン防除の高精度化と急傾斜地向け走行ユニットの実用試験機の開発を行う。

〇カンキツ園において超省力化・高品質安定生産に向けた小型農業ロボットシステムの確立を目指し防除と運搬作業の効率化を図るため、傾斜地において電動走行ユニットによる施肥及び運搬作業時の労働負荷調査を実施した。等高線方向への施肥作業は、施肥機を搭載した電動走行ユニットの労働強度が軽労働であったのに対し、手まきは労働強度が上がり中労働であった。また、作業時間は約37%短縮された。

〇異なる傾斜角度で運搬作業を比較したところ、中労働以下の傾斜は電動走行ユニットが7度以下、電動一輪車が0度(平坦)で、手まきは平坦でも負荷が高く強労働であった。

〇モデル園で樹形を双幹形および開心自然形に仕立て育成を図った。双幹形は1年目に主枝2本のみ伸長させるため、樹高は高くなるが、その後発生する新梢が樹冠上部に偏る傾向がみられた。特に、宮川早生よりも樹勢が強い南柑20号はその傾向が強く、1m以上の位置に60%が分布していた。

急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発(園地と生育) [PDFファイル/344KB]

 

急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発(運搬作業) [PDFファイル/279KB]

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広域連携型農林水産研究開発事業費
時間変調プラズマによる植物細胞の細胞壁除去と分子導入の同時制御技術に関する研究 R5~R8 野菜育種栽培室 プラズマ処理した植物体の安全性評価を行い、ゲノム編集による品種改良にプラズマ法が適用可能か検証する。植物体は本県において特産化が進むサトイモを用いる。導入には未分化の状態であるカルスに加えて、サトイモ副芽生長点への導入条件を確立し、その後正常に分化するか確認する。またマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、エピジェネテッィクな遺伝子発現の有無を調査することで、安全性を検証する。 〇植物カルスへの導入条件最適化のため、サトイモカルスのインピーダンス解析結果をもとに蛍光たんぱく質等の高分子導入条件を検討し、インピーダンス測定結果よりプラズマ駆動周波数2kHz以下が良いと判断された。また、分子量250kDaの蛍光分子の場合、周波数500Hzで蛍光輝度の上昇を確認した。
また、茎頂分裂組織への導入条件最適化のため、サトイモ副芽成長点のインピーダンス解析結果をもとに蛍光たんぱく質等の高分子導入条件を検討し、3カルスのインピーダンス測定結果より、周波数を100Hzから1kHzの範囲で最適条件を検討した結果、カルスで導入された周波数より低い250kHz付近で高い蛍光を示すことを明らかにした。
 
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広域連携型農林水産研究開発事業費
愛媛県育成サトイモ品種‘媛かぐや’のセル苗機械移植の実証 R6~R7 野菜育種栽培室 加工業務用の需要が高まっている‘媛かぐや’について、当所が開発したセル苗移植栽培のメリットをさらに活かすために、既存の移植機を用いたセル苗機械化移植作業の省力体系構築を目指す。

〇機械移植に適するセル苗規格を選定すべく、50穴(慣行区)と72穴(試験区)におけるセル苗生育、機械移植の可否、移植後の地上部生育および収量を調査しており、72穴で機械移植精度が高く、育苗中の生育は50穴と差はなかった。移植後の地上部生育は50穴で草丈が高くなったものの根張りの状況および作業時間に差は無く、セル苗生産に係る資材費は72穴で少なかった。

 

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広域連携型農林水産研究開発事業費
生分解性マルチ(カエルーチ超長期タイプ)のサトイモへの適用可否の検証 R6~R7 野菜育種栽培室 県内に普及しているサトイモの全期マルチ栽培において、多大な労力やコストがかかり課題となっているマルチ除去作業について、自然分解することで省力化を実現する生分解マルチの導入を検討するため、生育期間の長いサトイモ栽培に対応し得る分解の遅い製品について検証する。 〇慣行のポリマルチと比較した結果、9月および11月の芋部収量についても大きな差は無かった。
また、土入れの有無による分解程度を評価した結果、土入れを実施しない区では、子茎の出芽によるマルチの浮き上がりが発生したとともに、サトイモ収穫後のマルチが残存した畝をトラクタですき込んだ際、土入れを実施した区に比べマルチ残存量が多い傾向となった。
サトイモ全期マルチ栽培における「生分解マルチ」の利用 [PDFファイル/167KB]
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広域連携型農林水産研究開発事業費
「AI農業社会実装プロジェクト」自然環境下での野菜類の生育収量シミュレータの開発研究 R6~R7 野菜育種栽培室 農林水産研究所内でキャベツ及びレタス、今治市の協力農家でキャベツ、伊予市の協力農家でレタスを栽培し、生育収量予測モデル開発に必要となる環境、生育、栽培管理などのデータを圃場に設置したセンサー等により収集して農研機構に提供する。 〇自然環境下での葉菜類の生育収量シミュレーターの開発のため農林水産研究所においては、キャベツとレタスを、現地協力農家として今治市の農家についてはキャベツ、伊予市の農家についてはレタスをそれぞれ栽培し、生育調査サンプルおよび圃場に設置したセンサー等により土壌水分データ等の収集を進めている。  
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広域連携型農林水産研究開発事業費
いつでも直播:春の作業ピークを平準化できる革新的稲作技術 R6~R10 作物育種栽培室 本県の水稲栽培は水利上、各地域での移植可能時期が2週間程度と限られており、移植期の作業負担は大きくなっている。本研究では初冬期~早春の直播体系を確立することでこれまで春に限られていた水稲の播種期を担い手のスケジュールにあわせて自由に選べるようにし、春の移植期の作業負担の軽減を図り、経営の安定化に寄与することを目的とする。 ○初冬~早春に乾田直播を実施。水稲は春以降に出芽するため、次年度より調査を実施予定。  
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