本文
動物由来感染症
動物由来感染症とは?
「動物由来感染症」とは、動物から人間へうつる感染症をあらわす言葉です。
我が国は、温帯に位置する島国と言う地理的要因のため、熱帯・亜熱帯に多いとされている動物由来感染症が近年までほとんどありませんでした。
しかし、現在の交通手段の発達による人や物(動物も含む)の膨大な移動、経済発展に伴う地球環境の変化、海外から輸入される動物や野生動物のペット化などを背景として、従来知られていなかった感染症の発生や昔あった感染症の再発生が危惧されています。
注意することは?予防策は?
狂犬病予防注射と登録
犬の飼主には、狂犬病予防のため、法律による義務づけがなされています。住所地の市町の窓口にお問合せください。
過剰なふれあいは控えましょう
細菌やウイルスなどが動物の口や爪の中にいる場合があります。口移しでエサを与えたりスプーンやはしの共用はやめましょう。
動物をふとんにいれて寝ることも、注意が必要です。
動物に触ったら必ず手を洗いましょう
動物には病気を起こさなくても、人には病気を起こす病原体がいることもあります。動物と遊んだ後は必ず手を洗いましょう。
野外で遊んだあとも必ず手を洗いましょう
野外で遊んだ後も必ず手を洗いましょう。特に子供の砂あそび、ガーデニングの草とりや土いじりをした後は、充分に手を洗いましょう。
また、糞を見つけたら速やかに処理しましょう。犬や猫を飼っている人は、自分の敷地外を汚さないようにしましょう。
動物の身の回りは清潔にしましょう
飼っている動物はブラッシング、爪切りなど、こまかく手入れをして清潔にしておきましょう。
小屋や鳥かごなどはよく掃除をして、清潔を保ちましょう。タオルや敷物、水槽などは細菌が繁殖しやすいので、こまめな洗浄が必要です。
糞尿はすみやかに処理しましょう
鳥やハムスターなどの糞便が乾燥すると空中に漂い、吸い込みやすくなります。糞便に触れたり吸い込んだりしないよう気をつけ、早く処理しましょう。
室内で動物を飼育する時は換気を心がけましょう
輸入野生動物の家庭での飼育はやめましょう
感染症予防のためにも、また動物資源保護の観点からも、輸入及び国内にいる野生動物の飼育はやめましょう。
過剰に恐れる必要はありません
正しい知識を持ち、適切な予防対策を行っていれば、何ら恐れる必要はありません。
わたしたちも、地球上で暮らす動物の一員です。さまざま動物との絆を大切にしてゆきましょう。
わが国や外国で発生している主な動物由来感染症
群 |
動物種 |
主な感染症 |
予防のポイント |
---|---|---|---|
ペット動物 |
犬 |
パスツレラ症、皮膚糸状菌症、回虫症、狂犬病 |
節度あるふれあい 手洗い |
ねこ |
猫ひっかき病、トキソプラズマ症、回虫症、Q熱、狂犬病 |
||
小鳥 |
オウム病 |
||
観賞魚等 |
サルモネラ症 |
||
野生動物 |
プレーリードック |
ペスト、野兎病 |
病気について不明なことも多いので、一般家庭での飼育は控えるべき |
リス |
ペスト、ハンタウイルス肺症候群、野兎病 |
||
アライグマ |
狂犬病、アライグマ回虫症 |
||
コウモリ |
狂犬病、リッサウイルス感染症、ニパウイルス感染症、ヘンドラウイルス感染症 |
||
キツネ |
エキノコックス症、狂犬病 |
||
サル |
Bウイルス病、細菌性赤痢、結核 |
||
野鳥・カラス |
オウム病、ウエストナイル熱 |
||
ネズミ |
レプトスピラ症、ハンタウイルス肺症候群、腎症候性出血熱 |
||
家畜 |
ウシ、家きんなど |
Q熱、クリプトスポリジウム症、腸管出血性大腸菌感染症、高病原性鳥インフルエンザ |
適切な衛生管理 |
※太字はわが国で病原体がいまだ、もしくは長期間発見されていない病気