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カンキツ栽培におけるスマート農業技術の実証について


愛媛県西宇和地域(八幡浜市・西宇和郡伊方町・西予市三瓶町)には、リアス海岸沿いの急傾斜地に「耕して天に至る」と形容される石積みの段畑が広がっています。
太陽光のほかに海や石垣からの反射光を加えた通称「3つの太陽」が降り注ぐ段畑は高品質な果実生産に適した天恵の園地であり、西宇和産カンキツの名声を高める要因ともなりましたが、労働環境は厳しく、人手不足が深刻となる中で更なる省力化技術の導入は避けては通れない課題となっています。
また、毎年安定して高品質果実を生産する技術の習得には長年の経験が必要とされ、こうした知見をデータ化し、新たにカンキツ栽培を始めた方でも熟練者と同等の栽培管理ができる支援技術の確立も求められています。
これらの課題に対し、当室のほか西宇和農業協同組合、愛媛県農林水産研究所、ベンダー企業等で組織する協議会では令和元年度に国のスマート農業加速化実証プロジェクト(課題名:未来型柑橘生産に向けたAI等先端技術の導入によるスマート営農体系の実証(果G08))に参画し、これを契機に以下の技術の確立や普及に向けて取り組んでいます。
西宇和地域で実証に取り組んでいるスマート農業技術
1.気象ロボットとクラウドアプリ導入による栽培管理の最適化
カンキツ園地に気温、降水量など計8項目を測定できる気象ロボットを設置し、これらの推移と果実品質との相関を調べています。
また、マルドリ栽培導入園地における適度な乾燥ストレスを与えるための栽培管理方法について、熟練した栽培農家の管理技術を見える化し、他の農家の栽培技術向上に役立てています。
設置した農家は、得られたデータや園地で撮影される画像をパソコンやスマートフォンでいつでも閲覧でき、園地に行かなくとも現状を把握することができます。
2.AI選果機による選果作業の省力化
AI(人工知能)を活用した画像処理技術により、従来の機械ではできなかった果実の外観の違いによる選別機能を有した選果機です。
選果作業は収穫直後の夜に連日家族総出で行われることも多く、疲労が残る中での辛い作業となっています。
この選果機の導入によって少ない人数で迅速に選果を終えることができるほか、初心者に任せて熟練者が収穫に専念できるなど、省力化に貢献しています。
導入した農家の意見を反映しながら選果精度向上のための改良にも努めています。
3.アシストスーツによる軽労働化
園地や倉庫で1箱約20kgのキャリを運搬する際の体への負担を軽減するため、園内での移動が容易な簡易タイプのアシストスーツを数種類導入し、貸し出しや試着の機会提供を行っています。
4.農業用ドローンを活用した防除・施肥作業の省力化
主にスプリンクラー施設の無い園地における省力化技術として注目し、実証ほを設けて防除効果等を調査しています。
約30アール(3,000平方メートル)の傾斜地にある園地を手散布であれば2~3時間かかるところ、ドローンは約45分(飛行時間約15分)で終えることができ、炎天下でも合羽を着てホースを引っ張る必要もなく、高い省力効果が期待できる技術です。
スマート農業技術の見学・体験について
1.気象ロボット・AI選果機の見学
農業の関係機関及び教育機関並びに機器の導入を検討している農家の方からの御依頼による見学は事前予約制により承ります。当室担当者まで御相談ください。
なお、収穫・選果作業に支障が生じるため、カンキツの収穫盛期の現地への御案内はいたしかねます。予め御了承ください。
2.アシストスーツの着用体験・貸し出し
また、農家の方(西宇和地域でカンキツを栽培している方に限ります。)には、一定期間貸し出しを行っております。当室担当者まで御相談ください。
3.農業用ドローンの散布作業見学
こちらは、天候によって実施する日時を急遽変更することがありますので、予め御了承ください。
(見学者のためのデモンストレーション飛行は承っておりません。)









