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試験研究報告19要約

ページID:0001305 更新日:2023年9月12日 印刷ページ表示

黒毛和種牛における過剰排卵処理後のGn-RH投与および人工授精(AI)回数が採胚成績に及ぼす影響

綱崎誠、木下政健、渡部正哉

黒毛和種牛の採胚成績向上を目的とし、過剰排卵処理後の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)投与時期及び人工授精(AI)回数が排卵動態及び採胚成績に及ぼす影響について検討した。過剰排卵処理時のプロスタグランジンF2α(PG)投与後56から72時間までの間の排卵数は、PG投与後32時間目GnRH投与区(19.6±5.1個)が、対照区(10.2±2.5個)に比べ有意に(P<0.05)多かった。また。総排卵数に対するPG投与後56から72時間までの間の排卵割合が、PG投与後48時間目GnRH投与区(68.7%)が対照区(60.8%)に比べ有意(p<0.05)に高く排卵の集中化が認められた。採胚成績において、goodランク以上胚率は、PG投与後32時間目GnRH投与区および対照区において54.9%、68.8%であり、PG投与後48時間目GnRH投与区および対照区において69.4%、58.8%であった。また、未受精卵率は、AI回数をPG投与後56時間目に1回としたPG投与後48時間目GnRH投与1区および対照1区が、19.1%、34.9%であり、AI回数をPG投与後56及び72時間目に2回とした投与2区及び対照2区の7.5%、8.0%に比べ有意(p<0.05)に高かった。また、AI回数に関わらずgoodランク以上胚率は、PG投与後48時間目のGnRH投与区(投与1区;58.5%、投与2区;69.6%)が未投与区(対照1区;47.3%、対照2区;61.5%)と比べ高い傾向を示した。以上のことからPG投与後48時間目のGnRH投与は、PG投与後56から72時間目の間に排卵を集中させ、良質胚(Excellent,goodランク胚)率を向上させる可能性が示唆された。しかし、AIをPG投与後56時間目1回とする場合、PG投与後56及び72時間目2回とする場合と比較し採胚成績が低下することが明らかとなった。

キ-ワ-ド:黒毛和種、過剰排卵処理、GnRH、卵巣動態

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黒毛和種経産牛における過剰排卵処理前のGn-RH投与が卵巣動態及び採胚成績に及ぼす影響

木下政健、綱崎誠、渡部正哉、佐伯拡三

過剰排卵(superovlation、以下SOV)処理のホルモンに対する卵巣の反応性を向上させることを目的とし、SOV処理前のGn-RH製剤投与が卵巣動態及び採胚成績に及ぼす影響について検討した。供試牛として、当場繋養の黒毛和種経産牛を用い、自然発情後7~12日目にGn-RH製剤(酢酸フェルチレリン100μg)を筋肉内投与し、投与後48時間からSOV処理を開始する区、自然発情後7日目に同量のGn-RH製剤を投与し、24時間または96時間後からSOV処理を開始する区及び無処理の対照区を設けた。なお、供試牛の卵巣は、Gn-RH製剤投与時からSOV処理開始まで、5MHzのリニア型探触子を装着した超音波診断装置を用い、24時間毎に観察し、大卵胞(8mm以上)の排卵・退行及び発育状況について調査するとともに、中卵胞数(5mm以上8mm未満)及び小卵胞数(5mm未満)の動態についても調査した。さらに、同様の観察方法により、採胚時の黄体数についても調査するとともに、採胚後の回収胚数及び正常胚数を調査した。

その結果、SOV処理前にGn-RH製剤100μgを投与したことにより、供試牛の卵巣中に存在した大卵胞は、投与後24時間以内に20%(1/5)、投与後24~48時間以内に70%(7/10)の割合で完全に消失した。さらに、大卵胞が完全に消失した供試牛では、全頭で投与後24~48時間の間に、中卵胞の増加が観察された。しかしながら、投与後24時間及び48時間からSOV処理を開始した試験区から回収した正常胚数は、各々0.2±0.4個、1.0±1.2個であり、96時間後からのSOV処理開始及び無処理の対照区の正常胚数(各々5.8±2.3個、5.3±3.4個)と比較し有意に低い値であった。

以上のことから、SOV処理前にGn-RH製剤100μgを投与することにより、投与後48時間以内に大卵胞の存在しない個体を増加させ、新たな卵胞波を誘起することは可能であるが、その後の採胚成績においては、投与後48時間以内のSOV処理開始は採胚成績(特に、正常胚数)を低下させ、96時間後からのSOV開始は、通常の無処理の成績と同等の成績になることが明らかとなった。

キ-ワ-ド:過剰排卵処理、Gn-RH製剤、卵巣動態、採胚成績、黒毛和種経産牛

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乳牛における泌乳量の違いが乳脂率、乳蛋白質率および乳中尿素態窒素濃度に及ぼす影響

家木一、佐伯拡三、戸田克史

乳牛における泌乳量の違いが乳脂率、乳蛋白質率および乳中尿素態窒素(MUN)濃度に及ぼす影響とその要因を検討するため、愛媛県内12戸の酪農家で繋養されているホルスタイン種泌乳牛のべ1,082頭について、泌乳量、乳成分および飼料給与状況の野外調査を実施した。その結果、1)乳脂率は、泌乳前期(分娩後100日以内)では牛群間の差を認めなかったが、中期(分娩後101~200日)と後期(分娩後201日以降)では高泌乳牛群が低泌乳牛群に比べて低い値を示した(P<0.05)。2)乳蛋白質率は、全泌乳期間を通じて高泌乳牛群が低泌乳牛群に比べて低い値を示した(P<0.05)。3)MUN濃度は、全泌乳期間を通じて高泌乳牛群が低泌乳牛群に比べて高い値を示した(P<0.05)。以上のことから、乳脂率、乳蛋白質率およびMUN濃度は、泌乳量の違いによって異なることが明らかになった。

キーワード:乳牛、泌乳量、乳脂率、乳蛋白質率、乳中尿素態窒素

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不耕起栽培による飼料生産体系の検討-自然落下種子を活用して-

竹中尚徳、村上恭彦、嶋家眞司、佃勝美、佐竹康明

夏作にスーダングラス、冬作にイタリアンライグラスを供試し、自然落下種子を活用した飼料作物の不耕起周年栽培体系について検討を行った。スーダングラスについては、前年株からの再生、自然下種からの発生により、翌年、翌々年とも収量は確保され、不耕起での栽培が可能であった。なおこの時、自然下種由来収量が収量に占める割合は、翌年で11%前後、翌々年で5%前後であった。一方、イタリアンライグラスについては自然下種からの発生が悪く、完全な周年栽培体系の確立まではいたらなかった。自然落下を目的として結実期まで生育させたスーダングラスの最終番草の採食比率を検討したところ、イタリアンライグラス(82.75%)、ギニアグラス(60.60%)に比べ5.66%と低かった。イタリアンライグラスについても同様の傾向が見られ、自然落下を目的として結実期まで生育させた最終番草は嗜好性が低下し、敷き料など有効利用するのが望ましいことが確認された。スーダングラスにおいて翌年に自然落下種子利用を目的として刈取りをする場合、発芽および初期生育が良かったこと、最終番草を除いた収量が1064kg/10aと最も多かったこと、最終番草に占める穂の割合が26%と高かったことなどから、刈取り草丈は150cmで多施肥(堆肥を6t/10a、化成肥料でN、P2O5、K2O各15kg/10a)の条件が適していると推察された。

キーワード:不耕起、自然下種、スーダングラス、イタリアンライグラス

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