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試験研究報告17要約

ページID:0001303 更新日:2023年9月12日 印刷ページ表示

バイオプシー後の培養時間が凍結性判別胚の生存性と受胎性に及ぼす影響

佐伯 拡三、木下 政健、沖本 宏

バイオプシーを実施した牛胚を3~5時間もしくは20~24時間培養後の凍結が、融解後の胚の生存率およびダイレクト移植後の受胎率に及ぼす影響について試験を行った。その結果、合計90個の胚で性判別を試み、78個(86.7%)で性判別できた。そして、性判別胚移植により4頭の産子を得、その性はすべて性判別結果と一致していた。凍結-融解後24時間及び48時間目のバイオプシー胚の生存率は、3~5時間培養胚において60.0%(6/10)、50.0%(5/10)であり、20~24時間培養胚においては共に46.7%(7/15)であった。また、ダイレクト移植後の受胎率は、Intact胚において50.0%(26/52)であったのに対して、3~5時間培養胚では27.8%(5/18)、20~24時間培養胚では14.3%(1/7)であった。

以上のことから、バイオプシー後の胚の培養は3~5時間の短時間培養を行うことが適当であると推察された。また、今回行った凍結性判別胚の作出方法では、凍結-融解後の生存率が低かったことが、移植後の受胎率の低下を招いたものと考えられた。

キーワード:牛胚、性判別、培養時間、生存率、受胎率

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緩慢冷却法における細胞内耐凍剤(1.8M Ethylene Glycol)へのTrehalose添加が牛体外成熟卵子の凍結融解後の生存性およびその後の発育能に及ぼす影響

木下 政健、佐伯 拡三、沖本 宏

本実験では、各濃度(0,0.1,0.2M)のTrehaloseを含む1.8M Ethylene Glycolを耐凍剤として用い、緩慢冷却法により牛体外成熟卵子を凍結保存し、融解後の生存性及びその後の発育能に及ぼす影響について検討を加えた。

凍結融解後、形態的に正常と判定した成熟卵子の割合は0.2M Trehaloseを含む1.8M Ethylene Glycol区が他の試験区と比較し有意に高い値を示した(P<0.01)。受精検査では、全試験区において、受精はしているものの雄性前核が形成されていない異常受精像が散見された。また、新鮮体外成熟卵子を用いた対照区と比較し、0.2M Trehaloseを含む1.8M Ethylene Glycol区では、未受精卵率の有意な上昇が認められた(P<0.05)。体外培養系を用いた発育能検査においては、0.2M Trehaloseを含む1.8M Ethylene Glycol区が他の試験区と比較し、分割率、胚盤胞発生率ともに、有意に高い値を示した(P<0.01)。しかし、それらの値(各々36.9%、4.3%)は、対照区と比較すると有意に低いものであった(P<0.01;対照区の分割率75.6%、胚盤胞発生率36.3%)。

また、0.2M Trehaloseを含む1.8M Ethylene Glycol区から作出した胚盤胞期胚を、0.1M Trehaloseを含む1.5M Ethylene Glycolを耐凍剤として用い再凍結保存後、3頭の受胚牛に移植した結果、全頭で受胎が確認された。

以上の結果から、緩慢冷却法により、牛体外成熟卵子を凍結保存する際に、細胞内耐凍剤として1.8M Ethylene Glycolを使用した場合は、細胞外保護物質であるTrehaloseを0.2M添加することによって、凍結融解後の生存性及びその後の体外発育能が改善されることが明らかとなった。さらに、0.2M Trehaloseを含む1.8M Ethylene Glycolを耐凍剤として用いた凍結融解成熟卵子から作出した胚盤胞期胚は、再凍結融解後も受胎能を高率に保持している可能性が示唆された。

キーワード:牛体外成熟卵子、耐凍剤、発育能、Ethylene Glycol、Trehalose

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乳牛へのセレン給与が分娩後の黄体機能の回復に及ぼす影響

家木 一、藤岡 一彦、戸田 克史

最近、セレン(Se)の重要性が認識されるようになり、乳牛においても、Seの効能に関する研究が進められている。そこで、乳牛へのSe給与が分娩後の黄体機能の回復に及ぼす影響を明らかにするために試験を行った。

本試験は、ホルスタイン種雌牛14頭を用いて行い、これらの血液中Se濃度とプロジェステロン濃度の動態を調査した。その結果、以下の知見を得た。

  1. 分娩後7日目以降の血中Se濃度はSe供給区の方が非供給区よりも有意に高くなった(P<0.05)。また、血中プロジェステロン濃度は、Se供給区で分娩後早期に増加する傾向がみられた。このことから、Seの充足が分娩後早期の黄体機能回復につながる可能性が示唆された。
  2. 非供給区の血中Se濃度は、試験期間を通じて極めて低かった。このため、黄体機能が回復する時期においては、積極的にSeを供給する必要があるものと思われた。

キーワード:セレン、プロジェステロン、黄体機能回復

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膣内投与型プロジェステロン徐放性性周期同調剤(CIDR(TM))とプロスタグランジン(PG)を組み合わせた性周期同期化方法の効果判定

家木 一、藤岡 一彦、戸田 克史

近年、乳牛の飼養規模は増大傾向にある。このことが、発情の発見を困難なものにしており、結果として、授精適期を逃し、空胎期間を延長している。そこで、性周期を同期化して、発情観察期間を集中させることが、発情の見逃しを防ぐための有効な手段であると考えられる。

本試験は、CIDRとプロスタグランジン(PG)を組み合わせた性周期同期化方法(CIDR+PG法)の有効性について検討した。試験は、ホルスタイン種16頭を用いて行った。性周期を3つに区分し、各時期からCIDR+PG法を開始して、それぞれの性周期同調効果を調べた。その結果、以下の知見を得た。

  1. 93.8%の牛が、CIDR+PG法の終了から3日以内に発情を発現し、CIDR単独使用時と比較して、高い性周期の同調効果が認められた。
  2. CIDR+PG法の終了後、人工授精や、受精卵移植による受胎率は16.6%であった。

これらのことから、CIDR+PG法は精度の高い性周期の同期化技術であることが認められた。しかし、CIDR+PG法を行った場合の受胎成績については、さらに検討していく必要がある。

キーワード:CIDR、PG、性周期同期化、受胎率

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暑熱環境が搾乳牛の乳生産および生理機能に及ぼす影響(第2報)

戸田 克史、藤岡 一彦、家木 一

暑熱環境が搾乳牛の乳生産および生理機能に及ぼす影響を明らかにするため、ホルスタイン種搾乳牛5頭を用い、5月から9月にかけて調査を行った。その体感温度と生産および生理機能との関係において以下のような知見が得られた。

  1. 非線形回帰分析の結果、呼吸数は体感温度19.6℃、平均体温は21.5℃、そして直腸温は21.7℃から上昇し始めた。
  2. 体感温度と乳量、乳成分生産量および乾物摂取量を時系列解析した結果、体感温度の上昇は当日の乾物摂取量、3日後の乳量、補正乳量、および乳蛋白、乳糖、無脂固形分の各生産量に影響することが認められた。乳脂肪生産量は相互相関係数が4日目に負の最大値となった。
  3. 乳量低下は6月下旬から明らかとなり、その低下割合は、乳量期待値の約10%、あるいは約13%であった。
  4. 暑熱対策は5月から開始し、6月から8月にかけては夜間も送風などを行う必要があると思われた。

キーワード:搾乳牛、体感温度、乳生産、呼吸数、直腸温、平均体温、暑熱

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スーダン型ソルガムの小型ラップサイレージ調製給与技術

  1. ソルガムラップサイレージの調製適性の解明(第3報)

佐竹 康明

小型ロールベーラの稼働率向上と粗飼料の周年安定確保のため、小型ロールベーラに適したスーダン型ソルガムの栽培ならびに、ラップサイレージの調製技術を検討した。

その結果、播種時期による乾物収量は、5月下旬播種が1,100~1,300kg/10a、6月中旬播種が560~670kg/10aであった。1番草の播種量8kg/10a以上の稈径は、播種量間に有意な差が認められなかった。この傾向は、硬度においても同様であった。草丈200cm以上に達した時の乾物収量は、150~200cm刈取時に比べ1.5倍以上の多収を示した。しかし、稈径および硬度は、草丈200cm以上で刈り取ることにより、150~200cm刈取時に比べ有意に増加した。よって、小型ロールベーラに適したスーダン型ソルガムの栽培は、播種量8kg/10a以上の散播とし、草丈150~200cm時に刈り取ることが必要と考えられる。また、播種時期は、5月下旬播種により慣行栽培と同程度の乾物摂取量が見込めると推測された。

キーワード:小型ロールベーラ、スーダン型ソルガム、小型ラップサイレージ

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スーダン型ソルガムの小型ラップサイレージ調製給与技術

  1. 高品質サイレージ調製における添加物の効果(第2報)

佐竹 康明

小型ロールベーラの稼働率向上と粗飼料の周年安定確保のため、小型ロールベーラに適したスーダン型ソルガムのラップサイレージ栽培調製技術を検討した。

その結果、中水分(55~74%)区による発酵品質は、高水分区(75%以上)と比較して何れの貯蔵期間においても良好で、90日の保存でも品質の低下が少なかった。添加物による高水分区の発酵品質は、無添加区に比べギ酸製剤区による改善効果が顕著であり、嗜好性も変わらなかった。中水分区の添加物による発酵品質は、何れの添加区においても無添加区より悪く、嗜好性も有意(P<0.05)に低かった。

以上から、小型ラップサイレージは、中水分材料草で調製すると、発酵品質が良好であった。高水分材料草で調製する場合は、ギ酸製剤の添加により発酵品質が改善できた。

キーワード:小型ロールベーラ、スーダン型ソルガム、添加物

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