本文
県民文化会館及び周辺県有地「活用の方向性」の改訂に関する記者発表の要旨について
日時:令和7年10月29日(水曜日)11時00分~11時26分
場所:知事会議室
【記者発表資料】
・県民文化会館及び周辺県有地 活用の方向性 [PDFファイル/966KB]
・県民文化会館及び周辺県有地 活用の方向性(概要版) [PDFファイル/3.34MB]
(毎日新聞社(幹事社))
それでは、臨時記者会見を始めます。本日は県民文化会館及び周辺県有地 活用の方向性の改訂について発表があると聞いております。それでは知事、よろしくお願いいたします。
(知事)
はい。大変お忙しい中、臨時の会見、お集まりいただきましてありがとうございます。県民文化会館周辺の県有地活用につきましては、ご案内のとおり、ここ1、2年の急速な建設費高騰に伴う収益性確保が課題となりまして、昨年の8月に事業協力者募集を一旦中止させていただきました。その後、さまざまな議論を積み重ねる中で、改めて官民の役割分担や必要なMICE機能等について検討を積み重ねてきたところでございます。
今年7月からは、有識者が参画する検討会議におきまして、さまざまな視点から幅広く議論をいただき、このたび、活用の方向性を改訂いたしましたので、発表をさせていただきます。スライドを映しながら説明をさせていただきたいと思います。
まず基本的な考え方につきましては、従来どおりであり、本県の将来の発展を見据えて、瀬戸内エリアでの中核拠点性の維持・向上等を図るために、MICE機能の強化が必要であると、県民文化会館、先人の思いで建てられましたが、これも活用する。当時は国際会議というのを想定したという記録も残っているのですが、当時の国際会議と、今日の国際会議では形も規模も全く異なっております。また、国際化が一気に進みまして、地方においてもそうした会議が頻繁に開かれるような時代にもなってまいりました。そういう意味ではMICE機能の強化が必要であるという認識をさせていただいたのですが、それには変わりなく、民間の力を最大限活用し、本事業を推進していきたいと考えております。
次のスライドになります。MICE機能の強化に当たりましては、丹下健三氏が設計し、文化的価値も高く、かつ大規模な式典や会議が開催できる県民文化会館を先ほど申し上げましたように、引き続き有効に活用しつつ、不足する機能を整備していくということが方針となっております。
次のスライドです。機能強化による効果は多岐にわたっておりまして、交流人口の拡大による経済効果などに加えまして、県民文化会館周辺エリアの魅力向上が豊かな県民生活やにぎわいの創出に寄与すること、さらにはこれらの相乗効果により、県民のシビックプライド醸成などにつながるものと期待をしています。
MICE機能強化に向けて、重視する視点として、まず誘致ターゲットをどうするか。これにつきましては、地域への経済波及効果が高い国際会議や、2千人から2500人、これいろいろなケースも想定しまして、他県の国際会議の動向であるとか、全国大会の規模であるとかいろいろなものをして分析しまして、結果として、この段階では2千人から2500人規模の学会・大会などに設定をさせていただきました。
また、誘致力の強化に向けましては、県や市町、関係機関等で緊密なネットワークを形成し、オール愛媛で誘致する体制を構築するとともに、MICE拠点の整備段階から誘致に向けた営業活動を並行して開始したいと考えております。
施設整備では、これまでの民間主体による整備方針、MICE機能そのものは民間企業からすれば、なかなか収益が上げにくいという要素もあって、二の足を踏むような施設も出てくる分野でもあります。こうしたことも民間資金でと当初考えていたのですが、なかなか資材の高騰等も重なって、これが足かせになっているという状況でありましたので、この整備方針を一部見直しすることといたします。
県の方で、県民文化会館の設備拡充や、県有地2と3になりますけれども、この2と3における会議施設、駐車場等の整備を担います。そして、民間事業者には、県有地の1になりますけれども、こちらにおける宿泊施設等の整備に集中的な投資をいただく形を想定しています。この分野で民間の投資を誘発するということを目指してまいります。なお、あくまで現時点の想定であり、民間からここはこうしたらどうかなと、いろいろな提案が出てくることも可能性としてはありますので、この辺りは柔軟に対応していきたいと考えております。
次のスライドです。県民文化会館の設備拡充に当たりましては、MICE主催者のニーズを充たし、競争力強化につながる内容を優先的に検討してまいります。また、これを補完する会議施設については、県民文化会館、大ホールと中ホールありますけれども、国際会議、全国大会等を誘致するときに、明らかに不足している施設がございます。それは、定員200から300人規模の会議室を三つから四室程度。そして1500平米から2千平米程度の平土間ホール、こちらを1室備える規模を想定しております。これも他の状況等も十分勘案した上でたどり着いたところでございます。
次になります。松山市内にはMICE開催に伴い、招待されるVIPやインバウンド富裕層の受け皿となるグレードやコンセプトを備えた宿泊施設等は、皆さんもご案内のとおり不足している状況でございます。民間事業者にはVIPにも対応できる質の高い客室等の提供、これに加えまして、MICE参加者の利便性向上や恒常的なにぎわいの創出につながる飲食・物販など、民間事業者の自由な提案に基づく付帯施設の整備を期待しています。
次のスライドでございます。今後は11月の上旬から、民間事業者の参入意向等を把握するサウンディング調査を開始することとしておりまして、その結果を踏まえて公募要件や募集再開時期を精査してまいります。民間事業者にとっては、高止まりする建設コストを踏まえた上での収益性の確保が重要なポイントとなるだろうと思います。
県としては、投資環境の動向を見極めつつ、少しでも事業化の可能性が高い公募要件を整えて、事業協力者募集を再開できるよう準備を進めたいと考えておりまして、引き続き本県の持続的な発展を見据えたMICE関連施設の整備に向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。以上です。
(毎日新聞社(幹事社))
はい。ありがとうございます。それではただいまの発表事項に関して、質問のある社はお願いいたします。
(愛媛新聞社)
すいません、愛媛新聞です。
先ほど知事からもお話あったんですけれども、改めて県民文化会館の周辺の土地の可能性っていうところと、県としてその会議室を整備する意義、なぜ県が整備しないといけないのかというこの2点を教えていただければと思います。
(知事)
一度整理しますと、この県民文化会館は本当に国際会議も想定した施設として、先人の時代に建てられた施設でございます。非常に斬新的な丹下健三さんのデザインによって作られましたけれども、ある意味では大きな大会であるとか、こうしたことに本当に有効に機能してきた歴史を刻んできました。そして先人の時代に、前の土地を県が取得し、長らく駐車場として活用していかれた経緯があります。ここについては将来どうするのかというのは、おそらく時代時代でいろいろな意見があったと思います。
知事就任した後にですね、いろいろと考えてはいたのですが、間もない頃に松山市の経済団体から、水族館の建設を市とともに考えていきたいので、ぜひ県も協力をという依頼がまいりました。それをずっと待っている状況が続いていましたけれども、市との協議がなかなか進まなかった経緯もあって、8年ぐらい答えをいただかないまま塩漬けの状態になっていたので、われわれとしても身動きが取れない状況にございました。
3年ほど前でしたか、市との話し合いの上に諦めるというような話が正式に県の方に寄せられた経緯があります。それを受けて、速やかに足かせがなくなったので、速やかに動こうということで、せっかく県民文化会館という施設がありますから、これを連動させることが有効活用につながるのではないかなという発想から、MICE機能は昨今、冒頭に申し上げましたように、国際情勢や会議のあり方、今度もVelo-cityの誘致に成功しましたけれども、こういった地方における国際会議の情勢も変わってきていますので、MICE機能を整備することによって、より一層、県民文化会館の機能が生かせるのではないだろうかということを、いろいろな方々からご意見を頂戴し、絞り込んでまいった経緯がございます。
当初の段階では民間資金をどう有効活用するか、投資を引っ張る、誘引するかということを前提に物事を組み立てていったのですが、非常に場所がいいということもあって、関心度は高いというのは当時から受け止めていました。ただ、ご案内のとおり、途中で円安等々も進み、建設資材の高騰、人件費の高騰、民間の施設もなかなか入札に応じられないケースが多発するような状況に至りました。
この段階では、MICEの機能、いわば会議機能ですね。これは民間からすれば、収益がなかなか上げにくいということもあって、ここが足かせになって、条件としてここも民間投資をというふうなことを考えていたのですが、その機能まで考えた上でVIP対応のホテルということになると、周辺の状況からして厳しいというような状況変化が生まれましたので、1回そこを見直すという決断をしたのが昨年でございます。その結果、先ほど説明したようにMICEの機能は公の機能でもありますので、県が担い、そして民間には対応する宿泊施設に集中していただくという役割分担を明確にさせていただきました。こうした中でですね、議論が進んで今日に至っているところでございます。
となると、どうなるか分かりませんけれども、県民文化会館および補完する今日の国際会議に足らざる施設の強化、そこにVIPにも対応する国際会議にも対応する宿泊施設、これが今、松山市にはありませんので、これらを複合的に組み合わせることによって化学変化を起こして、地域の活性化に結び付くのではなかろうかと考えております。そういう意味では、県文、道後、そしてあの周辺の土地含めて、有効に街の活性化に結びつけることは十分可能性があるというふうに判断をしてます。
それから意義についても同じでありまして、今、重複になりますけれども、県民文化会館という先人の施設をいたずらに時代の変化を無視して存続するのではなくて、こうしたことをMICEの事業を組み合わせることによって、より一層、有効活用できるということが一番最大の大きな意義ではなかろうかというふうに思っています。
(テレビ愛媛)
すいません、テレビ愛媛です。
この補完する施設なんですが、県文の別館というような位置づけなんでしょうか。
(知事)
そうですね、つなぐような仕組みも必要だと思うんですけれど、例えば通路であるとか。だから別館というような形になるのかどうかはちょっと今の段階では分かりませんけれども、いずれにしましても、あの当時確か僕はもう帰ってきた頃のことなんですけれども、国際会議にも対応する施設というのが県民文化会館の当時の売りだったと思います。
ただ、当時の国際会議というのは地方にはそんなに来ないし、あの大きなホールがあれば、あと平場の下があればなんとか対応できるのかなと。それに翻訳機能があればできるのではないかなというぐらいの時代だったので、あのような形になってると思うのですが、昨今の国際会議が分科会であるとか非常に多様な対応が必要になってきてまして、その意味では今の県民文化会館に圧倒的にMICEの機能として不足しているのは、200から300人規模の複数の会議室。これがセットにならない場合どうなるかというと、会場を別のところに移動して行うとか、これが誘致のときの最大の足かせになってしまうということもありました。それと同時にやはり宿泊施設の問題で、市内ここ10年で東京第一ホテルが閉鎖され、それから道後が全部やめたとは言わないですけれど宴会もやめ、こうしたような状況が続いてるので、これは本来、松山市のまちづくりのプランでやるべきことなのですが、県としてもあそこに活用すべき土地がある以上は、何か役に立つことができればというようなことで踏み切った経緯がございます。
(テレビ愛媛)
機能面というのもあると思うんですけど、丹下建築の隣に位置するということで、それなりの意匠といいますか、そういったことも考えないといけないのかなと思うんですが。
(知事)
そうですね。これはまたやってみないと分からないのですが、丹下建築事務所本体の手入れということになると、これは大きないろいろな話し合いも必要になってくると思うのですが、それを補完するということでご理解いただけるのではないかなというふうに思っています。
(テレビ愛媛)
今のところ、建築費等については。
(知事)
まだ分かりません。今、建築費がもうどんどん膨れてますので、この時点で。たださっきの2千から2500と申し上げましたけれど、いろいろなケースを想定して、2千であるとか2500であるとか3千であるとかそれ以上であるとか、いろいろなケースは分析をした上でこの段階で絞れるとすれば、2千から2500ぐらいかなというふうに思っています。
(NHK)
NHKです。
今までのご説明でもあったかと思うのですけれども、宿泊施設を担う民間事業者におけるインセンティブっていうのは、県として何を考えていらっしゃるのかというのを伺いたくてですね。さっき冒頭のご説明で、誘致の営業活動を併せて行われるというお話ありました。具体的にどういったMICEを呼び込めるとお考えなのかという目星みたいなものもあれば、併せてお伺いできればと思います。
(知事)
今のこの時点で、どの国際会議をというのはまだ考えていません。ただ、今もう本当に、2年後に良い経験ができるのがVelo-cityだと思っています。こうしたことの経験値を積みながらですね、当然のことながら誘致に関して分析を行ってターゲットを絞っていきたいと思うので、この段階でどの会議をということはありません。
それともう1点なんでしたっけ。
(NHK)
民間事業者のインセンティブについてです。
(知事)
インセンティブについては、元々ですね、場所的には非常に民間にとって興味のある場所でありますから、その点は前々の話でも、条件次第でということでお知らせしてきたとおりでございます。
ただ、先ほどのお話と重複しますけれども、MICEという機能も民間でというふうなことになると、資材価格の高騰という条件もあるので、ちょっと二の足を踏んでしまうというところでしたので、ここを完全に役割分担するということを明確化したことによって、本来の宿泊機能重視ということになろうかと思います。
松山市には、ご案内のとおり、VIPに十分対応できるホテルというものは、現段階でありませんから、そこの中で唯一の存在になるという点、これこそがインセンティブだと思いますし、そこに民間が投資するまでもなく、国際会議室が目の前にあって、それを補完するMICE機能が整備されるとなると、これを活用した民間側の営業活動もできるようになっていくと、これも見えざるインセンティブになっていくのではないかなというふうに思っています。
(愛媛新聞社)
愛媛新聞です。
事業協力者の公募に関してなんですけれども、まだ、時期未定というふうに書いてましたけれども、例えば、知事、いつ頃までにはサウンディングを終えてですね、検討会議、意見聴取を終了したいとか、そういった大まかな目処、年度区切りでもいいんですけれど、ありますでしょうか。
(知事)
時期は、まだ正直言って、サウンディングしてからになると思うのですけれど、個人的にはもうともかく、できるだけスピーディーにやりたいなというふうに思っています。1年も2年もずっとっていうことは、全く考えていないです。
(愛媛新聞社)
関連してなんですけれども、1回目の公募と再公募と、今回も公募すれば3回目になると思うんですけれども、実際、実現の可能性というか、なかなか物価の高騰とか、人手不足とか、前回公募が中止になった時も同じような状況で、それが好転しているとは考えづらいんですけれども、この辺りは、知事、どのように考えていますか。
(知事)
先ほどのインセンティブのところで触れたように、恵まれた環境にあると、宿泊施設運営側からすれば、そこは大きなインセンティブになってくると思いますので、必ずこうしたプラスの要因があるということで、参加してくれるところが出てくるのではないかなというふうには思っています。ただ、お話にあったように、これはもう本当に物価高、資材高騰の中で、今、新しい政権が誕生したばかりで、経済政策がどうなっていくのか、いろいろな要因があるので、100パーセントのことは全く言えない状況ですけれども、場所の魅力度から言えば、民間参入は大いに期待できるということだけは確信しています。
(テレビ愛媛)
テレビ愛媛です。
埋(蔵)文(化財)の調査についてなのですが、県(民)文(化会館)の横も対象地域になるという認識でよろしいですか。
(知事)
はい。そうです。
(テレビ愛媛)
そうなると調査は時間的には、二重にかかるということでしょうか。
(知事)
土地を売却するのか、あるいは賃貸するのかによって、埋(蔵)文(化財)調査の実行主体も変わってきますし、ちょっとこの段階では何とも言えないです。ただ、間違いなく調査は必要というふうに思っています。
(テレビ愛媛)
2年ぐらいは。
(知事)
1年から2年というのは必要だと思いますね。
(朝日新聞社)
朝日新聞です。
このMICE整備によって、どういった経済効果が見込まれるのか、今の時点でどういったものを想定されているのか教えてください。
(知事)
まだ具体的な数字はありませんけれども、県民文化会館の存在によって、やはり大きな大会が誘致できた、あるいはコンサート等も誘致できている。これは大きな経済効果につながっているのは、ご案内のとおりだと思いますけれども、整備されることによってそれ以上の経済効果が生まれてくるというふうになるのは間違いないと思います。それから、民間が参入していただく場合は、民間資金の投資ということと、それが事業としてスタートした場合の雇用であるとか、こういったことも全部経済効果としてはプラスで出てくるのではないかと期待しています。
(愛媛新聞社)
愛媛新聞社です。
先ほど公募時期について、1年も2年もかけようとは思っていないという趣旨のことをお話されましたが、早ければ、来年度中にも3回目の公募をお考えというふうにとっていいのでしょうか。
(知事)
サウンディング調査も11月からすぐに始めます。そこの空気というか、皮膚感覚で、場合によってはもっと早いとか、こういうこともあり得ると思いますし、ちょっと今の段階ではまずサウンディングというふうなことを申し上げたいと思います。
(愛媛新聞社)
サウンディングの結果に左右されるところは、大いにあるのだと思うのですけれど、場合によっては西側を先行して県がやると、こういったことも考えられますか。
(知事)
それはないです。
(愛媛新聞社)
分かりました。
(毎日新聞社(幹事社))
各社さん、発表事項に関して、その他質問等ありますでしょうか。質問がないようなので以上で臨時会見を終わります。ありがとうございました。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。









