三島川之江港港湾脱炭素化推進計画（案）の概要

1　作成目的

　港湾においては臨海部を中心として温室効果ガス排出量の大きい産業が立地しており、これらの産業の使用する資源・エネルギーの殆どが港湾を経由することから、脱炭素化に配慮した港湾機能の強化や、水素・アンモニア等次世代エネルギーの受入環境の整備を図るCNP（カーボンニュートラルポート）の形成を促進する。​

港湾脱炭素化推進計画の基本的な方針

• 三島川之江港港湾脱炭素化推進計画の対象範囲は、コンテナターミナル等の港湾区域及び臨港地区における脱炭素化の取組だけでなく、ターミナル等を経由して行われる物流活動（海上輸送、トラック輸送、倉庫等）に係る取組、港湾を利用して生産・発電等を行う事業者（製紙工業等）の活動に係る取組や、港湾緑地を活用した吸収源対策の取組等とする。そのため、三島川之江港を通じてCO2排出に大きく影響する化石燃料等を仕入れている事業所も対象範囲とする。

　※対象範囲：金子地区・村松地区・大江地区・川之江地区

2　取組方針

1　水素・アンモニア・バイオマス・e-メタン等の利用拡大、受入環境の整備

• 次世代エネルギーの三島川之江港及び周辺地域における利用可能性について、技術開発の動向に注視しつつ検討を進める。
• 水素、合成燃料等の次世代エネルギーの需要を見極め、岸壁等受入環境の整備について検討を進める。
• 廃液によるバイオマス発電等の取組を引き続き推進していく。

2　工場・事業所における低・脱炭素化に資する設備の導入

• 省エネルギーや環境負荷低減に配慮した製造プラントの導入や、リサイクル発電設備の新設を推進する。
• 技術開発動向に注視しつつ、CCUSの導入について検討する。

3　船舶における低・脱炭素化

• 技術開発動向を注視しつつ、低・脱炭素燃料を使用する船舶への更新について検討する。

4　荷役機械・車両の低・脱炭素化

• 低炭素型荷役機械への更新を進めていく。既存の荷役機械の低炭素化を図るため、バイオマス燃料の利活用も推進する。
• 荷役機械や車両のFC化・電動化（燃料電池車、電動車の導入）についても検討していく。

5　陸上電源の導入

• 全国的な陸上電源の導入状況を踏まえ、船舶更新等にあわせた陸上電源の導入について検討を進める。

6　港湾工事の低・脱炭素化

• 三島川之江港における港湾工事の低・脱炭素化について検討を進める。

7　モーダルシフトの推進

• 愛媛県内を発着する物流活動における温室効果ガス排出量削減に貢献するため、三島川之江港の機能向上を図り、RORO船やフェリー航路を誘致することで、陸上輸送から海上輸送への転換を図る。

3　港湾脱炭素化推進計画の目標

　港湾脱炭素化推進計画の目標として、以下の取組分野別に指標となるKPI（Key Performance Indicator：重要達成度指標）を設定し、短期・中期・⻑期の段階ごとに具体的な数値目標を定める。

KPI1（温室効果ガス排出量）

​短期目標（2026年度）：1年間で約320.4万トン（2013年度比33％減）

中期目標（2030年度）：1年間で約257.5万トン（2013年度比46％減）

長期目標（2050年）　：1年間で実質0トン（2013年度比約100％減）

4　温室効果ガス排出量の推計、水素・アンモニアの需要推計及び供給目標

　三島川之江港の温室効果ガス排出量は、2013年度で約477万トン、2022年度で約377万トンと推計。2013年度から2022年度にかけて約100万トン減少しており、特にターミナル外における排出量の減少が目立つ。

温室効果ガス排出量の推計

〇（区分）ターミナル内：（主な施設）港湾荷役機械、管理棟、倉庫、物流施設、事務所等
〇（区分）ターミナル出入車両・船舶：（主な施設）停泊中の船舶、発着する輸送車両
​〇（区分）ターミナル外：工場等の生産設備、ボイラー、倉庫等

• ターミナル内
  2013年度：約0.08万トン、2022年度：約0.10万トン
• ターミナル出入車両・船舶
  2013年度：約0.7万トン、2022年度：約0.9万トン
• ターミナル外
  2013年度：約476.0万トン、2022年度：約376.1万トン
• 合計
  2013年度：約476.8万トン、2022年度：約377.2万トン

水素・アンモニア等の需要推計及び供給目標の検討

水素​及びアンモニアの需要量（三島川之江港および周辺地域（四国中央市））

• 水素換算量中期（2030年度）
  三島川之江港 約1.4万トン
• 水素換算量長期（2050年度）
  三島川之江港 約25.8万トン、周辺地域（参考値） 約1.5万トン
• アンモニア換算量中期（2030年度）
  三島川之江港 約9.3万トン
• アンモニア換算量長期（2050年度）
  三島川之江港 約168.1万トン、周辺地域（参考値） 約8.7万トン

水素及びアンモニアの供給目標（三島川之江港での需要量に基づく）

• 水素換算量中期（2030年度）
  約1.4万トン
• 水素換算量長期（2050年）
  約25.8万トン
• アンモニア換算量中期（2030年度）
  約9.3万トン
• アンモニア換算量長期（2050年）
  約168.1万トン

5　港湾脱炭素化促進事業

　​港湾脱炭素化促進事業による温室効果ガス排出量の削減量を合計しても温室効果ガス排出量の削減目標に到達しないが、⺠間事業者等による脱炭素化の取組の準備が整ったものから順次計画に位置付け、目標達成を目指すものとする。

短期目標2026年度

• バイオマスボイラー発電設備の導入　
• 石油代替燃料（ブラックペレット）の混焼テスト
• 脱水固化設備の導入（製紙工程より排出されるプラスチック類の燃料化）
• モーダルシフトの推進　等

中期目標2030年度

• ​廃棄物由来燃料によるリサイクル発電設備新設　等

​​長期目標2050年

• 工場内発電設備における石炭から次世代燃料（水素・アンモニア等）への使用燃料の転換
• CCUSの活用　等

港湾脱炭素化促進事業（温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用の保全及び強化に関する事業）の実施による温室効果ガス排出量の削減効果

※端数処理のため、合計値は一致しない。

1　温室効果ガス排出量（2013年度）

ターミナル内：約0.08万トン
ターミナル出入車両・船舶：約0.7万トン
ターミナル外：約476.0万トン
合計：約476.8万トン

2　温室効果ガス排出量（2022年度）

ターミナル内：約0.10万トン
ターミナル出入車両・船舶：約0.9万トン
ターミナル外：約376.1万トン
合計：約377.2万トン

3　2022年度から2050年（長期目標）までの温室効果ガス排出量の削減量

ターミナル内：－
ターミナル出入車両・船舶：－
ターミナル外：約39.4万トン
合計：約39.4万トン

4　2013年度から2050年（長期目標）までの温室効果ガス排出量の増減量（（2　温室効果ガス排出量（2022年度））-（1　温室効果ガス排出量（2013年度））-（3　2022年度から2050年（長期目標）までの温室効果ガス排出量の削減量））

　ターミナル内：約0.01万トン増加
　ターミナル出入車両・船舶：約0.2万トン増加
　ターミナル外：約139.3万トン削減
　合計：約139.1万トン削減

5　増減率（（4　2013年度から2050年（長期目標）までの温室効果ガス排出量の増減量）÷（1　温室効果ガス排出量（2013年度））

　ターミナル内：約16％増加
　ターミナル出入車両・船舶：約24％増加
　ターミナル外：約29％削減
　合計：約29％削減

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