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令和7年度6月知事定例記者会見(令和7年6月6日)の要旨について
日程:令和7年6月6日(金曜日)
時間:11時35分~12時13分
場所:知事会議室
(読売新聞社(幹事社))
それでは会見に移ります。記者クラブからの代表質問は1問です。
米の価格を巡る現状についてお伺いします。
国では備蓄米の契約などを含め、米の価格高騰への対応が協議されています。県民からも米の価格への不安の声が上がる一方、県内の米生産者も価格の動向を注視していると聞いています。
こうした米の価格を巡る現状について、知事の所感と本年産の米の生産見込みを含めた県としての生産振興策についてお伺いします。
(知事)
先月の末から随意契約による備蓄米の販売が、都内をはじめ、一部の地域で始まっているところでありますけれども、この問題は、米は日本の主食であって、もう一つの観点は、その主食の生産等々については、これ安全保障の問題にも関わってきますので、国において基本的なところについては取り組むべき課題ではないかというふうに思います。
その上で、県内においても安定的な流通に影響が生じていることから、生産者が生産を継続していけるだけの再生産価格、そしてまた消費者の購入意欲を維持できる小売価格、この双方のバランスのとれた供給体制が重要でございます。
こうしたことをトータルの大きな戦略の中で、1日も早く構築されるよう、今やってるのは本当にその場の対応策ですから、もう少し大きな目で見た供給体制を1日も早く構築されるよう、国の方でしっかり議論を重ねて、いろいろな意見がありますから、でもその中で方向性を出していただきたいというふうに思います。
一方、本県の本年産の米の生産見込みについては、これ4月末時点のデータになります。
生産者の作付け意向調査によりますと、昨年並み、1万2700ヘクタールの作付け見込みとなっています。
一方でやはり生産者の収入を上げるという対策が生産継続に重要でございますので、高収益につながるオリジナルの品種、ひめの凜を開発してきた経緯がございます。これについては、昨年は1006ヘクタール、当初の目標にしてきた千ヘクタールを超えるようになってまいりました。さらに増える見込みでございまして1321ヘクタールの意向調査による数字が出てきています。順調に作付面積が拡大しておりまして、良質米の安定生産に向けた、今後は、指導体制の強化、さらにはブランド化の推進、そしてまた県の営業本部を通じた販売先の多様化等を支援することで、生産者の収益性向上と安定供給につなげてまいりたいと思います。
政府においては、昨日、米の安定供給等実現関係閣僚会議が立ち上がったところでございます。米の価格高騰の要因、備蓄米放出等これまでの対応の検証を行うそうでございます。そして、中長期的な対応策などについても検討することとなっておりましたので、これから始まる議論ですけれども、この動向を注視しつつ、関係機関団体と連携しながら、県内での米生産が持続可能な形で発展できるよう引き続き努めていきたいと思います。
以上です。
(読売新聞社(幹事社))
ありがとうございます。ただいまの答弁に関して質問のある社はお願いします。
(読売新聞社)
読売新聞といいます。
消費価格と農家さんの収入のバランスが非常に重要になってくるんだろうということだったんですけれども、実際県内の生産者から実際収入に関してだったり、販売価格に関して意見など何か届いてることあるんですかね。
(知事)
特には直接私の方にはないですけれども、愛媛大学の先生のこの前のお話によりますと、県内玄米60キロ当たり1万6千円以上でないと経営が成り立たないのではないかというような試算を発表されておりました。となると適正価格は5キロ当たり3千円程度ということに、今のその大学の先生の試算をベースに考えるとそうなってくるのかなというふうに思います。
2千円台だったものが5千円超えるような状況に、5キロ当たりの米がなっていますので、ここまでくるとなかなか厳しいという声が消費者から上がってくると。で、おそらく今回の古古米の随意契約は、これ量も限られてるわけですよね、備蓄米ですから。おそらく国全体で今90万トンですかね、で30万トン放出すると、でもこれ、いずれなくなりますからやっぱりこの施策というのは、目の前の価格高騰対策の臨時的な措置にすぎないと思います。
そのことによって、この1年を乗り越えると次のお米が出てくる、さあどうなるかというところまだ分かりません。で、次にやるとき、もし同じ状況が続いたとしても備蓄米の在庫がなくなっていきますので、同じ手が打てなくなってくるので、この間にやはり大きな方針をしっかりと固めるというのは、これは国の範疇(はんちゅう)になりますけれども、極めて重要な時期なのかなというふうに思います。
その中で消費者のマインド、それから生産者が継続する意欲を失わない体制、これがどうあるべきか、そのためにどういう政策が必要なのかというのが、これから昨日の会議を皮切りに国の方で議論されていくということになろうかと思います。
(読売新聞社)
すいません、ありがとうございます。
(読売新聞社(幹事社))
各社さん、他にいかがでしょうか。それでは代表質問以外で質問がある社はお願いします。
(毎日新聞社)
毎日新聞といいます。よろしくお願いします。温州みかんの収穫量の件なんですけども、昨年の収穫量が全国で3位になって、これ4年ぶりということなんですけども、1位の和歌山、2位の静岡が表年っていうことがあって、愛媛が裏年っていうこともあったと思うんですが、知事としての受け止め、3位になっちゃった受け止めっていうのをお願いします。
(知事)
まず分析でいきますと、和歌山県と静岡県は表年だったんですね。その一方で愛媛県は裏年の年まわりになりますので、この差は大きかったと思います。もう一つは、カメムシが大量発生したということが、出荷量の減少に直接結びついたという原因もございました。
さらに酷暑でしたので、日焼け果の多発。で、また例年以上にイノシシ、ヒヨドリの被害が発生しています。こうした要因がさまざまな形で重なって、今年(発表)の収穫量になったという背景が、現状でございます。
ただ、収穫量、温州みかんだけの問題ですから、愛媛県の場合は、もう長年にわたって温州みかんに特化したみかん作りではなくて、例えば愛媛県の場合だったら、温州みかんの全かんきつ生産量の比率は、55から60ぐらいだと思いますけれども、和歌山で温州みかんの比率が70ぐらい以上かな。静岡はもう90超えていますので、愛媛県はやっぱり中晩柑、収益性も見込める中晩柑の比率をあえて高めることによって、周年供給体制、品質面での強化、そしてその結果として単価の上昇という、収益の面にも非常にこだわった対策を練ってきましたので、温州みかんの順位で、毎年毎年いろいろな要因もありますから、一喜一憂することはないのではないかなというふうに思っています。
(毎日新聞社)
温州みかん含め、中晩柑も含め、一応、猛暑だったりとかカメムシだったりとかっていうのは、今年も懸念されることなんですけど、それに対する対策みたいなものを県としては、何かお考えでしょうか?
(知事)
そうですね。これは植物は生き物ですから、本当に専門家の意見も聞きながら、丁寧に対策を打っていくことに尽きるのではないかなというふうに思っています。量ということに関して言えばですね、はい。
(毎日新聞社)
ありがとうございます。
(日経新聞社)
すみません、日本経済新聞と申します。今週の発表になった出生率、出生数なんですけれども、国全体も落ちてますけれども愛媛県も出生数、出生率ともに過去最低を更新しましたが、知事の受け止めをお聞かせいただけますか。
(知事)
そうですね、非常にこれはもう悩ましいところでして、われわれも何とかしたいという気持ちは当然、全国共通の課題ですから持っています。そのために人口減少対策の四つの柱として、出生数の増加、これはもう抜本的な対策はこれに尽きると思っています。それ以外に抜本的ではないけれども、流出人口の抑制、流入人口の増加、外国人人材の確保と四つの視点で、県という単位での人口減少対策を捉えていますけれども、特に難しいのがこの出生数の問題だと思います。それはなぜならば、人々の生き方や価値観に起因していますから、これをやれば増える、という明確な政策というのはない、という背景がございます。そういう中で、子育ての支援をしたり、産みやすい環境を作るための職場改善であったり、考えつくことはもう全てやっていくしかない、というふうに思っていますけれども、ただ本当に、合計特殊出生率(は)東京都があれだけの財源を背景にですね、いろいろな子育て施策をやっても1をきる、0.9台でありますので、本当に何が必要なのか、どういうことをやれば効果があるのかというのはもう少し見極めていく必要があるのではないかなというふうに思います。ただ1点言えば、結婚されているご家庭の子どもさんの人数は減ってないというところは注目点ではないかなというふうに思います。いわば結婚されない分母が多くなってくるとその分出生率は落ちていきますので、そういう意味では、政策の方向性としては、これも難しいんですけれど、子育ての価値観であるとか、そういうところに響くようなアプローチ、あるいは機会の創出、こうしたことに力点を入れる方向性は間違っていないのではないかな、というふうに思っています。
(愛媛新聞社)
すいません。愛媛新聞です。先ほどの出生数と人口減少に関連してなんですけれども、知事は地方創生の新しい有識者会議のメンバーでもあると思うんですが、そこでもお話をされているとは思うんですけれども、結局国と地方でどうやって対策をしていけばいいのかというのを一つお聞かせいただきたいと思います。
(知事)
はい、今ですね、これ地方創生の観点から言うと、(新しい地方経済・生活環境)創生会議でも10回にわたって開催されて、うち7回参加をさせていただきました。
そのたびごとに、地方の現場を預かる立場から発言をさせていただいてきたのが、子育て支援等に関わるナショナルミニマムの問題でございました。15人のメンバーのうち現場を経験しているのは、私と市長さん1人と町長さん1人の3人しかいないので、もう(声を)上げ続けるしかないなということで、この問題を取り上げ続けているんですけれども、背景はですね、財源の心配の必要のない東京都が、悪く言えばばらまき、ある意味ではいろいろなところを無料にする、無料にする、無料にするという政策を拡大してきた背景があります。
住民の方からすれば東京都がやっているんだからこっちでもやってほしい、これは住民の気持ちとしては分かります。議員さんもそういう声を上げやすい環境になっていますけれども、同じことをやったら、財源の心配が必要のない東京都は生き残っても、他の地域は潰れていく、これはもう誰でもお分かりいただけることだと思います。地方創生って国が呼び掛けもしていただいていますけれども、結局そこの部分に手当をある程度していく必要性が地域によって生まれている。地方も財源の状況、自治体によって違いますから、やっていることはばらばらですけれども、そこに疲弊の要因があって、まずはそこを東京都に発生した政策展開が影響を与えて、そこにある程度向き合わざるを得ない。だから地方創生に踏み出そうにも1歩すら踏み出せない、足かせになっているというお話をさせていただきました。
そもそも子どもに関わるこうした制度というのは、全国一律であってしかるべきではないかと。人口減少・少子化という大問題に向き合うには、なおさらナショナルミニマム、国一律どこに行っても、子どもさんの成長に関しては同じような制度があるよということを整えることは必須条件ではないかなという発言をしてまいりました。
具体的にも申し上げました。出産にかかる費用であるとか、妊婦健診であるとか、給食費であるとか、医療費であるとか、こうしたことについてのナショナルミニマムとはなんぞやということを一刻も早く国で議論をしていくときが来ていると、そうでなければ地方創生に1歩踏み出せないということは、たまたま今週火曜日は最終日でございました。石破総理が出席されましたので、最後の最後に発言をさせていただきまして、直接訴えをさせていただきました。そのときに、その問題は国でも議論しないといけないときが来ているという言葉が石破総理からございましたので、これは大いに期待をしたいというふうに思っています。
(愛媛新聞社)
すいません。続けてなんですけれども、そうなると、今の地方創生の政策についてっていうのは知事はどう思ってどう考えてらっしゃるんですか。
(知事)
地方創生2.0とうたっていますけれども、本当にこれは期待もしています。戦後というのは、本当に金太郎飴(あめ)政策で、国が政策の根幹を握って、地方自治体の裁量権は2割から3割しかなかった時代がずっと戦後続いてきました。それは荒廃の中から均衡ある国土の発展を目指す場合には、大いに生きた体制ではなかったかなと思います。ただ一方で、そのハードルがあったがゆえに、同じまちづくりしかできないという、縛りがかかっていました。ただ、まちづくりは本来、その地域地域にある歴史であるとか、文化であるとか、環境であるとか、そういったものがコンテンツとなって磨き上げていく、個性の問題だと思うんですけれども、これは生かせないと、ということで、地方分権論議が起こった。国は財政事情から、もう地方の政策細々見えないというので、地方分権だ、ということで進んだ経緯があります。その過程の中で、地方創生1.0が登場してきたという背景があります。
このときの担当大臣が石破総理でしたので、地方創生に対する思いは非常に強いということだろうと思います。今回、地方創生2.0というふうなことで、政策展開を進められようとしていますけれども、やっぱりこの1.0を振り返ることも重要で、地方創生交付金という制度ができました。裁量権はあるんですけれども、結局のところ政策立案能力がなければそれが生きたお金にならないのではないのかというのが、1.0の検証の一つだと思います。あるいはその交付金を狙って一部の、あくまでも一部のあまり筋の良くないコンサルが、これ他の県で提案したら良かったですよ、市でやったら良かったですよというのを全国回るんですよ。しかもその殺し文句が、その財源に交付金使えますよということに来るんですね。同じようにコンサルを通じた金太郎飴(あめ)まちづくりが広まったというのも、一つの大きなポイントで、イベントも同じだと思います。あそこのイベントだったらこんだけのパブリックビューイングがあったとかですね、同じような殺し文句で財源に地方創生交付金使えますよと。でもこれでは本当に生きたものにはならないのではないかなと。
さらに、それでも期間がきて余った場合、政策立案ができないと何になるかといったら商品券をまくと、こういうことを考えると、あくまでも地方創生交付金というのは将来の成長の糧になるような、それぞれの地域の知恵というものに徹底的に使われる、そして、ここには成功するか失敗するかリスクもある。
その前提で、未来への成長の糧になるような政策を徹底的に後押しするということによって、初めて交付金というのが生きるのではないかなというような発言もずっと続けてきましたので、そういった制度になるといいなというふうに思っています。その結果、地方もさあ、政策立案能力を磨こうというエネルギーが生まれるのではないかなというふうに我々も含めてですね、感じております。以上です。
(産経新聞社)
産経新聞です。かんきつの関係で、先日えひめ愛フード推進機構の方で、2024年度の海外輸出の量・金額ともに最多となって、特に欧州向け河内晩柑が伸びているというところがありますけれども、県もさまざまな取り組みをされていると思いますが、これの受け止めを改めてお願いします。
(知事)
元々ですね、私が就任した時にはかんきつの輸出はまだまだ少なかったんですね。その時に、農協の会長さん、中央会の会長さんに輸出やりましょうと、国内が縮小してきているので、海外やりましょうと言ったのですが、なかなか難しいのではないかというのが、当時の団体の意見でした。とりあえず県の方で開拓するということで、第1発目に選んだのが、香港だったんですね。で、一緒に会長も行っていただきまして、その売れ行き、現場での売れ行きを見てですね、いけるという判断をしていただきました。
それ以来、一緒になっていろいろな取り組みをしているんですけれども、輸出する時に難しいのは、国ごとに規制があるということだと思います。これは完全にシャットアウトしている国もありますし、農薬基準で厳格な制度を作っているところもありますし、ヨーロッパなんかは園地指定、この園地からのものしかだめだとか、国によって違うんですね。だからそれに見合った生産をするという生産者を探すところから始めないといけないので、ここで団体との連携がすごく重要になってくると思います。
開拓については、県の営業本部が担いますので、役割分担しながら、ヨーロッパも営業本部の方で、あちらの方々の味覚を考えると、愛媛県多品種ですから何が一番いいのか、分析を行って、たどり着いたのが河内晩柑、そして河内晩柑の名前では受け入れられないということで、「misho(ミショー)」という名前で統一する。こういったところは県の方でやって、それに基づいて農協にこういう条件のところを探してほしいとか、そういうふうなやり取りをしますので、その結果が輸出の増大につながってきている、ある意味では連携プレーがその数字に表れてきたということだと思います。
(産経新聞社)
その中でも河内晩柑のこともありましたけれども、愛媛県やはり多品種生産というのが一つ特徴で、一つのものが海外のあるところにヒットしたという好例かと思うんですけれども、今度は別の品種が別の地域で、というところもあると思います。その辺りの期待っていかがでしょうか。
(知事)
中華圏なんかは、各アジアの国もありますから、そういうところでは甘めのやつがヒットするんですね。しかも大きいやつがヒットするので、こうなったら中晩柑とかですね。ただ、中晩柑も政権が変わるごとに規制基準が変わっていくので、本当に去年は良かったのになんで、というケースもあるんですよ。だからそういったところも細目に見極めながら対応して、ファンを作っていくしかないなというふうに思っています。
(時事通信社)
時事通信です。先般、四国知事会で香川県に行かれたかと思います。香川県立アリーナを視察されたということで、再開発も香川県、進んでいらっしゃいますけども、片や愛媛県、松山駅、あのとおりでございます。香川県立アリーナを視察した感想を。別に塩を送れという気はないんですけども。
(知事)
うん。はい、それぞれの地域によってベースが違いますから、参考にはしても、それがどうだってことはあまり感じてないんですが。今回香川の場合、国の出先機関が集中しているということと、そういった機関が国のその施設を集約するために港の近くに作られたという、これはもう愛媛にはないコンテンツだと思います。
その延長線として港の開発が進んで、その中でアリーナが登場したということで非常にうまくやられてるなというふうな印象は強く持ちました。
で、アリーナをもう4県知事で説明いただいたんですけれども、行けば分かることがたくさんあって、いろいろな現場での説明や質問で分かってきたのは、参考ではあるんですけれども、香川の考えでいったら8千人ぐらいの規模がないと、事業としては難しいということはおっしゃっていました。それから大きなコンサートをやったときに観客から固定席が非常に緩やかなので、見やすいという非常に好評ですというそういう現場の声を聞きました。
それから、ある程度広さを持ってトイレ。大きなイベントで人数多いですから、トイレの配置もしっかりと行わないといけないということをおっしゃってました。
最後に実は香川もですね、一般の駐車場はほとんどないんですよ。電車の駅がしばらく10分ぐらい歩けばあるんだけれども、あと民間の駐車場に停めて入ってくるそうなんですが、じゃあ駐車場いらないんですかと聞いたら、そんなことはありませんと。この前サザンオールスターズのコンサートがあったそうなんですけれど、そのときにびっくりしましたと担当者が言ったのは、トレーラーを含めて大型の駐車スペースが50台必要だったそうです。だから、あのクラスになるとそれぐらいの駐車スペースというのがないとできないということはおっしゃってました。こういうのはこれからいろいろなことを考えるときに一つの参考になるのかなというふうに思いましたね。
(愛媛新聞社)
愛媛新聞社です。
先般、旧松山藩主久松家に伝わる歴史資料約1万6千点の存在が明らかになり、県への寄贈が決まりました。学識者の間でも今、1級の資料だという高い評価を聞いているのですが、今後その保存と活用が大事になると思われます。松山城を管理する松山市との連携を含めて、どのように保存や活用を進めていくべきだと知事はお考えでしょうか。
(知事)
そうですね。まずこれ5年ぐらい前だったと思いますけれども、久松家の関係者から、この保存しているものをどこかに寄付をというお話が寄せられました。そのときには例えば宇和島市だったら、宇和島藩の所有物は宇和島の方でやっていますから、これ愛媛県には8藩ありますので、こうした保存活用は、やはり市単位がやるべきなのかなと思ったので松山市に紹介をいたしました。
価値はありつつも、収納スペースの問題でそれは受け入れは困難であるという答えが返ってきて、その後、じゃどうしたもんかねということで、ただその価値を見ると散在させるわけにいかないというのが県の判断でした。
議会の各派にも、一つの藩の収蔵物なんだけれども散在させるわけにいかないので、市は収蔵スペースの問題と言いましたけれども、県も同じです。収蔵スペースがあるわけではありません。でも、ある程度お金入れても確保する必要があるのではないかという判断で、議会会派もその点については同意をいただきましたので、県の方で受け入れることといたしました。
その間に市もやっぱり少し考えた方がいいのではないかということで、途中から議論に参加をしていただいたんですけれども、そういう中で願わくば三の丸復元と突如お話が出てきましたけれども、久松家の方からすれば1回困難と言われたので、複雑な思いだと思います。そこに対する何か配慮、言葉があってもよかったのかなというのが1点と、それから三の丸については、できれば、だったら5年前に言っていただきたかったなという思いはあります。
でも、この段階からそこに向かって行かれるのであれば、県はそれまで確保、預かって何とかしていきますので、本格的な議論がされることをこれから注視していきたいと思っています。
(愛媛新聞社)
併せてなんですが、先ほど三の丸御殿のお話が出ましたけど、これは先般の野志市長の会見で、保存展示先について三の丸御殿ができるかどうかを含めて検討するという言及を踏まえてのことだと思うんですけど、知事は三の丸御殿の復元について期待されているとそのように受けとめていいのでしょうか。併せて、今の堀之内の整備の状況そのものを知事はどのように見ているのでしょうか。
(知事)
実はですね、堀之内の整備というのは自分の市長のときの大きな課題でした。当時皆さんご存知ないと思いますけれど、あそこには国立四国がんセンターがあって、それから競輪場があって、それからプールがあって、いろいろな施設があったんですね。ここ史跡指定受けていますから、新しくリニューアルすることは文化庁の管轄になるので認められていません。認められるものとすれば、昔あったものを復元する、これは認められます。もう一つは仮整備という名のもとに、調査だけをしておいてとりあえず芝生等々の広場を作ると。その当時の選択としては、これはもうとりあえずの整備として広場を作って、ただしその間、それぞれの大きな課題だったのが、競輪場を移転できるのかどうか、これには労働組合とのいろいろなやりとりもありましたので。まあ移転させる。それから国立四国がんセンター、これは市長就任直後だったんですけれども市外に出るという可能性があったので、何とか市内にということで、現在の跡地を急遽用意して松山市内にとどめたという経緯があります。
それからプールについては財務省の管轄でしたのでここと話をして、アクアパレットに移すというようなことで、市長の仕事を終えたんですけれど、正直言ってその姿からは変わってないというのが実態ではないかなと。
だからあそこもどういうふうにするのかという選択肢の中に三の丸というのは、さっき申し上げたように、昔のものを復元するということであれば文化庁も許可の対象になってくる可能性があるので一つの選択肢だと思います。ただ私のずっと前になりますけれど二の丸を復活するときも一大プロジェクトでした。ですからそんな軽々にやれるという話ではない事業になりますので、本当にやるのかどうか、徹底的に追求して一つの公約にまで持ち込んで現実化させるのかどうかという、本気度がまだ見えていないのでちょっと具体的なことに関してはコメントのしようがないと思います。
(愛媛新聞社)
ありがとうございました。
(読売新聞社(幹事社))
その他ございませんか。
(愛媛新聞社)
すみません。愛媛新聞です。
次回の定例会見が7月のいつなのかちょっとわからないんですけれども、1ヶ月後ぐらいに松山城での土砂災害の発生から7月12日で1年経つと思うんですけれども、市は住民の再度の説明会開催に対してですね、個別に対応するという見解を維持していると思います。県としてですね、連絡調整会とかで市に対しては、市民に丁寧な対応等々を求めてきていたと思うんですけれども、改めてなんですが、これまでの市の対応というのを中村知事はどのように見られているのかというのが一点と、あと双方、住民と市の溝が埋まるために何が必要だと思われますか。
(知事)
そうですね、説明会については、当初から何度もやられた方がいいのではないかなということは、県の方から要請というか、アドバイスというか、言い続けてきたんですけれども、この点はちょっとどうだったのかなという思いがあります。それから、もう1点はやっぱり原因究明というのはすごく大事だと思いますので、県の方でできることは何かと考えたときに、メカニズムの解明は県の方でできるということで、検討会を立ち上げてやりました。そのときから並行して道路工事の影響・分析ということに関しては、市の方の管轄になるので、やられたらどうですかということは申し上げてきたつもりなんですけれど、これはいまだにやられていないということは、やっぱり原因究明ってすごく大事だと思いますので、やっていくべきではないかなと今でも思っています。そういったことをしっかりやれば住民の皆さんとの信頼関係というのも自然に生まれていくのではないかなというふうには思います。
(愛媛新聞社)
すいません。何度も申し訳ありません。ちょっと話が変わるんですけど、先ほど人口減少のときにお話を伺えばよかったんですが、東京都が水道の基本料金の無償化を打ち出していて、夏だけですけれども、実施するというような話を聞いています。
やっぱり先ほどの地方創生のお話でもあったように、結局、財力があるのでできるのかなというふうに思われるんですけれども、こういった対応について、中村知事どのように受けとめられましたでしょうか。
(知事)
やっぱり財源というのは限りがありますので、目先の対応に緊急的にやる政策に使う場合も当然あると思います。一方で、やっぱり長い期間にわたっての長期ビジョンに投資していくということを考えると、当然のことながら、財源対策ということに目を配りながら事業の進捗を決めていく必要もあると思います。
そういう中で、全く次元が違うのが東京都で、おそらく知事会のときにも小池知事には申し上げたんですけれども、「小池さん財源で苦労したことないんじゃないですか」という発言をあえてさせていただきました。
もう1点を申し上げたのは、「東京都そういう中でいろんな政策をやられているけれども、やっぱり少し考えていただきたいのは、その結果が全ての地方に波及しますと、その声に対峙していかないとならないし、ぜひそういった影響についても政策を打ち出すときに考えていただきたい」という話は、知事会のときにも直接させていただきました。
それ以降ですね、小池さんが何かやるときには、必ず枕詞(ことば)を付けるようにはなっているんですね。それは、「本来ならば国がやるべきことですが」、でもやってることは同じなんですけれども。一応そういう話はされるようになっているんですけれども、多少は考えながらやっていただいているのかなというふうには思いますけれども、でも水道料金、例えば、いま他の財源力のない地方でやったらどうなるかって、大体皆さんも想像がつくと思うんですけれども、一般会計からどんどん放り込んでいくしかなくなりますので、そうすると他の仕事ができなくなるというジレンマが地方にはあります。東京都にはない、この差が大きすぎるので、東京一極集中であるとか、税財源の偏重、これに何らかの手立てが必要という声が地方から上がっているという背景があると思っています。
(読売新聞社(幹事社))
その他ございませんでしょうか。それではこれで会見を終わります。ありがとうございます。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。