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平成30年7月豪雨災害に関する記者発表(8月9日)の要旨について
日時:平成30年8月9日(木曜日)
11時00分~11時14分
場所:知事会議室
(知事)
まず、豪雨災害が発生してから1カ月という月日が経過いたしましたので、この1カ月間を振り返って、現状、それから今後について、お話をさせていただきたいと思います。
7月5日から8日にかけて県内全域で多量の雨が降り続きまして、甚大な被害が発生いたしました。あらためて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げたいと思います。また、被災された方々も、まだ本当に試練に立ち向かっている日々を送られてますから、心からお見舞いを申し上げさせていただきます。
昨日、8日水曜日の12時現在の主な被害状況でありますが、人的被害が死者27名、安否不明者が1名となっています。住家の被害につきましては、全壊が615棟、半壊が2,745棟、床上浸水が1,011棟、床下浸水が1,845棟となっています。避難者数は、宇和島市、大洲市、西予市の3市が中心ではありますが、ピーク時で約3,500名いらっしゃいましたけれども、現段階で、それでもまだ329名の方が避難生活を長期にわたって送られています。土砂災害は997カ所、道路の全面通行止めが109カ所。愛媛県の特色であります農林水産被害、非常に大きかったというのが特色でありますが、これは6日月曜日の13時現在の数字ですけれども、被害額は519億円になります。内訳は、農業関係で393億円、林業関係で123億円、水産関係で3億円という非常に甚大な被害となりました。
1カ月間を振り返ってみますと、まず、続々と入ってくる情報を分析しますと、これはもう大変な規模になるというのが早期に確認されました。ただ、松山にいますと南予の広範囲な状況が実感としてつかみにくい、東京にいればなおさらということで、3日目に上京させていただきまして、官邸を訪問し、総理、官房長官に西日本一帯が本当にすごい大変なことになっているという状況を伝えまして、激甚災害への早期指定や自衛隊の継続派遣など5項目の緊急要望を行わせていただきました。
また、陣頭指揮をするに当たりまして、現場に迷惑の掛からない状況を見つめながら現地入りする必要性を感じましたので、南予3市をはじめ、今治市、松山市、また南予のその他の市町など、被災地を順次、私も視察させていただきました。そこで災対本部で、地域を守るというのは、「人を守り」「生活を守り」「産業を守る」と、これを共有しながら、まず第1段階の当面の目標は三つ、「人命救助」、そして「生活していく上で欠かすことのできない水の確保」、そして「避難者が当面の間生活できる住居環境の早期整備」、これを第1段階の目標と定めさせていただきました。 県、市町、関係機関の意思統一の徹底を図るとともに、ともかくこういう時はスピードの勝負だということで、関係者一体となって取り組んできたところでございます。
結果としては、水につきましては、最大で12市町31,068戸、63,856人が当初断水状態となっていましたが、関係者の懸命な復旧作業により順次解消されまして、浄水場そのものが被害を受けた三間・吉田両地区が最後まで残ってしまいましたけれども、本当に東京都が所有していたカヌーのスラローム用のろ過器の入手が、国、関係者のご努力でできたこと、そして東京都の英断で実現したことで、一つ可能性が生まれました。その後、配電盤、ポンプ会社、そして輸送等、関係機関それぞれが、それぞれの立場で力を発揮していただきまして、まさにチーム力でろ過器が設置され、先般8月3日に三間地区、4日には吉田地区が通水したところでございます。当面必要な生活用水が供給されたこととなりましたけれども、現在も、今、その水質の確認等行っておりますので、可能な限り早く飲料水としての提供が可能になるように努力が続けられているところでございます。また、両地区では、今後も10月中旬ぐらいまでに、ろ過機のさらなる増強、段階的な増強を行いまして、十分な水量を確保することとしています。通水した時の避難所、地域住民の皆さんの笑顔は本当に忘れることができません。当初の計画より約1カ月早まったこと、ご協力いただいた全ての方々に、あらためて感謝を申し上げたいと思います。また、一昨日、昨日は、最大課題の水についての通水をきっかけに、宇和島市長とともに上京しまして、関係機関全てにお礼に伺ってまいりました。
次に住居についてですが、被災者のニーズに早期に応えるため、建設型と借り上げ型を組み合わせての応急仮設住宅の確保に努めております。特に時間のかかる建設型につきましては、要望のありました宇和島市、大洲市、西予市で、土地の確保等、場所の確認も必要ですが、条件が整った5カ所170戸を7月下旬から順次、3市全てで着工しておりまして、今月、8月中には完成ができるように全力で今作業を進めているところでございます。
次に、被災地の方々に対し、県が復旧・復興に責任を持ってしっかり対応するというメッセージを送ることが、将来不安の解消にもささやかながらもつながるであろうということで、予算面での成立を急がせていただきました。先月19日に46億円のソフト対策を中心とした補正予算を専決処分し、31日には臨時議会を招集し被災者の生活支援に加えましてハード対策を盛り込んだ478億円の補正予算を議会の同意を得て成立していただいたところでございます。
第1段階の目標でありました水の確保、そして住居環境の整備に、おおむねいつ頃までにというめどが立ってまいりましたので、今後は、甚大な被害からの復旧・復興対策予算、第2段階に入ってまいりますが、その早期復興に努めたいと思います。被災者支援をはじめ、公共インフラ施設の復旧、農林水産業や商工業の復興対策に全力を挙げて取り組むこととしています。
また、もう一つの課題である膨大な災害廃棄物の処理でございますが、県内の20の市町に呼び掛けをいたしまして、被害の少なかった市町においては積極的にこれを受け入れようという声をいただきまして、県内における広域処理の早期推進にも取り組んでまいります。また、あえて目標を設定し、53万トン、(処理費用)140億円という膨大な量でございますけれども、通常の愛媛県の一般廃棄物の年間排出量が47万トンでございますので、今回発生した災害廃棄物は、その1年分の一般廃棄物の量を超えておりますので、来年の6月という目標を設定しまして、なんとかこれを目標までに処理できるように頑張っていきたいというふうに思います。
また、これら被災市町において増大する災害関係業務の執行を支援するため、事務職員に加えて、今後必要となる農林・土木の技術職員、この応援確保につきましては、総務省あるいは知事会等にもお願いをしておりまして、その確保に全面的なバックアップを図っていきたいと思っています。
特に、深刻な被害を受けた本県の基幹産業である農林水産業におきましては、応急的な対策はもちろん、被災された農家や、その後継者の皆さんの営農継続への意欲を失わせることのないよう、産地復興を見据えた中長期的な視点での対策にも早急に取り組むこととしておりまして、先月30日には、南予地方のかんきつ農業の早期復興に向けまして地域内の関係機関が一体となって対策に取り組めるよう、県庁内に「南予地域柑橘農業復興対策チーム」を設置いたしました。ここを中心に連携を図りながら、かんきつ王国愛媛の威信にかけて復興に向けて全力を傾注してまいりたいと思います。
また、今月2日には、広島県、岡山県の知事と3県共同要望を行わせていただきました。ある程度時間が経ちまして、共通課題が見えてまいりましたので、これについては、3県で要望した方が国にも大きな声として伝わるだろうということで実施いたしましたが、特にこの要望については、「生活・生業(なりわい)再建支援パッケージ」をまとめていただきました。この国の支援策を迅速に実施するための補正予算、これも時間との勝負ということで議会にもご理解をいただいて専決処分をさせていただきます。先に専決や臨時議会に提案した補正予算の事業と合わせまして、非常に大規模な予算になりますので、復旧復興に向けたロードマップを作成するなど関係機関と連携を取りながら、本当にこれはスピードの勝負だと思ってますので、最大限の支援を行っていきたいと思います。
特に被災事業者の多くは、これまで補助金交付申請等の経験の無い方が多いと思っております。どうすればいいのかどういうものがあるのか分からないということもあろうかと思いますので、これらの支援策を事業者に分かりやすく丁寧に説明し、補助金の速やかな交付に向けた準備も進めていくため、本日、産業支援局長をリーダーとする「グループ補助金等準備プロジェクトチーム」を新たに県庁内に設置させていただきます。事業継続意欲を失わないように、9月には本格的な申請受付を開始したいと考えております。組織体制の整備も視野に検討しているところであり、これにはぜひ市町にも同様の組織を作っていただいて連携できれば、よりスムーズにいくのではないかと思うので、そういった面も働き掛けをしていきたいというふうに思います。
いずれにしましても、国や市町、商工団体、金融機関等の関係団体と一体となって、産業そのものの一刻も早い復興に向け強力に取り組んでいきたいと思います。先ほど冒頭に申し上げました、「人を守る」「生活を守る」そして「産業を守る」、この三つの視点を大事にして「オール愛媛」体制で成し遂げていきたいと思います。
また、最後に、全国各地から多数のボランティアの方にお越しいただいております。また、多くの皆さんから義援金も頂戴しております。県民を代表して本当に心から感謝申し上げたいと思います。
また、道後温泉をはじめとする観光地は、被災はしていないんですけれども、風評被害とまでは言いませんが、キャンセルが相次いでいる状況にあります。これにつきましても、支援パッケージに入っておりますので、ふっこう割を大いに生かして、そして道後温泉のキャンセルをカバーするということもあるんですけれども、そこだけにとどまってもらいたくない。できれば南予の数多くの観光施設は、そのまま生き残っていますので、道後から南予へ誘うようなですね、そんな仕組みも関係業界に働きかけをして実現を図ってまいりたいというふうに思っています。
今後とも、しっかりとまた頑張ってまいりますので、マスコミの皆さんにも、足らざるところがあれば、ぜひご指摘をいただきまして、やれることは全てやっていきたいと思っておりますので、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。