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第25回参議院議員通常選挙結果に関する知事臨時記者会見(7月22日)の要旨について
日時:令和元年7月22日(月曜日)11時30分~11時44分
場所:知事会議室
(NHK(幹事社))
今回、与野党激突型の構図で、野党各党から支援を受けた永江さんが8万票余りの差で当選した。あらためてこの結果についての所感は。
(知事)
これは本当に、有権者がそれぞれの主張を聞いて出された結果ですから、どなたが議席を獲得しようとも、愛媛県内の有権者の判断ということで、当選された方にはおめでとうございますと申し上げたいと思います。
(NHK(幹事社))
これから永江さんは6年間、愛媛選出の国会議員として、参議院議員として活動していくわけだが、どのような活躍を期待したいか。
(知事)
国政の場合は、議員内閣制のもとでの政党選挙で、与党、野党の主張がぶつかり合うケースが多いと思いますけれども、地方の行政というのは、国政に対してそれぞれの思いを持つ方々が、一緒になって県民として愛媛県のことを考えていく、あるいは市町のことを考えていくフィールドですから、与党であれ野党であれ、国政の課題の意見の相違による議論は大いに結構なんですけども、愛媛県、地方の問題については、与党、野党問わず、愛媛県から出ている以上は、ぜひ、愛媛県の、あるいは地方の声というものを具現化するために頑張ってほしいなと思ってます。
(南海放送)
まず、今回の投票率は前回よりも4ポイント程度下回ったが、この投票率の低下をどのように受け止めているか。
(知事)
そうですね、残念ながら投票率は低下をしてしまったわけなんですけども、要因はそれぞれだと思うんですが、そもそも小選挙区制を導入した背景には、政権交代可能な緊張感、そのことによって双方ともに常に緊張をもって政治に当たられるということが特色だろうと思います。ただ、選挙で選挙協力があったとはいえ、野党はバラバラな状態でありますから、そういう意味では政権選択を担うというような期待感は野党の方に対してまだ生まれていないと思います。そういう意味では、投票率を高めていくためにも、関心を呼び起こすためにも、緊張感をもたらすためにも、野党、特に第一党である立憲民主党の担っている責任は非常に重いと感じますね。ですから、そこがしっかりとした構想を持って、そして野党が今後どういうふうになっていくの分かりませんけども、ただ単に自分が良ければいいというような存在から脱皮できないと、この低投票率は止まらないということではないかなと思いますね。
(南海放送)
県内の投票結果について、20ある市町のうち17市町で永江さんが勝利して、自民党の勝利がわずか3つにとどまったが、保守王国といわれる中で、この結果についてはどのように受け止めているか。
(知事)
圧倒的な組織力は政権側にあると思うんですけども、今回は3年前に2度の落選を乗り越えて挑戦し、しかも組織力で劣る中で大接戦を演じた候補者。それから3年間、本当に細かく動いてきたその姿勢、姿や努力、こういったものを多くの方々が評価されたのではないかなと思いますので、もちろん野党が一本化したというのは背景にあるのかも知れないけれども、今回は候補者の努力が多くの県民の心を動かしたのかなという感じはします。
(南海放送)
一方で自民党がもう一つ、いつもは30万票くらいはベースで取っていたが、それが20万票余りにとどまったという、このあたり組織力も弱体化しているような気もするし、会派の分裂の問題も影響しているのかなという面もあるが、何が敗因だと思うか。
(知事)
そうですね、やっぱり出馬が遅かったということ、片や最前線の3年間の蓄積、片や今年に入ってからということで、その差は非常に大きかったのかなという気がします。一概に組織がどうのこうのということではないような気がしますね。
(南海放送)
候補者個人の問題というのも大いに。
(知事)
問題というか、これまで通ってきた道のりと期間がそれはもう全然違いますので、そのあたりはやっぱり有権者が考えられたところかも知れませんね。
(南海放送)
自民党県連としては大きなダメージだと思うのだが、どういったところの立て直しを期待するか。
(知事)
そうですね、この数年間、何て言うんですかね、いろんな思いの違いはしょうがないんですけども、私も時折言ったんですけど、やっぱり政治家の立場にも直接関わりますから、松山市でもそうでしたけども、軽々に除名とかですね、そういうのはやっぱりすべきではないような気がしますね。
(南海放送)
そういった判断が今回にもつながっていると。
(知事)
そうですね。私もその時は松山市長の立場で、市議会議員のことが印象に残っているんですけれども、何で自民党員であって、党活動に専念してた、そういう方々が方針に背いたというだけで除名されなければならないのかなと、その時は思いましたね。
(南海放送)
自民党の話ばかりで申し訳ないが、国会議員を選出している地元、宇和島とか、松山とか、四国中央、今治など、軒並み永江さんに敗れているような状況なのだが、この辺りも含めてどのように受け止めているか。
(知事)
そうですね、僕も国会議員やってた時期があるんですけども、ともすれば、よく言うんですが、町よりも市が上、市よりも県が上、県よりも国が上。特に国会の場にいると、そういうふうな感覚を持ってしまいがちなフィールドだと思うんですね。でも、そんなことは同じ人間ですから、たまたまフィールドの違いがあるだけで、それこそが今、県政で進めている課題なんですけども、やっぱり国会議員は国会議員としての役割があって、上にいる存在ではないということが非常に大事なんじゃないかなと思いますけどね。そこがしっかりしていれば、組織というのは非常にスムーズに運営されていくんじゃないかなと思いますね。
(南海放送)
今後、責任問題も問われることになると思うが。
(知事)
それは僕は分かりません。組織の問題ですから。
(読売新聞)
政策課題は数あると思うが、永江さんに要望したい課題は何か。
(知事)
そうですね。今回、有権者の皆さんもいろんな課題に関心を寄せて、それぞれ人によって項目は違うと思うんですが、一番不安の源になり、関心も高かったのはやっぱり、直前にもあった年金の問題だろうと思うんですね。これは、人それぞれの人生設計にも直接関わってくる問題だと思います。これももう20年前から言われていることで、少子高齢化に伴う人口減少の下で、ピラミッド型の人口構造、右肩上がりの経済成長を基に作られた制度が、根本的な社会構造が変わるわけですから、限界を来すのは間違いないんですね。これはもう20年ぐらい前から言われていることでした。でも、その抜本改革がまだ済んでいないというところが一点。それと、これも直接選挙中にも申し上げたんですけども、データというのは全部明らかにした方がいいですよね。やっぱり底の見えない海を漂ってる時は、いつも常に不安が人の心の中に芽生えますけども、背の届かないところで泳いでいても、底地が確認できれば恐怖感というものは取り除かれていくわけですよね。だから、データというのは全部明らかにする。その上で問題点も正直にさらけ出す。その上でどうすればいいかということを、痛みを伴うことがあったとしても、お互い与党も野党もベストな案を提示し合って議論をするという土俵が、今、本当に求められていると思いますから、これは与党、野党、関係ありませんので、その点についてはしっかりとやっていただきたいなと思います。年金の問題が不透明な以上は不安感というのは世の中から払拭(ふっしょく)されないと思いますので、そのあたりを真っ正直にやる使命はあるんじゃないかなと思います。
(テレビ愛媛)
今回、永江さんが、今後国政の場では無所属で活動するということをおっしゃっておられるが、その辺の立ち位置についてはどのように考えているか。
(知事)
さっき申し上げましたように、野党がバラバラで存在して、お互いが時には非難をし合うと。こういう下ではいつまで経っても政権を委ねようという気持ちが国民の中には絶対起こらないと。であるからこそ、野党が今後どうしていくかというのは各党を率いる方々の、また所属する議員の方々の大きな課題になってくると思うんですね。投票率が下がっているのもそういった状況が起因しているんだという認識の下に、今後どうされるのか議論して行ったらいいんじゃないかなと思いますけども、そういう意味では、バッファ役としての無所属の方々の立ち位置というのも一つ大きな意味を持つのかなという気はしますよね。分かりませんよ、僕は当事者じゃないですから。
(愛媛新聞)
参院選で全体の結果に対して伺いたいが、自民党が与党で過半数を超えて、しかし3分の2には至らなかったという全体に対しては。
(知事)
全体的に言えば、もう繰り返しになりますけれども、今回は政権選択の選挙ではないんですけれども、やっぱり野党の体制が代わり得る存在として、まだまだ認知されてない段階ですから、当然、現在の政権政党に委ねようという気持ちが全体的には半分以上を占めたということだろうと思います。ただ、そういう状況であっても、積極的にそうかと言うとちょっとその辺も少しどうなのかなということを感じることもあるんで、議席を得た与党の皆さんにはいろんな意見を真摯(しんし)に聞いて、丁寧に政治を進めていくというそんな姿勢を発揮していただきたいなと思うのが一点。それから、そうは言っても、その状態でもある程度、1人区でも野党が10選挙区勝利してるというのは、これもまた民意だと思いますから、さっきの野党の状況というものを野党関係者は踏まえて、どう今後の野党があるべきなのかっていうのをしっかりと組み立てていく時期が来てるんじゃないかなと思います。