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第27回参議院議員通常選挙:選挙一口メモ
1.参議院議員通常選挙
7月28日の任期満了に伴う参議院議員通常選挙は、7月20日に行われることとなりました。
昭和22年に第1回の通常選挙が行われてから今回で27回目となります。
通常選挙とは、在任期間を同じくする比例代表選出議員と選挙区選出議員が、その任期を満了することにより改選される選挙(3年ごと)のことをいいます。
参議院の総定数は、248人です。その内訳は、比例代表選出議員100人、選挙区選出議員148人です。議員の任期は6年で、3年ごとに半数が改選される制度ですから、1回の選挙で選出される定数は、比例代表選出議員50人、選挙区選出議員74人、計124人となります。
本県の選挙区選出議員の定数は2人なので、今回の選挙で1人が改選されることになります。7月28日の任期満了に伴う参議院議員通常選挙は、7月20日に行われることとなりました。
2.参議院比例代表選出議員選挙
参議院の比例代表選出議員選挙は、全国単位で行われます。
政党等は、政党等の名称・略称及びその所属する候補者の氏名を記載した候補者名簿を届け出ます。このとき名簿に記載された候補者には、当選人となるべき順位を付けないこととなっています。
有権者は、候補者名簿に記載された候補者の氏名を自書して投票しますが、候補者の氏名に代えて、候補者名簿を届け出た政党等の名称又は略称を自書して投票することもできます。
投票結果は、全国集計し、候補者名の得票数と政党等名の得票数を合算した政党等の総得票数に比例して、各政党等の当選人の数を配分します(ドント式)。また、政党等が、優先的に当選人としたい候補者の氏名と当選人となるべき順位を、他の候補者と分けて、候補者名簿に載せることができる「特定枠」が採用されています。特定枠の候補者は、名簿記載の順位で当選人になることができ、その次にその他の候補者のうち、得票数の最も多い候補者から順次当選人となります。これにより、非拘束名簿方式に補完的に拘束名簿方式が組み合わせられることになりました。なお、特定枠に記載されている候補者の有効投票は、政党等の有効投票とみなされます。
また、選挙区選挙の投票の方法は、候補者の氏名を自書して投票することとなります。
このため、有権者は、比例代表選挙では、候補者名簿に記載された候補者の氏名又は政党等の名称若しくは略称を記載し、選挙区選挙では、候補者の氏名を記載して投票するという二つの選挙の違いに注意する必要があります。
3.供託金
立候補の届出(名簿による届出を含みます。)又は推薦届出をしようとする人(比例代表選挙にあっては、名簿を届け出ようとする政党等)は、一定の額の現金又は国債証書をあらかじめ法務局に供託しなければなりません。
これは、真に当選を争う意思のない候補者の乱立を防止する目的で制度化されたものです。
比例代表選挙については600万円に名簿登載者の数を乗じて得た額を、選挙区選挙については候補者一人につき300万円を供託しなければなりません。
この供託金は、選挙終了後返還されるのが原則ですが、得票数が一定数に達しない場合は、国庫に帰属します。比例代表選挙では、名簿届出政党等の当選人の数に2を乗じて得た数が当該名簿登載者の数に達しないときは、600万円にこれらの数の差に相当する数を乗じて得た額が国庫に帰属します。また、選挙区選挙では、当該選挙区内の議員の定数をもって有効投票の総数を除して得た数の8分の1に達しないときは、国庫に帰属します。
4.期日前投票(きじつぜんとうひょう)
投票は、選挙期日に有権者が投票所へ行って投票するのが原則ですが、選挙の当日、一定の事由により投票所へ行けない見込みの人は、選挙期日の前にあらかじめ期日前投票をすることができます。例えば、次のような要件に該当する人は、期日前投票をすることができます。
(1) 選挙の当日、仕事のある人や親族の冠婚葬祭のある人
(2) 選挙の当日、レジャーや買物などの用務で投票区の区域外に出る予定のある人
期日前投票は、公示日の翌日(7月4日)から選挙期日の前日(7月19日)までの間、平日はもちろん、土曜日、日曜日又は祝日でも、原則として午前8時30分から午後8時までの間、市町の選挙管理委員会が指定する期日前投票所ですることができます。
期日前投票は、選挙期日における投票と同様に有権者本人が投票用紙を直接投票箱に入れることができるので、有権者にとって利用しやすい制度となっています。
5.郵便等(郵便又は信書便)による不在者投票
郵便等による不在者投票は、身体に重度の障がいがあり、歩行が困難なため投票所に行くことができない有権者の投票権の行使を保障するために設けられた制度であり、自宅など現にいる場所で投票用紙に記載し、これを郵便等により送付することにより投票する制度です。
この制度を利用できる人は、身体障害者手帳又は戦傷病者手帳の交付を受けている者のうち、その障がいの程度が特に重い一定の障がいを有する者、又は介護保険の被保険者証に要介護5の記載のある者に限られています。
具体的な手続は、
(1) あらかじめ市町の選挙管理委員会に申請して「郵便等投票証明書」の交付を受けておき、選挙期日前4日(7月16日)までに、本人が署名した文書によって投票用紙と投票用封筒の交付を請求します。
(2) 選挙期日の公示日の翌日(7月4日)以後、郵便等により交付を受けた投票用紙に自ら記載し、内封筒に入れて封をし、さらに、外封筒に入れて封をします。
(3) 外封筒には必要な事項を記載し、他の適当な封筒に入れて封をし、その表面に投票が在中する旨を記載して市町の選挙管理委員会に郵便等により送付してください。
なお、郵便等による不在者投票をすることができる選挙人で、自ら投票の記載をすることができない者として定められた上肢又は視覚の障がいを有する人は、あらかじめ市町の選挙管理委員会に届け出た者が代理記載する方法もあります。
6.在外投票
在外投票制度は、外国に居住する日本人が増加したことから導入された制度です。
日本国籍を持つ年齢満18年以上の有権者で、住所を管轄している領事官(大使や公使館の長など)の管轄区域内に引き続き3ヶ月以上住所を有し在外選挙人名簿に登録されている在外選挙人は、在外投票を行うことができます。帰国後国内に住所を有している場合であっても、国内に住民票が作成されてから4ヶ月間は在外選挙人名簿からは抹消されないので、引き続き3ヶ月以上住所を有することにより国内の選挙人名簿に登録されるまでは、在外投票を利用することができます。
在外投票には次の3つの方法があります。
(1) 在外公館投票
在外選挙人は、在外公館に出向いて、選挙期日の公示があった日の翌日から当該選挙の期日の6日前(投票の送致に日数を要する地の在外公館であることその他特別の事情があると認められる場合は、あらかじめ総務大臣と外務大臣が協議して指定する日)まで投票を行うことができます。
なお、在外選挙人は、自分の住所を管轄している在外公館のみならず、世界中のどの投票記載場所を設置している在外公館においても在外公館投票を行うことができます。
(2) 郵便等投票
在外選挙人は、選挙期日前4日までに、登録地の選挙管理委員会の委員長に対して、署名をした申請書により、在外選挙人証を提示して投票用紙及び投票用封筒の交付を請求します。
委員長は、直ちに(選挙期日の公示の日以前に請求を受けた場合には、参議院議員の任期の満了の日前60日に当たる日以降直ちに)投票用紙等を郵便等をもって発送します。
投票用紙等の交付を受けた在外選挙人は、選挙期日の公示があった日の翌日以降、投票の記載をし、登録地の選挙管理委員会の委員長に対し、指定在外選挙投票区の投票所にその閉じる時刻までに送致ができるように、郵送しなければなりません。
(3) 日本国内における投票
在外選挙人は、投票期間中に一時的に日本国内に滞在する場合、帰国後間もないため日本国内の選挙人名簿に登録されていない場合などに、国内の投票方法(選挙当日の投票、期日前投票、不在者投票)を利用して投票を行うことができます。
7.選挙運動
選挙運動は、有権者にとっては、これによって各候補者の人物・政見など、誰に投票するかを判断する基礎になるものを知ることができ、その点からすれば、可能な限り自由にすべきです。しかし、無制限に自由を認めると、選挙が財力や権力等によってゆがめられるおそれがあります。
このため、選挙の公正を確保するためには選挙運動に一定のルールを設け、そのルールに従って選挙運動が行われるようにする必要があります。
そこで、公職選挙法では、金のかからない選挙の実現と選挙の公正を確保するため、選挙公営制度と選挙運動の制限を定めています。
選挙運動の制限を大別すると、事前運動の禁止などの期間に関する制限、文書図画や言論による選挙運動に対する一定の制限などの方法に関する制限、選挙事務関係者の選挙運動の禁止などの主体に関する制限があります。
8.選挙運動用ポスター
選挙区選挙では、選挙運動用ポスターは、市町の選挙管理委員会が設置するポスター掲示場1箇所につき1枚に限って掲示することができ、これ以外の場所には一切掲示することができません。
ポスター掲示場は、県内で3,762箇所に設置される予定で、候補者は、立候補届出の受付番号と同じ番号の区画にポスターを掲示することができます。
ポスターの規格は、長さ42センチメートル、幅30センチメートル以内とされていますが、選挙運動用ポスターに併せて個人演説会告知用ポスターを作成して掲示することができますので、この場合は、長さ42センチメートル、幅40センチメートル以内のものとなります。
候補者は、供託物が没収されることとなる場合を除き、これらの選挙運動用ポスター及び個人演説会告知用ポスターの作成について一定限度額の範囲内において公費負担を受けることができます。
ポスターの表面には、当該ポスターを使用する公職の候補者の氏名を、選挙人に見やすいように記載しなければならず、また、掲示責任者と印刷者の住所及び氏名(印刷者が法人であるときは、その法人名)を記載しなければなりませんが、その記載内容については、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけたり、善良な風俗を害したり、特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等、いやしくもポスター掲示場に掲示されるポスターとしての品位を損なう内容を記載しない限り、政見の宣伝や投票依頼の文言なども記載できます。併せて、従として、比例代表選挙の選挙運動の文言を記載できます。
また、比例代表選挙では、参議院名簿登載者個人は、ポスターを掲示することができますが、ポスター掲示場は設けられません。なお、参議院名簿登載者が使用できる選挙運動用ポスターは、一人について7万枚です。
9.政見放送・経歴放送
政見放送は、選挙区選挙の候補者や比例代表選挙の名簿届出政党等が、その政策や政見をよく知ってもらうため、テレビとラジオで放送するものであり、公営で行われます。
比例代表選挙の名簿届出政党等は、日本放送協会の放送設備により、テレビは2回から8回まで、ラジオは1回から4回までの範囲でその名簿登載者の数に応じて定められた回数の政見放送を行うことができます。一方、今回の愛媛県選挙区選出議員選挙では、候補者一人について、テレビは日本放送協会で2回、愛媛朝日テレビ、南海放送、テレビ愛媛でそれぞれ1回ずつ、ラジオは日本放送協会で2回、南海放送で1回行うことができます。
政見放送を行う時間は、選挙区選挙では候補者1人につき1回5分30秒以内、比例代表選挙では各名簿届出政党等につき1回17分以内で、候補者や名簿届出政党等が自ら選定した手話通訳士1人による手話通訳を付して政見を放送することができるほか、名簿届出政党等や一定の要件を満たす候補者については、政見放送に字幕を付して放送することもできます。
また、選挙区選挙においては、候補者の氏名、年齢、党派別、主要な経歴などを周知するため、政見放送を行う直前に、経歴放送又は経歴の紹介をするほか、日本放送協会のラジオでおおむね5回、テレビで1回、政見放送とは独立して、経歴放送のみが行われます。
10.街頭演説
街頭演説とは、街頭や公園、広場などで多数の人に向かってする選挙運動のための演説をいいます。比例代表選挙の参議院名簿登載者及び選挙区選挙の候補者は、街頭演説を行うことができます。
街頭演説は、午前8時から午後8時までの間であれば、候補者はもとより第三者が候補者のために演説することもできますが、必ず、標旗を掲げて行わなければなりません。標旗は、参議院名簿登載者には6本、選挙区選挙の候補者には1本、それぞれ交付されます。
また、街頭演説は、その場所にとどまってしなければいけません。したがって、道路を歩きながらする演説や走行中の自動車の上からの演説、いわゆる流し演説は禁止されています。
なお、街頭演説の場所で選挙運動に従事する者は、比例代表選挙においては演説を行う場所ごとに、選挙区選挙においては候補者1人につき、それぞれ15人以内とされており、これらの者は、法定の腕章を着けていなければいけません。
11.個人演説会
個人演説会とは、候補者又は名簿登載者が政見の発表や投票依頼など選挙運動のために自ら開催する演説会のことです。このため、候補者以外の第三者(例えば青年団、新聞社等)が主宰して合同演説会などの選挙運動のための演説会を開催することはできず、また、候補者等もこれらの演説会に参加することはできません。
個人演説会においては、候補者本人はもとより、候補者以外の者でも演説ができ、候補者が出演しないで他の者だけが出演して演説することもできます。また、テープレコーダーなどの録音装置を使用して、候補者や応援者の演説を聞かせることも差し支えありません。
選挙区選挙においては、開催回数に制限はありませんが、同時に開催することができるのは5箇所までであり、開催中は、会場前に県選挙管理委員会が交付した表示板を付けた立札・看板の類を掲示しておかなければなりません。
個人演説会に使用できる施設には、公営施設(学校、公民館、地方公共団体の管理に属する公会堂及び一定の指定施設)とそれ以外の施設(例えば個人の住宅、神社、寺院、劇場等の施設)とがあります。公営施設を使用する場合は、候補者はその開催日の2日前までに市町の選挙管理委員会に申し出なければなりません。その公営施設の使用については、候補者1人について同一施設ごとに1回に限り無料です(2回目からは有料)。なお、公営施設を使用して演説会のできる時間は1回について5時間以内です。
比例代表選挙においては、同時開催の制限はなく、表示板をつけた立札、看板の類も必要ありません。
12.選挙運動用ビラ
比例代表選挙においては、名簿登載者1人について、中央選挙管理会に届け出た2種類以内のA4版を超えない大きさのビラを、25万枚以内で頒布することができます。
選挙区選挙においては、候補者1人について、県選挙管理委員会に届け出た2種類以内のA4版を超えない大きさのビラを、13万枚以内で頒布することができます。
なお、選挙運動用ビラには、頒布責任者及び印刷者の住所及び氏名(法人にあっては名称)を記載するとともに、比例代表選挙においては当該名簿登載者に係る名簿届出政党等の名称及び中央選挙管理会に届け出たビラである旨を表示する記号を記載して中央選挙管理会から交付された証紙を貼り、選挙区選挙においては県選挙管理委員会から交付された証紙を貼らなければなりません。
選挙運動用ビラの記載内容については、他の法令(例えば刑法)に触れる場合や虚偽事項の公表、利害誘導等の罰則に触れるような場合を除いては特に制限はありません。
選挙運動用ビラの頒布方法は、新聞折込みによる方法のほか、次に掲げる方法によらなければ、頒布することはできません。また、選挙運動用ビラを散布することもできません。
(1)比例代表選挙における名簿登載者が使用するビラ
ア 当該ビラに係る名簿登載者の選挙事務所内、個人演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
イ アの名簿登載者に係る名簿届出政党等の選挙事務所内における頒布
(2)選挙区選挙における候補者が使用するビラ
当該ビラに係る候補者の選挙事務所内、個人演説会の会場内又は街頭演説の場所における頒布
13.選挙運動用パンフレット・書籍
名簿届出政党等は、当該名簿届出政党等の本部において直接発行するパンフレット又は書籍で国政に関する重要政策及びこれを実現するための基本的な方策等を記載したもの又はこれらの要旨等を記載したものとして総務大臣に届け出たそれぞれ1種類のパンフレット又は書籍を、選挙運動のために頒布(散布を除く。)することができます。
選挙運動用パンフレット・書籍については、名簿届出政党等の選挙事務所内、政党演説会若しくは政党等演説会の会場内又は街頭演説の場所や、所属候補者(名簿登載者を含む。)の選挙事務所内、個人演説会の会場内又は街頭演説の場所において、頒布することができます。
選挙運動用パンフレット・書籍には、その表紙に、当該名簿届出政党等の名称、頒布責任者及び印刷者の氏名(法人にあっては名称)及び住所並びに選挙運動用パンフレット・書籍である旨を表示する記号を記載しなければならないことになっています。
14.選挙公報
選挙公報は、選挙区選挙においては候補者の氏名、経歴、政見等を、比例代表選挙においては名簿届出政党等の名称及び略称、政見、名簿登載者の氏名、経歴及び写真等を、それぞれ有権者に周知するため、県選挙管理委員会が公営により発行するものです。
掲載文は、候補者又は名簿届出政党等が作成し、選挙区選挙では県選挙管理委員会に、比例代表選挙では中央選挙管理会に申請したものを原文のまま掲載します。掲載文の寸法は、選挙区選挙は候補者1人につきタブロイド版1ページの2分の1ずつとされており、比例代表選挙では参議院名簿登載者の数に応じてブランケット版1ページの4分の1、2分の1、4分の3又は全ページとされています。なお、掲載の順序は、県選挙管理委員会がくじで決めます。
選挙公報は、市町の選挙管理委員会から、選挙人名簿に登載された人の属する各世帯に選挙期日の2日前までに配布されます。
ただし、各世帯に選挙公報を配布することが困難であると認められる特別の事情があるときは、新聞折込み等による方法で配布することもできます。
今回の参議院議員通常選挙の選挙公報は、愛媛県内においては、各約68万部ずつ発行されます。
15.インターネット等を利用する方法による選挙運動
誰でも、ウェブサイト等(ホームページ、ブログ、SNS、動画共有サービス、動画中継サイト等)を利用する方法により、選挙運動を行うことができます。
この選挙運動用ウェブサイト等には、電子メールアドレスやSNSのユーザー名などを表示しなければなりません。選挙運動は選挙の前日までに限られており、ウェブサイト等に掲載された選挙運動用文書図画は、選挙当日もそのままにしておくことができますが、更新はできません。
一般の有権者は電子メールを使って選挙運動をしてはいけません。ただし、一般の電子メールを用いずにSNSなどユーザー間でやりとりするメッセージ機能は、ウェブサイト等を利用する方法に含まれますので、一般の有権者も利用できます。
なお、インターネット等を利用する方法による選挙運動においても、事前運動や18歳未満の者の選挙運動は禁止されています。
16.だれでもできる選挙運動
選挙運動には、候補者が行う選挙運動のほかに、幕間(まくあい)演説や個々面接、電話による選挙運動のように、選挙運動期間中、選挙運動を行うことができる者であれば、だれでも自由に行ってもよいものがあります。(18歳未満の者は、選挙運動が禁止されています。)
幕間演説とは、映画や演劇等の鑑賞のために、たまたま劇場等に参集している者に対して、休憩時間を利用して行う演説等をいいます。つまり、幕間演説は、あくまで他の目的でたまたまその場所に居合わせた者に対して行われるものでなければなりません。
個々面接とは、商店や病院等において店員や医師が来客者に対して投票を依頼し、バス・電車・デパートの中や街頭でたまたま知人等に出会ったときに、その機会を利用して投票を依頼する行為をいい、自由に行うことができます。
また、電話により有権者一人一人に投票を依頼することも自由に行うことができます。
なお、ウェブサイト等を利用した選挙運動を行うこともできますが、一般の有権者は電子メールを使って選挙運動をしてはいけません。
17.飲食物の提供の禁止
何人も、選挙運動に関して飲食物を提供することは、いかなる名義のものであっても、原則として禁止されています。
「選挙運動に関し」とは、「選挙運動に関することを動機として」という意味であり、投票依頼の目的があることを要しません。例えば、候補者が選挙運動員や労務者に対し、慰労する目的で飲食物を提供する場合や、第三者が候補者の選挙運動を激励するために、いわゆる陣中見舞として飲食物を届けることも禁止されています。
これは、選挙運動がその性質上、飲食物の提供を伴いやすいので、それに伴う種々の弊害を抑制するとともに、選挙運動費用の増加を防ごうとするものです。
ただし、湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を提供することや、候補者や名簿登載者の選挙事務所において、選挙運動員や労務者に対して一定の制限内で弁当を提供することは許されています。
なお、名簿届出政党等の選挙事務所においては、湯茶・菓子を除いては、一切提供することができません。
18.戸別訪問の禁止
有権者の家を訪ねて投票を依頼し又は投票を得させないように依頼するような行為は、戸別訪問として禁止されています。
戸別訪問は、必ずしも有権者の自宅を訪問する場合だけではなく、会社、工場等を訪問する場合も含まれ、一戸しか訪問しない場合でも、二戸以上を訪問する目的を持っていた場合は、戸別訪問にあたります。
また、家屋の中に入らなくとも、相手方の家屋の出入口に接する店先、軒先や道路端まででも、訪問すれば戸別訪問となり、訪問の相手方が不在であっても、あるいは面会を拒絶された場合でも戸別訪問となります。その他戸別訪問に類似する行為も禁止されており、選挙運動のために戸別に演説会の開催について告知する行為や戸別に特定の候補者の氏名又は政党その他の政治団体の名称を言い歩く行為も戸別訪問とみなされますので、注意が必要です。
このように戸別訪問が禁止されているのは、一般公衆の目の届かないところで、個々の選挙人と直接に対面して行われる投票依頼等の運動については、とかく買収等の違反行為を行う機会をつくり、選挙の自由・公正を害するおそれがあるためです。また、候補者及び有権者ともにそのことによる負担が大きい等の弊害が予想されるためです。
19.投票所入場券
投票所入場券は、有権者に投票の日時や場所を周知するとともに、投票日当日、投票所で有権者であることを確認する一つの手段として、市町の選挙管理委員会から配付されるものです。
投票に行くときは、投票所入場券に記載されている場所、時間をよく確かめて(投票所の場所や開閉時刻が、これまでと変更となっている場合があります。)、その入場券を持参してください。
なお、投票所入場券を紛失した場合でも、投票できないわけではありません。投票所で係員にその旨を申し出れば、選挙人名簿と照合して本人かどうかを確認した上で、投票用紙を交付してもらえますので、棄権をすることのないようにしてください。
期日前投票をするときも、投票所入場券が既に交付されているときは、それを忘れず持参してください。
20.投票
投票は、原則として、投票日に有権者がその属する投票区の投票所へ行き、選挙人名簿との対照により確認を受けた後、投票用紙の交付を受け、投票管理者や投票立会人の立ち会いの下に、投票記載所で、選挙区選挙にあっては候補者1人の氏名を、比例代表選挙にあっては名簿登載者の1人の氏名あるいは1の名簿届出政党等の名称又は略称を、それぞれの投票用紙に自ら記載し、投票箱に投函することによって行います。
ただし、心身の故障その他の事由により、自ら投票用紙に候補者の氏名等を記載できない場合には、本人に代わって補助者が代筆する代理投票の方法が認められています。また、投票所には、点字投票用の投票用紙や点字器が用意してあり、点字での投票もできるようになっています。
投票用紙は、選挙区選挙にあたっては薄い黄色地に黒い字で印刷されたもの、比例代表選挙にあたっては白地に赤い字で印刷されたものが用いられます。
投票所には、選挙人のほか、選挙人の同伴する18歳未満の者や、選挙人と一緒に投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として投票管理者が認めた選挙人を介護する者などについては、投票所に入ることができます。
投票時間は、一部の投票所を除いて、原則として午前7時から午後8時までです。
21.無効投票
選挙における投票の効力は、開票管理者が開票立会人の意見を聴いて決定することとされていますが、選挙区選挙の場合は、次のような投票は、無効として取り扱われます。
○ 所定の用紙を用いないもの。例えば、選挙区選挙と比例代表選挙の投票用紙を取り違えたもの。
○ 候補者でない者の氏名を記載したもの。例えば、他の選挙区の候補者の氏名を記載したもの。
○ 1枚の投票用紙に二人以上の候補者の氏名を記載したもの。
○ 候補者の氏名のほか、他事を記載したもの。ただし、氏名のほか、職業、身分、住所又は敬称の類の記載は無効とされません。
○ どの候補者を記載したかを確認し難いもの。
○ 白紙投票、単なる雑事・記号等を記載したもの。
一票を無駄にしないためには、投票用紙を取り違えないで、候補者の氏名を正しくはっきりと記載することが大切です。
また、非拘束名簿式比例代表制が導入されている比例代表選挙の場合は、名簿登載者の氏名あるいは名簿届出政党等の名称又は略称を記載することになっていますが、次のような投票は、無効として取り扱われます。
○ 参議院名簿登載者でない者の氏名を記載したもの(ただし、参議院名簿届出政党等の名称又は略称とその政党等の代表者の氏名又は敬称の類とを記入したものは有効)
○ 1枚の投票用紙に参議院名簿登載者の氏名及びその名簿登載者が属していない名簿届出政党等の名称又は略称を記載したもの
22.住所を移転した人の投票
投票をするためには、投票日に選挙権を有するだけではなく、同一市町に引き続いて3箇月以上住所を有することで選挙人名簿に登録される必要があります。
また、住所を移した人が新住所地で投票をするには、新住所地に転入届を出していなければなりませんので、住所を移す場合は必ず住民票を移すようにしてください。
なお、他の市町村に転入届を出した日から3箇月以上とならない人であっても、旧住所地に3箇月以上住んでいれば、旧住所地で投票をすることができます。(旧住所地の登録は転出後4箇月を経過するまでは抹消されません。)
この場合、旧住所地が遠方であるなどの理由で旧住所地に行くことができなくても、新住所地の選挙管理委員会で不在者投票をすることができます。(投票用紙などの必要書類は、旧住所地の選挙管理委員会に請求する必要があり、手続きに時間がかかりますので、早めに請求してください。)