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令和7年度4月知事定例記者会見(令和7年4月25日)の要旨について
日程:令和7年4月25日(金曜日)
時間:11時34分~11時56分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
それでは会見に移ります。記者クラブからの代表質問は1問です。
平成の大合併についてお伺いします。
70市町村を20市町に再編した平成の大合併から20年が経ちました。
県は合併から10年経った2014年に合併の効果や課題を検証し、その結果を取りまとめた報告書の中で、チーム愛媛として一丸となり、行政の総合力を発揮し、地方創生の取り組みを進め、その取り組みについて、節目ごとに不断の検証を行っていくことが不可欠と結論づけました。
このたび20年が経ち、人口減少も進む中で、改めて見えてきた課題などを踏まえ、これまでを振り返った所感をお聞かせください。
(知事)
はい、市町村合併については先ほど申し上げましたように、メニュー選択型行政の根幹であった中央集権的なシステムが国の財政事情で限界を迎えていたという、それが平成10年代だったと思います。
そして他方で金太郎あめのようなまちづくりしかできない縛りを受けている地方は、まちづくりの根幹というのは、そのまちの個性であるとか、自然であるとか、産業構造であるとか、環境であるとか、これをどう生かすかにポイントがあるんですけれども、それができない仕組みを変えるべきだということの動機は別だったのですが、方向性は一緒だったということで地方分権が進みました。
その結果、三位一体改革が行われて、このときは不満の塊でした、市の立場でしたけども。なぜならば、財政的な見かけ上の裁量権を拡大するために所得税を地方税へ移管すると、2兆4000億円の移管が行われたと記憶してます。しかし、その一方で補助金等々が3兆6000億円カットされました。いわば三位一体改革を通じて1兆2000億円もの負債というものが、国から地方に転嫁をされたという結果が三位一体改革の本筋であったのではなかろうかと思います。
そこに国の方から市町村合併の話が来まして、これもですね、アメとムチ政策で、合併したところには特例債等々のあめ玉が用意されると。合併しなかったところには、むちが用意されるという過酷な条件を当時市町村の自治体は突きつけられました。
そこで誰も合併はしたくなかったと思います。自分のまちの名前が消えてしまう、行政のサービスが縮小するのではないかという不安もありますし、そういう中で誰かが嫌われ役をやらなければ、合併は進まないと判断したのが当時の県知事であった加戸守行さんだったと思います。その嫌われ役がいなかったところの県は合併が進んでいません。
愛媛県はもう加戸さんが自分が全て強引なんだって言ってもいいと、嫌われ役を買って出るので、ぜひぜひやろうということで、当時70あった市町村が20の市町に集約されたのが愛媛県で、その数だけでいえば全国でも二、三番目に合併が進んだ県だと思います。ところがですね、地方分権が進んで合併でも乗り越えてきた地方公務員はその間10パーセントぐらい人数的には減少しています。仕事が増えているのに減少したのが地方、そして移譲した、仕事が減った国は2パーセントしか減ってないのです。議員に至っては6万人いた地方議員が3万8000人まで減少、国会議員は1人も減ってない、若干減りましたかね、数名、その程度です。おかしいんですよ。
だからそういう不満は常に抱えながら、この市町村合併というのは、実際に私も市長として、北条市と中島町、その住民の皆さんの悲哀の声も聞いてきましたので、より一層強くを感じております。
ただもう終わってしまったことはもう仕方がありませんから、10年経ったときに、平成26年、検証等を行いました。昨年度そのフォローアップとして、合併10年時点で認識された課題が、その後どのように変化したかというアンケートを実施しました。その結果、10年時と同様に、良い面、悪い面、両方ございました。「防災力の向上」、それから「地域の知名度の向上、イメージアップ」、こうした項目においては、特に効果があったという声が寄せられています。市町の広域化や行財政の基盤強化によって防災拠点施設の整備、また広域的な視点に立った施策展開が可能となった、というような声が上がってきています。
一方で、「専門的できめ細かい施策の推進」、「権限移譲による自立性の向上」の項目は評価が低い結果となっております。先ほど申し上げましたように、人は地方が減ってるんですね。権限が移譲されて仕事が増えた地方が減ってるから、人員が足りないんですよね。
もう一つは、権限移譲もある意味では差し障りのない権限はどんどんどんどん振られてですね、肝心のところはまだ振られてない、だから、地方分権は道半ばというふうに言えると思います。そういうふうな声が、市町からも今の時点でも上がってきているということでございます。
自分自身、就任当初から基礎自治体重視の県政運営を公約の中に掲げさせていただきました。そういう意味で、市町で県・市町連携推進本部の設置、チーム愛媛の取り組み等々を進めてきましたが、アンケート調査の結果からは防災・減災対策や移住促進の取り組みについては、着実な成果には結びついているのかなと考えられますけれども、一方で、先ほどのアンケートから推測しますと、人材の確保・育成等については、これまでも、職員の相互併任やDX推進体制の構築などの取り組みで市町を支援してきたところでありますが、一層取り組んで、重点的に取り組んでいく必要性を感じています。
また、人口減少を始めとする本県が直面する地域課題を乗り越えて、未来を切り開いていくためには、地域づくりの主体を担う市町が、地域課題に即した現場起点の政策を練り上げ展開していく必要があると考えておりまして、これは、本当に思うんですけれども、企業も一緒だと思うんですけれども、まずトップがビジョンを持ちしっかりとした政策を示すことが重要で、それがないと本当にどこへ向かっていいかわからないまま迷走してしまう。そういった地域は長い目で見ると確実に衰退していくというふうなことだろうと思います。そういう意味で、各市町が抱える課題、しっかりとした政策をお持ちだと信じて、これまで培ってきたチーム愛媛の総合力を最大限に発揮して、愛媛県全体で地方創生の先頭を走ろうという気概を持って取り組んでいきたいというふうに思います。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただ今の答弁に関して、質問のある社はお願いします。
(愛媛新聞社)
愛媛新聞社です。加戸前知事の時代に70から20市町まで集約化が進んだわけですけども、その当時に比べて人口減少は想像以上に進んだと思います。さらにこれからもその可能性がある中で、知事はこの20市町という数、あるいは今の行政サービスの提供の形としてですね、20という数字をどのように受け止められているのか、あるいは今後さらに合併が必要になるというような可能性を考えておられるかどうかお聞かせください。
(知事)
そうですね、愛媛県の場合は、本当に全国的に見てもかなり合併が進んでいた実績を持っていますので、今、さらにもう一歩というようなことはあまり感じていません。ただ人口減少がさらに進んで、自治体の規模としてどうなのかというふうな段階で、合併の可能性が生まれてくることは否定できないと思います。ただ今すぐにどうのこうのという感じはしないですね。
合併というのは、凄まじいエネルギーが必要だと思います。まず、先ほど申し上げましたように、住民の切実な声というものをどう説得するのか。それから合併するとですね、市長、町長をはじめとする特別職は皆仕事を失うことになります。それから地方議員も失うことになります。それらをどう説得していくのか、特に当時一番ハードルが高かったのは、議会。議会の承認が必要になりますから、ここの説得でした。かなり松山市の場合は、当時思い切ったことをやりまして、合併と同時に、あのとき合併を決めるとですね、これもなんか変なあめ玉だと思ったんですけども、合併を決めた自治体の議員は2年間特例で任期を延長することができるなんていう、6年任期のですね、制度なんかもあったんです。それは松山市としては一切使わないという決断をいたしました。そして、合併と同時に全員をお辞めいただくということで、定数も松山市の人口割でやるというふうなことで対処した記憶が残っています。
ですから、かなりな思いを持たれた方もいらっしゃったと思いますけれども、ここは加戸さんがそうであったように、実施する市長、町長も覚悟をしなかったらできないということでありますから、そう簡単にできる話ではないというふうに思います。全国的には進んでないとこがどうなるかは、ちょっと私にはコメントのしようがないです。
(南海放送(幹事社))
各社さん他によろしいでしょうか。それでは代表質問以外で質問のある社はお願いします。
(愛媛新聞社)
愛媛新聞です。県職員の確保策について、お伺いしたいんですけれども。労働人口減少によって人材獲得競争が激化する中で、県の採用試験では民間企業と併願しやすいように公務員試験を課さない試験を増やすとか、志願者確保に向けていろいろと工夫されていると思います。志願者確保には仕事のアピールも必要かと思うんですけれども、知事は県職員の仕事の魅力というものがどういったところにあると思うのか、それからその魅力をどういうふうに伝えていくべきかという2点のお考えを教えてください。
(知事)
僕自身は絶対に公務員タイプではないんです。たぶん長くもたないかもしれないのですが、今まで12年以上、県の職員と仕事をしてきて一つ分かったことは、皆さん一人一人のポテンシャルがものすごい高いですね。12年、14年かやって、いついつまでにこれを仕上げて欲しいというようなオーダーを出した時にできなかった記憶がないんですね。
ただ一方で、政策立案に関わる自由な発想であるとか、それを具体化する環境面での問題もありますけれども、そういうスキルについては、僕は商社にいましたから、足りないところがあるなと。
だから、目指すべきところは、その良き伝統、しっかりとした仕事が完結できる組織の魅力を維持しつつ、民間的な自由な発想で前向きにできる環境を整えていくということを今目指している。それが政策エコシステムでもあります。こういう環境が整えられれば、より一層楽しい職場になろうかと思います。
ただ単に決まりきったことをやればいい、時間どおりで全てが終わる、年功序列、そういう方がいいっていう若い人たちには、僕もいろいろな事前の講演とか行くんですけれども、愛媛県庁はやめた方がいいですよと、他の自治体の方がいいと思いますと言っています。それぐらい、もうはっきりさせた方がいいかなというふうに思っています。
県の仕事の楽しさっていうのはやっぱり非常に広域的な行政、身近な本当に、テーマについては基礎自治体が担いますけども、県の場合は基本的には広域連絡調整事務という地方公共団体の位置づけになっていますから、より大きな視野で政策を考えていくことができるということと、それから営業本部に代表されるようにフィールドは全国から場合によっては海外まで視野を広げてさまざまな事業にもチャレンジできる環境がある。そして各種研究所がありますから、県の基幹産業を支えるという重要な使命も持っている。いわば全てに言えることは地域への貢献、やはり県民のため愛媛県のために使命感を持って仕事を追い続けることができるという、その思いがしっかりと味わえるということで、やっぱりそこのあたりの使命感がある方にとっては魅力的な職場ではないかなというふうに思います。
人材確保のためにも先ほどどんどん変わってきていますから、いろいろな視点が必要になってきているので、僕も大学行って講演をしたりですね、直接お話をすることもありますし、それから人事の方でもさまざまなアプローチを今展開していますので、東京での試験会場、大阪での試験会場とか、そのチャレンジできるフィールドを広げるというふうな視点でさまざまな取り組みをしていますので、ぜひぜひ多くの方々にチャレンジをしていただきたいなというふうに思っています。
(毎日新聞社)
すみません。毎日新聞と申します。今治の林野火災から1ヶ月が経ちましたが、今後の復旧復興とか再発防止に向けた取り組みについて、知事はどうお考えでしょうか。
(知事)
はい、まずですね、今すぐにやらないといけないことは、二次災害に対する対応のスタートだと思っています。
山林があれだけの規模、400ヘクタールを超える規模で消滅しますと、相当な地盤の脆弱性が現実化しますし、土砂災害のリスクも高まってきますので、短期的には、今後の降雨等で想定される土砂流出等の二次被害を防止するための、特に全部一斉にできないので、人家や公共施設がある場所、危険性の高い箇所ですね、これを優先順位をきちんとつけながらですね、地元の市と連携して、もちろんこの現場の環境の情報というのは、市の方が知っていますから、そこときちんと連携しながらですね、現況調査を実施して、早急に復旧対策が必要な箇所については、関係者と調整を行っていきたいと思います。
特に災害復旧になると、国庫補助事業も使えますので、期間もなんていうんですかね、計画作りから要望まで、それぞれ決まっていますので、その期間内に、できるだけ速やかに計画をまとめて、国に要請を開始したいと思っています。
それから今後の状況については、これまで前も申し上げましたけれど、今回感じたのは乾燥期におけるそして晴天が続く、そしてさらに気象庁の強風注意報が喚起されていると、闇雲(やみくも)にはできないですけど、ある一定のレベルに到達したときに現実に現場で議論してもらっていますけれども、注意喚起をするような仕組みができないかなというふうに思っています。
特に今回、今治の場合は原因が分かっていません。今、警察・今治署とそれから地元の消防で調査をしているやに聞いていますので分かりませんけれども、全国的な傾向としては野焼きであるとか、たばこのポイ捨てであるとかこういったことが原因になっていると聞いていますので、野焼きは林業とかそういった業を営む場合は、これはもう禁止されていないので、全面禁止というのはできないです。
ただ一般家庭での焼却とかそういうのはできませんから、そういったことをしっかりと浸透させることと、先ほど言ったように何らかの呼びかけのルールを何か作れないかなというふうに思っています。
(NHK)
NHKと申します。今の山林火災に関連してなんですけれども、先の今治市の会見で消防の応援体制のあり方について県を主導に応援要請の基準を決めていきたいと発言があったんですけれども、そのあたり県としてどういうふうに考えるか。
(知事)
これはですね、ちょっと難しい側面もあると思います。市町ごとに状況が全く異なりますから、基本的には消防組織法というのが法律で明確に位置付けられておりまして、市町が管轄区域内における消防に関する責任と役割を担うということになっています。県の管理に服することはないとされています。また、先ほど申し上げましたように、地域によって課題また現状も個々さまざまだと思いますので、愛媛県消防広域相互応援協定を締結していますけれども、ここに明確に定めているのが、被災地の市町等の消防力のみでは災害の防御が困難又は困難が予想される規模という基準以上の具体的な判断基準を先ほどの要素要因がありますので、ちょっとハードルが高いかなというふうな感じがします。ただ、今一番大事なことは、やっぱり今治で今回の火災の検証を行っていただくことが最重要ではないかなと思います。
(NHK)
確認で恐縮なんですけれども、今の件でいうと応援要請のあり方については、まずは市町で考えていくべきということでよろしいでしょうか。
(知事)
はい。われわれが、県自体が消防団、消防局をもっている訳ではありませんので、そこの判断、現場の判断というのが最重要だと思います。先ほど申し上げたように、一定のルールを作って呼び掛ける(火災の注意喚起)とかそういうのは可能だと思いますので、積極的に行っていきたいと思います。
(南海放送(幹事社))
その他よろしいでしょうか。それではこれで会見を終わります。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。