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政策立案型行政の深化に向けた取組みに関する記者発表の要旨について
日時:R7.4.25(金)11時06分~11時27分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
続いて政策立案型行政の深化に向けた取り組みについてです。
準備がありますので、しばらくお待ちください。
それでは政策立案型行政の深化に向けた取り組みについてです。
会見終了後、記者室で担当課によるレクがありますので、詳細な質問はそちらでお願いします。それでは知事お願いします。
(知事)
私の役割は多くの方々からいただいた知恵、あるいは、的確な情報収集を咀嚼(そしゃく)しながら、ある程度具体的な公約というものを作る使命があります。その公約を県庁という組織に浸透させて、自分1人で何もかもできる訳ないですから、そこを肉付けしていく、気持ち良く前向きに肉付けしていく雰囲気を作るということ。大まかに言えばこの二つが重大な使命だと思っています。別の言い方をすれば、真っ白なキャンパスの上に鉛筆で下書きを書く。そしてその下書きを多くの方々に共有していただき、そこに色付けを楽しく前向きに行える環境を作るということ、こういう言い方もできるかなというふうに考えてきました。
他方、時代の流れとして、メニュー選択型行政から、政策立案型行政体への脱皮が欠かせないというふうに考える中で、さまざまな改革を進めてまいりました。当初は土台作りということで、5つの意識改革を中心に政策立案型行政の考え方の浸透、そして前向きな雰囲気を作るための組織改革。例えば課長補佐ポストを見直し、業務執行リーダー制を導入する。こういった改革や課長試験の導入、あるいは挑戦、加点主義の人事評価システムの変更等々いろいろ着手をしてまいりました。
そして、当初この土台を作った上で、政策立案型行政を目指すために第1段階としては部局の中において政策をひねり出すという第1段階のステップを踏んできた経緯がございます。そして第2段階では、部局を横断して、複眼的な視点から政策を立案していくという作業がございました。
そしていよいよ第3段階に入ってまいります。これはまさに前の記者会見でも申し上げましたけれども、官民共創という視点で企画段階から民間の知恵もいただくような発想というふうなことが必要になってくると思います。そのために、今現在建築中の第二別館の官民共創拠点の設置や、その準備というものに入っていますけれども、これはですね、実際に行うのは若手職員を中心に、組織の現場になってまいります。そこで、今回はこの制度、えひめ版エコシステムですね。政策立案の第3段階、この導入に当たっては、若手職員を中心にいろいろと知恵をひねっていただいてもらった経緯がございます。
そこで私からこの記者会見は知事会見ですから、今までは全部私の方から説明や応答もやらしていただきましたけれども、おそらく県の制度上は初めてになると思いますが、この政策エコシステムは今後の愛媛県の未来を切り拓くために、そして県庁が躍動するために非常に重要な位置付けにしています。そういった経緯も踏まえて今回の説明については、知事会見でありますけども初めて若手職員、今日並んでいますけども、実際に知恵を絞ってきている職員に説明を皆さんにさせていただきたいというふうに思います。ということで、若手職員の方から、説明をお願いします。
(総合政策課職員)
政策エコシステム検討チームの総合政策課です。
政策エコシステムとその構築に向けたプラットフォームの設置について説明をさせていただきます。
えひめ版政策エコシステムとは、県や民間企業、各種団体等の多様な主体が企画段階から連携・協働することにより、持続的に新たな価値を創造し、戦略的な政策立案等につなげる仕組みと定義をしております。エコシステムを活用した政策立案のイメージは、これまではスライドの上段部分のように、県庁内で部局内や部局横断により政策を立案し、実施段階から官民協働で取り組みを進めてきましたが、今後はスライドの下段部分のように、多様な主体を巻き込みながら、課題解決に向けた議論を重ねつつ、県の政策に加えて、民間ベースのビジネスや地域活動などの効果的な解決方策を生み出すことで、より重層的に地域課題を解決することができるよう仕組みを構築し、運営していきたいと考えております。
エコシステムは2階層としております。スライドの下段部分のように、広く議論する共創の場としての第1層のプラットフォームと、上段部分のように個別具体的な議論を深める第2層のアクションラボで構成しております。
県がプラットフォームを立ち上げ、趣旨に賛同いただいた企業や団体等の方々と膝を交えて、自由な意見交換を行い、開放的・協調的なカルチャーを醸成し、プラットフォームの議論で生まれた活動テーマに対しては、参加者を絞り込んで個別にアクションラボを立ち上げ、政策を練り上げ、解決を図っていきたいと考えております。今年度はまず第1弾として、本県の強みを発揮できる食・観光・農林漁業の分野をテーマに、本日からプラットフォームを設置し、参加者の募集を開始いたします。
募集期間は本日から随時募集を行うこととしております。県ホームページ内の加入ホーム、手のひら県庁になりますが、こちらよりエントリーをお願いいたします。
募集対象は、取り組みの趣旨や活動内容、ルール等に賛同いただき、「こんな地域にしたい」「こんなことができたらおもしろい」という意見を持ち寄り、企画段階から自由な発想やアイデアのもと、官民共創で本県オリジナルの新しいビジネスや地域活動、それらを支える政策の創出にチャレンジしたい方を企業、団体、個人を問わず、手挙げ方式で募集いたします。
エントリーをいただいた皆さんには、食・観光・農林漁業分野で興味関心のあるテーマについて、プラットフォームで自由な発想でアイデアを共有し、大いに意見を交換していただきたいと考えております。設置ルールとして、県は、プラットフォームをアイデア創出のため、開放的・協調的なカルチャーを醸成する場と位置づけ、参加者が集まりやすい企画作りや勉強会、ワークショップを開催することとしております。
参加者募集に合わせて、参加者間の相互理解を促すとともに、建設的な意見交換を体験してもらうためのキックオフミーティングを7月4日金曜日に県民文化会館真珠の間で開催させていただきます。ミーティングでは参加者が食・観光・農林漁業分野でやってみたいことなどを自由に対話しながら、相互理解を深める交流の場や参加者が当事者意識を持てる個別テーマを設定し、新たなビジネスや地域活動、政策の創出に向けたアイデア出しのワークショップを開催する予定としております。
キックオフミーティングの申し込みには、事前にプラットフォームにエントリーしていただく必要があります。ぜひとも、官民共創で愛媛オリジナルのビジネスや政策等の創出にチャレンジしたい、多くの方々の参加をお待ちしております。私の発表は以上でございます。
(総合政策課職員)
次に総合政策課から若手オフサイトチームの取り組みについて説明します。
若手オフサイトチームは、若手職員に対して県庁業務の全体像や政策立案のための基礎知識、官民共創の手法等を浸透させ、ボトムアップでの政策立案の活性化を目指すために、昨年度庁内公募に手を挙げた有志によって結成したものです。
その取り組みの第1弾として、「新規採用職員のうちに知っておきたかったこと」をテーマにハンドブック「愛媛県庁の歩き方」を作成しました。入庁したての職員は県職員として働く楽しみを見いだしている一方で、環境が変わって不安なことやわからないことで戸惑いを感じているものです。実際私達メンバーもそうであったことから、その経験をもとに若手目線で仕事の基本を旅のしおり的にまとめました。
基礎的な県庁業務の知識や、政策立案、業務効率化の手法を紹介する内容で、県庁業務の全体像を入庁間もない段階から理解し、若手職員が政策立案に積極的に挑戦できる環境を、若手の手で作っていきたいと考えています。チームメンバーが講師となって、このハンドブックを活用して入庁1年目職員向けの研修を実施することにしており、県庁全体で新規採用職員を歓迎する機運を醸成するとともに、若手職員の政策立案能力の向上を目指した取り組みを企画検討していきたいと考えています。私からは以上です。
(知事)
こうして二つのプロジェクトで議論をしていた成果を皆さんにお伝えさせていただきました。ご案内のとおり、今社会的な変動要因が多岐にわたり、本当に将来の見通しが立てにくい時代に入ってきております。また、前々から申し上げましたとおり、国の財政事情からくる地方分権の流れ、そして統一的なまちづくりから解放されるための地方からの能動的な地方分権の流れ、こうした背景がわれわれを取り巻く環境の中にあります。そこにIT、少子化、人口減少、世界的な経済不安、さまざまな変動要因がのしかかってきていますので、これまでのように前例踏襲主義が基本的な文化である役所的な発想では、とてもじゃないけど時代に見合った政策を作り出すことは、なかなか難しくなってくるだろうというふうに常に考えてきました。そこである程度の、例えば対立的な構造を持つ宗教とか政治は持ち込んでいただきたくないんですけども、そういったようなルールというものを前提にして自由に議論できる、民間の知恵を県庁の政策に反映できるような仕組みが必要というふうな考えのもとに、官民共創拠点を活用した政策エコシステムの段階に入るということになります。
なにぶん全てが初めての取り組みですから、軌道修正をしながらということになろうかと思いますけれども、この先、時代に見合った、そして県民の幸せや県の発展につながるような政策がボトムアップで生み出されていくような環境が組織の中に生まれれば、これは県民にとってもプラスになるのではないかと期待をしています。
そしてまた、若手職員が生き生きと活躍できるような環境でなければ、人材を確保することもできない時代に入ってまいります。そういう意味で今回前向きな職員が、自分たちの経験をもとに「こうあったらいいのではないかな」というようなことを自主的に取りまとめてもらいました。これを見たときにもはやこれは研修の中で、それを作り上げた職員が新採職員をサポートするようなことも始めるべきだと考えましたので、先ほどお話があったように、今年度から入庁1年目の職員の研修に彼らのスキル、そして経験を直接伝えることによって、より一層働きやすい職場作りを目指して進んでいきたいというふうに思います。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただいまの発表事項に関しまして、質問のある社はお願いします。
(愛媛朝日テレビ)
愛媛朝日テレビと申します。知事、先ほど、社会的変動要因は多岐にわたると。実際本当にそうだと思うんですけれども、そうするとプラットフォームのですね、募集対象に県内の企業・団体だけではない、県外あるいは、言ってしまえば海外とかですね、そういうところからの参加というのも想定はされているのでしょうか。やはり多様性という議論ですね。
(知事)
なにぶん初めてのことなので、手探りで進んでいきます。何も県外、ダメよということはないと思いますし、現実にトライアングルエヒメという、IT関連の事業においては、愛媛をあくまでも実装の場所として選んでいただくと。そこにそれぞれが持っている技術を持ち込んでいただくというような発想で全国募集をしています。そこから生まれた実装の事業というものが成功する場合もあれば、結果が出ない場合も当然のことながらあります。成功した事例については、横展開を図っていくということで、県全体のプラスになっていくでしょうし、また、大学と連携してデジタル人材の学科の設置も始まりましたので、そうした企業が、そこに関心を持ってサテライトオフィスを愛媛に設置するという相乗効果につながることもありますので、県内だけというふうな枠で縛る必要は、僕はないと思っています。ある一定のルールというのは必要だと思います。
(NHK)
NHKと申します。今回、食と観光と農林漁業の分野に絞っているかと思うんですけども、この理由をお伺いできますでしょうか。
(知事)
愛媛の経済の活性化に直接結びつく分野でもあり、また、基幹産業の分野でもありますし、スタートの地点から何もかもっていうことになると、本当に問題点がどんどん広がってですね、なかなか進むことができなくなる可能性もありますので、まずは特定の一つの分野を絞り込んだ中で募集をし、そこで政策を練っていくということで、願わくは成功事例というものが生まれれば、この政策エコシステムが全庁に広がる一つのきっかけになっていくのではないかなというふうに思います。ですから今回、手挙げ方式で議論してもらった職員がまさに政策エコシステムの県庁内における、県庁外も含めてですけども、伝道師的な役割を担っていただきたいというふうに期待をしています。
(NHK)
度々すみませんNHKです。今回民間の方も含めて、この政策のアイデアに関わってくると思うんですけども、その中でやっぱり気になるのが、結局使うのが公金というところで、その政策立案に関わってくるところで、予算化だとかですね、そういったことにも関わってくるのかなと認識しているのですけども、そういった中で全体のプロセスの透明化だとか、どう県民の理解を得ていくのかっていうところのお考えをお伺いできますでしょうか。
(知事)
全てが透明化でやっていくっていうのが基本になろうかと思います。もちろん、企画立案の段階ですから、そこからいいアイデアが出てくれば、具体的な政策につながっていく。そこで実施するためには予算化が必要になってくる。その事業というものについて誰がやるかについてはメンバーであるか否かとは関係なく、これはもう公平にやっていけばいい話であって。アイデアを県のために知恵を貸そうというような思いを持った方に、ひょっとしたらその人たちが事業化したときの競争に入って実力で事業を取るっていうことはあると思いますけども、そこは透明にやればいいのではないかなというふうに思っています。
(南海放送(幹事社))
各社さん他によろしいでしょうか。
(知事)
もう一点あります。今、石破政権で地方創生2.0が課題になっています。私も有識者会議のメンバーに入っていますけれども、メンバーの1人として常に申し上げているのは、地方自治体の側でも、やはり政策立案能力を高めなければ、いくら交付金が拡大されても有効に生かされることはないと。例えば知恵がなかったら、期限が来たときに何をするかっていったら、商品券や給付金、そこで消えてしまうと。それはその場限りの政策ですから、地方創生に本当にフィットした政策なのといったら、本当に僕は個人的には疑問を感じている。
それは国の方で給付等々については、経済対策として全国一律に行うべき問題ではないかなというふうに思います。そうではなくて、交付金の活用を有効にならしめるためには、
それぞれの地域の独自性、まさに政策立案、そして未来の成長の糧になるような政策について、徹底的に支援する交付金であるべきではないかという主張をさせていただいていますので、ある意味では主張している以上は、我々も愛媛県としては準備をしないといけないというその姿勢の一つとして、この政策エコシステムというのが、説得力を持つようになればいいなというふうに思っています。
※議事録については、読みやすさや分かりやすさを考慮し、発言の趣旨等を損なわない程度に整理しております。