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更新日:2021年1月12日

試験場だよりNo57

ユスラウメ台木モモの安定栽培技術

1)目的

愛媛県におけるユスラウメ台木を用いたモモの経済栽培は平成元年頃から、旧温泉青果農協を中心に取り組みが始まった。この方法は昭和50年代から全国的に注目されていた栽培法であったが、衰弱、枯死樹が多発し栽培地域は拡大しなかった。しかし、他県の銘柄産地と十分対抗できる品質の果実が生産でき、なおかつ省力的な栽培ができることから再注目され、綿密な栽培指導が行われた結果、現在ではJA愛媛中央の管内で約25ヘクタール栽培されており、面的な広がりを見せつつある。ただし、樹勢衰弱が主力品種の一つである川中島白桃で特に起こりやすいため、現状では産地拡大が進みにくい。そこでユスラウメ台木モモの栽培を安定したものにするため品種選択、台木組合せ、栽培法等の面から検討を行った。

2 試験の方法

1)適応性品種の探索:

ユスラウメ台木のモモ15品種(主幹形)について7年生まで樹の生育や果実品質について継続調査した。

2)中間台木の利用:

ユスラウメ台木‘川中島白桃’は衰弱枯死しやすいため、親和性が比較的よい千曲白鳳を中間台として供試し(図1)、初期生育量、炭水化物量、チッソ吸収量を比較した。

3)適正着果量:

6年生の実生ユスラウメ台木に接ぎ木した‘川中島白桃’において、着果量の違いが樹体生育に及ぼす影響について検討した。

3 成果の概要

1)適応品種の探索

ユスラウメ台木で樹体乾物重が高かったのは‘武井白鳳’‘千曲白鳳’‘あかつき’‘瀬戸内白桃’等であったが‘武井白鳳’‘瀬戸内白桃’は果実生産量が少なかった。衰弱の起こりやすい‘川中島白桃’は、乾物重は中程度であるが果実生産量が最も多く、1果重も最大であった。一方、樹体乾物重が低かった品種は ‘八幡白鳳’‘やまなし白鳳’‘竜鳳’ 等であった。今後適応性の高い品種を選んで導入する必要がある(図2)。


2)中間台の利用

地上部乾燥重は普通台木が最も多く、中間台木、ユスラウメ台木の順であった(図3)。地下部も同様の傾向であり、その差はさらに大きかった。このことから‘川中島白桃’の栽培では親和性の高い中間台木を用いることにより、安定した栽培が可能と考えられた。また、15Nを用いた元肥吸収試験では、中間台木を挿入することで吸収率が高まる傾向もみられた。従って親和性に問題のある品種であっても、親和性の良い中間台木を用いることで安定栽培が図れる。


3)適正着果量

ユスラウメ台木モモ樹の葉は普通台木のものに比べると小さい傾向がある。接ぎ木部の物質流動性の悪さも併せて考えると、普通台木樹と同程度の葉果比では樹体維持、果実生産ともに十分ではない。着果量(葉果比)と樹勢衰弱の関係について実生ユスラウメ台木の‘川中島白桃’の乾物生産についてみると果実以外の全ての部位で着果量が多い処理区ほど乾物重量が低くなる傾向が見られた(図4)。また、樹体維持のために重要である葉の、無着果区に対する各区の比率をみると、120葉区は0.76、60葉では0.63、30葉では0.48であった。1樹当たりの果実を除く乾物重量でも、着果量が少ないほど乾物重が多く、その影響は地上部で大きい傾向であった(図5)。これらの結果と、新梢伸長、果実品質等から考えて、通常の葉面積の場合で、葉果比は100以上で管理することが望ましい。

 

4 普及上の留意事項

ユスラウメは耐水性が低く、地下水が高いところや、気相率が低く、排水の悪い土壌条件では根腐れが発生しやすい。逆に、乾燥しやすい土壌では渋味果が発生する上、養分吸収が悪く、樹勢が衰弱する。また、ユスラウメは系統変異が大きいので、親和性の良い系統を挿し木繁殖し、均質な苗木を生産する必要がある。

(果樹試験場・主任研究員・矢野 隆) 

早期部分マルチによる極早生・早生温州みかんの品質向上

1)目的

秋季の多雨・長雨によって食味が低下しやすい温州みかんの品質を向上させるにはマルチ栽培が有効な方法であるが、傾斜地園における全面マルチ栽培は雨水の処理が難しく、豪雨による災害も懸念される。また、干ばつ時の水管理が難しいこと、フイルムの被覆に多大な労力を要する等普及上問題が多い。このため管理の容易な部分マルチについて透湿性フイルムの被覆割合、被覆時期及び被覆方向と樹体の水ストレス、品質、収量等との関連を検討し、極早生・早生温州みかんにおける部分マルチの最適な被覆方法を確立す

2)研究の成果

(1)被覆割合と品質・収量

70~90%の被覆率で株元を開放して6月中旬から透湿性フイルムを部分マルチすると灌水がほとんど不要となり、樹体の水ストレスを極端に高くすることなく維持できる。一方、100%被覆では強い水ストレスを回避するために8月から9月上旬にかけて1回10から20mmの灌水を5~7日間隔で行う必要がある(図1)。このように透湿性フイルムの被覆割合を70~90%とし6月中旬頃から部分マルチを行うと、収量を低下させることなく、平均糖度11以上で、酸が多くない食味の優れる果実が生産できる(表1)。


表1 部分マルチの被覆割合と果実品質、収量(市文早生)

試験区

1果重(g)

完着果率(%)

果皮色

糖度(brix)

クエン酸(g/100ml)

糖酸比

樹容積当たりの収量(kg/立方メートル)

a値

a/b

70%被覆

97.3

7.7

15.7

0.42

11.1

1.02

11.0

7.8

90%被覆

97.3

24.9

17.0

0.46

11.4

0.97

11.9

8.2

100%被覆

92.7

54.7

18.9

0.53

12.8

1.10

11.7

7.2

無処理

103.8

4.5

10.5

0.28

9.6

0.96

10.1

8.1

被覆時期と方法:6月中旬に株元周辺を開けて被覆
灌水:100%区は8月下旬から9月上旬に4回計70mm、70%及び90%区は8月下旬に1回15mm 収穫:10月16日

(2)被覆開始時期と品質・収量

90%の被覆率で株元を開放して5・6月から収穫まで透湿性フイルムを部分マルチすると、葉の水ポテンシャルは-0.3~-0.9MPaで推移し、被覆期間を通してマイルドな水ストレスが維持できる。日南1号で平均糖度が10月上旬でほぼ11度、下旬には12度の果皮色の濃い高品質果実を生産できる。酸は10月上旬で露地並に低くなるため早期出荷も可能である。また、12度以上の高糖果の分布割合が明らかに高くなるとともに、収量低下等の悪影響は認められない(図2・表2)。

5月被覆 6月被覆 7月被覆 8月被覆 無処理
図2 部分マルチの被覆開始時期と着色

表2 部分マルチの被覆開始時期と果実品質、収量(日南1号)

試験区

1果重(g)

果肉歩合(%)

果皮色a値

糖度(brix)

クエン酸(g/100ml)

樹容積当たりの収量(kg/立方メートル)

10月4日

10月18日

10月4日

10月18日

10月4日

10月18日

5月被覆

105.2

81.2

4.1

22.8

11.4

12.2

0.86

0.71

4.6

6月被覆

103.4

80.0

5.8

21.1

11.3

12.1

0.85

0.75

3.8

7月被覆

105.5

79.2

6.4

20.5

10.8

11.4

0.81

0.70

4.2

8月被覆

107.8

77.2

-1.7

21.3

11.1

11.9

1.00

0.84

4.0

無処理

109.6

80.0

-1.1

15.8

10.4

10.8

0.83

0.70

4.3

被覆率:90%(株もと周辺を10%解放)収穫:10月18日

(3)被覆方向と品質・収量

被覆率約90%で等高線に対して透湿性フイルムを直角方向(縦敷き)及び平行(横敷き)に被覆した場合、水平方向(横敷き)よりも直角方向(縦敷き)の方が樹体に水ストレスがかかりやすくなる。その結果、果実への糖の集積が進む(表3)。両マルチ区間における糖度の差は、横敷き区では山側のマルチ上の雨水が谷側のマルチ下に流れ込んだことが主因と考えられる。

表3 部分マルチの被覆方向と水ストレス、果実品質、収量(宮川早生)

試験区

水ポテンシャル(MPa)

1果重(g)

果比色a値

糖度(Brix)

クエン酸(g/100ml)

樹容積当たりの収量(kg/立方メートル)

9月21日

10月7日

10月27日

11月6日

縦敷き

-0.41

-0.57

-0.67

-0.51

126.3

25.0

11.9

0.92

4.2

横敷き

-0.56

-0.44

-0.69

-0.46

127.7

25.3

11.1

0.87

4.4

無処理

-0.37

-0.40

-0.63

-0.34

123.9

23.9

10.2

0.79

3.7

被覆率:90%(株もと周辺を10%解放)被覆時期:8月中旬 収穫11月6日

(4)被覆位置と品質

6月下旬に被覆率約90%で株元を閉め外周部を少し開ける敷き方と株元を開けて外周部まで透湿性フイルムを敷く方法を比較すると、株元を開けて敷くよりも株元を閉じて敷く方が増糖効果はやや高い。

3)普及上の留意点

7月が空梅雨で干ばつになると旧葉が落ちて収量が低下しやすいので新梢のほどよく発生した樹が適している。等高線に対して直角方向(縦敷き)に敷く場合は豪雨時には雨水が集中するため全面マルチ栽培と同様の排水対策が必要である。また、夏肥は株元等のマルチ開放部に施用する。

(果樹試験場・主任研究員・井上久雄)

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お問い合わせ

農林水産部農林水産研究所 果樹研究センター

〒791-0112 松山市下伊台町1618 

電話番号:089-977-2100

ファックス番号:089-977-2451

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