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更新日:2021年1月12日

試験場だよりNo56

温州みかんの園地別交互結実による省力安定生産

1)目的

近年生産者の高齢化等による園地の管理不良や、価格の低迷による生産意欲の低下により、温州みかんの隔年結果が激しくなっている。このため省力的な手法により隔年結果を防止し、連年安定生産するための技術開発が望まれている。これまで当分場では着花抑制と春梢の発生促進に効果的な、春季の刈り込みせん定技術の開発を行った。この刈り込みせん定法を用いて省力化と安定生産を目的とした交互結実技術の開発を行っており、果実を結実させる部位を主枝や亜主枝単位で分ける主枝別交互結実法や、1樹単位で分ける樹別交互結実法等を実施している。さらにこれらを応用し、遊休部と生産部を園地ごとに分ける園地別交互結実法の開発にも取り組んでいる。この方法により管理作業を集約化し、省力化及び生産コストの軽減を図る。

2)研究の成果

(1)試験の概要

平成9年より、農家から借り受けた10年生愛媛中生園(10a:220本植え)を2分割し、この園の半分(5a)を遊休園に設定し、それらの樹の結果母枝を2月下旬に基部2~3節残して全て刈り込み、また残り半分の園は生産園として無せん定、無摘果とした。次年度以降は、前年度生産園の1年枝を同様に刈り込んで遊休園とし、逆に前年度遊休園を無せん定、無摘果の生産園として年度毎に生産園と遊休園を交代した。遊休園の防除は年2回のマシン油散布のみ、生産園は無せん定、無摘果とし、それ以外の管理作業は慣行栽培に準じた。この園での樹容積、収量、果実品質及び作業時間を調査し、収益性の評価を行った。

(2)成果の概要

  • ア)省力剪定法
    交互結実法における遊休園は結果母枝となる1年枝の先端部をすべて除去し、基部2~3節を残すようにせん定するが、従来のせん定鋏では極めて多くの労力を要する。このため小型の刈り込み鋏を用いることにより、従来のせん定鋏と比べ、作業時間は短縮される上に軽労働となり、さらに樹冠内部の側枝上の細枝や枯れ枝等のせん除処理なども徹底して行えた。
    互結実法は表年から取り組むと、初年度の収量低下が軽減できるが、遊休園では春季の刈り込みせん定を行っても、多数の着花がみられることが多い。このため初年度に限り遊休園は摘果作業が必要となる。摘果は摘果剤を利用すると大幅な省力化となった。取り組み2年目以降の遊休園は、前年に生産園として強度の着果負担がかかっていることから、春季の刈り込みせん定後にはほとんど着花がみられず摘果の必要はなかった。
  • イ)省力技術体系の組立実証
    遊休園では、無着果のため果実に被害を及ぼす病害虫の防除は不必要であり、また主に春梢を結果母枝として用いるため夏秋梢の防除も必要ない。ただしハダニ防除についてはマシン油散布を年間2回する。一方生産園では、遊休園分も補完する結果量を確保するため、基本的にはあら摘果は行わない。このように園地別交互結実法では、遊休園と生産園とに2分することからせん定、防除、収穫等の管理作業を集約化することができる。そのため、年間の管理作業時間は、慣行法の約58%であった(表1)。
表1 現地実証園における年間の主要管理作業(平成12年、愛媛中生)

処理区

作業時間(hr/人/10a)*

剪定

摘果

施肥

防除

除草

収穫

出荷調整

合計

交互結実区

生産園

-

-

1.7

13.1

10.9**

74.8

49.2

149.7

遊休園

15.1

-

1.7

3.1

0

-

-

19.9

対照区

慣行栽培園

18.3

15.0

1.7

13.1

10.4

60.9

27.0

146.4

*作業は労働時間で薬剤の調整や運搬等の付帯時間含まない。
**平成2年度は遊休園:草生、生産園:抑草シート施用に要した時間*

  • ウ)経営調査
    園地別交互結実法の、2年間の結果を表2に示した。表年時(平成11年)は慣行区の収量が高くなっており、交互結実区の方が商品果収量、労働時間ともに少なくなり、生産効率はほぼ同じとなったが、裏年時(平成12年)には交互結実区の生産園の商品果収量が慣行栽培園より大きくなり、生産園5a+遊休園5aとした交互結実区10a当たりの作業時間が逆に少なく、作業100時間当たりの商品果収量は慣行区の3倍となった。従って、慣行区の表年と裏年の商品果収量の平均を100,裏年の価格を表年の1.5倍と仮定して、とむしろ交互結実区の方が高く、しかも労働時間は慣行区の約58%であったことから、園地別交互結実法により、収入を減少させずに労働時間を短縮できることがわかった。
表2 現地実証園における作業時間当たりの商品果収量(愛媛中生)

処理区

平成11年(表年)

平成12年(裏年)

商品果収量

作業時間**

100時間あたりの商品果収量

商品果収量

作業時間

100時間あたりの商品果収量

(t/10a)

(hr/人/10a)

(t/100hr/人/10a)

(t/10a)

(hr/人/10a)

(t/100hr/人/10a)

交互結実区*

2.42

70.6

3.42

2.54

84.8

3.00

慣行結実区

3.71

121.9

3.04

1.43

146.4

0.98

*生産園5a+遊休園5a **出荷調整の時間が含まれていない

(表年)+(裏年)の粗収入を指数で表す試算を行うと、
慣行区:144×1(表年)+56×1.5(裏年)=228
交互結実区: 94×1(表年)+99×1.5(裏年)=243

3)普及上の留意事項

遊休樹は、多数の夏秋梢が発生するが、これらは生産年の春に春梢と同じ程度の長さで切り返しせん定を行い、新梢の発生を促す。この処理を行うことで、生産年に強い着果負担がかかり樹の衰弱の激しい早生温州にも、交互結実法が適応可能である。逆に樹勢の強い高糖系普通温州では、夏秋梢も結実させて中玉生産に利用できる。交互結実法では、遊休園と生産園がねらい通りの能力を発揮し安定生産と省力効果が生じるには約3年かかる。

(果樹試験場岩城分場・主任研究員・中川雅之)

樹冠上部全摘果による温州ミカンの隔年結果防止と品質向上

1) 目的

温州ミカンの隔年結果はこの数年間是正されておらず、南予地方で表年の生産量の前年対比が±30%以上に拡大している。その要因の一つに最近の温暖化が考えられ、裏年には発芽開花期の高温によって結実不良を引き起こすためと推測される。さらに、樹の老木化や珠心胚系統品種の増加も隔年結果を助長する要因となっている。

今までに隔年結果防止策として摘果が有効であると報告されているが、最近の温暖気象下においては、樹冠内の小玉を摘果する従来の摘果法では、隔年結果が改善されにくい。

そこで、隔年結果性の強い愛媛中生を供試して、樹冠下部を摘果する従来の摘果方法を変えて、樹冠上部を摘果した場合の隔年結果と品質に及ぼす効果を比較した。

2)研究の成果

(1)試験の概要

10年生の愛媛中生を15樹供試し、主枝上部30%を全摘果する樹冠上部摘果区と主枝下部30%を全摘果する樹冠下部摘果区、側枝別に摘果する枝別摘果区、そして間引き摘果区の4処理区を設定した。表年の平成9年と11年の7月上旬に、各処理区それぞれ摘果し、収量と果実品質を4年間継続して調査した。なお、裏年の平成10年と12年は摘果しなかった。

(2)成果の概要

  • ア)隔年結果防止効果
    平成9年に樹冠下部を摘果して樹冠上部に結実させた樹では、翌年の裏年には、その果梗枝から太い強勢な春梢が発生して、着花数が減少し、上部の結果数は7個であった。一方、樹冠上部を摘果した樹では、翌年には樹冠上部に多数着果して、42個着果した。樹冠下部の結果数は、いずれの処理区もよく結果したが、上部から強い春梢が発生しなかった樹冠上部摘果区の方がやや多かった。
    樹冠上下の部位から強勢春梢が発生した間引き摘果区は、最も結果数が少なかった。また、枝別摘果区は樹冠上部の結果数が少なかった(表1)。
表1 処理2年目(平成10年)の結果数と樹冠上部の春梢生育

摘果法

2年目の結果数

樹冠上部春梢

樹冠上部

樹冠下部

合計

長さ(cm)

基部径(cm)

樹冠上部摘果

42

27

69

8.1

0.38

樹冠下部摘果

7

21

28

9.6

0.50

枝別摘果

12

25

37

8.1

0.44

間引き摘果

1

8

9

12.7

0.59

裏年の収量は、樹冠上部摘果区では樹冠下部摘果区よりも2倍程度多く、試験4年目の平成12年の裏年には、前年よりも収量が多く、隔年結果が解消された。表年の収量は、樹冠上部摘果区と樹冠下部摘果区とでは差異が認められなかった.

  • イ)品質向上効果
    樹冠上部を摘果した樹では、裏年にも大果が少なく、表年には樹冠上部摘果区と樹冠下部摘果区の樹で果実の大きさにほとんど差異がなかった。
    12月中旬の糖度は、表年と裏年のいずれも樹冠上部を摘果した方が0.5度以上高く、クエン酸含量には、ほとんど差異がなかった(表2)。
    表年となった平成9年と11年の浮皮果の発生は、発生割合と程度のいずれも樹冠下部摘果区の方が樹冠上部摘果区よりも2倍も多かった(表3)。
表2 愛媛中生における摘果方法の違いと果実品質

摘果法

1果重(g)

糖度

H9年

H10年

H11年

H12年

平均

H9年

H10年

H11年

H12年

平均

樹冠上部摘果

101

158

87

128

118.5

11.1

10.1

11.7

12.1

11.3

樹冠下部摘果

103

178

85

140

126.5

10.6

9.4

11.2

11.6

10.7

枝別摘果

115

192

85

143

133.8

10.0

9.1

11.7

11.4

10.6

間引き摘果

107

188

-

-

147.5

11.0

9.8

-

-

10.4

表3 愛媛中生における摘果方法の違いと浮皮果の発生

摘果法

浮皮程度(%)

浮皮発生指数(H11年)

甚少

甚多

(0:無~3:甚)

樹冠上部摘果

17.1

19.8

24.1

26.5

8.2

3.9

1.2

樹冠下部摘果

0.8

6.8

19.6

32.0

20.6

17.2

2.1

枝別摘果

4.4

8.1

43.1

30.0

8.1

6.3

2.1

間引き摘果

4.2

6.6

18.6

29.1

19.5

21.6

-

3)普及上の留意点

着花が多くて春梢の発生してない樹では、摘蕾や予備枝設定などをして春梢や5月芽の確保をしておく必要がある。樹勢が旺盛な樹では、エチクロゼート200ppm液と夏マシン油150倍を混和して樹冠上部に散布すると、摘果が省力化できる。

(果樹試験場南予分場・研究員・笹山新生)

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農林水産部農林水産研究所 果樹研究センター

〒791-0112 松山市下伊台町1618 

電話番号:089-977-2100

ファックス番号:089-977-2451

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