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更新日:2021年1月12日

試験場だよりNo54

合成性フェロモンを利用したモモのコスカシバの防除

1)目的

最近、県下のモモやウメの産地でコスカシバの被害が増加する傾向にある。コスカシバは、核果類の重要な枝幹害虫であり、幼虫が樹皮下に食入して形成層を広く加害するため樹勢が次第に衰弱し、枯死する場合がある。年1回の発生であるが、幼虫が樹皮下で生活することや成虫の発生期間が長いことから、薬剤散布では効果が十分でなく、防除の難しい害虫となっている。
そこで、合成された性フェロモン剤(以下フェロモンと呼ぶ)を利用し、「交信撹乱」による防除効果と実用性について調査した。なお、交信撹乱は、コスカシバの生息している場所にフェロモンを多量に放出することで、雌が雄を誘引できなくして交尾阻害をねらった新しい防除法である。

2)研究の成果

(1)試験の概要

北宇和郡松野町のモモ園(品種:白鳳、樹齢:10~15年生)で、1994年から試験を始めた。試験区は、フェロモン処理区(交信撹乱区)、フェロモン処理+殺虫剤散布区(コスカシバの幼虫を対象に防除:フェロモン処理区内に設置)、殺虫剤散布区、無処理区を設けた。フェロモン(商品名:スカシバコン、有効成分Z(E),Z-3-13-Octadecadienylacetate)の処理は、1994年が4月26日、1995年が4月12日、1996年が4月11日に行った。処理方法は、地上1.5~2.0mの高さの枝に10aあたり50本の割合で吊した。なお、殺虫剤散布区と無散布区は、フェロモン処理園から約900m離れた場所に設けた。殺虫剤散布区は1994年は9月20日、1995年は10月31日、1996年は10月31日にスプラサイドM乳剤200倍を株元に散布した。

調査樹は、各処理(園)区から15~25樹選び、各年ともフェロモン処理前に幼虫食入数を調べた。また、4月から11月までの間7~10日間隔で、調査樹の脱皮殻を調査し、成虫の羽化経過を調べた。さらに、無散布区には発生予察用のモニタリングトラップを各園2個(2園地計4個)設置し、脱皮殻の調査日に誘殺数を調査した。

また、フェロモン処理区にも同じトラップを設置して誘殺調査を行い、交信撹乱の状況を知る基準とした。

(2)成果の概要

  • (ア) 成虫の発生消長と交信撹乱状況
    無処理園におけるモニタリングトラップでの雄成虫の誘殺消長をみると、雄成虫は5月上旬~10月下旬まで誘殺され、5月下旬~6月中旬と9月に多くなる2山型で、3ヵ年ともほぼ同様の経過であった(図1)。
    脱皮殻の調査による成虫の羽化経過は、5月上旬~10月上旬までみられており、5月下旬~6月中旬と8月下旬~9月中旬に多く、3ヵ年ともほぼ同様の経過であり、モニタリングトラップによる誘殺経過とほぼ同じ傾向であった。これらの調査により、成虫の発生経過や多発生時期が明らかになった。
    1994年の無処理園で推定した羽化成虫数に対するモニタリングトラップの総誘殺数は、約4倍であったことから、雄成虫は移動力がかなり大きいことが示唆され、また同トラップは成虫の発生調査用として有力な手段になると考えられた。
    これに対して、フェロモン処理区のうち連年50本/10a処理した2園地は、1994~1996年の3ヶ年とも試験期間中に全く誘殺されなかった。また、処理1年目(1994年)50本/10aで処理2年目(1995年)以降25本/10aとした別の1園地も1994年は全く誘殺されず、1995年の9月と1996年8月に1頭ずつ誘殺されただけであった。これは、フェロモンの処理により、成虫の発生期間中に交信撹乱が起こったためと推察される。


  • (イ) 防除効果
    各試験区の幼虫食入数の年時変化をみると、無処理区でのコスカシバの幼虫食入数は、処理前には1樹あたり4.7~2.0頭であったが年々増加した。これに対して、フェロモン処理区は処理前(1994年)の幼虫食入数が1樹あたり15.9~8.4頭であったが、処理して1年後(1995年)には1.6~0.7頭に減少した。さらに2年後(1996年)には、ほとんど被害がみられなくなり、高い防除効果が認められた。殺虫剤散布区は、9月20日の1回散布で幼虫食入数が10.9個から3.2頭へ減少したが、十分な効果ではなかった。フェロモン処理+殺虫剤散布区はフェロモン処理区とほぼ同等の高い防除効果が認められた(図2)。
  • (ウ) フェロモン剤の有効期間
    性フェロモン製剤の残液量の経時変化をみると、4月下旬の設置時に比べて、10月下旬には約25%に減少した。このフェロモンの揮散量は、夏季にやや多い傾向がみられたが、4月~11月までの長期間にわたって連続して揮散されていたと推察され、設置回数は年1回で十分と考えられた。
  • (エ) フェロモンの設置時間
    本剤の設置時間は、約17分/10aで一般の農薬散布に比べてはるかに省力的であった。
    以上のように、フェロモンは成虫の発生する前の1回処理で、処理1年目から顕著な防除効果が認められ、さらに省力的であることから本種に最も有効な防除法と考えられる。

3)普及上の留意事項

フェロモンによる防除法は実用的と評価されるが、成虫の移動力が大きいので、安定した効果を得るには、広い面積で処理するのが望ましい。

(果樹試験場・主任研究員・池内 温) 

ライムの栽培技術の確立

1)目的

ライムは独特の香りがあるため、高級飲食店等を中心に強い需要があり、販売単価はレモンよりも高い。しかしライムはレモンよりも耐寒性が弱いこと、落果が多く着果が不安定であること、果実が黄化すると商品性を失ってしまうこと等から、これまでほとんど栽培されてこなかった。しかし冬季に温暖な瀬戸内海性気候を生かしてライムを安定生産し、特産品として開発することは地域の活性化につながると考えられる。

ライムの中でタヒチライムはレモンと同様に四季咲き性で、果実は大果でクエン酸含量が高く、種子がないうえに樹体は他のライムよりやや耐寒性が強い。そこで岩城分場では、これまで開発してきたレモンの栽培技術を応用して、タヒチライムの着花安定技術を開発し、商品性の高い濃緑の大玉果を生産する栽培技術を確立するため、種々の試験を行った。本報では特に生育初期の生理落果抑制を目的とした着果率向上試験と、収穫期にみられる果実の黄化抑制試験について述べる。

2)研究の成果

(1) 試験の概要

  • (ア) 結実向上試験
    タヒチライムを最低温度2℃に設定した省加温ハウスで栽培すると、1年を通じて着花がみられたが、ほとんどは落果してしまうことから、摘らい、摘果、環状剥皮及び各種植調剤処理による着果率向上効果を検討し、GAペースト剤の塗布処理の効果が高かった。しかし、この処理は手間がかかるため、簡便でコストの安いGA液剤の処理時期と濃度を検討した。方法は4月に開花した花(以下4月花とする)の落弁期に当たる5月2日、5月花・落弁期の5月17日、及び5月花・花柱脱落期の6月3日に、花叢に対してハンドスプレーによるGA液剤25、50、100ppmを散布し、GAペーストを塗布処理をした場合と着果率、収穫期の果実品質を比較した。
  • (イ) 黄化抑制試験
    レモンの果実は落果が少なく、収穫期まで順調に肥大し、緑果や黄果でも商品性がある。このため果皮色に影響されないで収穫期を比較的長くとれ、必要量を順次収穫、出荷していくことが可能である。しかしライムでは収穫期に近づくと果実の黄果、落果が始まるため収穫可能な期間が短く、果実の需要に応じて収穫、出荷していくことが難しい。このため収穫前の果実の黄果、落果を抑制し、収穫時期を延長させることができないか検討した。方法は4月上旬~5月上旬に開花した春花果について、果実横径が2、3、4cmに達した時期(6月下旬~7月下旬)にGA液剤50ppmをハンドスプレーで1回散布し、その効果をみた。

(2) 成果の概要

  • (ア) 結実率向上試験
    5月2日、17日処理ともに液剤、ペーストとも処理後6週を経過するとほとんど落果し、収穫期には10%以下の着果率(無処理果では0%)であったのに対して6月3日処理では処理6週後で60%以上、収穫期でも38%以上の果実が着果した。また処理濃度が高いほど効果が高く、100ppm処理区ではGAペースト処理区とほぼ同等の効果が見られた(表1)。
    果実は、処理濃度が高くなるほど大果で、着色歩合が低く、果皮の緑色が濃くなったが、果肉、果汁歩合ともに低下する傾向にあった。しかしGA液剤の100ppm処理でもGAペースト処理より果汁歩合が高く、望ましい品質の果実が得られることがわかった。
  • (イ) 黄化抑制試験
    収穫期の11月上旬の果実では処理時期が遅いほど果皮がやや厚くなる傾向がみられた。さらにこれらの果実に対して11月13日にGA液剤の2回目の散布(20ppm)を行うと、無処理区が1月上旬には着果率が40%以下となり、2月上旬にはほぼ全て落果してしまうのに対して、2cm時処理区では2月中旬まで70%以上の高い着果率を維持し、3cm時処理区では1月下旬、4cm時処理区でも1月中旬まで着果率50%以上を維持した(図2)。2cm時処理区、3cm時処理区、4cm時処理区の本来の収穫期はそれぞれ10月下旬、10月上旬、9月上旬であることからいずれの処理区とも収穫可能期間を約4ヶ月延長する効果が認められた。

3)普及上の留意事項

タヒチライム栽培ではレモンと同様堆肥等の有機質を充分に投入して、保水力を増し、細根の発生しやすい土壌にする必要がある。ライム果実の高品質果安定生産のためには、現在のところGA剤の散布処理が最も効果が高く、かつ必須であると考えられた。またGA剤の散布によって収穫時期を延長することはできるが、果実が黄化してしまうと商品性を失うので適期収穫に努める必要がある。但し、GA剤は現在のところ農薬としての登録がないため、登録の拡大が必要である。

(果樹試験場岩城分場・主任研究員・中川雅之)

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お問い合わせ

農林水産部農林水産研究所 果樹研究センター

〒791-0112 松山市下伊台町1618 

電話番号:089-977-2100

ファックス番号:089-977-2451

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