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公共施設等木材利用推進方針
-地域の環境資源・森林から生産した人や地球に優しい木材の活用-
平成13年5月18日
特定重要新政策推進本部会議において決定
平成29年4月1日改正
1趣旨
地球環境保全の観点から循環型社会への移行の必要性が標榜され、地域資源の有効活用や資源のリサイクル利用が課題となるなかで、地球環境に負荷をかけることがなく、循環利用できる再生可能な資源としての木材が注目されている。また木材は、柔らかで温もりがあるとともに、室内の温湿度を一定に保つ機能などの特性があり、人に優しい建築資材である。
このため、公共施設等の整備に際してもこれまでの経済性や合理性の追求から、環境や人に配慮した安らぎと潤いのある施設づくりを進めるため、県事業や補助事業等における県産材の利用を促進し、公共施設等の木造化・木質化を推進する。
2公共施設等木造化・木質化の必要性
(1)県民に親しまれる施設づくり
多数の県民が利用する公共施設等では、利用者が親しみを感じる環境づくりが求められており、柔らかで温かみのある木材を適所に使用した施設整備を行う。
(2)人と環境に優しく、景観に配慮した施設づくり
県民多数が利用する公共施設等は、情緒の安定や健康の増進に対する機能が求められており、心身のリラックスや歩行時における衝撃の吸収、さらには調湿作用などの効果がある建築資材の木材を積極的に活用して施設づくりを進める必要がある。
また地域の景観に対する融和や、動植物の棲息に配慮した公共施設等が求められており、地域文化になじみのある資材であるとともに、河川周辺などの環境に負荷を与えない資材である木材を使用した施設づくりを進める。
(3)地域産業の振興と環境資源の整備促進
県産材を利用した公共施設等の整備は、地域の林業から建築業まで各種産業を総合的に振興するとともに、環境資源である森林の整備を促進する効果があるため、木材利用を普及啓発することが必要である。
3木材利用の基本方針
人や文化が明るくのびのびと躍進する社会づくり、共に助け合い健やかな人生がおくれる健康福祉社会づくり、さわやかな環境と安心で快適な生活を楽しめる地域づくりを目指し、施設の目的に応じて可能な限り木材の利用推進を図るため、以下の方針により、市町村等と一体となって総合的な取り組みを進めることとする。
(1)木造化の推進
木材は柔らかで温かみのある感触を有し、情緒の安定やけがの防止に寄与することから、県民多数が利用する施設等を中心に木造建築を推進する。
(2)木質化の推進
木質内装材は、調湿機能を持ち、有害な化学物質を含まないなど、健康の増進を図る上で有効であり、潤いと温かみのある環境づくりが可能であることから、木造化が困難な施設の内装の木質化を推進する。
(3)木製品の導入の推進
温もりと潤いのある自然素材の事務用品として、木製家具・調度品等の木製品の導入を推進する。
(4)公共事業での間伐材の利用促進
間伐材の有効利用を促進することは、豊かな生活環境や自然環境の保全に寄与することから、砂防・治山・河川・公園・道路等公共土木工事で間伐材の利用を推進する。
(5)CLT等新たな木材利用の推進
CLT等の先進的な技術は、これまで困難であった建築物の木造化・木質化を容易にすることから、積極的に導入を検討し、新たな木材利用を推進する。
4推進方法
(1)推進体制
- 県産材の円滑な利用を推進するため、庁内に「公共施設等木材利用推進連絡会議」(以下「連絡会議」という。)を設置し、県産材の利用促進を全庁的に進める。
- 連絡会議の設置要綱は別に定める。
- 連絡会議の幹事会は、関係部局が計画又は実施する事業等について県産材の具体的な利用方法を検討し、その結果を委員会に報告する。
- 連絡会議の委員会は、県産材の利用推進について総合的な調整を行う。
(2)公共施設の木造化・木質化
- 関係部局は、その所管する事業について、補助事業等を含め県産材の利用を促進するため、森林認証材の利用やグリーン購入法等に配慮して木造化・木質化を積極的に検討し、幹事会及び連絡会議にその結果を報告する。
- 県は、市町村や学校法人等の公益団体に対して、公共施設・公共土木・備品類の木造化・木質化を要請し、指導を行う。併せて、利用促進に対する支援策についても検討を行うこととする。
5関係部局の県産材利用促進における役割と対象施設等
(1)関係部局の役割
関係部局名 |
公共施設等木材利用推進における役割 |
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総務部 |
庁内事務用品に係る県産材の利用促進 |
企画情報部 |
地域振興関連施設等に係る県産材の利用促進 |
県民環境部 |
環境施設等に係る県産材の利用促進 |
保健福祉部 |
福祉、医療、保健、老人、児童施設等に係る県産材の利用促進 |
経済労働部 |
試験研究施設等への県産材の利用促進と新用途等の研究開発 |
農林水産部 |
農林水産業用施設、農林水産土木事業に係る県産材の利用促進 |
土木部 |
土木事業、木造住宅の振興に係る県産材の利用促進 |
教育委員会 |
学校施設、スポーツ施設等に係る県産材の利用促進 |
公営企業管理局 |
公営企業管理局所轄の病院等施設に係る県産材の利用促進 |
警察本部 |
警察関係施設に関する県産材の利用促進 |
(2)公共施設等の対象
区分 |
木造化・木質化を推進する対象施設等 |
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木造化の推進 |
小学校、中学校、保育所、幼稚園、高校等の校舎、体育館等 |
病院・診療所、保健所等 |
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養護施設、福祉施設、老人ホーム等 |
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集会施設、スポーツ、武道、研修、文化施設等 |
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試験場、駐在所、観光保養施設、種々管理事務所等 |
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公営住宅 |
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県民等の利用形態や用途、周辺環境との調和などから木造化が適当であり、木造にふさわしい施設 |
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木質化の推進 |
上記「木造化の推進」欄の施設のうち非木造施設の内装等 |
高齢者や児童生徒が利用することが多く、滞在時間が長くなるなどのために室内環境を重視することが必要な施設 |
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木製品の導入の推進 |
県、市町村施設の机、椅子、応接家具、書架、決裁箱、標識、ネームプレート等事務用品 |
小中高校等教育施設の机・椅子、書架等 |
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優しい執務環境づくりに適切であるとともに、身近な物品への木材利用を県民に対して啓蒙できる事務用品 |
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公共事業での間伐材の利用推進 |
休憩施設、遊具、ベンチ、緑化支柱、歩道、階段等の公園施設関係 |
よう壁工、法面保護工、水路工、護岸工、種々柵工、堰堤、沈床工、杭打ち工等治山・河川施設関係 |
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落下防止柵、防音壁、ガードレール、標識、歩道橋、側溝蓋等道路施設関係 |
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県民等施設利用者の安全、動植物棲息の促進による生態系の保護、景観維持等に配慮を要する施設 |