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更新日:2021年8月6日
南に四国山地、北に高輪山系が広がる「道前平野」に大澤養豚はあります。
米や野菜、果樹、花卉の栽培など農業が盛んな町で、周囲には田畑が広がり、南に目をやると石鎚山が見えます。ここで過ごせば、誰もがゆったり穏やかな気持ちになるに違いない。そう思える場所です。
ここで愛媛甘とろ豚を育てているのは、大澤美敏さん・ミサ子さん夫妻と次女の美也子さん。笑顔の絶えないなごやかな雰囲気が印象的な家族です。
美敏さんが養豚業を始めたのは30歳の時。営業職からの転職でした。
思い切った方向転換のように思えますが、美敏さんは学校を卒業して就職する前に養豚業をしたいと考えたことがあったそうで、長年温め続けていた計画ではありました。
「どんな仕事をしようかと考えていて、ふと養豚業をしたいと思いついたのです。思いついたものの資金はないし、どうしたらいいかも分からず断念しましたけどね。サラリーマン生活を続けながらも、養豚業をやろうか、諦めようか、とずっと考えていました」
機が熟したのが就職して10年経った時でした。
「資金が貯まったと言っても、ちょっとでしたけどね」とミサ子さん。費用を抑えるために美敏さんは豚舎を自分で少しずつ少しずつ建てたそうです。
後に一貫経営になりますが、スタートは母豚15頭で子豚を生ませて出荷する「子取り経営」でした。
平成22年12月から愛媛甘とろの生産を始めるようになり、平成24年には次女の美也子さんが一緒に働くようになりました。
「年齢的に仕事が大変だろうと思って両親を手伝うことにしました。2年半ぐらい経ち、やっと仕事に慣れてきました」と美也子さん。
その言葉を美敏さん・ミサ子さん夫妻はとてもうれしそうな表情で聞いていました。
「病気にならないように、元気に育てることが一番大事」と美敏さん。
そのために、定期的なワクチンの接種や衛生管理など基本的なことを、日々、その都度きちんと行い、世話をしながら豚の様子をしっかり観察するそうです。
「豚は喋れないですから、どうしてほしいのか、何をしてあげる必要があるのかを考えながら世話をすることが大事です」
大澤養豚では三人それぞれが豚の微妙な変化や反応を感じ取り、ストレスなく健康に過ごせる飼育環境づくりに力を尽くしています。
たとえば豚舎に敷くおがくずは、国産の木のものにこだわっているそうです。そのおがくずはフカフカで木のいい香りを漂わせていましたので、豚は気持ちよく過ごせるだろうと思いましたが、輸入材のおがくずと一体どんな違いがあるのでしょうか。
おがくずについてミサ子さんはこう話します。
「輸入材のおがくずを使ってみたことがあるのですが、なんか豚が落ち着かないというか…心地よくなさそうだったのです。イガイガを感じているように思いました。国産のものだとそういうことはないので、うちでは国産のものしか使わないことにしています」
豚舎内の温度や湿度、換気といった基本的な環境にももちろん気を配っています。
データやマニュアルに沿った農場管理に、長年の経験で身につけた豚を観察する目と豚を大事に育てようとする気持ちを活かした飼育により、大澤養豚では病気しらずの豚が育っています。
そして豚舎から集められた使用後のおがくずは、美敏さんが設計・製作した乾燥機によって良質な堆肥になっています。
「甘とろ豚も美味しいけど、この堆肥で土づくりして育てた大根も美味しいですよ」「近所の農家さんにも使ってもらっていますが、評判いいですよ」
笑顔を絶やさず話す美敏さん・ミサ子さん夫妻に寄り添うように美也子さんが微笑んでいました。
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