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更新日:2021年8月6日
大洲ICから車で30分ほどの大洲市豊茂、森の中の道をクネクネと上って行くこと約10分。松田養豚は周囲に民家のない見渡す限り山々という“奥地”にあります。
標高400メートル、山の頂や空を随分近くに感じる場所に豚舎が並んでいます。東京から視察に来た人はここを「天空の養豚場」と名付けたそうです。
そんな眺めが広がる自然豊かな環境の中で、松田浩さん・ゆかりさん夫妻が愛媛甘とろ豚をのびのびと育てています。
「高校2年生の時、父は将来のことを考えて養豚を始めました。父から継いだのだから、家族で続けていかなければならないわけですが、市場の状況をみる中で続けていくには他と差別化を図るブランド豚が必要だと思うようになりました」
浩さんはそう考え『がんばる豚』という銘柄を商標登録し、育てた豚を売り出すことにしました。
「愛情を注いで健康な豚を育てている」という自負はあるものの、豚そのものに「ここが他とは違う」と言える特徴はなかったため、松田さんは「名前だけでなく内容が必要だ」という思いを強くしていたそうです。
そんな時、愛媛県から愛媛甘とろ豚の生産をしてくれないだろうか、と声がかかりました。
愛媛甘とろ豚の特徴を聞いた松田さん夫妻は「脂肪が多い豚が果たして消費者に受け入れられるのだろうか」と思ったそうです。
ところが、試食をした松田夫妻はその肉質のよさと脂身の美味しさに驚き、「コレならいける」と確信。平成21年5月から愛媛甘とろ豚の生産に乗り出し、最初の生産者となったのです。
「人なつっこくて可愛いいですけど、気難しい一面もあります」と、ゆかりさんは愛媛甘とろ豚の性質について愛おしそうに話してくれました。
既存の飼育設備とそれまでに培った飼育技術を活かして生産に取り組んでいますが、豚の性格に合った環境づくりには大変気を配っています。
たとえば飼育密度を少なくしているのも配慮のひとつ。
「愛媛甘とろ豚はプライドが高く、豚同士が仲良くなるのに時間がかかる性格で、飼育密度が狭いと、ストレスも影響して喧嘩が絶えないのです」と浩さん。
かつて育てていた豚の場合は1平米に1頭の割合でしたが、愛媛甘とろ豚については1頭あたり約1.5平米とるようにしたそうです。
飼育密度を少なくしたことに加え、なるべく同じ豚房内で育てる群れは兄弟単位で構成し、出荷まで群を変えないようにしています。
これも豚のストレスをできるだけ少なくするための方法です。
松田さん夫妻が豚について話す時、言葉の端々や浮かべる表情に、愛情があふれ出ています。
親豚には一頭ずつ名前までつけられているのです。一頭一頭の健康状態や発育状態に目と心を配り、飼育しています。
スーパーの試食販売で消費者と触れ合う機会があり、松田さん夫妻は生産者としての使命感を以前にも増して強く感じるようになったそうです。
「愛媛のブランド豚の開発に取り組んだ人達の思いを忘れることなく、買ってくださる人達の気持ちに応える安全で美味しい豚を育てる努力を続けていきたい。他の生産者さんと共に勉強し合いながら、現状に甘えずよい品質を目指したいですね」
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