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牛の生産技術

ページID:0001326 更新日:2020年10月15日 印刷ページ表示

生産技術一覧

牛の生産技術

牛の人工授精

 昔は、雄牛を雌牛のところまで連れていき、交配させることで、受胎させていましたが、最近では、雄牛から人工的に精液を採取し、希釈、凍結保存を行い、それ以降の授精時に取り扱う「凍結精液」の利用が主流となっています。これにより、精液の流通・輸送面が簡易になり、遺伝的能力の高い雄牛の供用数が増えることから、格段に牛の改良が進んできました。この凍結精液は、-196℃の液体窒素に浸漬することで、半永久的に利用可能となります。

 凍結精液の授精は、雌牛が排卵前に発情という兆候が見られますが、この時期に融解し、精液注入器を使って、子宮内へ精液を注入するという「人工授精」を行うことによって、受胎させています。排卵前の発情兆候(授精適期)の確認と精液の注入操作が難しい技術で、獣医師、家畜人工授精師の資格を有する技術者が実施しています。当センターでも2年に1度、家畜人工授精師資格の講習会を開催しています。

 人工授精後、妊娠が確定されれば、概ね285日程度で分娩が行われ、子牛が産まれてきます。

牛の人工授精の画像1牛の人工授精の画像2

牛の受精卵移植

 人工授精技術は、遺伝的能力の高い雄牛の精液を希釈、凍結、利用することで、能力の高い雄牛の遺伝子が行き渡り、能力の高い産子に貢献してきましたが、雌牛の遺伝的能力が低い場合は、必ずしも能力の高い産子が産まれてくるとは限りません。

 そこで、遺伝的能力の高い雄牛を使って受精した遺伝的能力の高い雌牛の卵子(受精卵)を採取し、能力の低い雌牛(借腹牛)に移植することにより、遺伝的能力の高い父・母から受け継いだ能力の高い子牛が産まれてきます。これを受精卵採取・移植技術として、改良が加速度的に進んでおります。

 当センターにおいても定期的に、能力の高い牛の受精卵を採取し譲渡するなどの関連した事業を行っています。これにより、地域の牛の改良を進めるとともに、受精卵採取・移植技術に関する知見・技術を高めるとともに、高度で新たな手法についても取り組んでいます。

牛の分娩

 人工授精(種付け)後、概ね285日後に、分娩が行われます。分娩時には、雌牛が落ち着きがなくなったり、骨盤じん帯等がゆるんでくるなどの分娩兆候を示し、破水し、産道が開き、胎児が娩出されます。
通常は、介助を必要としない自然分娩ですが、中には、逆子であったり、大きな胎児であったりした場合などは、人の介助が必要となる場合があります。

 娩出後は、親牛が子牛を舐める等の行動が見られ、子牛は娩出後、2~3時間後までには立ち上がります。その後、大切なのは、母牛の初乳を必ず飲む(飲ませる)ことで、6~12時間までに吸飲しないと免疫力が低下してしまいます。

牛の分娩の画像

体重測定・血液検査

 家畜の正常な発育、健康を確保するため、定期的に体格の測定(体重測定、体高測定等)を行っています。また、ボディーコンディションスコア(BCS)といった牛の太り具合や痩せ具合を判断する判定も行っています。定期的な血液検査を行い、個体毎に異常値がないかも判定しています。

 これら体格や血液検査等に異常が見られた場合は、異常の内容や程度にもよりますが、投薬治療や給与飼料・飼養環境の変更、改善を行うなど、正常値に戻るように対処していきます。

体重測定・血液検査の画像

肉質検査

 肉牛、肉豚ともに、肉量を増加させることは重要ですが、同時に肉質面での向上も重要な生産性向上技術となります。
そのため、当センターでは、ブランド畜産物である「愛媛あかね和牛」「愛媛甘とろ豚」を中心として、各要因や条件に応じた肉質検査を実施しています。
肉のかたさや保水性、伸展性等の物理的な検査から、アミノ酸や核酸等の呈味性成分の分析、そのほか、肉質に関する各成分分析等を行い、消費者ニーズや生産性向上に応じた肉質を検討しています。

肉質検査の画像1肉質検査の画像2

ステージに応じた飼養管理技術(牛)

 牛を管理する上で、最も大切なことは、発育ステージや季節に応じた飼養管理です。

 産まれた直後の子牛は胃の発育が十分でないので、母乳や代用乳の液体飼料を摂取します。また、寒さや暑さに適応できないため、適切な温度管理も必要とされます。その後、人工乳・育成用飼料といったペレット状の固形飼料に移行しながら、やがて6~8ヶ月齢頃から粗飼料(乾草等)を増加させ、第一胃の発育を促進させます。10~12ヶ月齢以降は、牛の生産目的に応じて、濃厚飼料(固形飼料)や粗飼料を適宜調整しながら、発育、生産されていきます。

 肉用牛では、繁殖用の雌牛に育てる場合は、あまり太り過ぎないように乾草等の草主体の飼養管理を行います。一方、食肉のための肥育牛に育てる場合は、早く太るように栄養価の高いとうもろこし等の濃厚飼料主体の飼養管理となります。

 乳生産のための乳用牛は、乾草等の草主体の飼養管理ですが、生乳の生産状況に応じてとうもろこし等の濃厚飼料の給与量を変化させていきます。太り過ぎないよう、やせ過ぎないように管理していくことが重要となります。

 最近は、温暖化で気温が上昇傾向で、特に夏季の飼養管理は重要です。飼料摂取が減少し、生産性が減少します。また、ひどい場合は、栄養バランスが悪くなり、疾病になったりします。送風機や換気ダクト、牛へのミスト状の散水、庇陰樹、屋根への散水等々できる限りの暑熱対策が必要です。

ステージに応じた飼養管理技術(牛)の画像

牛乳が生産されるまで[PDFファイル/404KB]

牛肉が生産されるまで[PDFファイル/358KB]

TMR調製給与技術

 TMR(Total Mixed Ration)とは、混合飼料のことで、通常、牛は、子実や糟糠類等栄養価の高い濃厚飼料、サイレージや乾草等の粗飼料を給与していますが、別々に給与する分離給与方式が主流です。分離給与は、飼料の選り食いや嗜好性の悪いエサは食べないなどの問題が出るのですが、すべての飼料を混ぜ合わせるTMRとすることで、選り食いがなくなり、栄養バランスの良い飼料摂取となります。このため、牛の体調も良くなり、飼料コストの低減が可能です。

 また、発酵させる発酵TMRとすることで、長期間の保存が可能となり、飼料原料とする未利用資源等の利用できる幅が広がってきます。

 今後、当センターでは、飼料効率化の観点からTMRを主体とした試験研究を積極的に行っていきたいと考えています。

TMR調製給与技術の画像1TMR調製給与技術の画像2TMR調製給与技術の画像3

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