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マイコプラズマ肺炎の発生状況について

ページID:0006785 更新日:2021年12月1日 印刷ページ表示

(平成24年11月26日更新)

マイコプラズマ肺炎とは

Mycoplasma pneumoniaeの感染によって発症する肺炎で、6歳から12歳の小児で好発します。潜伏期は2週から3週間で、全身倦怠、発熱、頭痛、乾いた咳などの症状がみられます。感染経路は鼻咽頭分泌物によって飛沫感染または接触感染を起こしますが、濃厚な接触が必要であるため家族間や友達間の感染が多くみられます。予防対策として、手洗いうがいを励行してください。

合併症として、中耳炎、無菌性髄膜炎、心膜炎、溶血性貧血、肝機能異常などがあり、死亡例の報告もあるため注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎の発生状況

マイコプラズマ肺炎の定点当たり患者報告数は、第46週0.7人で、四国中央保健所と八幡浜保健所、宇和島保健所から患者報告がありました。

全国的にも患者の増加が続いており、今後さらに増加する可能性が指摘されています。

図1:マイコプラズマ肺炎患者報告数の推移:詳細は上記コメント参照。

マクロライド耐性肺炎マイコプラズマについて

マイコプラズマ肺炎の治療にはマクロライド系の抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が使用されますが、最近これらの抗菌薬で症状が改善しない例が増えています。以前から、マクロライド系抗菌薬に耐性を持つ耐性株の存在は知られていましたが、近年その耐性株の割合が増加していることが指摘されており、国立感染症研究所が注意を呼びかけています(国立感染症研究所 感染症発生動向調査週報へのリンク<外部リンク>)。​

現在、マクロライド耐性マイコプラズマに効果が期待できる抗菌薬として、成人ではテトラサイクリン系、キノロン系、小児ではミノサイクリンがあります。いずれにしても、発熱後咳が長引くなどの症状があるときは、マスクをして早めに医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。

マイコプラズマ肺炎についてもっと詳しく知りたい方へ

病原体

原因病原体である肺炎マイコプラズマは、自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されます。ただ、他の細菌と違って細胞壁を持たないため、細菌感染症に通常用いられる抗生物質(ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害剤)は効果がありません。

疫学

年間を通してみられますが、感染症発生動向調査では晩秋から早春にかけて報告数が多くなっています。従来は4年周期で流行し、オリンピックの開催年に流行したことからオリンピック病と言われたこともありましたが、1992年以降はこの周期性が崩れ、大きな全国流行はみられていません。1992年以降、大流行が見られなくなった原因としては、マイコプラズマ肺炎の早期診断、早期治療により家族内感染や学校などでの集団感染が減少したことも一因であると考えられています。

肺炎球菌や他の細菌による細菌性肺炎は、乳幼児および65歳以上の高齢者に多発しますが、マイコプラズマ肺炎は幼児、学童および青年期年齢に多いのが特徴です。全国の感染症発生動向調査でも、14歳以下の年齢層が80%以上を占めています。

感染経路

患者の咳やくしゃみを介した飛沫感染と、ドアノブや手すりなどを介した接触感染によって感染が拡がります。ただ、感染には濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅いです。保育施設、幼稚園、学校などの閉鎖施設内や、家庭などで感染が拡大しますが、学校などでの短時間の曝露による感染拡大の可能性はそれほど高くはなく、友人間や家族内などの濃厚接触によるものが重要とされています。

病原体は、初発症状が出る2日から8日前から排出され、症状発現時にピークとなり、高いレベルが約1週間続いたあと、4週から6週間以上も排出が続くとされています。

潜伏期間

2週から3週間

症状

発熱、全身倦怠感、頭痛などで始まり、本症に特徴的な症状である咳は、初発症状が出た3日から5日後に始まることが多いようです。最初は乾いた咳ですが、徐々に咳が強くなり、熱が収まった後も長く続きます(3週から4週間)。

診断方法

確定診断には、患者の咽頭ぬぐい液や喀痰からマイコプラズマを分離する必要がありますが、マイコプラズマは一般の細菌と異なって培養に1週間以上かかり、検出率も低いため、通常の診断にはあまり用いられていません。通常はペア血清(感染初期と回復期)によるマイコプラズマ抗体の上昇を確認するほか、IgM抗体による迅速検査も用いられています。現在、早期診断法として信頼性が高いのはPCR法やLAMP法などの核酸増幅検査であり、2011年10月から保険適用となったことから、今後の普及が期待されています。

予防方法

インフルエンザと同様に、手洗い、うがい、咳エチケット、患者との濃厚な接触を避けることが重要です。症状があるときは外出を避け、マスクをして早めに医療機関を受診しましょう。

治療

抗菌薬による化学療法を行います。一般的には、マクロライド系のエリスロマイシンやクラリスロマイシンなどを第一選択としますが、学童期以降ではテトラサイクリン系のミノサイクリンも使用されます。

参考

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