ホーム > 県政情報 > 知事 > ようこそ!愛媛県知事室へ > 知事記者会見録 > 衆議院小選挙区の区割り改定に対する愛媛県知事の意見に関する記者発表の要旨について
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更新日:2022年1月24日
日時:令和4年1月21日(金曜日)15時30分~15時44分
場所:知事会議室
(南海放送(幹事社))
それでは続きまして、衆議院小選挙区の区割り改定に対する知事意見について、知事お願いします。
(知事)
はい。それでは衆議院選挙区画定審議会からの衆議院小選挙区の区割り改定に対する意見照会について、市町等の意見も踏まえ取りまとめたので、審議会への回答に当たって報告させていただきます。
まず、衆議院小選挙区の区割りの改定に当たりましては、難しい問題が二つございます。一つは長期的な人口の見込みを考慮して、長期的に安定する選挙区の区割りをするということ。人口はどんどん流動化していきますので、そのたびごとに、最近は弥縫(びほう)策だと毎回毎回変えるということにもなりますので、そういった懸念。もう一つはやはり生活圏、市町の行政区や生活圏等を分割することなく、地域の一体性を確保した選挙区の区割りとすること。これ二つの考え方は、残念ながら一部の地域で相反するものになってしまいます。両論があるということですね。本県の今回の区割り改定については、一方の考え方からは、頻繁に選挙区の区割り変更や市の分割が繰り返されることのないよう長期的な人口見込みを考慮し、今回の見直し後の区割りが長期に安定したものとする観点から、一部地域の分割も避けられない。他方の考え方からは一部の地域をはじめ行政区の分割はすべきではない。特にこれは松山市でございます。強い要望があったことを意見として伝えたいと思います。また、具体の選挙区画定に当たっては、これまでの区割りの変遷や地域の一体性などの観点から地元自治体に根強い懸念がありまして、地域の実情を踏まえ、地勢、交通、面積、そして愛媛県というのは東予・中予・南予の生活圏、その他の自然的・社会的条件や長期にわたる安定性を総合的に考慮して、慎重に検討すべきというふうに意見をしたいと思います。
基本はこういった答申といたしますが、最後に、選挙制度そのものについても、この際意見を述べたいと思います。政治に携わる者は地域の声を届けるからこそ地域の代表者でございます。特に地方分権が進んで、国は国の仕事に没頭・集中し、その他は地方で請け負うという地方分権が進めば、政治の役割分担も明確になって変わってくると思いますが、現在、地方分権はまだまだ道半ばでございます。この状況の中では、国会議員は地域の声を拾うために日々活動して、顔が見える関係をそれぞれ皆さん作って、実情を話すということが重要になってまいります。こうした各地域での地道な活動の積み上げにより地域住民との信頼関係を築いている実態がある中、国会議員を選出する基礎となる選挙区については、最高裁の指摘する一票の較差のみを重視して決めてしまうと、特に東京一極集中が叫ばれて久しいんですが、一方で人口減少の進む地方では選挙区の変更が繰り返される、場合によっては定数が減らされていく、こういうことが続いてまいります。候補者との地域との関係がその都度変更され、定数が減らされるとその声がより届かなくなると、こういうことになります。こうしたことから、憲法上要請されている民主主義が果たされない、いびつな状況にもなりかねない要因が出てまいります。
これは決して望ましいものではなく、人口減少による影響は地方の選挙区で調整する前に、まずは国会議員の定数そのものを削減するということも一つの考え方ではないかと思います。これは平成24年当時、削減については与野党で既に合意されていた話でございます。しかし、このような定数削減も、また参議院の合区も、一票の較差の憲法問題にかかわる弥縫策に過ぎないことは指摘されているとおりでございます。現行制度を抜本的に見直す時が既に到来していると言ってもいいと思います。衆議院・参議院の役割および選挙制度について、国と地方との役割も含めて、立法府で議論をしなければならない状況にあるんではなかろうかと思います。また、衆議院については、毎回のように小選挙区ばかりがクローズアップされておりますけれども、投票価値の平等は小選挙区のみならず、比例代表を含めた全体として考えることも必要なのではないかと思います。民主主義の根幹である選挙として比例代表を含めた全体を見た上で、本質的な議論がなされるべきではないかと思います。例えば衆議院比例代表については、今ブロック制になっていますけども、死票が多く出ます。比例代表は死票を少なくするために全国制とすることも一つの案だと思いますし、こうすればさらに死票を減らすこともできると思います。一つの例でございます。加えて、かつては異なっていた衆議院と参議院の選挙制度、今は全く同じような仕組みになっていますが、例えば参議院においては、都道府県代表を1人置いて、残りは全国比例というような配分にすることで、地域代表的な色彩を確保しながら多様な民意を反映することができ、二院制の中で、ある意味では選挙制度が異なることによって、本来のチェック機能を果たす存在になるのではないかということも一つの案ではないかなというふうにも思います。
今般、国が新型コロナウイルスへの対応を検討するに当たって、地方の状況を把握する必要に迫られた場面が多々出てきていると思いますが、いずれにしましても、地方の声を十分に届けられる選挙制度となるよう抜本的な見直しを行う議論を進める重要性が明らかになってきていると思います。今後、審議会において具体的な区割り改定案が議論されることとなりますが、こうしたことも含めて、本県の意見が尊重されるよう、強く求めたいと思います。以上です。
(南海放送(幹事社))
ただ今の発表事項等に質問のある社はお願いします。
(愛媛新聞)
愛媛新聞です。市町の方には、県としてこういった区割りの案があるというみたいな感じで示されていたと思うんですけど、今回の回答では、特にこの案でとかっていう具体的な返し方ではないということで。
(知事)
はい。これはとても、いろんな地域によって意見が違いますので、一本にまとめられるような状況ではないので、大まかに言って今の二つの考え方に集約されるので、2案ということで出させていただきます。具体的な区割り案というのは出す予定はありません。
(愛媛新聞)
あともう一点、先ほどのお話の中で、衆議院の定数削減を早急に検討すべきではないかというお話もありつつ、地域の声をというお話もありましたけども、もう少し定数削減してしまったら、小選挙区の定数も減らさざるを得ない部分も出てくるかと思うんですけれど、これは比例の定数を小選挙区に回したらいいんじゃないかとか、そういう考え方ですか。
(知事)
それも一つの選択肢ですね。だから、いろんなアイデアがあると思いますから、憲法の問題、それこそそうでないとするならば、憲法改正も含めてですね、そこぐらいの議論をすべき時が来ているんではないだろうかなというふうに思います。
(南海放送)
南海放送です。現在、衆議院は小選挙区制ですけれども、小選挙区以外の選挙制度というのはこういった案がいいのではないかという、そういったお考えはありますでしょうか。
(知事)
かつて、選挙制度の議論をしていた時にいろんな意見がありました。衆議院は全部小選挙区制にして、参議院は全部比例代表制にするという極論もあったと思いますし、諸外国の例を分析して、比例代表連用制であるとか、今の比例代表並立制であるとか、それが俎上(そじょう)に載せられて、ちょうど私その時国会議員でしたから、どれも一長一短があるんですね。完璧な選挙制度というのはないんですけれども、基本的にその時に大きな議論になったのが、衆議院は当然内閣を形成していく(事実上の)首相・首班指名がありますので、政権選択の色彩が強いであろうと。参議院はそれをチェックするというような機能も一つの考え方ではないかというような議論もありました。何も衆議院の選挙制度と参議院の選挙制度、今はほとんど同じなんですけれども、同じである必要性もないわけですよね。であるならば、参議院の独自性を発揮するためには、もう一度そういったことも含めて議論すべき時が来ているのかなというふうに思います。特に非常に中途半端に思うのは、衆議院の場合、あの当時ですね、政権選択を可能にするのは小選挙区制、しかし全部小選挙区制にしてしまうと、例えば51対49という選挙で片方だけが勝ってしまって、49は死に票になってしまうと。だからこれを調整するために、比例代表を入れようという議論だったと記憶しています。その時に、なぜかこれ、私なんかは全国区の比例代表を主張したんですけども、いろんなそれぞれの政党の思惑等がありまして、妥協点が今のブロック制になったんですね。でもブロック制にすれば、それだけ死票が増えていきます。だから、ここはもう一度議論して、比例代表というのはやっぱり全国制というものなのではないのかなと今でも個人的には思っていますので、そうしたことも含めて議論してほしいなというふうに思っています。なぜならば、小選挙区はあまりにも死票が多過ぎるから駄目なんだと。それをできるだけカバーするために比例代表をつくる。で、死票を少なくするという概念に立つならば、全国にするというのが当然の結論だと思うんですけれども、そういったことを踏まえて議論したらいいんではないかなと個人的には思いますね。
(朝日新聞)
朝日新聞と言います。知事の意見を拝見していると、小選挙区の定数が四つから三つになるということについて、直接的に賛成・反対というのを書いていなかったように思うのですが、この定数が一減るということについてはどう。
(知事)
当然反対です。だからこそ抜本的に考えてほしいということです。今の、さっき申し上げた地方分権が進めばそれもありかもしれないんですが、今の中途半端な地方分権の中では、やはり地方の声を届けていただくという仕事もどんどんやっていただかないといけないので、数が減るというのはその声が届きにくくなって、しかも全体の定数は減らさないということになれば、その分、大都市部の定数が増えていくわけですよね。すると、ますます大都市部の発想、大都市部の観点で政策を考える議員がどんどん増えていってしまいますから、地方にとって非常に苦しい状況になっていきます。だから減るということについては基本的に反対です。
(南海放送(幹事社))
各社さん、区割り関係、その他質問等よろしいでしょうか。それではこれで終わります。
(知事)
はい、どうもありがとうございました。
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