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平成23年度当初予算案等に関する記者発表の要旨について

ページID:0008718 更新日:2017年12月4日 印刷ページ表示

 

日時 23年2月15日 13時7分から

場所 知事会議室

平成23年度当初予算案等記者発表

(知事)
それでは、当初予算案等について発表させていただきます。
今回の当初予算は、民主党政権による2度目の当初予算案が国会に提出されているところでありますけれども、ご案内のとおり、一括交付金の詳細などが示されていないということから、現時点での情報をもとに編成作業を行わざるを得なかったということをご理解いただきたいと思います。また、私にとっても初めての当初予算編成ですので、いろいろな知恵を絞ってみたつもりでございます。
ただ、その中で、本県の財政状況が依然として厳しい環境にあることは変わりありません。今回の当初予算については、徹底して無駄を排するとともに、知恵と工夫で限られた財源の重点的・効率的な配分に努めるほか、国の基金を効果的に活用するなど、可能な限りの歳入対策を講じてみたところでありますが、必要な行政サービスというのは拡大しておりますので、それに対して歳入がやはり不足している状況でございまして、結果として財源対策用基金の繰り入れを行わざるを得ない予算編成を余儀なくされております。
このような中ではありますけれども、平成23年度当初予算は、先ほど申し上げましたとおり、私にとっての初めての当初予算であり、公約としてお約束した「愛顔(えがお)あふれる愛媛県」の実現を目指し、また、県議会各会派のさまざまな要望をいただいておりますが、こうしたことも踏まえながら、削るべきものは削り、やるべきことはやるというメリハリの利いた予算とするよう努めてきたところでございます。
予算の主な事項といたしましては、新卒者等若年者に対する総合的な就職支援や県内中小企業等のニーズに即した職業人材の育成。
二つには、地域のもつ底力を発揮させるため、ものづくり企業の優れた技術力等のデータベース化とトップセールスの実施。
三つには、首都圏や松山市における県産農林水産物の認知度向上と販路の開拓。
四つには、「坂の上の雲」効果を県内各市町に波及させるための魅力的な広域観光ルートづくりなどの観光振興策。
そして、五つには、山鳥坂ダム水源地域住民の長年の生活上の不便解消等を図るため、緊急を要する生活基盤等の整備。
六つには、県下全域にわたり深刻化する鳥獣被害対策。
七つには、自主防災組織の核となる防災士の育成や今治警察署の建て替えなどの安全・安心対策などが重要な柱になっております。
また、その他にも、国はご案内のとおり、2年連続での公共事業の大幅な削減を実施しておりますので、本県経済への影響を食い止めるため、県単独緊急経済対策として、真に必要な県単独公共事業を実施することや、もう一つは、喫緊の課題である県立学校校舎の耐震化を積極的に進めて、県内経済の下支えを図ることといたしました。
また、厳しい財政状況の中、新たな予算措置を伴わず、職員の知恵と工夫や県民の皆さん、地域との連携により、きめ細かい県民サービスを提供する加戸県政で立ち上がった「ゼロ予算事業」を引き続き実施することとしており、来年度は、新たに7事業を加え、合計169事業に取り組むこととしております。
なお、給与カットについては、士気にも影響するため、一般職員は解消したところでありますが、特別職及び管理職員は、財源対策用基金の繰り入れを行わざるを得ない厳しい財政状況を踏まえ、職責に応じ、私の25パーセントカットを筆頭に、今年度と同内容で引き続き実施することといたしました。
この結果、今回の当初予算額は、一般会計約6,064億円で、昨年度に引き続き、前年度当初予算を上回る規模となり、6,000億円を超えるのは,平成18年度以来、5年ぶりのこととなります。これはですね、4年前の平成19年度6月補正後予算が6,061億円ですから、金額は匹敵しますが、今回は当初、あのときは6月補正を加えた額でございます。
また、特別会計は、約1,176億円、企業会計は、約636億円、合計で、約7,876億円となります。
次に、平成22年度2月補正予算については、昨年末の国の補正予算への対応事業などを計上するとともに、国庫補助金の変動等による減額補正を行うことといたしました。
さらに、税収の一時的回復、地方交付税の増額や執行段階における歳出削減などにより捻出した財源を活用して、喫緊の重要課題でございます、先ほども申し上げました、県立学校の耐震化、これを計画的にスピードアップして進めていくために20億円。そして、すでに開催が決まっている国民体育大会の開催に備える10億円の基金を造成するほか、県債管理基金の積み増し、これはほとんど底を突いておりましたけれども、これからの長期的な財政運営を考えると、どうしてもここは積み増しておく必要があると、それをしないと健全財政の基盤づくりにつながりませんので、ここも積み増しをさせていただくことといたしました。
しかしながら、社会保障経費など国の制度に従って自動的に負担額が上がっていく義務的経費が、これまた当然のことながら増加する一方、歳入面では、国の財源対策が非常に中途半端な状況で今日を迎えておりますので、赤字地方債である臨時財政対策債、これは市町も同じでありますけれども、後々、国が交付税で全額補てんをするとは言ってはおりますが、地方が資金を調達する上においては、やはり地方債を発行することになりますので、この比重が非常に大きくなってきております。今後もそうした状況の中では、極めて厳しい財政運営が続くものと想定されますことから、引き続き財政健全化に向けた取り組みが必要と考えておりまして、県民の皆さんのご協力を賜りたいと思います。
なお、これにより、加戸県政で財政構造改革を進めてまいりましたが、その目標としていた財源対策用基金、これは目標が残高200億円ということでありましたけれども、構造改革期間の最終年度の平成22年度末には、1年延長しましたので、1年遅れましたが、達成できるのではないかと見込んでおりまして、あらためて、県民の皆さんのご支援とご協力に感謝申し上げたいと思います。
この結果、22年度2月補正予算は、約66億円、これは一般会計でありますが、増額予算となりました。
このほか、今回の2月定例県議会においては、教育委員会に属する文化及びスポーツに関する事務を知事部局に移管するための条例の制定をはじめ、先ほど申し上げました特別職及び職員の給与等の減額を維持するための条例の改正などの議案を提出する予定としています。以上でございます。

 

(愛媛新聞)
臨時財政対策債を含めた県債の残高が1兆円を超えている今の財政の現状と中長期的な見通しはどうか。また、財政健全化にどのように取り組むのか具体的に教えてほしい。

 

(知事)
これは、起債にはご存知のとおり、一般的な地方債と今もご指摘のあった臨時財政対策債があるわけですけれども、そこはきちっと分けてとらえていただく必要があるのではないかと思います。基本的には、一般の地方債は県が責任をもって後で償還をするわけでありますが、臨時財政対策債の場合は国の制度で国の方針で決まった、本来ならば交付税で来るものが、制度の上で捻出できないので、とりあえずそれで発行しておいてくれと、後日、交付税で補てんするからという趣旨のものでありますから、ここはしっかりと見極めて分けて考える必要があるのではなかろうかと思います。
分析をいたしますと、県債残高でありますが、先ほど申し上げた建設地方債等の残高、県単独のですね、県が責任を持って償還を行っていくものについては、財政構造改革による投資的経費の削減などによりまして、こちらはピークが平成14年度末でございます。このときには、8,502億円の残高になっておりましたが、その後減少を続けまして、平成23年度の当初予算では、7,018億円まで減少をしております。すなわち、対平成14年度末でいきますと、マイナス1,484億円ということになります。
その一方で、先ほどの臨時財政対策債、これは平成13年度に創設されたものでありますけれども、増加の一途をたどっておりまして、平成23年度末に3,088億円。これは先ほどと同じ平成14年度比で申し上げますと、プラスの2,756億円となっております。この臨時財政対策債のために、いろいろ努力を積み重ねてきているんですが、国の制度の問題で臨時財政対策債の発行ということにつながっていますので、見かけ上の県債残高は1兆円を超えるという状況になっております。
この臨時財政対策債については、国税の大幅な減収による財源不足に伴って、近年発行額が高止まりを示しているものであり、このため、県債総トータルの残高が1兆円を超えているということについては、地方財政制度上の問題だというふうにわれわれは認識をしているところでございます。平成23年度における臨時財政対策債発行額は470億円。対平成22年度比ではマイナス133億円になっています。これは、さすがに国もこのまま放置はできないということで、昨年度からの予算編成作業において、臨時財政対策債の増加に一定の歯止めをかけようというふうな作業に入りましたので、マイナスということになっておりますけれども、それでも平成21年度が460億円でありましたから、そこと同程度になったものに過ぎません。今後もよほどの制度の変更をしない限り、また、劇的な景気回復が見込めない状況でもありますので、大幅な削減というのはなかなか想定できませんから、こちらにおいては、国が本当にこの国の地方の財源をどういう形でしっかりと制度上確立させるのか、そして国のトータルの模様をどう考えるのかということをやらない限りですね、この増加基調は続くのではなかろうかと予測しております。県としてはですね、地方財政制度上の問題ではあると認識はしておりますが、やはり財政運営の健全性という観点からすると、この姿というのは決して望ましいものではありませんので、地方交付税率の引き上げ等を通じて、地方の税財源、いわば地方分権の推進につながってまいりますけれども、その充実・強化に向けて、今後とも全国知事会等々を通じて、国に強く働きかけを行っていきたいと思っています。

 

(愛媛新聞)
土木費が前年度比マイナス4パーセントくらいになっているが、一括交付金の分を見込みでも組んでいないということでよいか。

 

(知事)
いえ、一括交付金はですね、結局、今、配分方法も決まっていないので、すでに地域自主戦略交付金の対象となった従前の国庫補助事業、今までの補助事業を一括交付金の対象としますので、すでに対象となっているものを見込んで、それだけを予算化しているという形で編成をしています。

 

(愛媛新聞)
知事特別枠が前年度比30パーセントくらい増えているが、公約実現に向けて重点を置いたということか。

 

(知事)
そうですね、ただ、新しい施策の展開についての公約は、そんなに巨額なお金をかけるものではなくて、いわば効果的な投資を行って、大きな成果を求めていくというものが多いので、そういったものを中心に可能な限り盛り込んだつもりではございます。

 

(愛媛新聞)
企画振興部について、全国的にもかなり先進的な部類に入ると思うが、狙いと背景はどうか。

 

(知事)
これも公約の一つだったんですけれども、これからの地方分権型の社会が進展していく前提においてですね、基礎自治体がしっかりとした基盤を作り上げていくということが大前提と考えておりました。自分自身も基礎自治体の長を経験させていただきましたので、より一層その思いが強いんですけれども、県がその方針を明確にして、市町と一緒になって未来を切り開いていく、いわばそのサポート体制を組織上充実させる必要があるのではないかというふうに考えておりましたので、当面は、この県のサポート体制を組織の中でしっかりと作り上げるということと、人事交流を推進するということ、この二つを通じてですね、しっかりとしたサポート体制を築き上げていこうというふうに考えております。それからもう一つは、市町と連携協議会的な会を立ち上げることによって、二重行政の解消であるとか、あるいは協力体制の推進というのを一層強めていくということも重要なポイントになってくると思います。

 

(愛媛新聞)
おそらく政治判断の部類に入ると思うが、学校教職員の手当の特別加算を半分に切り下げていることについて、特に加戸前知事は教育分野にかなり思い入れがあって維持してきたと理解していたが。

 

(知事)
この分野は、確かに過去のこの日本の国の歴史から言っても、教職員の給与というのは、加算というものについて、いろいろないきさつがあったと思います。国については、段階的に引き下げを図っておりますものの、一般行政職員よりも1.5パーセントのプラスというようなことで対応をしているところなんですが、加戸知事の思いも十分分かるんですが、この点については、やはり国の方針に従うことによりまして、財源を捻出するという道を選びました。その捻出額、いわば2.2パーセントから1.5パーセントに減額するという措置を通じて、去年までの3.0パーセントから、国は2.2パーセントを先行させて今年から1.5パーセントに減額していくんですが、愛媛県は1年遅れで、3.0パーセントから今年は2.2パーセントというのはどうだろうかという議論もあったんですけれども、やはりそれは一気に1.5パーセントまで減額すると、2.2パーセントと1.5パーセントの差額によって捻出される財源が3億7千万円くらいありますので、これは全額、学校の耐震化に活用します。同じ教育の関係で活用するということで、先生方も教員の皆さんもご納得いただけると私は信じています。

 

(愛媛新聞)
山鳥坂ダムの関係について、本来は国がやるべきものであると、知事はずっと言っているので、今回の約4,500万円は、最終的には国の肩代わりという位置付けなのか。

 

(知事)
これはですね、非常に線引きの難しいところなんですが、もちろんそうしてほしいのはやまやまなんですが、事業内容が緊急を要する身近なところですから、これを含めてというのは、正直言って難しいかもしれません。ですから、その点は非常に絞っています。できるだけリスクを取らないように。それよりもこの姿勢、金額的にはそう大きなものではないんですけれども、この2ヶ月半の間、政治そして役所、あらゆる所で、与野党問わずですね、この問題について直接自分の言葉で必要性を投げかけてきましたので、さらに具体的な姿勢を示すということが非常に意味を持ってくると思っています。そういったことにつながる思いを込めて、今回の予算については、緊急を要する非常に生活に身近な問題を、地元の市から上げていただいて対応したというふうにご理解いただけたらと思っています。

 

(愛媛新聞)
山鳥坂ダム水源地域の生活再建は、とりあえず当初予算で組んだが、今後、継続していく考えか。

 

(知事)
僕は、逆に言えば、これで呼び水になってですね、国は必ず動くと、今の段階では信じています。

 

(愛媛新聞)
結局、地方が財政的に苦しいのは構造的な問題であるので、先ほど述べた権限や財源について、国に対して、今後どのように動いていくのか。

 

(知事)
これは非常に裾野の広い大きなテーマになってきますので、一概にこれを改善すればという話ではなくてですね、国の方も非常に財政事情も厳しくなっているわけですよね。ただ、僕は本当にそのためにも早く国会議員の定数削減や世襲制限や、そういった身を切ることをまず国民の前に示すべきだと、その姿勢が広く国民に見えた段階で、さまざまな問題について国民は負担等々も含めてですね、聞く耳を持っていただけるのではなかろうかと、その環境づくりを速やかにやるということがまず第1点ですね。
それからもう一つは、先ほどの臨時財政対策債の状況を見ても明らかなように、そもそも今までのシステムがスムーズに機能しなくなってきているのは、火を見るよりも明らかなわけであります。いわば臨時財政対策債というのは当座をしのぐ付け焼刃的な施策でありますから、こうした状況も踏まえて、根本的にですね、地方というのは生活に密着していますから、そこをまず基盤において、そこをしっかり成り立たせるためには、どのような財源配分機能がいいのか、税制改正の問題も含めてですね、広く議論すべき課題であります。その中に、消費税の問題なんかも当然入ってくるわけですけれども、地方消費税の問題は、知事会あるいは市長会も主張してきたことでありますから、これも俎上(そじょう)に上がっていくということは、当然の帰結ではないかというふうに思っています。

 

(愛媛新聞)
与謝野経済財政担当大臣が、「消費税を上げたときでも、地方消費税は念頭にない」と発言をしていたが、地方の立場としてどう思うか。

 

(知事)
全く論外ですね。ぜひ地方の現場に来ていただきたい。東京にいただけでは分からないと思いますね。これはかつてですね、松山市長時代に、内閣府の社会保障国民会議の年金雇用分科会のメンバーだったんですけれども、このときメンバーが20人くらいだったんです。そのときに地方の現場を知っている人は2人しかいなかったんですね。それは京都の山田知事と市の立場では私だったんですね。ちょうどこの年金にスポットライトを当てた議論をしているときに、要はこれからの高齢化社会を本格的に迎えるに当たって、その年金財源を満たすためには、何パーセントの消費税の増税が必要かとか、そんなデータばかり出てくるわけですね。はなから国の方は消費税はいずれ引き上げられるだろうと。そのときは全額国税にという意識が非常に色濃くにじみ出た資料だったんです。そのときに、私はこの議論はおかしいと、地方の現場を皆さん分かっていないんじゃないかと。国で勝手に制度を決めて、そして地方がその執行を行い、しかもオートマティカルに地方負担が組み込まれていることによって、どんどん、どんどん、自分たちの自助努力なんか何にも関係なくですね、自動的に負担が上がっている現状を知るべきだと。この点を知れば当然のことながら、制度の抜本的な改革の議論にもつながるだろうし、ましてや地方の今のそういったものを積み重ねられた結果としての財政事情を知れば、これからも高齢化社会、地方においても福祉関係の予算というのは右肩上がりに増えていきますから、地方消費税の充実以外に税源の求めるべき分野がないという現実からすればですね、消費税議論のときは、地方消費税の話も当然出てくるはずだというような主張をして、なんとか報告書には盛り込んだ経緯があるんです。ですから、また同じようなことが、政権が代わっていますから、行われるとするならば、主張を強めるべきなのかなというふうに思います。

 

(テレビ愛媛)
先ほど公約を可能な限り盛り込んだと述べたが、この当初予算をどのように自己評価するか。

 

(知事)
ない知恵を自分なりに精一杯絞ったつもりなので、この与えられた条件の中ではベストを尽くした予算じゃないかなというふうには思っています。

 

(テレビ愛媛)
財政の厳しさとの兼ね合いなど、予算編成の難しさはあったか。

 

(知事)
特に市町村と違って、市町村の場合は固定資産税が主たる収入源になっていますから、比較的収入を読みやすいんですけれども、県の場合は法人関係税が中心になりますから、景気動向によって非常に左右されやすい。だから今も若干景気が少しいい部分もあれば、一方で三次産業など非常に厳しい状況にもあって、そういった現在の経済情勢を踏まえて、税収をどう読むか、この辺りは少し市町村時代とは違う難しさを感じますね。

 

(テレビ愛媛)
そこと公約をどこまで実現するかという兼ね合いがなかなか難しいと。

 

(知事)
まず最初に、そこの読みを固めて収入の見込みを立てる。次に無駄を排する作業をする。それから、公約を盛り込んでいく。こんな感じで組み立てはしてきたつもりなんですけど。

 

(テレビ愛媛)
その中では可能な限りできたということか。

 

(知事)
そうですね、短期間ではありましたけれども。

 

(共同通信)
加戸県政の発展と継承を掲げてきたが、ゼロ予算事業の増加以外に、特に発展と呼べるものはあるか。

 

(知事)
ほとんどのベースは継続していますので、発展と呼べるものは、難しい質問ですね。だいたい加戸県政のベースにしたがって肉付けしていますから、そういう意味では、そんなに後退しているものはないと思います。

 

(朝日新聞)
無駄の見直しは、どのような手順を踏んで、前県政のどこを見直したのか。また、中村色が一番強い事業があれば紹介してほしい。

 

(知事)
正直言って、無駄を排することについては、加戸知事さんもかなり力を入れて行ってこられました。ですから、その作業については、一応継続して、まだ2か月ですから引き継いでいます。ただし、去年の暮れに、さらなる行財政改革をさらなる視点から取り組んでみたいというメッセージを送って、庁内にプロジェクトチームを作りましたので、私の視点から見たさらなる無駄の洗い出しというのは、次の年に効果が出てくると思っています。
また、厳しい中にも未来志向ということだと思うんですよね。例えば、今まであまり力点を置いていなかった、東予のものづくり産業の未来を切り開くデータベース化の予算であるとか、それから南予の活性化に向けてのですね、例えば先ほど申し上げた、県内の人の流れを作っていく、あるいは農林水産物の一層のブランド化から海外展開への模索、そういった未来志向のところに愛顔(えがお)というものを意識して取り組んだつもりではございます。

 

(朝日新聞)
一般職員の給与カットの解消という話があったが、職員がさらに有効に力を発揮できるような仕組みづくりはどのようにしていくのか。

 

(知事)
やはり、かつての経験からなんですが、最初は少し戸惑いがあるかもしれません。ただ、一生懸命仕事をした人をどう評価してあげるかということが要諦だと思うんですね。そのために、管理職登用試験制度の導入というのが非常に大きなポイントになってくるのではないかなというふうに思いますし、単に機械的な試験ではなくて、いわば面接重視で、かつ面接する側にも大きな責任がありますので、本当にしっかりと、目立つ目立たないで選ぶのではなくて、それぞれの仕事がどういう内容で、どういうふうに取り組んでいるのか、そしてまた管理職になったら何をしようとしているのか、そういったことをしっかりと見つめさせていただく中でですね、間違いのない登用をするということが浸透すれば、前向きなエネルギーというのは自然に沸き起こってくるのではないかなというふうに思っています。

 

(日本経済新聞)
東予港の防波堤関係の予算についてのコメントはどうか。また、民主党政権が弱体なので、子ども手当がどう動いていくか、見通しがなかなか立たないと思うが、例えば地方自治体の中で、川崎市や横浜市、神奈川県の松沢知事など、一部では訴訟も辞さないような動きもあることについての所感と今後の考えはどうか。

 

(知事)
まずは、東予港についてはですね、本来、理想論では国の直轄事業で進めるということだったんですが、なかなか厳しい状況なので、補助事業という道を選択することになりました。この点についてはですね、地元の造船会社も自己資金を提供するというふうな、非常に厳しい中でも前向きな姿勢を示していただいているということ、それから、放置すればですね、場合によっては産業の空洞化にもつながりかねないという状況もございますので、やはり地場産業を、ここに本当に根を下ろして立ち向かっていくんだという前向きな地場産業の、そうした活力にもつながるというふうなことも踏まえて、国の補助事業の採択はまだですが、先般も政府与党の関係者も現地に赴いてですね、厳しい中でも明日を信じて取り組もうとするその姿勢に共感をしたと力強い発言をされていましたので、必ず採択されるというふうに私は信じています。それがまた、地域の産業の未来につながればという願いをこめた予算計上でございます。
それから、子ども手当については、私は、これは誰がどう見たって選挙のときの公約は、全額国負担と明言していたわけでありますから、それを実施するのが筋だと思いますし、これからもその主張は続けていきます。ただ、実際にその意思を表す方法については、それぞれだと思うんですが、神奈川県のように予算計上もしないというプレッシャーのかけ方もあろうし、あるいは話し合いによって意見を強めていくことによって実現を探っていくというのも一つの道であろうし、それは一人一人の政治家によって考え方は違うものと思っています。ただ僕自身は、子ども手当だけの問題ではないですよね、もっと先ほどの地方消費税の問題も含めて抜本的なことについて、本当に国に声を上げていかなければならないというふうに思っていますので、トータルの中で考えていきたいなというふうに思っています。

 

(読売新聞)
県単独事業を17パーセントほど伸ばしていることについての思いはどうか。社会保障関係費がこれからも伸びると思われることについて、どう見ているか。初めての予算の性格にキャッチフレーズをつけるとすれば、どのような予算だと思うか。

 

(知事)
県単についてはかなり力点を置きました。今、非常に地方経済は厳しい状況で、一部、輸出関連が工場の操業率なども高止まり傾向にあって、フル操業が続いているところもあるんですけれども、全体的には非常に厳しいと。それは、デフレ傾向を示している経済情勢もあるでしょうし、もう一つ言えば、国内の内需、とりわけ個人消費が今一つ力強さが出てこないという要因があると思うので、地方レベルで下支えをする必要があるということと、それから先ほど申し上げましたように、国の方はここ2年連続の大幅な削減と見かけ上なっていますけれども、それこそこの10年、公共事業をターゲットにした予算削減が続いていますので、これも疲弊しているのは間違いないと。ただ公共事業というのは、イコール無駄というわけではなくて、必要なものはたくさんあるわけですね。ですから、真に必要な公共事業にしっかりと絞り込んだ上で、可能な限り前倒しをするというふうな気持ちで下支えをする。その結果が県単の伸びにつながっていると。ここにまた耐震化も入ってきますので、こういったところも注目していただきたいというふうに思っています。
それから社会保障については、これは今の制度が放置されるとするならば、高齢化という要因だけで、地方の負担は年間7千億円ずつ増加していきます。愛媛県単独で見ても、数十億円、自動的に毎年毎年増え続けていくと思います。この現状は分かっているわけですよね。しかもそこには地方では手がつけられないんです。全部、国の法改正、制度改正の問題につながっていますから。だからこそ、この現実を特に国会議員、与野党問わずですね、しっかりと受け止めて、どうするんだというふうなことの危機感を持っていただいてですね、政局なんかはあとにしていただいて、日本がつぶれてしまうかどうかという問題ですから、早く与野党協議をしていただいてですね、持続可能な社会における社会保障のありようというものを示していただきたいというふうに願っています。
それから予算はですね、正直言ってまだ僕も就任して2カ月ちょっとですから、助走予算ではあります。すべての僕自身の公約の予算というのは芽出しの段階ですから、離陸前の助走予算という位置づけだと思いますね。

 

(毎日新聞)
組織改正で、文化・スポーツを知事部局に移管するが、知事の得意分野を手元に置くということか。

 

(知事)
これは、前にお話したかもしれないんですが、かつて松山市も文化・スポーツ関係は教育委員会にあったんです。ただ文化というのは、ある意味では地方の一番のキャラクターが立つ分野なんですよね。その地域にしかない歴史であるとか、その地域にしかない文化というのは、まちづくりのコアのファクターであるわけですよね。ですから、これが教育委員会という非常に限られた組織の中に置かれているのはいかがなものかという考えが当時ありました。それからスポーツについても、どうしても教育委員会に置いていますと、学校スポーツに特化される傾向がありますから、その学校スポーツと地域スポーツ、それからアマチュアスポーツ、プロスポーツという相関関係の中で、スポーツをとらえる視点が非常に弱いんですね。ですから、これはどうなのかなと。スポーツというものが、ある意味では県民を、あるいは市民を町民を結び付けていく大きな力になり得る分野でもあるし、また人々を元気づける要因も持っていますから、これは本当にトータルで考えるべきだという思いで、文化とスポーツに関しては、当時も市の教育委員会から市長部局へ移管させた経験があるので、同じ気持ちで今回それに踏み切りました。

 

(あいテレビ)
予算のスクラップについて、どのくらいの予算規模で、どういう事業をスクラップしたのか。

 

(知事)
正直言って、スクラップをきめ細かに僕自身の視点で全部見れたかというと見ていません。その時間がありませんでした。ですから、先ほど申し上げたように、これは加戸県政のときにですね、非常に厳しく精査されていますから、そこを信頼して、ベースにして、今回は組み立てています。ただ、もう一つの見方がないかなという思いがあるので、昨年の12月にプロジェクトチームを立ち上げて、その作業が始まっていきますから、実際、僕自身のスクラップに関しての視点というのが色濃く出てくるのは来年の予算になるというふうに思っています。ただ、では何もしなかったというわけではなくて、あくまでも加戸県政の継承・発展ですから、加戸さんも視点は違えども同じように厳しく見てこられた方でありますから、そこをベースにさせていただいています。

 

(愛媛新聞)
知事選の公約で、上島架橋の推進を掲げていたが、残る岩城橋の予算措置の状況と今後の事業見通しはどうか。

 

(知事)
この橋はですね、これは大変大きな事業になりますので、今少し心配していますのが、一括交付金の論議なんですね。一括交付金というのは、国の側から見るとですね、場合によっては三位一体改革のように使いかねない危険性があると思います。悪いとは言わないですけど。要は丸めて、後は全部向こうに投げてしまえというふうなことで、国の経費削減に活用する視点がややもすれば生まれてくる可能性があるんですね。しかし、大きな国道であるとかですね、例えば国体の開催であるとか、あるいは架橋であるとか、高速道路であるとか、こういったことはトータルで、国全体で考えるべき課題なので、要はその特別枠というものが、こうした分野にしっかりと位置付けられるかどうか、ここがものすごく大きなポイントになると思います。これができないとですね、なかなか架橋やほかの、今言ったような大きなものについてですね、地方が明確にそこに振り向けられるかというと、非常に厳しいと思います。だからこそ今、しきりにこの前の架橋の式典でも申し上げたんですけれども、関係者が来られていましたから、架橋については、そういった特別枠というものはしっかりと国の責任で維持すべきであるというふうなことを強くお願いしたいという挨拶をさせていただいたんですけど、ここが大きなポイントになると思っています。市町村合併の当時に、こうした架橋で結ぶということも一つの話としてあったそうですから、これについては、もちろん加戸県政を継承し、実現に向かって頑張っていきたいというふうに思っています。
今回の予算でも、23年度は、橋梁予備設計と地質調査、船舶航行調査、調査費と予備設計にですね、県単で3,700万円を計上しております。

 

(日本経済新聞)
愛媛国体について、昨日、教育委員会で、国体で総合1位を目標に選手の育成を図ることが出ていた。開催県が必ず1位にならなければならないというものでもないと思うし、愛媛県は今、40位ぐらいの順位だという声が多い。かつて高知国体で、当時の橋本知事が、別に1位を目指さなくてもいいと言ったと思う。今回の競技力向上のために、2億円以上予算計上しているが、愛媛国体では1位でなければ駄目だと思うか。

 

(知事)
駄目だというかですね、僕もスポーツ選手ですから、どんな状況にあれ1位を目指すというのは当たり前だと思っているんですね。スポーツというのは、試合の場合は競争ですから、その心意気というのは問題ないと思っています。1位を目指すと。

 

(日本経済新聞)
お金をかけてもと。

 

(知事)
お金というか、強化というのは、先ほど申しましたように、効率的な、ただお金がかかっているから、それが良いか悪いかというのは別問題で、そのお金が生きているかどうかだと思うんですね。だから生きたお金をかけるのは良いのではないかなと思っていますけれども。

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