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平成27年度2月知事定例記者会見(平成28年2月17日)の要旨について

ページID:0011223 更新日:2016年2月25日 印刷ページ表示

日時:平成28年2月17日(水曜日)

 11時29分~12時05分

場所:知事会議室

 

 

 

(南海放送(幹事社))

 先般、2015年の国勢調査の速報値で、県内人口が140万人を下回り、初めて20市町全てで人口が減少し、愛媛県が人口減少に転じた昭和60年以降では最大の減少数、減少率との結果が出た。特に二つの自治体では減少率が2桁を超えるなど、中山間地域の過疎化が著しい状況がうかがえるが、これらのことについての所感と、今後の施策展開をどのように考えているのか伺いたい。

 

(知事)

 今回、国勢調査地方集計の速報値が示されましたけれども、本県の場合、138万5千人ということでございます。昨年10月に策定した愛媛県版の人口ビジョンの推計値は138万3千人でございました。それよりは上回ってはいるんですけれども、ほぼ同水準でございました。ある程度、想定されていたとおりの数字なんですが、あらためて、統計に基づく実数値でございますので、その数字については、人数、率ともに5年前の前回調査を上回る規模で人口減少が進んでいるということ。

 ちなみに、平成17年から22年の減少人数は約3万6千人、今回が約4万5千人でございます。昭和15年以来75年ぶりに140万人を割り込むということになりました。そして、今ご指摘があったように、今回、初めて全ての市町が人口減少に転じたということなど、本県が本格的な人口減少時代に突入しているということが明らかになった。また、その厳しい現実が目の前に出たということを痛感したところでございます。

 特に、南予地域をはじめ、中山間地域や島しょ部、半島地域など、条件不利地域を多く抱える市町では、軒並み高い人口減少率を示しているところでありまして、地域の維持・存続を図るため、これまで以上に、危機感とスピード感を持って、人口減少対策に全力で取り組んでいかなければならないという思いを強くしたところでございます。

 ただ、この人口減少問題というのは、これをやれば確実に改善されるというような特効薬がありません。今まで申し上げてきたように、出生率の回復、人口の流入対策、人口の流出の抑制策の3点から、中長期的な視点で、息の長い取り組みを進めていく必要があると思います。特に、人口減少が続く本県では、効果が期待できるものについては速やかに実行するという姿勢を忘れずに、国の交付金等も最大限活用しながら、取り組みの具体化を図ってきたところでありますし、今後ともその姿勢を続けていきたいと思います。

 また、昨年10月に、今後5年間の重点施策を取りまとめた本県版の総合戦略を策定しまして、28年度から本格的な実行段階へ移行することを踏まえ、2月補正予算や先ほど説明させていただいた来年度の当初予算におきまして、出会いの場づくりや子育て支援、仕事と家庭の両立支援、戦略的な営業活動の展開と活力ある産業づくり、県産品の販路開拓や地域産業を担う人材の育成、自転車新文化の推進や広域観光による国内外からの誘客、移住・定住の促進や地域づくり・集落機能の強化などの事業を積極的に盛り込んで、さらに取り組みを深化させることといたしております。

 なお、3月末までに県内全市町において、総合戦略が策定されることになっています。今後、各地域の実情や特性に応じた取り組みが市町レベルでも一層促進されるということが期待されるとともに、4月には、愛媛大学で地域人材の育成を図る社会共創学部が開設されます。また、金融機関や各種団体等さまざまな主体の参画により、取り組みの視野が広がりつつある状況にありますので、今後とも、本県の最大の強みである県・市町との連携による「チーム愛媛」、それから産学官等との幅広い協働による「オール愛媛」、こういった体制で、人口減少対策にも向き合って果敢に取り組んでいきたいというふうに思います。以上です。

 

(愛媛新聞)

 似たような近隣の自治体でも、結構減少率が下がっていたりするが、何が原因と考えているのか。

 

(知事)

 それは県レベルですか。

 

(愛媛新聞)

 県レベルで。

 

(知事)

 他の県ですか。

 

(愛媛新聞)

 愛媛県の市町の中でも、南予であったり中予であったり東予であったりという、地域だけではちょっと測れないところがあって、隣接している自治体なのに差があったりとかしており、そこら辺について考えられる要因ということで。

 

(知事)

 ちょっと出たばかりなので、さらにきめ細かく分析は図っていきたいと思いますけれども、一つには地理的な条件や、それから産業構造、それからその産業の今の現況ですね、そういったものも影響しているというふうに思っています。

 ですから、やっぱり何といっても条件不利地域を多く抱えているところは減少率は高いというふうに思います。とりわけ、1次産業が中心の南予地域の減少が大きいということだと思いますし、それから都市部、市部においても、例えば島しょ部とかそういった所を抱えている市の減少は大きくなっているんではないかなというふうに思っています。

 

(南海放送)

 松山市も含めて県内の全市町で減少したということについて、あらためて意見を聞かせてほしい。

 

(知事)

 そうですね、これは何も松山市だけのことではないんですが、やっぱり日本全国が出生率、1.4くらいになっているんですかね、1.38の時がありましたけど。単純計算すれば、日本人全体の人口がどんどん少なくなっていくという全国的な問題が、いよいよ都市部の状況を見ても、明らかになってきたのかというふうなことではないかと思いますね。

 ただ結局的のところ、根本的な問題というのは出生率。この改善なくして地方の人口減少問題、ひいては日本の人口減少問題の改善というのはできないと。人口流入策というのは、これは市町村、各地域の奪い合いみたいな話ですから、究極的にはコップの中の陣取り合戦みたいなような様相があります。でも、それでもやらなきゃいけない。流出策は、やはり働く場というものをどれだけ確保できるかによってですね、結局、例えば学生さんが社会に出てもですね、雇用の場がなければ外へ行ってしまうわけですから、産業政策が重要であるということになるのかなというふうに思っています。

 だから、出生率アップのための、県ならではの、その地域ならではの取り組み、これは婚活もそうですし、子育て支援もそうですし、こういった取り組み。それから、人口流入については、移住促進のメニュー化、あるいは相談体制の確立、来たときの創業支援とかですね、こういった点。

 流出抑止については、雇用のミスマッチングがありますから、これをどう解消するか。いわば、若い人たちに、愛媛県にはこんな魅力的な雇用の場がまだまだたくさんあるよという情報をしっかりと伝えるということ、これが大事だというふうに思っています。

 それから、移住と今の流出抑止に共通するのは、1次産業の可能性というものですね。どれだけ若い人たちに伝えられるか。例えば、1次産業関連の専門的な学問を学ぶ高校の卒業生もですね、就職の選択肢に1次産業が少なくなっているとかという現状があるわけですね。でも実際に、若い1次産業従事者の中には、業としてしっかりと地に足をつけて収益を上げ、未来像を切り開いている方々もたくさんいらっしゃる。この存在というのは、ほとんどあまり知られていないんで、今回の予算にも盛り込んでますけれども、そういった現実というものを専門的に学んでいる1次産業関係の学生たちに伝えて、夢のある分野だという現実をですね、知らせていく努力も必要ではないかなというふうに思っています。

 

(テレビ愛媛)

 去年のちょうど6月ぐらいに日本版CCRCということで、高齢者、リタイアされた方の都市部から地方への移住をどうするかという考え方があったが、その時は、これは押し付けのようなイメージがあったので、すぐさま受け入れというリアクションはせず、いわゆる姥捨て山的考え方があるんじゃないかという批判もあったと思う。

 あれから1年弱たって、そういった高齢者が、実際、リタイアして都市部から出ていくという状況がある中で、まだ働ける、アクティブシニアな方もいるが、その人たちの取り込みについては、どのようにしたいとか考えはあるか。

 

(知事)

 そうですね、こうした方々については、ぜひ経験則をですね、地域の活性化に生かしていただくという観点からですね、そういう人材を愛媛県にといったことは、別途また事業として展開していきたいと思っています。

 別に何も「お年寄りは来ないでくれ」と言っているわけじゃなくて、受け手、受ける側からすればですね、ああいう打ち出し方をされると、本当に、どうしてということにもなりかねないし、またお年寄りの場合というのは生活環境がガラリと変わった場合が、例えば、認知症の進行につながったりするケースがありますので、その辺は十分気をつけながら対応をしないといけないんじゃないかなというふうには思っています。

 

(あいテレビ)

 伊方原発の再稼働の手続きも進めているところだと思うが、国の方で高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、沿岸の海底の下や島の地下を検討することが始まっていることについては、どのような意見を持っているのか。

 

(知事)

 いや、今の段階で県に対して何か情報提供があったかという段階ではないんで、正直に言って今のところはコメントはないです。ただ原発の再稼働の要請があった時のやりとりの中で、中間貯蔵の問題も含めて最終処分というふうなことは国の責任でやる仕事であって、これまでずるずると引き伸ばしされてきた経緯がありますから、そこがない限り出口はないんですよね。だから、それは、どこだというのは別として、国で逃げずに答えを導き出す努力をすべきであるという要請はいたしましたので、それについてはもっともだという答えが返ってきましたから、当然進められていくものだと思っています。それがどことか具体的な話ではないですから、それについてはコメントのしようがないですね。

 

(あいテレビ)

 具体的な答えはできないということだが、国は、海底の下や島の地下を検討し、年内にも有望地というものを適性ごとに色分けした地図を公表するとしている。例えば、愛媛の目の前の海が「適性地です」と言われれば、目の前に住んでいる方にとっては動揺が広がると思うが、そういった国の方針についてはどう考えているのか。

 

(知事)

 どこだって動揺は広がると思うんですよ。でも、どこかに示さないと、いつまでも棚上げしていていいのかという無責任なこともできない。だから提案と現実化というのは全く別の話でありますから、提案がある、そこで賛否がでてくる。ノーになるかもしれないし、イエスになるかもしれない。じゃあ、イエスの場合というのはおそらく条件があって、こういう技術で、こういうやり方で、こういうふうなことになるから、全く心配ないというところが、ありとあらゆる角度から検証されて、それだったら大丈夫だねという確証があったときに初めてそのエリアで合意というのが生まれるのかもしれない。

 だから、いろんなステップを踏んでいきますから、最初の段階で何もアクションがなかったら出口に到達するというのは未来永劫はありえないと思いますので、それはどういう形で国が考えるかは今の段階では分かりませんけれども、何らかの方針が示されるのは当然ではないかと思いますけれども。

 

(あいテレビ)

 第一別館の免震ゴムの問題発覚からもうすぐ1年になろうかと思うが、県としての方針、対応というのはどういう状況か。

 

(知事)

 これについてはですね、問題が発覚してから速やかに東洋ゴムを呼びまして県の方針をお伝えしました。第一別館の耐震工事が完成した直後の問題発覚ですから、これは極めて深刻であると。かつ県の機能、いざというときの機能の拠点となる場所ですから、これは数字的に並べられて問題はないんですと言われてもそれは無理だと。契約違反をしている以上は、全て契約に基づいた履行を求めざるを得ないということでやり直しを要求しました。これについては、会社側も受け止めて合意をしているところでございます。問題の原因が全て会社側にありますから、かかる費用については全額東洋ゴムが持つと、かつ派生する経費、例えば食堂とか、売店とか休業することも予想されますので、そういった補償についても全額東洋ゴムが持つというふうなことで、これは向こうも受けましたので、あとはスケジュールの問題だと思っています。

 別会社に契約の基準にあった材料を発注して、それが出来上がってきたということを聞いておりますので、昨年の9月末に別会社に代替装置を発注していました。このたび交換方法も決まりましたので工事スケジュールのめどが立ったと聞いております。交換工事の着工時期については、その代替装置の完成が4月末、これで製造完了するそうです。それを受けて、5月中の着工に向けて準備を進めているところでございます。

 工法については、免震装置が設置されている地下1階の食堂、喫茶、売店等の現施設を一時移転、休業ということも含めて、移転。それから柱部分をジャッキアップして免震装置を交換するということになります。そのことによって周辺部の作業エリアの確保とジャッキアップのための一部の壁の撤去も工事としても必要となってまいります。工期については、これは確定ではないのですけども、予想で交換工事が17カ月程度、それから食堂、喫茶の引っ越し等で前後2カ月、付帯工事を合わせると、全体工事は19カ月くらいの見込みになってくるのでなかろうかというふうに聞いております。

 

(あいテレビ)

 4月に移動を始めて、1カ月くらいかけて移動してから着工ということか。

 

(知事)

 夏前に本格的に着工と。

 

(あいテレビ)

 交換工事が1年5カ月ぐらいで、あらためて二度手間になるということをどう思っているのか。

 

(知事)

 これは本当に責任ある企業としてあり得ない行為を行ったということを、企業にぜひ自覚をしていただきたいというふうに思います。しかも案件が案件でございますので、140万県民のいざというときの災害時の命を守る拠点の施設に対する工事でしたから、これはもう重く受け止めて、責任をもって仕上げなければ会社の存在意義すら問われかねないというふうな問題であると受け止めていただきたいと思っています。その点についてはしっかりと責任をとっていただく必要があるということで、かかる費用については当然のことながら全額会社持ちということではないかと思います。

 

(あいテレビ)

 1階より上の機能は維持できるということか。

 

(知事)

 そうです。

 

(南海放送)

 今の段階では、費用はまだ分からないのか。

 

(知事)

 分からないです。愛媛県はゼロ。

 

(南海放送)

 先日、道後温泉本館の改修に伴う代替誘客施設として、松山市内中心だが、県経済界の方々が水族館の建設を要望し、松山市も具体的にその調査費用を当初予算に盛り込むという動きがあるが、どのように受け止めているのか。

 

(知事)

 そうですね、私も松山市から離れて6年たちますから、その後の詰めの作業というのは分からないんですけれども、当時は工事期間が11年、最長かかるというふうにいわれていました。場合によっては8年か、9年に短縮ができるかもしれないという段階で離れましたけれども、新聞で見ただけですが、もう少し短縮できる可能性もあるというふうにありましたので、まず、そこを固めていくということが大事だと思うんですね。

 いずれにしましても、当時は、実は第3の外湯というのを考えていました。それは第3の外湯で代替施設を造って、全く新たに施設を造って乗り切るということも選択肢だったんですが、最終的には椿の湯の拡充ということで落ち着いたようでありますから、それだけでは心もとないという経済界の思いが、先般の要請につながったんではなかろうかというふうに思ってます。

 そういう意味では、水族館ということが出ていましたが、それもまた一つの選択肢ではないかと思いますし、昔から愛媛県には水族館がないと。長浜水族館という、素晴らしいものがありますけれども、大きな水族館があるわけではないので、声は結構あったんですね。あとは事業としてどうなのかという検証が必要ですけれども、道後の温泉などの観光客の状況を見ると、場合によっては十分に成り立つ可能性はあるのかなというふうに思います。これはこれからどういうふうな形でやるかということ次第だと思いますけれども。

 

(南海放送)

 今の段階で具体的に、県に協力要請とかは。

 

(知事)

 ないです。

 

(あいテレビ)

 愛媛FCのJ1昇格も現実味を帯びてきたように感じるが、仮にそうなった場合の支援策は経営陣の一角として何か考えているのか。

 

(知事)

 いや、まだまだ全然現実味は帯びていないと思うんですが。そう甘くはないと思います。ただやはり去年は本当に頑張ったと思います。J2のチーム22チームの中で経営規模でいえば20位、入場料収入では22位、その中で、やっぱり5位をとった成績というのは大変なものだと思いますよ。

 われわれができることは、まず当面はですね、やっぱり集客力が少ないということは、もろに有料観客収入の低さにもつながっていますから、これだけの状況の中で、これだけの成績を収めた素晴らしい彼らのファイティングスピリットをともかく多くの人に伝えて、一人でも多くの方々がスタジアムに足を運ぶように、側面的に徹底的に支援すると。それは、場所が場所だけにアクセスがうんぬんということもあるんですが、例えば、バスの便宜性を向上するためサポートをするとかですね、いろんなことができると思うので、ともかく今考えているのはファン、とりわけスタジアムで実際に観戦していただける方を増やすということに全力投球したいと思ってます。

 

(あいテレビ)

 増資とか。その辺は。

 

(知事)

 今は考えていないですね。そこが増えてくれば収入は自然に上がってきますから、観客が増えればスポンサーも増えてくるという、そういう効果がどんどんつながっていきますので、一番大事なのはやっぱり観客を増やすことではないかなと思っています。

 

(毎日新聞)

 今回、再生可能エネルギー導入の予算に約4,500万円計上しているが、今後、将来的な脱原発に向けての新エネルギーの導入についての考えを聞かせてほしい。

 

(知事)

 正直な話ですね、新エネルギーを県レベルで、原発に代わる新エネルギーを開発できるかといったらこれは無理です。もうこれは国レベルの話になります。自然エネルギーというのは、あくまでも補完的なエネルギーであり、かつ省エネへの啓蒙活動にも結び付くということで意義があると思ってます。その中身というのは、太陽光であり、木質バイオマスであり、水力、小水力発電であり、いろいろな形があると思うんですけども、ただドイツの例を見るまでもなく、今の買い取り制度はいずれ破綻すると思います。どだい無理なんですよね。あれだけの金額で国が買い取り続けたら、当然のことながらそのコストは全て電気料金に反映されていきますから、これは料金水準からいっても限界を迎えると思いますので、これは一刻も早く、長い目で見て、買い取り価格はどうあるべきなのかという、近視眼じゃなくて、長い目で見て、制度としてどうすべきなのかというのは、これはもう国が決めるべきだと思うんですね。

 これをもって原発に代わり得る代替エネルギーっていうのはなかなか難しいと思いますので、前も申しあげたように、出力、安定供給、コスト、この3条件がそろった代替エネルギーの開発と、蓄電技術の開発は国が責任をもって考えるべきだと申し上げてきたんですが、その両方の条件を満たせる可能性があるのは、僕も無責任なことは言えないですけど、今、ぱっと浮かんでいるのは、水素のような感じがしてなりません。例えば広大な砂漠地帯で、太陽光エネルギーを吸収して、それを水素に変えて、タンカーで持ってくるとかですね、理論的には不可能じゃないですね。コストと安全性の問題がありますけど、でもそのぐらい大胆な発想でこのエネルギー問題に取り組まないと、脱原発というのは現実にならないというふうには思ってます。

 

(テレビ愛媛)

 貸し出しを増やしてほしいという政策で、日銀のマイナス金利が始まったが、地方銀行の企業への貸し出し先がなかなか少ないということも考えられる。

 一説、経済学者たちが言うには、さらに中央と地方の格差が拡大するのではと懸念する声もあるが、何か考えていることはあるか。

 

(知事)

 前々から申し上げていたのが、政府が行っている金融緩和、今回のマイナス金利もその一環だと思いますけれども、それから財政出動、この二つはあくまでもカンフル剤であるということをわれわれは忘れてはいけないと思うんですね。このカンフル剤が効いているうちに離陸できなければ、絶対に負の遺産が残るんだということは、ずっと言い続けてきたんですけれども、今、そのぎりぎりの局面にきているのかなという感じがして、個人的にはならないです。

 じゃあ、離陸とは何だっていったら、実際の需要、実需をつくれるかどうかということが全てだと思ってきました。だから、県レベルでは実需の創出に徹底的にこだわってきたつもりなんですけれども、どうもそこがうまくいっていない。例えば、金融緩和、財政出動によって確かに円安には一時振れました。株価も急上昇しました。ただ、それは、為替の変動によって輸出企業に自動的にもたらされた経理上の利益であって、実際の輸出数量が増えているわけではない。ここに非常に大きな問題があると感じていました。その段階で、今回、第3のバズーカといわれるマイナス金利が出てきたのを聞いたときに、おやっと思ったのは、政策委員の方々も賛否両論5対4というですね、やっぱり一か八かのこのメッセージ性というもので、いい方向へいくんだという意見をお持ちの方と、いや、これはちょっとという意見をお持ちの方と拮抗していたということが非常に気になっているんですね。

 これがどう出てくるのか長期的には分かりません。けれども、ただ理屈の上でいうと、今、お話があったように民間金融機関に流したお金が、民間企業にということを意図しているのは間違いない。日銀に預けるのは無駄だよと。他で運用しなさいよと。じゃあ、輸出企業は良いけれどもというお話しなんですが、輸出企業に聞くと、皆、内部留保をいっぱい持ってるんですよ。だから借りるまでもないと。設備投資やりますと。でも内部留保のお金でやりますという話ばかりです。だから、ここで借入が発生する機会はあまりないような気がします。

 大手上場の企業、今、決算書なんか見てみると、史上空前の利益、内部留保金、積み立てがすごい勢いで上がってますよね。そのお金で自己資金でやってしまうというのが大半だなという感じがしてなりません。

 一方で中小企業はどうかというと、なかなか貸し出し先を見つけるのは大変かもしれませんが、実はあることはあるんですよ。例えば、先般、スゴ技データベース等の企業に対して、信用保証協会の協力を得て、スゴ技データベース等の審査に通って掲載された企業向けの融資枠(すごサポ)というのを設けてもらったものです。これの利用率はすざましい高さです。金額は大きくはないですよ。運転資金枠1社1000万円だったかな。

 スゴ技データベース等に掲載したのを条件として、信用保証協会が運転資金としてスゴ技枠等(すごサポ)というのを出すんですよ。それに基づいて、民間金融機関が貸し出しをすると。どれだけ利用者がいるかなと思ったら、すごい率で利用してくれています。

 だから資金需要というのはあるんですね。ただ、今までの金融機関の物差し、フル担保主義だとか、審査基準でやっていくと貸し出し先が見つからないと。こういう状況もあるのかなと思ったんですね。ですから、金融機関もこれを受けて、大手企業は自己資金にいっちゃいますから、本当にどうやったら優良な貸し出し先を見極めて、つなげられるかということを銀行ごとに考える必要性が生まれてきているのかなということを感じました。金融機関がどうするのかは知りませんけれども、そういうふうな時代に入ってきているのかもしれませんね。

 

(愛媛新聞)

 関連になるが、こういう低い金利が続いた場合、県の財政等に何か影響あるとか考えているか。

 

(知事)

 実は、地方自治体はそんなに影響ないと思います。というのは、基金等の収益、果実は減ります。でも逆に借金の返済金利も減りますから、相殺されてしまいますので、地方自治体はそんなに大きな影響はないと思いますね。


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