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県議会の活動

第360回(平成30年12月)定例会

提出議案【議員提出の部】

平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興に関する意見書

 平成30年7月5日からの記録的な豪雨により、愛媛県では、災害関連死を含め31人の尊い命が失われるとともに、河川の氾濫や土砂災害等による甚大な被害が発生した。

 これらの災害により、住宅その他の建物、道路・河川・橋梁等の公共土木施設、さらに農産物や農地・農業用施設、林業用施設、商工業者の施設や設備等の被害も広範囲かつ膨大で、住民生活や農林水産業、商工業等の地域経済は大きな打撃を受けた。

 発災から5か月が経過し、一日も早く日常の生活が取り戻せるよう、道路や河川等の応急復旧工事などとともに、被災者への支援、被災住宅への支援など、復旧・復興への歩みを進めているが、本格的な復興に向けては、巨額の費用や時間を要することが見込まれている。

 よって、国においては、次の事項について、必要な措置が講じられるよう強く要望する。

1 災害復旧・復興事業に対する財政支援について

(1)地域住民の生命と財産を守り、社会経済活動を持続するために実施する防災・減災対策や被災者支援事業に取り組むことにより、今後も多額の財政需要が生じることが見込まれることから、災害関連予算の確保による継続的な財政支援を行うこと。

(2)災害に伴う経費に充当できるよう特別交付税の特例的な増額配分を行うこと。

(3)全国的に災害が頻発している状況であることから、予防的な治水・防災予算の全体枠の拡充がなければ、被災地域に対する災害防止のための予算配分も縮小してしまうことが懸念されるため、治水事業や防災・減災事業に係る予算枠拡大を行うこと。

(4)避難所となる施設の整備等について、耐震化や長寿命化対策を含め、予算枠の大幅な増額や補助率拡充等の財政支援を行うこと。

2 災害の検証及び防災・減災対策への取組について

(1)地域防災計画の見直しや地区防災計画の策定に反映させるため、今回の災害の検証を行い、検証結果を提供すること。

(2)住民に災害から命を守る早い段階からの避難行動を促すため、精度の高い前倒しの避難勧告等を発令する必要があり、そのために、大雨特別警報等の気象警報の発令基準や避難勧告等のガイドラインの見直しを行うこと。

(3)国・県・市町から発信される様々な防災情報が多様かつ難解であるため、住民の誰もが避難に関する防災情報等をより直感的に理解しやすくするために、防災情報のユニバーサルデザイン化を図ること。

3 防災研修等に対する支援について

(1)各地域でリーダー的存在となる防災士の養成及びスキルアップ研修支援に取り組むこと。

(2)自治会や自主防災組織を中心に実施する地域防災力向上を図る各種の取組に対して支援制度を創設すること。

4 防災行政無線の整備に対する支援について

(1)屋内にいる住民への情報伝達手段として、特に高齢者世帯など防災メール等の情報入手手段を持っていない住民にとって、戸別受信機の整備は有効であり、整備に必要な財政支援を行うこと。

(2)アナログ防災行政無線のデジタル化等、整備に必要な財政支援を行うこと。

5 光ケーブル等の断線復旧、情報機器について

(1)光ケーブル等の情報基盤施設の修繕、代替、迂回、新設に必要な財政支援を行うこと。

(2)防災通信用ネットワーク機器類やパソコンなどの新規調達に必要な財政支援を行うこと。

6 携帯電話の基地局における停電対策について

 豪雨災害による停電により、一部の固定電話や携帯電話等の通信機器が使用不能となり、安否確認や火災・救急・救助要請の伝達手段も閉ざされたことから、携帯電話の基地局等の停電対策の充実や補完策など、有効な措置について規制強化を含めた検討を行うこと。

7 災害救助法の支援事業の見直しについて

 災害救助法の応急修理の対象範囲の拡大や明確化、並びに手続きの簡素化及び限度額の拡充を行うこと。

8 集会所の原形復旧について

 被害状況を問わない原形復旧へ向けた改修及び新築について支援制度を創設すること。

9 自治会等活動に対する支援について

 自治会等が使用している多くの備品や施設等が被害を受け、活動に支障をきたしていることから、早期に活動再開が図れるよう支援制度を創設すること。

10 中小企業者への支援について

 多くの事業所が被災する中、特に小規模事業者の多くは自力での復旧が困難であることから、中小企業等グループ施設等復旧整備補助金について、被災地域における経済活動が速やかに回復できるよう、対象経費の拡充や事務手続きの簡素化などを行うとともに、実情に即した各種支援制度の改正を図ること。

11 観光関連産業への支援について

 豪雨災害により、直接被災した観光地はもとより、被災しなかった観光地においても宿泊キャンセルが相次ぐなど、観光関連産業に非常に大きな影響を及ぼしていることから、風評被害を防止し、観光需要の回復・拡大に向け、観光支援事業費補助金の予算規模の拡充や対象期間の延長を行うとともに、運用方法の見直しを図ること。

12 災害復旧事業実施地域の農地再編整備に係る補助金返還措置の緩和について

 特定非常災害特別措置法適用時の災害復旧事業により取得した施設において、当該地域の営農継続と将来の災害対策を踏まえ農地再編整備を行った場合、施設の法定耐用年数を経過していないと一部補助金の返還が必要となるが、特定非常災害特別措置法適用時の災害復旧事業で取得した施設については、地域の営農継続と将来の災害対策のために農地再編整備を実施する場合に限り、補助金返還等の行政措置の緩和を行うこと。

13 被災樹園地(柑橘植栽)の復旧に伴う未収益期間の支援策の充実及び助成水準の拡充について

 園地の復旧から成園化までは10~12年程度かかることや豪雨災害による土砂崩れの発生で園地の流亡が相次ぎ、通常の改植に比べて土づくりや樹体撤去費用が多く必要となることから、果樹園地の復興に向けた中長期的な支援制度の策定や助成水準の拡充を行うこと。

14 被災農業者向け経営体育成支援事業等について

(1)農地が冠水し、農業用ハウスや農業用機械が被災するなど、被災規模の甚大な農業経営者や小規模農業者の多くは自力での復旧が困難な状況にあることから、被災農業者向け経営体育成支援事業における速やかな補助金交付決定及び概算払いを行うこと。

(2)被災農業者向け経営体育成支援事業等、国の補助事業について、年度内完了が見込めない事業は、繰越及び次年度以降への継続を認めること。

15 急傾斜地崩壊対策事業及び砂防事業の拡充について

 今回の豪雨において、至る所で山々が崩壊するなど甚大な被害が発生し、未だに住民の多くは、大雨の度に土砂災害の恐怖を感じながらの生活を余儀なくされている。住民の生命・財産を守り、安全・安心な生活が送れるよう、急傾斜地崩壊対策事業及び砂防事業の更なる拡充を行うこと。

16 治山事業について

 県土全域で発生した山地災害の復旧のため継続的な治山事業予算の確保を行うこと。特に、被害の大きかった地域への治山等激甚災害対策特別緊急事業について、計画通りの予算配分を行うこと。

17 治水対策について

(1)堤防の嵩上げ、築堤、河床掘削、河道整備及び放水路、防災調整池、遊水池の検討を含め、肱川水系河川整備計画の見直しを行うこと。特に、堤防の嵩上げや早急な河床掘削を実施すること。

(2)段階的にダム操作規則を変更するとともに、より効果的なダム操作の検討を行うこと。

(3)利水容量を含めた貯水池容量配分の見直しなど、洪水調節機能の増強について検討すること。

(4)ダム操作を行う国が責任をもって自治体や地域住民に情報を伝達するとともに、異常事態には自治体と足並みを揃え、住民の避難や安全確保に関わる姿勢を示すこと。

18 内水対策の協力・支援について

 河川激甚災害対策特別緊急事業により、概ね5年間で短期的かつ集中的に堤防整備等が実施されることに伴い、多くの支川がある地域特性により、内水対策が必要となる箇所も多数になることから、今後一層の協力・支援を行うこと。

19 海域への流出・漂流ゴミ対策について

 ダムの放流等も含めた河川の増水により大量の草木や一般ゴミ等が海域に流出し、漁港・漁場区域内で滞留・漂流することにより、漁業活動に大きな支障となったことから、海域への流出・漂流ゴミの回収について、新造船建設や瀬戸内海で活動する国土交通省の海面清掃船を宇和海に配備し、日頃のゴミ回収はもちろんのこと災害時の回収にも備えること。

20 道路の防災・減災対策の促進について

 今回の豪雨においては、大規模な土砂崩れが発生し、集落が孤立し迂回路もなくなり、人や物資の輸送を船舶に頼らざるを得ない状況が続いた地区もあった。今後、同様な土砂崩れが発生した場合、通勤通学に時間を要し、かなりの負担となる上、救急搬送や通院に支障をきたし、住民の生命を脅かす恐れがある。住民が安全で安心した生活が送れるよう、災害に強い道路の整備促進に努めること。

21 浄水場の早期復旧事業等への繰出金に対する財政支援について

 被災者の生活基盤である水道水の早期安定供給を図るため、東日本大震災の際の措置も踏まえ、水道施設の災害復旧事業等への繰出金に対する財政支援などの措置を講ずること。

22 ジオパーク等景観の回復について

 ジオパークの観点から、災害の教訓を踏まえながら、現状の災害状況を残しつつ、景観回復を含めた補修に必要な財政支援を行うこと。

23 地域おこし協力隊への支援について

 被災地で活動する地域おこし協力隊員については、委嘱期間を延長可能なものとするとともに、延長期間についても特別交付税による財政支援を行うこと。

24 保育所移転新築について

 被災した保育所は、旧建物の復旧が原則であるが、現在地での復旧では安全性が保障できない場合、安全な場所での移転新築に必要な財政支援を行うこと。

25 中学校施設整備について

 生徒の安全を守ることができる学校を現地に再建、改築できるよう、ダムの放流に影響されない敷地及び護岸となる対策を講ずること。

26 学校給食センターについて

 完成目前にして建物全体が水没した学校給食センターについて、移転新築の場合でも、公立学校施設の災害復旧事業の適用及び激甚災害法の特別財政援助の対象事業とすること。

27 公立社会教育施設について

 今回の豪雨により多くの公立社会教育施設が被災したが、特に甚大な被害を受けた西予市の乙亥会館については、今後も社会体育機能を中心とする施設として復旧を目指しており、公立社会教育施設災害復旧補助金の適用を認めること。

 また、相撲大会に使用するアリーナ可動式客席や土俵も含め、必要な財政支援を行うこと。

28 主要公共施設の再建のあり方について

 主要な公共施設災害については、まちの将来を考えた新たな建設場所への移設と新たな機能を持たせた施設改修に対する支援を検討すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成30年12月17日

 愛媛県議会

提出先

 衆議院議長

 参議院議長

 内閣総理大臣

 財務大臣

 総務大臣

 文部科学大臣

 厚生労働大臣

 農林水産大臣

 経済産業大臣

 国土交通大臣

 内閣官房長官

 国土強靭化担当大臣

 内閣府特命担当大臣(防災)

 

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