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西条地区工業用水道事業の内容

ページID:0002294 更新日:2023年2月2日 印刷ページ表示

1 事業の概要

 工業用水道事業は、本来、工業の発展を図り、県民がより豊かな生活をしていくために必要な水を、基礎的社会基盤として、安定的に供給することを目的としています。また、臨海工業地帯での地下水の大量汲み上げによる地下水位の低下や塩水化、さらには地盤沈下といった地下水障害を未然に防止し、県土を保全する役割を果たしています。

西条工水

1 工業用水道の名称 

 愛媛県西条地区工業用水道

2 給水区域

 西条市及びその周辺の工業地帯

3 黒瀬ダムの利水容量

 30,100千立方メートル

4 給水料金

 24.20円/立方メートル

5 計画給水量

 87,420立方メートル/日

6 給水状況(契約給水量)

 62,630立方メートル/日(令和5年11月1日現在)

7 現在の水利権量

 94,000立方メートル/日(1.088立方メートル/秒)

 (注)計画給水量は、水利権量(取水ベース)94,000立方メートル/日に7%の損失水量を減じた水量

2 事業の経緯

  • 昭和39年1月 東予地区が新産業都市に指定される。
  • 昭和39年度 加茂川総合開発事業計画の策定
  • 昭和48年3月 黒瀬ダムが完成
  • 昭和48年4月 工水専用施設の建設を開始
  • 昭和59年4月 西条地区へ一部給水開始
  • 平成9年4月 新居浜地区へ給水開始
  • 平成9年6月 壬生川地区へ給水開始
  • 平成19年3月 建設工期終了
  • 平成21年1月「西条地区工業用水道事業経営改善計画」公表
  • 平成21年3月「西条地区工業用水道事業経営改善計画」決定
  • 平成21年6月「第三者委員会」の開催
  • 平成21年7月「給水能力の変更届」を経済産業省が受理
  • 平成21年8月 経済産業省が国庫補助金に関する「事業計画変更」を承認
  • 平成21年10月「愛媛県公営企業の設置等に関する条例」及び関連予算が県議会で議決
  • 平成22年3月 計画給水量を縮小(229,000立方メートル/日→87,420立方メートル/日)
  •  同 縮小水量相当分の企業債を一括繰上償還(借換え)
  • 平成30年3月「西条地区工業用水道事業経営改善計画」を更新(計画期間を延長)

3 契約給水量

(1)契約給水量(令和5年11月1日現在)及び給水工場

契約給水量及び給水工場

計画給水量(立方メートル/日)

契約給水量(立方メートル/日)

契約率(%)

給水工場

87,420立方メートル/日

62,630立方メートル/日

71.6%

47

(2)参考:平成20年度当時の契約給水量及び給水工場(平成21年3月31日現在)

契約給水量及び給水工場

計画給水量(立方メートル/日)

契約給水量(立方メートル/日)

契約率(%)

給水工場

229,000立方メートル/日

60,770立方メートル/日

26.5%

43

4 契約給水量低迷の主な要因

西条工水は、平成20年度当時、給水開始から四半世紀経っても契約給水量が計画給水量22万9千トンの4分の1程度の約6万トンにとどまっており、その要因として、次の点が挙げられます。

(1)オイルショック以降の産業構造の変化

二度にわたるオイルショック等による産業構造の変化によって、大量に工業用水を使用する重化学工業のウエイトが減少し、工業用水の消費量が頭打ちとなっていること。

(2)工場での水リサイクル技術の進展

工業用水の使用方法が、一度使用した水を回収して循環利用する「リサイクル」へ大きく変化し、その技術も飛躍的に進展した結果、回収率が向上(36%(昭和40年)→79%(平成18年)し、工業用水の使用量が減少していること。

(3)瀬戸内海の環境規制の強化

瀬戸内海地域は、「瀬戸内海環境保全特別措置法」などにより、工場からの排水規制が強化されていること。

(4)工業団地等の減少

昭和39年の「東予新産業都市」指定以降、臨海部に工業団地の造成が行われましたが、当初、給水を予定していた工業団地に企業立地が進み、今後、立地できる工業団地の残地が減少していること。

5 経営改善への取り組み経緯

(1)経営改善の取り組み

  1. 収入の増加
    契約給水量を増やすため、経済労働部や地元市と連携し、大型県外企業の誘致や受水企業等に対する売水促進活動を通じて、需要の開拓に積極的に取り組んできました。また、平成19年度からは、土地造成事業を工業用水道事業の附帯事業として土地の売却益を活用しています。
  2. 経費の削減
    西条工水管理事務所の職員数削減や職員給与カットのほか、高金利の企業債の借換や繰上償還による支払利息の軽減や、設備投資の縮減などを図り経費削減に努めてきました。
  3. 「西条地区工業用水利用促進協議会」
    平成18年度から3年間に渡って地元市(西条市・新居浜市)等と組織する標記協議会で経営改善方策について検討を行いましたが、具体的な方策はまとまらず、県が自助努力で対応可能な改善方策を実施することになりました。

(2)資金不足額への対応

平成18年度までは、建設時に借入れた企業債返済資金を料金収入等で賄えない不足額を一般会計からの無利子貸付(156億円)で対応してきましたが、県財政は逼迫の度を増しており、これ以上の支援は困難な状況となりました。このため、公営企業管理局の他会計等からの臨時的な貸付、土地造成事業の余剰資金を充当するといった資金手当て(17億円)を行ってきました。

それでも、平成20年度時点で平成20~29年度の間に約48億円の資金不足額が見込まれる状況でした。

一般会計貸付金(平成18年度末累計) 約156億円
公営企業管理局の他事業からの貸付等 約17億円
H20~29年度に見込まれていた資金不足額 約48億円

計 約221億円

事業存続のためには、抜本的な経営改善方策が必要

矢印の画像

「西条地区工業用水道事業経営改善計画」を策定(H21年3月)

6 「西条地区工業用水道事業経営改善計画」

(1)計画決定

西条地区工業用水道事業では、抜本的な経営改善を図るため、平成21年3月に経営規模の適正化(計画給水量の縮小)を骨子とする経営改善計画を策定しました。この経営改善計画では、地元企業に重大な影響を及ぼす「料金値上げ」を回避し、現在の約6万トンの契約給水量に加え、約2万7千トンを将来需要のために県の責任で確保するなど、地域経済に配慮した内容としています。

計画決定の画像

(2)実施手続き

県では、平成21年4月以降計画の骨子である計画給水量(22万9千トン/日)の縮小を行うため、経済産業省に対し工業用水道事業法に基づく「給水能力の変更届」を提出するとともに、建設のため交付を受けた国庫補助金の返還免除を行うための手続き等を進め、平成21年9月定例県議会において、関係条例の改正、関連予算が議決されました。

(1)国庫補助金に関する手続き

西条地区工業用水道事業は、建設時に国から補助金を受けて事業を行ってきたことから、補助事業上の観点から県が当初の計画給水量を縮小せざるを得ないと判断した今回の計画について、第三者の意見を参酌した上で検討がなされていることが、補助金返還免除の要件となっています。

そのため、専門的視点から第三者の意見を徴するため「西条地区工業用水道事業計画給水量の変更に関する評価委員会」を設置し、評価をいただきました。
(平成21年6月に2回開催)

  • 評価内容(要旨)
    当初計画における計画給水量は、当時の経済状況や産業構造から達成可能なものとして計画されたが、給水開始から25年が経過した現在でも、契約水量が日量約6万立方メートルにとどまっているのは、オイルショック以降の産業構造の変化、工場での水リサイクル技術の進展、瀬戸内海の環境規制の強化など事業者として予見し難い事情によるものであり、今後大幅な需要増加が見込めなくなった現在において計画給水量を縮小する県の判断は、妥当。
    (参考)西条地区工業用水道事業「事後評価総括表」[PDFファイル/143KB]

これらの手続きを経て、経済産業省において工業用水道事業法に基づく「事業変更届出書」が受理され、8月には国庫補助金に関する手続きの「事業計画変更」が承認され、補助金の返還免除が認められました。

(2)条例改正・関係予算

平成21年9月定例県議会において、「愛媛県公営企業の設置等に関する条例」が改正され、平成22年3月31日に計画給水量を縮小(8万7千420トン/日)することになりました。合わせて、企業債の借換え、規模縮小に伴う資産の除却等の関連予算も議決されました。

(3)企業債の発行手続き

規模縮小に伴い建設費用に充てた企業債の一部を繰上償還するため、その財源として新たに発行する企業債(借換え債)について総務省の同意(内示は21年7月)が平成22年3月に得られ、同月発行しました。

西条地区工業用水道事業経営改善計画の画像

7 「西条地区工業用水道事業経営改善計画」の期間延長(H30.3月)

平成20年度の計画策定以降、給水料金を引上げることなく、また、資金不足について、一般会計から新たな貸付けを受けることなく、公営企業内で資金繰りをカバーしており、計画の所期の目標は概ね達成できているが、なおしばらくの間、資金不足が生じる見込みであることから、計画期間を10年延長し、引き続き改善に取り組むこととしました。

(1)契約給水量及び給水工場(平成30年3月19日現在)

現在

計画給水量(立方メートル/日)

契約給水量(立方メートル/日)

契約率(%)

給水工場

87,420立方メートル/日

68,850立方メートル/日

78.8%

46

(2)契約給水量の推移及び需要見込み(各年度末)

計画見込

 

H20

H29

H39(見込)

契約給水量(立方メートル/日)

60,770立方メートル/日

68,850立方メートル/日

80,340立方メートル/日

 ※残る水量は将来の新規需要に対する備え

契約給水量見込

(3)今後見込まれる資金不足額

平成39年度までに、約16億円の資金不足を見込んでおり、電気事業会計からの借り入れを継続します。

更新計画

経営改善計画に関するQ&A

Q1 「西条地区工業用水道事業経営改善計画」は、簡潔に言うと、どのような内容ですか。

A1

経営改善計画は、現状(契約済の給水量日量6万トン)と比較して過大となっている事業規模(計画給水量日量22万9千トン)を、将来、給水が見込まれる水準(日量8万7千トン)まで縮小して、収支のバランスをとる内容となっています。

具体的には、事業規模(計画給水量)を縮小することにより、高金利の企業債を低金利の企業債に借り換えたり、減価償却費を圧縮することができますので、収入に見合った経営が可能になります。

ただし、資金不足が完全に解消されたわけではなく、これまでに県の一般会計から借り入れた156億円等も棚上げのままにしていますので、問題がすべて解決されたわけではありません。

Q2 経営改善計画の実施により、加茂川の水の利用はどう変わるのですか。

A2

現在、工業用水として利用可能な制度上の水量(計画給水量)は日量8万7千420トンですが、このうち日量6万トン程度しか取水していません。

経営改善計画で、計画給水量を日量22万9千トンから日量8万7千トンに縮小しても、「工業用水として利用可能な制度上の(最大)水量」が、日量22万9千トンから8万7千トンに変わるだけで、水利用の実態は何ら変わることはありません。

Q3 縮小される日量14万2千トンは、地元が費用を負担するのですか。

A3

今回の経営改善計画では、地元市に負担を求めたり、料金を値上げして企業に新たな負担を求めることはありません。不足する資金は、県公営企業管理局の内部努力で調達します。

Q4 計画給水量を縮小すると、将来、大きな企業が立地したときに困るのではありませんか。

A4

利用可能な水量を日量8万7千トンに縮小しますが、現在、企業に給水しているのは日量6万トンで、残る2万7千トンは将来のための余裕水量として、県が費用を負担して確保します。

この余裕水量は、次のような点から判断して、長期的に見ても充分な水量と考えています。

  • 大規模工場が立地した過去25年間の給水契約実績が日量6万トンに止まっており、企業の要望調査結果や、今後、立地可能な土地の面積から推測しても、日量2万7千トンを確保すれば充分と判断されること。
  • 工場の中で使われる水のリサイクル技術が飛躍的に向上しており、同じ水を繰り返し利用することで、工場で消費される水の量が減少していること。
    水のリサイクル率:昭和40年36%→平成18年79%
  • 瀬戸内海地域における工場排水の環境規制が強化されており、排水処理のために多額の設備投資や処理費用が必要なため、給水量の飛躍的な増加が見込み難いこと。
    昭和54年「瀬戸内海環境保全特別措置法」制定

Q5 「西条工水の経営改善」と「松山分水」との関係はどうなるのですか。

A5

「西条工水の経営改善」と「松山分水」は、本来、別個のものですが、これまで、「西条工水の余剰水を上水道として松山市に分水し、松山市から県に支払われるお金で西条工水の経営を改善する。」として、両者が表裏一体のものと誤解されがちでした。

今後、「西条工水の経営改善」は、今回策定した経営改善計画を着実に実施することによって実現してゆきますので、「西条工水の経営改善」と「松山分水」は完全に切り離されることになります。

Q6 その後、経営状況はどのように改善されましたか。

A6

経営改善計画どおり、平成22年3月末をもって、事業規模(計画給水量)を日量22万9千トンから8万7千トンに縮小しました。

この結果、平成21年度決算は、事業規模の縮小に伴う165億円の特別損失を計上しましたので、166億円の単年度赤字(特別損失を除く「経常収支」では1億円余りの赤字)となりました。平成22年度以降は、経営改善計画の実施により、減価償却費や企業債利息が大幅に減少しますので、単年度収支の黒字化しています。資金不足も改善しましたが、まだ解消には至っていないため、計画を10年間延長し、引き続き経営改善に取り組むことで、平成39年度までに資金収支の黒字化を目指します。 

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