更新日:2020年3月5日
愛媛県医師確保計画(案)及び外来医療計画(案)の概要
1.計画策定の趣旨
- 医療法の一部改正により、医療計画の一部として医師の確保に関する事項を定めた「医師確保計画」、外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項を定めた「外来医療計画」を策定することとされた。
- 医師確保計画及び外来医療計画の策定に当たっては、地域医療対策協議会(本県では保健医療対策協議会)での検討を踏まえ、医療審議会で意見聴取を経て決定するもの。
- 愛媛県地域保健医療計画に合わせ、2020年度(令和2年度)から2023年度(令和5年度)までの4年間、2024年度以降は3年間を計画期間とし、医師確保の目標とする2036年までに計4度の見直しを行う。
(1)医師確保計画
- 地域の医療ニーズや課題を踏まえて地域医療構想等の地域の医療政策と整合を 図りつつ医師確保対策を実施するとともに、今後、臨床研修を終える地域枠医師の増加に伴う医師配置等において、市町や医療関係団体、大学、関係する医療機関等と連携して地域に必要とされる医療を確実に提供できる体制の整備を進めていくことを目指し、本計画を取りまとめる。
- 計画を取りまとめるに当たり、三次医療圏ごと及び二次医療圏ごとに、医師の多寡を統一的に比較・評価した「医師偏在指標」を算定し、長期的には医師偏在指標が全国平均となる医師数(必要医師数)、短期的には医師少数県(少数区域)から脱却する医師数(目標医師数)を確保するための計画を策定するが、本県は医師少数県ではなく少数区域も有しないことから、現状の水準を維持することを基本的な方針とし、医師中程度区域及び医師少数スポットにおける医師の確保を県全体の課題と捉え、計画を策定する。
→ 必要医師数…厚生労働省が将来時点(2036年)において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、医療圏ごとに、医師偏在指標がこの全国値と等しい値になる医師数。
→ 目標医師数…計画期間終了時点毎において各医療圏で確保しておくべき医師の数を表すものとして当該医療圏の計画終了時点の医師偏在指標が計画開始時点の下位33.3%に相当する医師偏在指標に達するために必要な医師の総数。
→ 本県においては医師少数区域が存しないことから、全ての圏域において 「将来時点(2036(令和18年))の必要医師数」を確保することを目標とする。
- 産科及び小児科については、個別に医師偏在指標を算定し、「周産期医療圏」及び「小児医療圏」ごとの医師確保計画を策定する。
(2)外来医療計画
- 外来医療については、地域で中心的に外来医療を担う診療所が、都市部に偏って開設されるなど、外来医療機能の偏在が課題となっていることから、国が設定した、地域ごとの外来医療機能の偏在等の客観的な指標をもとに、医療計画の一部として「外来医療計画」を策定することとされた。
地域における診療所や医療機器の情報など、地域に必要な情報を可視化・共有し、地域の外来医療が直面する課題を踏まえ、良質かつ適切な外来医療提供体制を確保するため、本計画を取りまとめる。
2.計画の骨子(案)
(1)医師確保計画
- 計画の構成
第1章 医師確保計画
第1節 基本的事項
第2節 現状と課題
第3節 医師確保方針と対策
第4節 産科・小児科における医師確保対策
第5節 計画の効果の測定・評価
- 県全体及び二次医療圏ごとに医師確保の方針を定める。
【県全体及び二次医療圏ごとの医師確保の方針(設定時点:2023年)】
1 県全体の医師数は、現状の水準を維持していくことを基本方針とする。
2 地域枠を活用した医師の養成のほか、キャリア形成プログラムへの登録や勤務環境の改善等により定着支援を促進し、県内の医療機関に継続して勤務する医師を確保する。
3 本県は医師中程度都道府県であり、松山圏域を除き医師中程度区域ではあるものの医師少数区域に近い圏域が多数あることや医師少数スポットの医師を確保する必要があることから、他都道府県からも医師を招へいすることも可能である。
4 それぞれの医療圏が目標医師数を達成することを目指し、一層の医師確保対策を推進するため、関係機関との連携の強化や必要な体制整備に努める。
5 医師確保対策は、地域医療構想と医師の働き方改革との密接な関連性があることから、一体的に進める必要がある。
6 医師中程度区域である宇摩、新居浜・西条、今治、八幡浜・大洲、宇和島圏域及び医師少数スポットである久万高原町、愛南町については、統一的かつ客観的に医師不足の状況を精査しつつ、市町の要望も踏まえて不足する医師の確保を図る。
7 医師多数区域である松山圏域は、他の区域からの医師確保は行わないことを基本とし、医師が不足する県内各地域への医師派遣を促す。
- 各医師偏在指標及び区分設定
全国の医師偏在指標は239.8
愛媛県の医師偏在指標は233.1で中程度区域
宇摩圏域の医師偏在指標は162.1で中程度区域、新居浜・西条圏域は186.4で中程度区域、今治圏域は168.7で中程度区域、松山圏域は287.9で多数区域、八幡浜・大洲圏域は166.8で中程度区域、宇和島圏域は172.1で中程度区域医師少
数スポットは久万高原町及び愛南町
全国の産科医師偏在指標は12.8
愛媛県の産科医師偏在指標は10.8で少数区域
宇摩及び新居浜・西条圏域の産科医師偏在指標は10.1、今治圏域は7.1で少数区域、松山及び八幡浜・大洲圏域は11.6、宇和島圏域は11.3
全国の小児科医師偏在指標は106.2
愛媛県の小児科医師偏在指標は115.1
宇摩及び新居浜・西条圏域の小児科医師偏在指標は88.9、今治圏域は107.4、松山及び八幡浜・大洲圏域は121.5、宇和島圏域は137.4
- 目標医師数 3,609人(算定時点の医師数と同数)
松山圏域を除く5圏域の計画期間において確保すべき医師数 124人
本県全体の目標医師数は算定時点の医師数とし、二次医療圏ごとの目標医師数は次の算出方法により算出することにより、医師が不足する二次医療圏の医師を確保する。
【計画期間において確保すべき医師数の算出方法】
→ 松山圏域を除く5圏域の将来時点の必要医師数(2036年)と算定時点(2016年)の医師数との差 217人
→ 2036年までに確保を要する217人の医師については、本県の喫緊の課題である医師偏在の早期解消を図るため、 1期目(4年間)及び2期目(3年間)の7年間で確保することを当面の目標とする。
217人/7年(2計画期間)×4年(計画期間)=124人
→ 松山圏域を除く5圏域の計画期間において確保すべき医師数124人を当該5圏域の2036年時点の必要数で按分する。
愛媛県の算定時点医師数(2016年(H28年))は3,609人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は3,553人、目標医師数(2023年(R5年))は3,609人
松山圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は2,180人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は2,016人、目標医師数(2023年(R5年))は達成済み
宇摩圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は145人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は198人、2036年までに確保すべき医師数は53人、計画期間において確保すべき医師数は15人、目標医師数(2023年(R5年))は160人
新居浜・西条圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は446人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は533人、2036年までに確保すべき医師数は87人、計画期間において確保すべき医師数は40人、目標医師数(2023年(R5年))は486人
今治圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は310人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は350人、2036年までに確保すべき医師数は40人、計画期間において確保すべき医師数は26人、目標医師数(2023年(R5年))は336人
八幡浜・大洲圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は271人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は289人、2036年までに確保すべき医師数は18人、計画期間において確保すべき医師数は22人、目標医師数(2023年(R5年))は293人
宇和島圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は257人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は276人、2036年までに確保すべき医師数は19人、計画期間において確保すべき医師数は21人、目標医師数(2023年(R5年))は278人
松山圏域を除く5圏域の算定時点医師数(2016年(H28年))は1,429人、将来時点の必要医師数(2036年R18年))は1,646人、2036年までに確保すべき医師数は217人、計画期間において確保すべき医師数は124人、目標医師数(2023年(R5年))は1,553人
- 医師確保の方針に基づき、次の対策を柱に医師確保対策を実施する。
【地域枠等による医師確保対策】
→ 地域枠医師等の奨学医師は、市町の要望に配意したうえで、関係医療機関のニーズや医師本人の希望を踏まえながら、県内の医師が不足する地域の中核病院等に配置する。
→ 自治医科大学卒業医師は、市町等の要望や医師本人の希望も踏まえながら、県内のへき地医療機関等に配置する。
→ 愛媛大学への寄附講座の設置等により、地域のニーズに即した地域医療に関する研究や、医学生及び研修医等に対する現地実習等を含めた実践的な教育・研修の実施に努め、若手医師の確保に取り組む。
【新たな医師確保対策】
→ 県、県医師会、大学医学部等の医育機関等が連携して、県内外の医療機関を退職(退官)する医師を主なターゲットとして医師不足地域等の医療機関とのマッチングを図り、地域医療を下支えする仕組みを構築する。
→ 県立南宇和病院を総合診療専門医を志す若手医師の研修拠点とし、5G通信の活用を見据えた地域医療提供体制のモデルとするなどの研修体制の充実に努める。
→ 特に不足する産科医を確保するため、既存の「愛媛県地域医療医師確保短期奨学金」制度の特定診療科枠を新たに創設する。
→ 自治医科大学卒業医師のキャリア形成支援に努め、義務年限終了後の県内定着を図る。
(2)外来医療計画
- 計画の構成
第2章 外来医療計画
第1節 基本的事項
第2節 外来医師偏在指標の算定
第3節 地域の現状
第4節 医療機器の配置状況に関する指標の算定
第5節 計画の推進
- 厚生労働省が算定した外来医師偏在指標によると、今治、松山、八幡浜・大洲、宇和島圏域は外来医師多数区域であるが、本指標には病院で外来を担当する医師数や病院の外来を受診する患者数が考慮されていないことから、人口割合に比較して、診療所の医師数が多い場合や病院の外来を受診する人数が多い場合には高めに算定される傾向にあり、参考指標として捉えることが適当である。
- 地域における協議の場となる地域医療構想調整会議において、地域で不足する外来医療機能の現状や課題を特定するとともに、目指す姿を共有し、取組の方向性を協議する。
- 医療機器の効率的な活用に向け、医療機関が地域医療介護総合確保基金等を活用して医療機器(CT、MRI、PET、マンモグラフィー、放射線治療機器)を整備する場合は、「共同利用計画書」の作成を求め、地域医療構想調整会議において、その必要性について確認する。
- 新規開業者に対して、地域の外来医療機能について情報を提供・共有し、救急医療や在宅医療など、不足する外来医療機能の一翼を担うよう働きかけることについても地域医療構想調整会議において、その必要性を協議する。
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