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伊方発電所3号機の再起動に係る事前協議に対する了解についての記者会見の要旨について

ページID:0052293 更新日:2015年10月30日 印刷ページ表示

日時: 27年10月26日(月曜日) 9時53分~10時56分

場所: 知事会議室

 (あいテレビ(幹事社))
 では、知事よろしくお願いします。
(知事)
 先ほど、四国電力に対して申し上げましたように、安全協定に基づく伊方3号機の事前協議を了解することといたしました。この問題は、県民の関心も高く、またさまざまなご意見もございます。そこで、事ここに至った、決断に至った経過等々につきまして、詳細にお話をさせていただきたいと思いますので、ちょっと30分くらいかかるかもしれませんが、お付き合いいただきますように、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、この会見の模様につきましては、全て県庁のホームページでも公開をさせていただきたいというふうに思います。
 早いもので福島の原発事故から4年半という長い月日が流れました。振り返ってみますと、当時、就任して半年もたたない時でありましたが、原発を立地県として抱えている本県にとりましては、非常に神経質にならざるを得ない状況でございました。ただその時に考えたのは、こういう時だからこそ、冷静に現状把握し、分析をする。そして、その後の対策を取る必要があるというふうに、当時考えておりました。もちろん当時はですね、福島だけでなく東北3県に対してどういった支援をするかということが一つの大きな課題でありましたけれども、同時並行して、今、申し上げたような点についての分析を進めておりました。福島の場合、IAEAの報告を見ますと、大きな津波によって全電源を喪失したことにより、冷却機能を失い暴走すると。そういったところに、大きな事故につながった原因があるという報告がなされているところであります。
 さてそこで、福島と同じことが伊方で起こり得るのかどうか、ここが一番大きな関心事でありました。ご案内のとおり、福島沖、三陸海岸は、歴史的に見ましても10メートルを越えるような津波が何度も記録をされてきたところでもございます。伊方の場合は、そういった記録は残っておりません。その違いというのは、前面海域の構造等々に大きな違いがあるからであろうというふうに思います。三陸沖は、プレートが重なり合っているところでありますから、あの大津波の原因というのは、非常に深い海域、水深でいえば1万メートルを超える海域でありますから、膨大な海水が海底の地表の上に乗っかっている。その深い、深いところで、プレートが、片方のプレートが下に潜り込んで乗っかっている上のプレートが跳ね上がるという現象が起こりました。瞬間的に8メートル跳ね上がったというふうに推測されています。その跳ね上がりのエネルギーが、膨大な量の海水に伝わって大津波が発生するということでございました。10メートル以上の津波が押し寄せる結果になったわけでありますが、福島原発というのは、これがまた海抜6メートルのところに設置をされており、さらに非常用電源設備が地下に設置されているという設計になっておりました。大津波が来たら、これはもうひとたまりもないわけでありまして、これが全電源喪失の原因になったんだろうというふうに推測します。
 一方、四国で同じことが起こるとするならば、これは徳島・高知沖南海トラフ地震でございます。こちらは、プレート、さらに水深1万メートル以上、同じ条件がそろっておりますから、理論的にいえば、同規模の津波が発生する可能性があります。そして、その大津波が発生した場合、いったん四国の南端に押し寄せ、引いた後に残ったエネルギーが再び押し寄せ、宇和海、さらには引いた後に残ったエネルギーが佐田岬を回って瀬戸内側に押し寄せてくるということが想定されます。この場合、南海トラフによって、同規模の津波が発生した場合、伊方発電所に到達する津波の高さは、2.45メートルということになります。もう一つ、津波を考える場合、見つめておかなければならないことは、伊方発電所の前面海域で起こった場合の想定でございました。こちらは、プレートがあるわけではなく、伊方前面海域の海底というのは断層になっております。基本的には、断層は縦ずれは起こしません。横ずれを起こす形になりますので、津波は発生しないんですけれども、それでもあえて、津波が縦ずれも含めて発生したらどうなるのか。そういう想定をいたしたところでございます。こちらはですね、水深は80メートル、1万メートルではなく、80メートルでございますから、そもそもの海水の量も少ないわけであります。そういったところで、もし縦ずれが起こった場合どうなるのか。この想定値が8.12メートル。これは、当初は4.7メートルぐらいだったと思いますけど、土砂なんかも全部、海水の中に崩れて落ちて、そしてまたそれが押し上げるという、最悪の、最悪の場合ってどうなるのかということで、計算をし直すと、最大値8.12メートルというふうな数値が出てまいりました。海抜6メートルに設置されている福島と違い、伊方発電所は海抜10メートルのところに設置されています。さらに非常用電源も同じく高台にありますので、こうした観点から、津波という観点でいえば、伊方原発の場合、福島と同じことは起こらないというふうなことが結論として出てまいります。すなわち、福島と全く同じことが、伊方で起こるかといえば、それは起こらないというふうなことになります。ただし、揺れというリスクについては、同様の問題が発生する可能性があるわけでありますから、こちらにつきましては、当初、非常に関心を持ったのが、一体、あの福島原発のときに、1号機から6号機に至る原子炉、福島の原子炉でどれだけの基礎岩盤における基準地震動が実測されたのか、ということであります。これは後に全てのデータが明らかになっておりますけども、最大の揺れを観測したのは、福島2号機の550ガルという計測値でございました。ちょっと福島の場合ですね、基礎岩盤の上に堆積しているものがありますから、多少、大きめに出るんですけども、伊方の場合は、岩盤が強いですから、そのままの数字が出ております。伊方は当時570ガルで、耐えられるような設計でございましたから、一応、この基準値、基準地震動の範囲には、収まっている数値ではあったんですけども、550ガルと570ガルということも含めて、余裕が必要だということで、後で申し上げますけれども、独自の揺れ対策、強化というものに踏み切ることといたしました。こうしたような状況を踏まえて、当初考えたのは、伊方原発の場合、重要なことは、津波の心配がありませんので、揺れ対策をどうするのかという点と、暴走を止めるための最後の砦である電源対策をどうするのか、この2点が鍵を握っているというふうに考えたところでございます。
 一方、もう少し大きな視点で、日本のエネルギー政策というものを考えました。ご案内のとおり、日本の国というのは資源のある国ではありませんから、エネルギーという観点でいえば、非常に脆弱な、弱さを持っているわけであります。弱点を持っていると言ってもいいと思います。それは大きく分けて2点あって、1点は自国で資源が賄えないという弱さ、そしてもう1点は四方が海に囲まれているという、これは水産関係でいえば宝ですが、エネルギー政策の観点でいえば弱さになります。例えばドイツのように原子力発電からの脱出だというふうに言えるのは、陸続きの他国との関係をフルに生かして送電線をつくって、他国の原子力発電所でつくられた電力を買い取るということが陸続きであるが故に可能である、こうした違いがございます。日本の場合は四方が海に囲まれていますから、こうした他国から陸続きで送電線を通じて電力を買うということができません。この2点が日本の弱点であります。
 そしてまたもう一つ過去学習したのは、一つのエネルギー資源に偏るということなく、2度のオイルショックでどれだけリスクが高いかということを学びました。そんなところから日本の場合はエネルギーの多様化というのが一つの方向性だったわけであります。
そこで原子力発電、原発事故以降、エネルギー政策に関する関心が高まっていますが、その中で、自然エネルギーで賄えないか、そんな議論が湧き起こりました。原子力発電所は絶対安全なものではないと考えます。そしてあった方がいいか、ない方がいいか、単純に問われれば、ない方がいい、それが理想であると私も思います。他方、今、申し上げたような日本の国のエネルギー事情を鑑みた場合、原子力発電所に替わり得る、これはコスト、出力、安定供給という3条件が満たされた代替エネルギーが見つかるまでは、その時代、その時点での最新の知見に基づく安全対策を施す中で向き合っていかざるを得ない、そういうふうなものだと考えます。
 そこで、当時、自然エネルギーの議論が起こったときにいろいろと挑戦をしてみました。例えば太陽光発電です。松山市にもメガソーラー発電所が設置されていますが、これは7万平方キロメートルという膨大な土地を提供することになりました。メガソーラー発電の場合は土地にパネルを敷き詰めていきますから、設置と同時に土地は死んでいきます。土地を犠牲にした上で成り立つものであります。7万平米の土地を犠牲にして、現在の技術で得られる出力は4,000キロワット程度でございます。一方、風力の場合は、あの大きな風力発電所はおよそ1基で1,500キロワットから大きいもので2,500キロワット、今は3,000キロワットぐらいあるかもしれません。それぐらいの出力が今の技術での現状でございます。一方、火力発電所の場合は、古いものでも15万キロワットから30万キロワット、最新のですと50万キロワット、原発の場合は、古いもので60万キロワット新しいもので130万キロワット、桁が全く異なるわけであります。すなわち自然エネルギーというのは理想論ではあるけれど、今の技術では出力も安定供給もそしてまた最後のコストの面でも非常に厳しい状況にあります。現実に、太陽光発電を進めたドイツという国では、12兆円の国費を投入して、10年以上かけて太陽光発電を進めたわけでありますけども、結果として全電源における太陽光発電の供給比率は数パーセント、ちょっと今、正確な数字は分かりませんけども、5パーセントから6パーセント程度が限界でありました。さらには、買い取り価格を普及させるために高値に設定いたしましたんで、電気料金は上昇し、国民は限界を訴え、2年前か、3年前に買い取り価格を半減するという、やむを得ない措置に転じたところでございます。
こうしたような状況を踏まえますと、先ほど申し上げました出力、コスト、安定供給、3条件を満たす代替エネルギーの開発というものが、実はこれが脱原発、原発依存低下への道のりを求めていくのには必須条件になると考えておりますので、この点については蓄電技術も含めて国の責任でぜひ対応していただきたいと考えます。さて、そうした中で、今回の稼働の問題に入ってまいりますけれども、当初、早い段階でもし将来再稼働の話が浮上したときには、原子力政策をつかさどる国の方針はいかなるものなのか、そしてまた事業者たる四国電力の姿勢がいかなるものなのか、それを受けて、県民が議論をし、その意見がいかなるものなのか、この三つを柱にして、それを咀嚼(そしゃく)して最終的な判断するということを4年前に公表をさせていただきました。そして、実際の要請が来るまでの間、知事の役割は何ぞやと考えたときに、県民の皆さんが冷静かつ深く議論できるように、今申し上げた国の姿勢をどう分かりやすく引っ張り出すのか、そしてまた国の方針をどう分かりやすく引っ張り出すのか、そしてまた電力事業者の姿勢をどう分かりやすく引っ張り出すのか、ここに集中すべきと考えてまいりました。そこで、おのおの四国電力に対しての独自の要請、国に対しての独自の要請を行ったところでございます。
 なお、電力会社に対して国が求める安全対策以上のアディショナルな対策を求め続けてきたのはおそらく愛媛県のみだと思いますけれども、いかなることをやってきたのかということをまずご説明させていただきます。
こちらが4年半の間、愛媛県が電力事業者に対して行ってきた独自要請でございます。まず、第一に、これは福島の原発発生直後に要請した項目、原子力本部が当時、香川県、高松市にございましたので、速やかに松山市へ移転をいただきたい。移転していただきたいと要請をいたしました。
これまでもこれは議論があったんですが、本社の横に置いておきたいということで実現をみなかったんですが、もう事態は変わったんだと。原発立地している、より近くに設置し、さらに、当時は最高責任者、原子力本部長が常務取締役であったけれども、それでは決定権がないということで対応を考えていただきたいという要請をしまして、現在は原子力本部が松山に設置され、本部長は副社長が務めることに相成っております。
二つ目は先ほども申し上げました電源対策へのこだわりであります。
 原発というのは、最終的には電源を確保し、水を注入する。最悪の場合はダメになることを決断して海水を注入する。これをやり続けることができれば暴走は止められます。ですから、電源の確保というのが生命線であると考えます。国は、福島の原発以降全ての原子力立地地域に対して原子力発電所に対して、移動式の大型のディーゼル発電機の設置を求めました。これはもちろん伊方でも行われています。しかしそれだけでは不十分であるということで、県としてアディショナルな電源対策をするように要請をいたしました。
これに対して四国電力は、伊方発電所の上にある亀浦変電所から、1号機、2号機、3号機に新たな送電線を設置、全てに耐震工事を施してプラスアルファの電源を確保するという答えを持ってこられまして、これについては既に工事が完了をしております。国が求めた電源対策ではなく、愛媛県が求めた電源対策であります。
 そして、次の3番目は先ほど申し上げました津波の心配はないけど揺れのリスクは同じだということで、福島2号機で550ガルが計測されている以上は、さらに余裕を持った追加工事を実施すべしということで、これも国が求めたわけではありませんが、おおむね2倍の1,000ガルというものを目標にしていただきたい。全ての原子力発電所の機器を調査して570ガルでつくられていたとしても、この機器は700に耐えられるとか、この機器は800に耐えられるとか余裕を持って設計されていますので、その余裕度というものを全て計測していただきたい。この計測をもって、1,000ガルに満たないものについては、全て1,000ガル以上に耐え得るような補強工事を実施していただきたい、ということを当時要請いたしました。このことにつきましては、時間がかかりましたけれども、3号機の工事については今年の10月までに、先般全ての1,000ガル対応の工事が完了し、専門家の確認もいただき、私自身も視察をさせていただいたところでございます。
 次に4番目、これが非常に重要でありまして、隠し事をさせないという愛媛県からのメッセージであります。愛媛方式、愛媛だけで行われている報告連絡体制でありますが、通常原発内で何かが起こったとき、通常ではない何かが起こったとき、例えば、そうですね、はしごが欠けていたとか、本当に些細なことでも全て愛媛県に報告するというシステムになっています。通常は、これは原発内で何かがあったら本社、電力会社の本社に連絡がいって、そしてその本社の広報が公表するという体制だと思いますけれども、愛媛方式では、まず県に来て、県が一定のルールに基づいて愛媛県が公表するという仕組みを持っています。すなわち、愛媛県への報告を怠ったたり、あるいは遅れたりしたら、そもそもの信頼関係が一気に崩れ去るという緊張感というものをこの愛媛方式で担保しているところでございます。
 次に5番目の地元住民に対する説明、これについてはいろんな意見がございます。説明会の開催を求める方もいましたが、しかし、いろんな説明会を見てみますと、大体住民の方がいらっしゃるんですが、他県の方もどんどん来られて、賛成派・反対派の動員集会みたいな様相を呈するというケースを幾度となくニュースで拝見をいたしました。本来の説明とはいかなるものなのか、そういう趣旨から、四国電力に対して、一番真摯な説明ということは一軒一軒訪問することではないだろうか。そう思いましたので、原発20キロメートル圏域の約28,000戸のご家庭、一軒一軒丁寧に回って説明をする。かつ厳しい意見を含めて全て公開をするという要請をさせていただきました。このことについては、四国電力も真摯に対応を積み重ねておりまして、既に6回、この4年半の間に戸別訪問を実施しているところでございます。
 次にこれはちょっと専門的なんですが、伊方1号機の確認試験片の前倒し。これは随分前になるんですけども、とある原発、ちょっと古い原発で伊方1号機よりも少し前にできた原発の中にある試験片が取り出す時期を迎えて、ちょっと温度が上昇しているという、こうした記事が駆け巡りました。福島の原発事故後ですから非常に関心も高かったので、実は伊方1号機の試験片はまだ取り出す時期ではなかったんですけども、こうした状況を受けて前倒しで取り出していただきたいという要請をいたしました。結果としては、原子炉そのものの不純物の混入率が全く異なっていましたので、伊方1号機の場合は全く温度の上昇は見られないということで、結論を見ておるところでございます。
それから7番目は県内の全市町への異常通報連絡情報の提供。当時なかったんですけども、愛媛県が受けて連絡しておりましたが、県下の市長、町長から要請がありまして、この体制をつくり上げるように四国電力に依頼をいたしまして、これは既に出来上っております。
 そして最後の八つ目が、先般、要請をいたしました異常時の作業スペース確保の問題であります。福島のように伊方の場合は地下水が大量に流れ出るところではありませんで、最悪、最悪の場合、汚染水がダーっと出て、タンクがバーッと必要になるという状況は考えられませんけども、ただ急峻な地形でありますから、作業ということに関しては一抹の不安を感じておりました。そこで、何らかのときに作業ができるようなスペースを新たに確保していただきたいという要請をさせていただいたところでありますが、このことにつきましては、場所の選定も終わっておりまして、今から実施に移していただくということで、先般、公表させていただいたところでございます。以上が愛媛県が独自で四国電力に要請した8項目の中身になります。
次に、国に対して申し上げたことであります。これもあの、他県がどうだということは全く考えておりません。愛媛県として愛媛県知事として国に対して独自の要請をさせていただきました。
一つ目は大洲・八幡浜道路の整備の促進。これも今進めておりますが、大きな、大きな避難のスムーズな確保にもつながりますので、そのスピードをあげていただきたい。優先順位を高めていただきたいというふうなことを要望しております。それからこれはもうある程度前向きな答えをいただいております。
 それから2番目の大分県への避難訓練に対する協力。これは避難というものは終わりなき対応でございます。考えられる最高の避難計画を練って、そして実施し、検証して足らざるところをさらに改善しというのを永遠と繰り返していくものでありますけれども、特に大分県への避難というものについては、国が前面に出てやっていただきたいという依頼をしました。これは速やかに回答がありまして、ご案内のとおり来月、国主導のもとに大分県への避難も含めた大々的な避難訓練が実施される予定になっております。
それから、先ほど申し上げました避難スペースの確保については、四国電力に要請していますけども、国としてもこれをバックアップしていただきたいという要請を行っております。
それからこれは非常に大きなテーマで、国もある程度方針出してますけど、念のため申し上げました、使用済み燃料の中間貯蔵への取り組み。これもですね、伊方の場合も十数年たてば満杯になるということだろうと思いますので、中間貯蔵のあり方というものについて、国の責任でさらに突っ込んで考えていただきたい。
 そして、なんといっても逃げずに最終処分の問題を、国、政府だけでなく国会議員全員が考えるべき課題だと思いますけども、これをどうするのか、答えを見つけ出していただきたい。これは政治の責務ではないかということで要請をしております。
それから、もう一つは廃炉技術の研究であります。これはですね、日本の国は現在のところ、東海原発の小型のガスタービンを廃炉した経験しか持っていません。現在、福島において、実際に廃炉を行うということで、廃炉技術の研究を積み重ねているとは思いますけれど、福島の原発はアメリカGE製の沸騰水型の原子力発電所でございます。一方伊方の場合は三菱重工製の加圧水型の原子力発電所であります。そもそもの構造そのものが全く異なっておりまして、福島の沸騰水型の廃炉経験は加圧水型の原発に生かすことは到底不可能でございます。そこで、どの原発にしたっていつかは廃炉にするわけでありますから、まだ経験のない、また研究もないこの加圧水型の廃炉研究を伊方で行っていただきたい、ということを要請しております。
それから7番目は経産大臣の来県、これは独自で行ってきた安全対策も含めて現場というものがどういうものなのか、立地条件、立地地域、全く異なりますので、この分野での責任者である経産大臣の視察は欠かせないということで実現をいたしました。
そして最もこだわったのが内閣総理大臣の直接的な発言であります。特に原発の、例えば賠償法などを見てみますと、例えば万が一のことが起こったときには、第一義的に電力事業者が責任を取り、その体力を上回るものは、それは国が援助するというふうに書き込まれています。これは文言によって主体性があるのかないのか議論が分かれるところで、非常に不安を感じておりました。だからこそ、この原子力政策をつかさどる国の最終責任、そしてまた、万が一のことが起こったときの覚悟と責任、これは直接言葉で、政治的に確認しておく必要があるということを考えまして、先般、原子力防災会議において、直接その言質をいただくことになったところでございます。
 以上、原子力政策をつかさどる国の方針、そして電力事業者の姿勢というのを引っ張り出すということに没頭してきた4年半でありましたけれども、こうしたことを受けて、まず、八幡浜市、隣接市の八幡浜市が、住民の意見を聴いて、そして議会での議論も踏まえて、八幡浜市長が合意、条件は付いてはおりますけれど、条件付きの同意と。そしてまた周辺5市町の市長さん、町長さんからも、意見を聴く場をぜひもっていただきたいということでありましたので、こちらは賛否を明確にされたわけではありませんけれども、こういったことを条件として挙げていただきたいといういろんなご意見をいただきました。それらを受けて一任、という話でございました。そして先般、伊方町長、立地地域の伊方町長が合意と、さらには愛媛県民の代表であります県議会、これは全てのエリアの選挙で選ばれた公人の皆さんによる公開の場でありますけれども、この県議会において方向性が示されることになった次第でございます。こうしたようなことを受けまして、国の方針、そして事業者の姿勢、そして住民の皆さんの議論、こうしたことを踏まえて、今回の結論に至ったことを、ここにご報告をさせていただきたいと思います。以上でございます。
(毎日新聞)
 福島原発事故を受けて、いまだに住民の不安は、市民の不安は根強いと思うが、その不安や懸念については、どのように対応して、どういうふうに考えているのか。
(知事)
 そうですね。今、つまびらかに説明したように、安全対策について、国任せにしていたわけではなく、今言ったような取り組みも全部公開はしているんですけれども、なかなか情報というのは聞くという意識がないと見ていただけないものでありますから、そうした現実の対応の状況等も、今後も引き続き住民の皆さんに届ける努力を積み重ねていきたいというふうに思っております。
(読売新聞)
 非常に重い判断だったということだが、その決断を下す上での心境について伺いたい。
(知事)
 そうですね。この問題というのは、自分自身も、ある方がいいか、ない方がいいかと問われたら、ない方がいいとさっきはっきり申し上げましたけれども、賛成か、反対かと単純に問いかけられると、反対という声もかなり出てくると思いますし、また、無回答という方がものすごく多いんですね。それは、条件付きだと。理想論でいえばない方がいいけれども、今の状況から見たらやむを得ないのかなと、ただし条件はあるという方は非常に多いというふうなことだろうと思っています。いわば同じ報告に多くの意見が集約されにくいテーマでありますけれども、その中で一定の方向性を示さざるを得ない。それは当然のことながら、まだ情報が届いていないからということもあるのかもしれないけれども、その中で決断を下すというのは、非常にお叱りも受けるかもしれないですし、非常に孤独の中でやらざるを得ない作業、決断だというふうに思っております。
ただ、前にも申し上げましたように、自分の言葉でどうしてそうしたんだということを問われたときに、説明できないようなことはしたくなかったので、十分に咀嚼(そしゃく)をして、また4年半の間、この問題に、本当に日々日々考えながら対応してきたということでございます。
(読売新聞)
 安倍首相の言葉だが、実際にこれを取り付けたことによって、もし万一事故が起こった場合に、どのように取り付けたことが生きてくると思うか。
(知事)
 そうですね。基本的には、万一の事故が起こらないようにする、だからこそ、この電源対策と揺れ対策にこだわっているわけなんですが、それでも起こるということを想定しないというのは無理がありますので、起こったときには、先ほど言ったような法律の文言による曖昧さというものを回避して、この責任というのは国にありというふうな、最終責任ですよ、もちろん決断したわれわれも責任を負っていきますけれども、最終責任ということに関しては国にありということを突き付けられるんではなかろうかと思います。
(共同通信)
 国の責任の話だが、事故時の賠償については、原子力損害賠償法があるが、今後、法改正などを求めていく予定はあるか。
(知事)
 そうですね。結局のところ、さっき指摘したようなあいまいな文言というものをどのように受け止めるかということを含めてですね、これは立法府が、問題提起はしているわけですから、私が立法府の一員なわけではないので、問題提起をしたことを受けて、きっと何らかの動きが当然出てくるんだろうというふうには思っています。
(共同通信)
 国の責任の範囲を拡大するように求めたいということか。
(知事)
 はっきりとするということが大事だと思います。
(日本経済新聞)
 国のエネルギー政策の必要性というのはよく分かるが、愛媛県民にとっての原子力の再稼働をするメリットというのはどういうところにあると考えているのか。
(知事)
 メリットというか、そういう点ではあまり考えていないんですけれどね。例えば、伊方町や八幡浜市での議論の中では直接的な議論も湧き起っていたようで、仕事を含めてですね、経済的な影響というものが、立地地域の近いところでは、非常に大きいんだということは分かりますね。それからもう一つは、先ほどドイツの例を挙げましたけれども、現実的でない代替エネルギーの比率を高めていけば、当然のことながら電力料金というのはどんどん上がっていきます。個人のレベルというのは、我慢で何とか乗り切れる範疇かもしれないんですが、企業、工場等々にとっては、これは国際的な競争力の見地からいっても、一定状況を超えるとですね、これはもう場所を変えるしかないという選択肢が出てまいります。そうするとですね、その場合は、雇用の喪失、経済活力の喪失に直接的につながっていきますので、こういったところを回避するというふうなところもあるというふうに思います。
(朝日新聞)
 知事は常々、避難訓練と判断の時期というのはリンクさせないということを言っていたが、直近の11月上旬に訓練が設定されており、本格的な国との訓練というのは初めてになると思うが、客観的に見て、その訓練が終わってから判断してもいいのではないか。その前に判断したというのは、若干急ぎすぎじゃないかという意見もあると思うが。
(知事)
 これはもう自分の基本的な方向性で、訓練は未来永劫続けていくものですから、それをする、しないとか関係なくですね、これはどんどんどんどんやっていくというふうに考えていますので、そのことは切り離してこちらの問題を考えておりました。
(南海放送)
 この訓練で課題が出て、その課題を克服した上で、同意でもよかったのではないかと思うが、そのあたりはどう考えているのか。
(知事)
 それは、この訓練、いつも訓練がありますから、じゃあ今度やったら、いや次の訓練まで待つべきだとか延々と続いていくんですね。訓練は終わりがありませんから、それは終わりなき対応をしていくということに徹するということだと思います。


(毎日新聞)
 あらためてになるが、今回の再稼働の責任と、もし万が一、過酷事故が起きた場合の身の処し方について、どう思っているのか知事の言葉を伺いたい。また、一方で、知事の同意権限というのは、協定に基づいたもので、法整備されているわけではないという現実もあると思うが、そのことについての考え方を教えてほしい。
(知事)
 一つはですね、当然のことながら非常に重い決断なんです。今もお話があったように、法的な根拠にある同意事項ではないので、これはもうあくまでも福島の事故が起こって、やっぱり地元の同意が必要だというふうな判断から求めてきた話なんですけども、そういう意味では責任を共有するという状況になったんですね。ただ一方で、国がそうした以上は、こちらが言うべきことは言わないといけないという、そちらの責任が非常に重くなったというふうに思っていましたので、今回、事業者や国に対して、考えられる要請事項を全てぶつけたということにつながったと思っていただいたらいいんではないかと思います。当然のことながら、県としては、これ法的な根拠はないけれども、合意というふうなことを踏まえた以上は、今後ともですね、訓練、そして安全対策、そして万が一のときに責任を担っていくということになりますけども、過酷な事故の場合は、これはもう世界的な事例、また福島の事例を見てもですね、一事業者や、また一地域で対応し得る範疇を大きく超えますので、当然のことながら、最終責任ということの言質は取っておく必要があると、これは当然、原子力政策をつかさどる、進めていく国が、明確にすることが必要な問題ではないかというふうにかねがね思っていましたので、このことにこだわったところでございます。
(愛媛新聞)
 伊方3号機はプルサーマルで全国初めての再稼働になる可能性があるが、核燃料サイクルが行き詰まっているということはその前から言われていたわけで、そういう中でプルサーマル発電を続けるということの意義は。
(知事)
 実はこれは福島の原発事故の前の話にさかのぼるんですけれども、プルサーマルはもう既に運転を経験しているんですね。で、実は福島の原発事故前だったかな、さらにプルサーマルを増やしたいという要望がございました。で、事故が起こって、そのときに愛媛県が回答したのは、既存の、経験値のある、しかも全く問題が発生していない本数については認めても、アディショナルな増加については一切認めないと、この段階で。ですから、その経験と、問題のないという実績のある分野に留めています。
(愛媛新聞)
 ということは、16体のMOX燃料を入れる想定だが、まだ確か全部で21体あったと思うが、追加の挿入装荷は認めないということか。
(知事)
 この段階では認めません。
(高知新聞)
 先ほど、地元同意の手続きについて伺ったが、法的根拠もないけれども、安全協定に基づいてという中で、周辺県、もしくは立地自治体だけの同意をもって地元同意という手続きが完了したという認識でよいか。
(知事)
 周辺についてはこの間も申し上げましたけれども、この4年半にわたって全ての対応策について逐一、ほぼ同日中に連絡をさせていただいております。そういう中でそれぞれの県知事さんも愛媛県が他の県と違った独自対応をしていること、国に対しても非常に高いハードルも含めて突き付けていること、それも承知していただいていると思います。ただ、それぞれの県がそこから先どのように県民の皆さんに対して愛媛県からもたらされた情報をフィードバックしているかはちょっと僕も分からないですね。そういう中で、いろんな会議でもお会いしますし、具体的には、一任とまではいかないですけれども、愛媛県の対応を見守るという姿勢を周辺の知事さんが示していただいているので、県のレベルにおいてはある程度ご理解いただいているのではなかろうかなと。ただそこから先については、私は他の県の知事ではないですから、どういうふうにされているかは分かりませんので、違いもあるでしょうし。それはコメントできません。
(南海放送)
 伊方原発から30キロメートル圏内の、伊方町を除く6市町では説明会が行われ、立地自治体の伊方町では住民説明会自体が行われていない状況で、地元の議論というのが十分尽くされたと思っているのか。
(知事)
 そうですね。だからこそ説明、今まさにいみじくも説明とおっしゃったんですけれども、そこにこだわったのがこの戸別訪問です。説明会というのはパフォーマンスになりかねない集会になるので、説明というもので一番丁寧なやり方というのは戸別訪問でしょうということで、ここにこだわっていただきました。
(南海放送)
 四国電力の実施した戸別訪問で十分住民の声が聴き取れたということか。
(知事)
 これは伊方町が判断することなので、立地自治体の町ごとの判断というものを私どもは受けていますので、そこについては伊方町長さんの方にお聞きいただけたらと思います。
(南海放送)
 知事自身としてはどういう印象か。
(知事)
 そういったご議論も含めて、しかも議会を含めて、手続きを踏んでいますので、さっき申し上げたように全部意見がまとまることはありませんから、そういう意味では丁寧に議論を積み重ねてきているんではないかなというふうに思います。
(テレビ愛媛)
 総合的にいろいろ判断してということだが、特に、了解をするという判断を後押ししたものについて、知事自身が一番強く感じたものはあるか。
(知事)
 特にないですね。全ての要素をかみ砕かなければ、回答を出せないという大きな、大きなテーマですから、これがポイントというのはないですね。
(テレビ愛媛)
 木曜日に伊方町から是非の判断の報告があり、それから知事自身が咀嚼(そしゃく)して考えたということだが、この数日間どのようなことを考えたのか伺いたい。
(知事)
 本当に福島の事故が起こった直後というのは正直言って、僕自身も文系出身ですから、原子力発電の細かいことも知りませんでしたし、ましてや地形、さっき説明させていただいた地形の違い、地震発生のメカニズム、全部一からの勉強だったので、やはり決断を下す立場を与えてもらっている以上は、一つ一つ丁寧に知識を自分の中に取り込んで判断できる力を養わなければいけないという、非常に大きなプレッシャーを感じ続けてきた。そして、今も感じている案件であるというふうに捉えています。
(南海放送)
 伊方発電所へのアクセスルートについて、県道とか改修が進められているが、ちょっと一本道で、ヘアピンカーブも続いて脆弱だという印象があるが、このあたりについては、どのような認識か。
(知事)
 これも既に着手しているところで、それこそが鳥居喜木津線の工事の進捗でありまして、実はあれは県道なんですけども、これは特別な県道だということで、数年前に国と掛け合って国費を投入して一気に進めるというふうなことを決めていただきましたので、今その工事が進められているところでございます。
(南海放送)
 工事が完了するのを待たずに同意ということだが、どのように感じているのか。
(知事)
 全てがアディショナルにさらに良くする、さらに良くするという積み重ねなんで、これが終わってからとか、こちらができないとっていうような問題ではないと思っています。さらに良くしていくんだと。ここでも何とかいけるけど、さらにスムーズにするためにさらにこれをやろうということを今後とも延々と繰り返していくことになるんじゃなかろうかというふうに思います。
(南海放送)
 現状では特に問題はないという認識か。
(知事)
 そうですね。道はありますんで。ただそれが一本では心もとないんで、もう一本やろうと。それについては真摯に対応していくんだというふうなことが、これが何も手を付けてないんだったら問題があると思いますけれども、方向性は見えてますんで、それをしっかりと対応していくということに尽きます。
(毎日新聞)
 繰り返しの質問になるかもしれないが、安倍首相の政府の重大な責務という発言を引き出した、言質をとったということについて、首相の発言は政府答弁を踏襲したもので、具体的に過酷事故が発生したときにどんな責任をとるのかというのは必ずしも明確ではないと思うが、知事はこれで言質をとったというふうに考えているのか。
(知事)
 これは原子力防災会議の中で、全閣僚出席のもとの公式の発言でありますから、当然のことながら議事録に生の言葉として残るわけでございます。ペーパーというのは非常に、どこでいつ言ったのか分からないというようなことで処理されてしまうこともあるし、また、先ほど申し上げた法律の文言というものが、非常に自分自身が主体性を感じられるようで感じられないようでという、ちょっとこう不安感を感じていたので、やはりこう政治責任、政治家としての言葉を公式な場、しかも大勢の見守る中で記録に残すということは重要なことではないかと思っておりましたので、そこはこだわったところでございます。
(毎日新聞)
 万が一その知事自身の在任中に過酷事故が発生した場合の責任の取り方について、明確に答えがなかったかと思うが、進退を懸けるような考えはあるのか。
(知事)
 当然ですよ。当然です。ただその時点で絶対起こらないように自分はやるつもりですから、そのためにこれだけの独自の他の立地地域では見られないような要請というのを電力事業者に行ってきたつもりです。ともかくも過酷事故だけは起こさせないんだというふうなことをこれからも持ち続けたいと思います。
 で、それでもって仮にですよ、起こったときの心構えとしては、その時点にならないと分かりませんけれども、ある程度の対処をして見込みが立った時点で進退、はっきりさせるということになるのか、すぐ辞めろと言われるのか、これは県民世論、その時の県民世論に従うということになると思います。
(愛媛新聞)
 四国電力への要請の7番目に1、2号機の今後の方針についてという要請があり、40年という原則を踏まえてという文言が入っていたが、他の先行する発電所では必ずしも原則的とはいえないような事態になっていると思うが、40年という原則という言葉を入れた理由と、その原則をどのように評価しているのかということを教えてほしい。
(知事)
 入れたというのは、それが国の方針になっているから、そのまま入れたということでございます。だから、それを受けて、その最終的にはその点で事業者がまず考えるということになろうかと思いますので、ただ原則はこう国は言っていますよねということは、文言として実際方針として打ち出されていますので、それはそのまま入れたということで受け止めていただいたらいいと思います。ですから、これはまずは自分がどうだというふうなことはありません、今の段階では。その時点で事業者が考えて、やめるのか、あるいはこれもまた法律で認められているとおりに延長するのかというふうな判断をするのかもしれません。そのときに、さあどうなんだというのは、そのときに考えるということになります。
(愛媛新聞)
 当面は原発に頼らざるを得ないということだが、当面というのが一体どのくらいなのかという素朴な疑問があるが、知事はどう考えているのか。
(知事)
 いや、分かりません。さっき申し上げたように、出力、コスト、安定供給を伴う代替エネルギーの開発は、県レベルなんかではとてもできないんですよ、蓄電技術も含めて。だからこそ僕らは前々から申し上げてきたんですが、この分野にこそ国費を投入してですね、世界に先行するような研究を進めるべきではないだろうかというふうに思うんで、これはもう国の国策として、今の国会議員さんを中心にどう考えるかにかかっているんだというふうに思います。
(南海放送)
 再稼働を考える際には、避難計画が重要で、その避難計画の中で伊方原発から西側の佐田岬半島の住民の方の避難というのが、特に重要になってくると思うが、現在の避難計画で実効性が伴っていると思っているのか。
(知事)
 机上ではしっかりとしたプランというものを立てているつもりなんですが、これはもう、本当にありがたいことに大分県の知事さんや市、町長さんの理解をいただきましたので、具体的にどこの施設に何人という受け入れの体制まで取っていただいています。ですから机上では非常に形が整えられているんですが、これはまたどんどん実地訓練を含めて積み重ねていき、そこで何か問題点が発覚したら、さらに向上させていくということを積み重ねていきたいと思っています。
(愛媛朝日テレビ)
 あらためてになるかもしれないが、判断を行い、今、この場で説明をした、現在の心境を伺いたい。
(知事)
 逆に本当に難しい判断なんで、そういう意味では責任を伴う判断ですから、さらにずしりと重い責任という荷物を背負ったというふうな気持ちです。


(毎日新聞)
 立地自治体以外にも、いわゆる地元同意の権限をという動きが各所に広まっているところもあるということについてはどう思っているのか。
(知事)
 例えばどこ。
(毎日新聞)
 高浜だが。
(知事)
 他県のことは分からないです。
(毎日新聞)
 知事自身は、立地自治体以外の同意権限についてはどういう考えを持っているのか。
(知事)
 僕は他県のことは分からないです。コメントできない。他の原発のことについては、僕はコメントできません。
(朝日新聞)
 知事がこだわった揺れ対策だが、1,000ガルの対応は達成されたと思うが、国内で今まで1,000ガル以上の地震というものも観測されているが、1,000ガルで十分というふうに考えているのか。
(知事)
 これもですね、公表しているんですが、ガルという単位が独り歩きすることの怖さがあるんですね。あくまでも、例えば伊方の570ガルの基準地震動、今度は変わった650ガルの基準地震動というのは、さっきもちらっと言葉で申し上げたんですけれども、基礎岩盤における地震動ですね。例えば、基礎岩盤で570ガルが観測されても、同じ上にある建物では1,000ガルが観測され、その上では2,000ガルが観測され、こういう世界なんですよ。ですから、一番大事なのは、どこでの基準地震動なのかというところを統一して比較しないと、例えば、ここで計測したのは2,000だからどうするんだとなったら、全く筋違いの議論になってしまうので、そういう意味では、岩盤・基盤のところでの基準地震動にこだわって物事を考えているつもりです。で、実際に一番関心があったのは、あれだけの強烈な揺れをもたらした福島の1号機、2号機、3号機、4号機、5号機、6号機で、一体、基準岩盤、どれだけの地震動が計測されたのかというのが最大の関心事だったですね。それは全て後々計測のデータが公表されまして、最大値が福島2号機で550ガルということが確認できました。
(愛媛朝日テレビ)
 責任を取るということで、どこまで責任が取れるのかという街の声をよく聞くが、進退で片付けられる問題ではないと思われるが。あらためて、県民にどうするという説明ができるのか。
(知事)
 仮想の質問って難しいんですよね。今の僕が担っている責任っていうのは、過酷事故を絶対に起こさせないと、これに尽きるんです。この責任を守りきるために、相手が国であれ、相手が電力事業者であれ、やるべきことは全てやる。そこに今、集中しています。
(愛媛新聞)
 責任を共有する状況になったと言ったが、どういう意味か。
(知事)
 それは、だって全ての最終責任というのは別としてね、関わったらその時点で、その立場での責任というのは全ての関係者に発生しますから、そういう意味です。
(高知新聞)
 地元同意の話に戻るが、先ほど他地域のことは申し上げにくいという話だったが、法的根拠であったり、手続きのルール化というようなものは、政府としてやはりあった方がいいという考えか。
(知事)
 本来でしたらこれは、原子力政策をつかさどる国が、物事全てを組み立てていくべきだと思いますけども、今回こういう形で、福島の事故があったことによって、地元同意というのが非常にクローズアップされました。それは責任を担うということになるんだけども、また独自の考え方、原発というのは地域によって立地条件違いますんで、それを積極的に言うというふうな権利を持つということにもなるんだろうなというふうに思います。
 ただですね、これ本当に難しい議論なんですけども、同意とか説明というのは、どこまでという線引きは本当に難しいです。ここまでですって決めたら、じゃあ隣はどうしてくれるんだって必ず議論は起こるんですよ。だからある程度のところで、その都度、明確に仕切ることができにくいんで、それぞれの地域ごとに、その範疇というのは考えるしかないのかなというふうに思っています。
(読売新聞)
 全ての原点になった東日本大震災で、震災前と後で知事の責任に対する考え方はどのように変化したのか。
(知事)
 そうですね。率直に言って、僕は福島原発事故前というのは、原発安全神話というものが、なんとなくこの国を覆っていたんではないかなというふうに思います。先ほど率直にお話させていただいたようにですね、僕が就任した時点で、知事の仕事をいただいて4カ月後に福島の原発事故が起きたんですね。その時点でさっき言ったように、原発についての知識がどの程度あったかと言ったら、それはもう心もとないレベルだったと思います。
だからこそ真剣に勉強しなければ、その答えを見出すことができないと思いました。どれだけの人が、福島原発が海抜6メートルのところに設置されていたことを知っていたのだろうか。どれだけの人が、非常用電源設備がどういう役割を果たすということを知っていたのだろうか。どれだけの人たちが、その非常用電源設備が地下にあったということを知っていたのだろうか。そういったものを含めてですね、あの事故があったからこそいろんなことが見えたと思いますので、そういう意味では県が主体性を持って、立地地域の県として安全対策を追求していくきっかけが、以降、生まれているんだろうというふうに思っています。
 それを受けて、さっき申し上げましたけれど、自分の思いというのは過酷事故を起こさせないためにどうするんだという、それを最大の責任を担うということに尽きると思ってましたんで、他県はちょっと分かりませんけれど、電力事業者に対しても、気が付いたときには、次はこういう懸念があるんじゃないかということを、この4年半突き付け続けさせていただいたところであります。
(あいテレビ)
 先ほどの話の中で、津波への避難に関しては福島と同じことは起こらない。揺れ対策と電源対策が鍵になっていると話があったが、繰り返しになるが、あらためてこの二つをクリアできた材料というのを知事の言葉であらためて聞かせてほしい。
(知事)
 揺れ対策については、さっき申し上げたように、福島の計測値というものも明らかになりましたんで、それをはるかに上回る各機器の1,000ガルへの対応に補強工事を実施するということが一つの答えだと思っています。それから電源対策というのは、国も相当な新基準の中で考えていますけれども、さらにそれを上回る電源を確保するということによって、余白、余裕というものを持たせたということが、一つのポイントになっていると思います。
(読売新聞)
 今回、再稼働の決断をしたということで、その安全対策等について、将来的に今後どうしたい、さらにどうしていきたいかという考えは。
(知事)
 これはですね、訓練と同じで終わりはないと思いますね。当然のことながら、国においても最新の知見というのは最新でどんどんどんどんアップデートされていくわけですから、それに基づいて対策が追加されてくるでしょうし、県のレベルでも、例えば、この前の作業スペースなんかもそうですけど、いろんなところからのヒント、話の中からヒントが生まれることもあるんで、今後ともこれが必要だというようなことが感じたときにはですね、その実現というのを求め続けていきたいと思っています。
(NHK)
 再稼働の判断にあたって、国の言質を得たということは初めてかとは思うが、他の立地自治体であったり、国の原子力行政に与える影響ということについては、どのように考えているのか。
(知事)
 分からないです。他の自治体のことは考える余裕がないですから。自分は愛媛県知事として、伊方のことに専念して物事を進めてきたんで、ちょっと分からないですね。
(毎日新聞)
 現実的な問題として、知事が同意しないという判断は当初からなかったのではないかというか、電気料金が値下げできないというその責任を、知事の責任だというふうに県民の方は思う方も多いかと思われるが、そのあたりについてはどう考えているのか。
(知事)
 これ条件がそろってなかったら、同意なんてするつもりは全くありませんでした。例えば、県議会が反対するとか、あるいは首相の言質が取れないとか、電力事業者が、県が求めた安全対策をやらないとか、それが1パネルでも欠けていたら同意はできない。
(あいテレビ(幹事社))
 では以上で会見を終了します。


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