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えひめ防災フォーラム2013知事あいさつ

ページID:0010943 更新日:2013年9月2日 印刷ページ表示

日時:平成25年8月20日(火曜日) 13時30分

場所:ひめぎんホール

 

  

 防災フォーラム2013の開催に当たりまして、挨拶をさせていただきます。

 昨日は、愛媛大学のキャンパスを訪問しまして、そこで積み重ねている先端産業の研究成果や、農業の加工技術の研究成果、さらには医療分野でがんの対策につながるような研究成果など、先端的な取り組みを拝聴いたしました。愛媛大学では、こうした分野にとどまることなく、まちづくりや観光振興といった多様な分野で、愛媛県のみならず、各市町と連携を取りながら、さまざまな成果をいただいているところでありますけれども、それは取りも直さず、大学の方針として地域貢献を柱にしていることから生まれているのではないかと思います。

 まさに、この防災フォーラムを中心となって開催されますことは、こうした考えのもとに地域の安全に貢献しようというものであり、その活動に対しまして、心から敬意を表します。

 今年の6月に愛媛県では、五つの地震を想定して最悪の場合にどのような被害に遭うのだろうか、という机上のデータを分析し発表いたしました。

 その直前には、国の方でもデータを発表したところでありますが、愛媛県の独自試算は、さらに厳しい条件を課しました。何が違うかと申しますと、国の想定データでは、津波が襲ってきて、堤防を乗り越えた段階で全ての堤防が崩壊する、これが前提になっているんですけれども、愛媛県は、地震の揺れが起こった段階で全ての堤防が崩壊するという、おそらくあり得ないとは思いますが、これ以上ない最悪のケースを前提とした数字を追いかけたものです。それによりますと、例えば、津波、これは非常に狭い範囲で分析をしていますので、海の深さであるとか、あるいは地形であるとか、これによって10メートル離れたら全然高さが違う数字になるのですが、一番大きな津波は、佐田岬半島先端付近の南、人家のない崖のところに21メートルというデータがはじき出されたところでございます。それから主要な港、宇和海沿岸では7メートルから9メートル、そして瀬戸内海では3メートルから4メートルぐらいの最悪の場合の数字がはじき出されました。

 中予や東予におきましては、国の発表したデータでは浸水区域はないということになっていましたが、揺れと同時に堤防は崩壊することを前提とした場合には、浸水区域が発生することになっています。これは本当に最悪の場合のデータでありますから、数字が独り歩きしてもらっては困るわけですが、こうしたエリアに自分たちの地域が入っているのかどうかということを見極めて、啓発にも活用していただけたら幸いに思っております。

 一方で対策でありますが、まずは何よりも人の命を守ることが大切です。県内の宇和海沿岸の5市町は、高い津波が襲ってくる可能性がありますので、人の命を守る緊急の避難路を一気に2年間で整備しようということで、現在、共同作業を行っているところです。具体的には、背面にある山に登っていく階段、手すり、それから夜間の場合を想定した電灯などを整備し、ともかく来たら逃げるという命の道を整備することを目的としています。

 また、学校の耐震化の問題でございます。先般、報道されたとおり、愛媛県の県立高校の校舎等の耐震化率は、現在、47都道府県中47番です。立ち上がりが遅れましたので、急ピッチで進めているところでありますけれども、正直言って来年もその順位から抜け出すことはできないと思います。46位との差があまりにも大きいということであります。ただ、平成29年度までに100%耐震化を終えるよう、全ての事業に優先して計画的に耐震化の工事を進めているところですので、平成29年度に県内の県立高校の耐震化は完了するということをお知り置きいただけたら幸いです。

 それから、民間施設の耐震化の問題ですが、特に心配しているのは木造住宅でありまして、耐震診断や改修工事については、補助制度を立ち上げていますので、一人でも多くの方にぜひ活用いただけたらと思っております。

 そして、いざ何かが起こったときの初動体制は、ほとんどが隣近所の助け合いによってなされていることは過去の災害が証明しています。そこで、県内では自主防災組織の結成を呼び掛け、さらにはただ単につくっただけでは組織自体が生きませんので、その組織にリーダーを養成するということで防災士の資格取得者をどんどん増やしていく事業を県内市町と共同で立ち上げました。3年間で1,500人の防災士を誕生させることを目標にしておりますが、全ての市町で大幅に受講者が増加し、なんとか目的は達成することができるのではないかと考えております。この防災士が誕生いたしますと、それぞれの自主防災組織のリーダーとして活躍いただきますので、まさに組織に魂が入るということになろうかと思います。

 こうした事前のいざというときに備えての積み重ねをさまざまな角度から行っておりますが、もう一つ、情報というものが大事になってまいります。愛媛県では防災メールを立ち上げています。愛媛県のホームページから登録が可能であり、非常にきめ細かな災害情報がメールで配信されるようになっておりますので、ぜひ多くの方々に御紹介いただけたら幸いです。

 また、この9月からは、県内のマスコミと共同で、情報配信システム(公共情報コモンズ)を確立いたします。これは四国で初めてのことでありますが、市町から入力された避難所の立ち上げ情報等が一斉に県内のマスコミに配信される仕組みになっており、今まで以上に、スピーディーに県内の動きが、マスコミ情報としても流れるようになっていくのだろうと思っております。

 以上、今、主に取り組んでいる対策でありますけれども、南海トラフを震源とする地震が発生した場合、非常に大きな災害が起こることが想定され、県や市町単位での対応だけではどうしても乗り越えられないものがあります。そこで、現在、関係している九つの県で国に南海トラフに対する特措法の制定を呼び掛けているところであり、こうした国・県・市町の連携のもとに、いざというときへの備えをしっかりと積み上げていきたいと考えております。

 今日の防災フォーラムは、大勢の皆さんが参加されておりますが、その気持ちを共有し、そして、それぞれの立場で、呼び掛けを強化していただき、いざというときへの備えにつながることを心から期待申し上げまして、挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。


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