ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > ようこそ知事室へ > 知事の発言集 > 平成24年度 > 平成24年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ

本文

平成24年度新規採用職員辞令交付式知事あいさつ

ページID:0010928 更新日:2013年1月15日 印刷ページ表示

日時:平成24年4月2日(月曜日) 10時00分

場所:県庁本館4階 正庁

 

 平成24年度の新規採用職員の皆さん、ようこそ愛媛県庁へ。皆さんの県庁マンとしての仕事は、まさに今日から始まるわけでありますが、ぜひ、その初心というものをしっかりと記憶に焼き付けて、いつも忘れずに仕事に取り組んでいただきたいと思います。

 皆さん、県庁の仕事というのは、どういうイメージで捉えられているでしょうか。人それぞれあると思いますけれども、ともすれば、決められたことを、当然のことながら、法令遵守でしっかり管理するというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、それは過去のことです。これからは、皆さんもニュース等々で知ってのとおり、本格的な地方分権、地方主権の時代に入ってきます。これまでの経験則というものが、今後の参考に全てなるわけではない。いわば、社会の変化、政治の変化、経済の変化、こうした外的な変化要因というものを受けて、アグレッシブに、能動的に対応していかなければ、明日はないという時代に入ってきます。地方の行政が、歴史的な分水嶺に立たされているような状況の中で、皆さんは県庁の門をたたいたわけでありまして、これまで培ってきた勉強の成果をベースに、さまざまなことを学んで、大きく成長していただきたいと思います。知識というものは、皆さんそれぞれ研さんを積んでこられたと思いますけれども、実社会においては、イコール通用するものではありません。やはり経験の中から、そのベースが生かされるときもあれば、また、いろんなところで壁に当たることもあろうかと思います。常に自分はまだ初心者なんだという気持ちを忘れないことが、知識を得ていく力になると思います。昔の言葉で言えば、「知識を得る最上の手段は、己が無知だと悟ること」という言葉がありますけれども、その謙虚さというものが、成長につながります。特に、これは県庁マンだけではなくて、一般社会でもいえることですが、学生を卒業して最初の5年というのは、本当に大事な時期、時間であります。スポーツでも地道な基礎練習を積み重ねた選手が、後々成長していくのと同じように、この5年間は、まさに、皆さんが基礎練習を積んでいく、社会人としての大切な期間であります。時には、求めていた仕事ができない、というフラストレーションがあったり、いろんなことがあるかもしれません。しかし、それは、今後の成長のための訓練の期間だと捉えれば、何てことはないわけでありまして、逆に言えば、この5年間をないがしろにした社会人は、後々の成長は望むべくもないということは、過去の私自身の経験則でも間違いないと思います。ぜひ、この5年間、しっかりとがんばっていただきたいと思います。

 そこで、まずベース、基本となることだけを今日はお話しして、8月には新採研修で、県庁がこれからどういう方向に進んでいくのか、そしてその中で、どういう県庁マンが求められているのか、政策的な課題を含めて、お話しをする機会があると思いますから、今日は基本のところだけ、お話しして終わりたいと思います。

 まず、一番の基本です。挨拶のできない職員は通用しないということ。これは肝に銘じておいていただきたいと思います。一人の挨拶というものが、多くの人に伝播し、職場環境は明るくなっていきます。挨拶ができないのは、社会人としての基本ができていないということでありますから、それぞれ配属された部署で、自分が一番大きな声で挨拶するんだと。くだらないようで本当に大事なことでありますから、その気持ちが前向きなエネルギーに必ずつながります。廊下ですれ違う時、私も積極的に挨拶しますので、笑顔で、大きな声で応えてください。当たり前のことですけれども、あえてこのことを、最重要な問題として、皆さんに投げ掛けておきたいと思います。

 そして、今、県庁では、先ほど申し上げた、時代の変わり目というのを受けて、5つの意識改革を求めています。この5つの意識改革を、ぜひ身に付けていただきたいということであります。

 一つ目は、人間というのは、ともすれば、事態に向き合ったときに、できない理由を優先して考えがちになります。もちろん、リスク管理という点からすれば、その発想も大事ですが、今から求められるのは、むしろ、それよりも、どうすればできるかという視点に立つことが大事になります。何故できないかという視点ではなく、どうすればできるかという視点に立ってほしい。同じできないという結果、できるという結果、これは結果論ですから、どちらもあると思いますけれども、例えば、できないという結果になったときでも、何故できないかから入って、できないという結果になった場合と、どうすればできるかということを一生懸命考えた上で、できないという結果になった場合は、全く異なる道筋をたどります。また、相手がいるときには、相手の反応も全く異なってきます。ですから、まず、どういう事態に遭遇しても、何故できないかではなく、どうすればできるか、これをぜひ身に付けていただきたいと思います。

 二つ目は、地方自治体、公務員社会には倒産はないと皆さん思われているかもしれませんが、大間違いであります。倒産はありえます。これまでの自治体に倒産はないという時代は、過去のことであります。夕張市という自治体の例を見るまでもなく、日本には倒産寸前の自治体が数多くあります。愛媛県庁とて例外ではありません。今は大丈夫であっても、気を抜けば、一気に倒産するという事態にもなりかねないというのが、これからの時代であります。そういう意味においては、コスト意識をしっかりと持つということ、これも大事な課題になってきます。無駄はないだろうかと常に考えて、あるいは、事業展開するときに、財源をどうするのかということも含めて考えていく。こうした視点が必要になってきますから、二つ目には、自治体に倒産はないではなく、自治体に倒産はありえるという意識を持っていただきたいと思います。

 三つ目は、何事にも失敗は付き物ということであります。皆さんは、新しく県庁に入って来られて、まさに新人でありますから、当然のことながら、失敗もあるでしょうが、失敗というもので、くよくよしてほしくない。何故ならば、失敗というのは、成長のチャンスでもあるからです。大事なことは、失敗した時にどう向き合うかであり、例えば、一番大事なのは、すぐに報告するということであります。報告をすれば当然、叱られることがあるかもしれない。しかし、それは一時的なことであって、大切なことは、失敗をした時に報告をし、お叱りを受けて速やかに対処する。そして、同じ失敗が繰り返されないようにするためには、どうすればいいのかという対応策を考える。これさえやれば、成長につなげていくことができるわけであります。失敗を隠すとどうなるのか。個人の立場でも同じだと思いますけれども、今日、対処しておけば1の力で済んでいたものが、明日に回すと2の力が必要になる。1週間遅れると10の力が必要になる。これはよくあることです。いわば、早め早めに手を打つことによって、傷口は浅くなり、そして、対応の仕方によっては、成長につなげることができるというのが、この意識改革のポイントになります。失敗を隠すのではなく、失敗は積極的にオープンにする、報告する、この意識改革を持っていただきたいと思います。

 四つ目は、情報化に関連することであります。これは、皆さんの方が、世代としては進んでいると思いますけれども、かつて私は、商社マンをやりましたが、電話とテレックスしか通信手段はありませんでした。今は、パソコンや携帯電話、スマートフォン、こうしたものを駆使して、誰しもが情報を活用できる、平等に、公平に活用できる社会が到来しました。しかし、それは、違った言い方をすれば、情報が氾濫しているということであります。いわば、情報の取捨選択とツールの活用は必須課題になりました。情報に振り回されては話になりません。情報を取捨選択し、活用する。このスキルを磨いていただきたいと思います。情報に振り回されるのではなく、情報を活用する意識を持っていただくということが、四つ目であります。

 そして、五つ目は、役所の人間としての基本姿勢の問題であります。かつての日本に、「お上(かみ)」という言葉がありましたけれども、一般の民間から見れば、そういった目で見られがちであります。それを受けて役所側も、上から目線というのをついつい持ってしまいます。しかし、これも通用する話ではありません。いわば、やってあげているというような姿勢では、もう駄目です。やらせていただく、一緒にやるという、こうした視点を県民の皆さんに対しても、また市町という基礎自治体に対しても、持つことが大事になります。逆に言えば、国に対しても対等であります。国だからといって容赦することはありません。理屈でしっかりと向き合って、対等にやっていくという意識を持たなければなりません。やってあげるから、やらせていただく、一緒にやるという意識改革、以上、5つの意識改革を皆さんに、ぜひ最初のスタートの時にお伝えをしておきたいと思います。

 繰り返します。「何故できないかから、どうすればできるか」へ、「失敗は隠さずに、積極的に報告する」へ、「情報に振り回されるのではなく、情報を活用する」へ、そして、「自治体に倒産はないから、自治体に倒産はありえる」へ、最後に、「やってあげるから、やらせていただく、一緒にやる」へ、この5つの意識改革をしっかりと身に付けて、今日からスタートを切っていただきたいと思います。

 いずれにしても、仕事は楽しくやるというのも大事であります。前向きに、どんどん快活にやっていきたいと思いますから、皆さんも県庁を明るく、どんどん明るくしていくんだという、そんな戦力になっていただくことを、心から期待して新採職員を迎えるに当たってのお話とさせていただきます。がんばってください。


AIが質問にお答えします<外部リンク>