愛媛県農産園芸課のトップ農業技術情報サービス今月の天候と農作業
松山地方気象台
(気象と気象用語)
「3月の天候の特徴」
1:3月の気象
 「桃の節句」を過ぎる頃になると、冬に比べて目に見えて昼間の時間が長くなる。気温も次第に上がって、ジンチョウゲのふくよかな香りが漂い、下旬には桜の花もほころび始める。しかし、そのまま、のどかな春が続くのではなく、暖かな春がやってきたなと思うと、直ぐに寒さがぶり返したりする。
 気温の変動とともに、天気変化の激しい月で、低気圧が日本の南岸沿いを進むと、太平洋側で大雪となることがある。また、低気圧が日本海付近で急激に発達することもあり、この低気圧に向かって南よりの強い風が吹き込み、海や山では大荒れの天気となる。フェーン現象により空気が乾燥し火災の起こり易い月でもある。

(1) 桜の開花(ソメイヨシノ)
 松山での開花は、道後公園内にある標本木が数輪(5〜6輪)咲けば、松山の開花日として発表している。松山の平年日は3月28日(昨年4月1日)、最早日は2002年3月18日、最晩日は1957年4月6日である。

(2) 菜種梅雨
 3月中旬から4月にかけて高気圧が北に偏ると、南岸沿いに前線が停滞し、まるで梅雨のようなぐずついた天気が続く場合がある。菜の花の咲く頃にあたるため、「菜種梅雨」と呼んでいる。

2:気象用語 「気象じょう乱」
 地球を取り巻く空気には地球の重力により重さが生じる。単位面積あたりの空気の重さを「気圧」といい、その標準的な地表の気圧を1気圧(約1013hPa=ヘクトパスカル)という。空気は気圧の高い所から低い所に流れる。
 同じ時刻に世界各地で観測した気圧を海面更正(ある地点の気圧を海面まで下ろしたときの気圧)し、この値を天気図上に記入し、気圧の等しい点を結んだ線を「等圧線」という。各気象観測値を天気図に描くことによって、天気の状態や気圧の分布などの特徴を知ることが出来る。
 次に、天気図上で用いる主な用語を説明する。
(1) 高気圧  等圧線を描くと、次第に周囲より気圧の高くなる区域が出てくる。その中で閉じた等圧線で囲まれた区域を「高気圧」という。周りより気圧が高いので空気が吹き出し、この吹き出した空気は上空から降りてくるため、下降気流が生じ晴れる所が多くなる。北半球の高気圧は時計回りに空気が吹き出す。
 高気圧の描かれた地域、発生する季節及びその状態によってそれぞれ呼び名が違う。例えば「シベリア高気圧」、「太平洋高気圧」、「移動性高気圧」、「優勢な高気圧」、などがある。
(2) 低気圧  高気圧と反対に、周辺部より気圧の低いところを「低気圧」という。低気圧の中心に向かって空気が吹き込み、吹き込んだ空気は上空に上がるため、上昇気流が生じ曇りや雨の所が多くなる。低気圧では反時計回りに空気が吹き込む。名称には「温帯低気圧」、「熱帯低気圧」、「東シナ海低気圧」、「日本海低気圧」などがある。
(3) 台風  台風は、太平洋高気圧の縁辺に沿って進むことが多く、季節によって高気圧の勢力が変化するため、夏から秋にかけ日本へ接近や上陸することが多くなる。
(4) 前線  性質の異なる暖かい空気と冷たい空気の境目を前線面という。暖かい空気は冷たい空気に比べ軽いので冷たい空気の上を這い上がるため、前線面には傾斜ができる。前線面では性質の異なる空気が交じり合うため風の急変や気温が変化し、また曇りや雨の所が多くなる。前線もその性質によって名称が異なり、「寒冷前線」、「温暖前線」、「停滞前線」、「閉塞前線」などがある。

「局地風」

(1)やまじ風
 日本海で発達する低気圧、台風が日本海を進む場合に発生し、高知県から四国山地を越えて瀬戸内海に吹き抜ける南よりの強風で、四国中央市一帯で卓越し、フェーン現象を伴っている。清川だし(山形県)、広戸風(岡山県)と共に、日本三大悪風と呼ばれており、特に強風の発現する季節は春と秋である。昭和62年4月21日には、走行中のトラック横転や電柱の倒壊など、また、平成3年9月27日の台風第19号では、送電鉄塔の倒壊があり、最大瞬間風速は秒速60メートルを超えたといわれている。

(2)肱川あらし
 
大洲盆地と伊予灘の温度差によって吹く海陸風の一種である。大洲盆地の冷気塊が肱川に沿って流出し、下流の峡谷部で収束され一気に伊予灘の海上に吹き出す南風のことである。10月頃から初冬にかけ、移動性高気圧に覆われた朝によく発生する。日没後から始まり、日の出直後が最大となり昼前に終わるのが特徴で、最大風速は秒速10メートル、最大瞬間風速は秒速20メートルを超える場合がある。肱川河口の長浜大橋付近では、風の強いときには歩行困難となる場合がある。また、河口付近から伊予灘にかけて霧を伴う場合があり、上空から眺めると、霧が肱川河口を中心に扇状となる、実に幻想的な情景が見られる。

(3) わたくし風
 宇和島市付近で発現し、四万十川沿いに南東から収束してくる気流が、鬼ケ城山系を一気におろしとなって吹く東よりの強風ことである。気圧配置は、低気圧が東シナ海から四国の南を通過し、高気圧が東北地方又は日本の東海上にあって、南西に張り出している場合に発生する(低気圧と高気圧の気圧差が大きく、西日本で気圧傾度が増大)。春から初夏に多発し、特に3〜4月頃には最大瞬間風速が秒速30メートルを超え、農作物への影響が出る場合もある。「やまじ風」のように強くはない。この他、松山市北条付近や上浮穴郡の山間地でも局地的に強風の吹くことがある。
3:気象情報
低気圧や前線による大雨、強風及び大雪などに対し、注意報・警報を補足し注意・警戒を喚起することを目的として発表している。次の情報はテレビやラジオでも放送されるので、注意報や警報に併せて利用のこと。「気象庁HP」でも閲覧可能である。
(1) 全般気象情報:気象庁が日本の広範囲を対象に、強風、大雨、大雪、高波などについて発表する情報。
(2) 地方気象情報:高松地方気象台が四国地方を対象に、厳しい気象現象に対して発表する情報。
(3) 府県気象情報:松山地方気象台が愛媛県を対象に、低気圧や前線に伴う大雨、また冬型の気圧配置による強風や大雪などの防災現象に対して発表する情報。

4:ワンポイントメモ
(1) 寒の戻り 
 3月から4月にかけて、寒気の影響で突然やってくる寒さのことをいう。近年は植物の芽吹きが一段と早くなっているため、気温が急に下がると、新芽が霜や氷結によって損傷を受けることがある。ハウス等での温度管理には十分注意が必要である。
(2) 湿った雪による被害
 低気圧が四国の南岸沿いを通過する場合に降る雪は比較的湿っているため、この湿った雪の重みに耐えられなくなった植物が損傷する場合がある。愛媛県では中予や南予の山間部を中心に、植林された杉や桧が被害を受けることがあり、雪に関する気象情報を参考に管理を行う必要である。
(3)春の低気圧と強風
 春は季節風の方向が変わる時期で、低気圧に伴う強風が吹きやすい。特に前線が通過する際は突風を伴った強風が吹き、海上の船舶、山岳でのなだれ、ビニールハウスなどの農業施設等への注意が必要である。
 日本海を発達しながら進む低気圧の数は、年間を通して3月から5月にかけて最も多く、月平均で3〜4個となっている。

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